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  • date:2017.3.27
  • author:中橋 由香

華やかなひな人形を堪能する「浪花の大ひな祭り」

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女の子の健やかな成長を祈願する3月3日の桃の節句。大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)では、摂南大学との共同で、寄贈されたひな人形による大ひな壇を展示。さらに今年は鴻池家と並ぶ浪花の豪商「加島屋(廣岡家)」に伝来したひな人形や道具類も公開しています。

 

ひな祭りといえば、とくに女の子にとっては大切な行事のひとつ。ひな人形を飾ったり、ちょっと特別なご飯でお祝いしたなんて思い出がある方もいるのでは?

 

このひな祭り、起源はかなり古く、桃の節句は奈良時代から、ひな人形を飾って女の子の成長を祝う習わしは江戸時代ごろにできた風習なんだそうです。
摂南大学と大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)では、毎年ひな祭りの時期に合わせて約1ヵ月間「浪花の大ひな祭り」として大ひな壇を展示しています。
今年はNHKの朝の連続テレビ小説「あさが来た」で登場した「加野屋」のモデルとなった浪花の豪商「加島屋(廣岡家)」ゆかりのひな人形や道具類が寄贈された記念として、廣岡家をはじめ浪花の豪商に伝来する人形や道具類も展示されています。

 

まず展示場に入ってすぐ横には、寄贈されたひな人形約600体による大ひな壇が!

 

大ひな壇

 

これだけのおひな様が揃うと本当に圧巻です。
飾り付けは摂南大学の学生をはじめボランティアの手によるもの。

 

展示されているひな人形は、2012年に摂南大学の学生がプロデュースした「京の大ひな祭り」を行うため一般から寄贈を募ったもので、2000体を超えるひな人形の中から今回選ばれた600体が展示されています。

 

ひな壇の左右を彩る飾り

ひな壇の左右を彩る飾り

 

ひな段の左右を彩る飾りはすべて学生の手作り。古布や余ったリボンなどを持ち寄り制作されたものだそうです。
こちらの飾りもひな壇を見事に彩っています。

 

また大ひな壇のすぐ側には、ひな祭りに付随する遊具や、ひな祭りに関する説明パネルも。

 

近年海外からのお客さまも多いことから、日本語だけでなく、英語やスペイン語等の多言語パネルを展示。こちらも摂南大学の先生や学生が手がけてます。

 

日本語での解説パネル。

日本語での解説パネル。このパネルに並び、英語、スペイン語、インドネシア語など

 

「禊ぎ」などといった日本文化特有の翻訳もしっかりされており、苦労が伺えました。

 

英語によるひな祭りの解説の一部

英語によるひな祭りの解説の一部。赤線部分は「禊ぎ」や「祓い」の説明文。

 

浪花の大ひな祭り、もちろんこれだけではありません。

 

御殿飾りのひな人形

 

こちらは戦前頃まで関西で主流だった御殿飾りと呼ばれるひな飾りです。
現在よく見る段飾り、元々は関東地方の飾り方だったそうで、関西はこのような宮中を模した御殿飾りが主流だったそうです。
戦後は百貨店などで関東風のひな飾りがセット売りで広く販売されるようになり、御殿飾りは次第に見られなくなったようです。

 

私も初めて見ましたが、小さいながらも華やか。御殿の細工や小さいおひな様がとてもかわいらしかったです。

 

その他にも雛飾りやひな祭りの様子を描いた掛け軸や屏風などを展示。今にもまして賑やかな雰囲気を感じることができます。

 

 

次にいよいよ、豪商たちのひな人形・道具展示。
(正直ここからスケールが違います)

 

まずはこちら。廣岡家伝来の立ち雛です。

 

廣岡家伝来の立ち雛

立ち雛とは、紙で作られたひな人形のこと。一般的には折り紙のような、あまり大きくなく、それなりに安価なものです。

 

一般的な立ち雛

一般的な立ち雛

 

しかしこちらの立ち雛は、高さ60センチという大きさもさることながら、華やかさが段違い!
紙で作られている関係もあり、ここまできれいなものは滅多にないそうです。
次郎雛と呼ばれる、丸顔でやさしい顔をしているのも特徴です。なんとも親しみのわくおひな様でした。

 

次にひな人形と共に飾られていた道具類展示へ。

 

廣岡家伝来の道具飾りの一部

廣岡家伝来の道具飾りの一部

 

これ、すべてひな人形サイズの道具類なんです。
写真に収めきれませんでしたが、どれも目を見張る細やかさ。また、案内をしてくださった摂南大学の岩間教授によると、「飾りひとつも当時の一流の画家や職人が手がけたもの」とのこと。
とても高価で手のかかった品というのが見ているだけでも伝わる逸品です。

 

廣岡家のひな人形は御殿飾りのものでしたが、道具と同じくちょっとしたふすまなども森 一鳳といった当時の有名な絵師が手がけているそうです。ぜひ実物を生で見てください。

 

その他にも、浪花の豪商のひとつ八代家に伝来した日本最大の台所道具の展示もあります。

 

こちらが一般的な台所道具。

 

台所道具のミニチュア

台所道具のミニチュア。大きさは20センチに満たないくらい

 

昔はひな人形と共に、白木造りの台所道具を揃えるのが一般的だったそう。普通は大きくても幅20センチくらいのサイズ。

ですが八代家の台所道具は幅1.5メートル高さ1.3メートルほど。
また、ねずみ取りが設置されていたりと、当時の台所を本当にそのまま写した道具類は、資料としても貴重なんだそうです。

 

こちらは個人蔵のため、写真はありませんが、「えっ、これが飾りなの?!」と思う大きさ、細やかさはぜひ現地で体験してください。

 

浪花の豪商のひな飾り、きっととても華やかなんだろうなと思い伺いましたが、大ひな壇に、丁寧に作られた上品な品々はぜひ実際に見ていただきたいなと感じました。御殿飾りや台所道具といった、今のひな祭りではあまり馴染みがないものを見られる貴重な機会でもあります。

 

「浪花の大ひな祭り-浪花の豪商の雛道具-」は2017年4月2日(日)まで開催中です。駅からもすぐですのでこの機会に足を運んでみてください。

 

取材協力:摂南大学外国語学部 岩間香教授、大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)


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