ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

  • date:2015.9.25
  • author:人見真紀

エミューの卵、食べてみたい?気になる人は東京農大へ!

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エミューって知ってます? オーストラリアの砂地を駆け抜ける、ダチョウよりちょっと小さな翼のない鳥…そう、それがエミューです! 聞いたり、見たことがあっても、卵を食べたことある人は、きっと少ないでしょう。実は、エミューの卵をつかった和スイーツ“生どら焼き”を食べられる場所があるんです。オーストラリア…いえいえ、東京・世田谷に!

入場無料で、こんなに楽しくていいんですか?!

生どら焼きを販売しているのは、東京農業大学世田谷キャンパスに隣接する「食と農」の博物館のカフェテリアとのこと。せっかく博物館を訪れたことだし、まずは館内をじっくり見て回ることにしました。こちらの博物館、無料で館内を自由に見学できるんです。

この博物館は「見る・聞く・触る」をコンセプトとして、2004年4月に開設。博物館3・4階には(一財)進化生物学研究所があり、様々な動物・植物の進化に関する研究が行われています。その進化生物学研究所が運営する「バイオリウム」という熱帯動植物園が隣接しており、博物館とセットで楽しむことができます。

まず、最初に目を奪われたのが、博物館1階の入口近くに展示されている2台のオレンジ色のトラクター。長い間、実際に大学農場の整備や農業機械の授業で実習に使われていたものだそう。農業萌え女子にはたまらないですね。奥では企画展が開催されていて、戦前~現代の農業教育を知る上で貴重な資料が展示されていました。

博物館入口には大きな鶏のモチーフが。タイの闘鶏用品種の一つだとか

博物館入口には大きな鶏のモチーフが。タイの闘鶏用品種の一つだとか

長い間の激務に耐えた年季が感じられるトラクター

長い間の激務に耐えた年季が感じられるトラクター

左、樹齢1400年と言われる縄文杉の材鑑標本

左、樹齢1400年と言われる縄文杉の材鑑標本

企画展「学術情報課程―その教材と研究資料―」の展示。昔の標本室を再現している

企画展「学術情報課程―その教材と研究資料―」の展示。昔の標本室を再現している

2階も見どころ満載。気になるアレを見つけました

続いて、2階の展示スペースへ。酒瓶がずらっと並んでいましたが、実はこれ、東京農大の卒業生が活躍している蔵元が醸造した名酒だとか。その数、280本! これほど多くの蔵元に卒業生を輩出している理由は、東京農業大学には日本で唯一、「醸造」と名の付く応用生物科学部醸造科学科・短期大学部醸造学科があり、醸造技術を学べるから。そのため、酒瓶のギャラリーをはじめ、日本ならではの“イキ”を感じさせる酒器のコレクションや絵画など、酒文化に関する品々が多く展示してあります。

さらに、古民家のジオラマや研究用に収集された鶏のはく製標本121体と、見所いっぱいの展示室の片隅に、見つけました。エミューの卵! 展示用の外殻でしたが、眺めていると、生どら焼きへの期待が高まります。

バイオリウムに行く前に、カフェテリアに行ってしまおうかな…グラグラと揺らぐ気持ちを「すべて見学してから実食!」という決意で押さえ込んで、博物館に隣接するバイオリウムへ。

日本酒、280本の眺めは壮観です

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可杯(べくはい)という酒器。「飲み続けろ!」と言わんばかりに、杯の底をわざと尖らせ、置けないようにしている

可杯(べくはい)という酒器。「飲み続けろ!」と言わんばかりに、杯の底をわざと尖らせ、置けないようにしている

ゆるくてかわいいこけし徳利は、頭が御猪口になっています

ゆるくてかわいいこけし徳利は、頭が御猪口になっています

尾の長さが6メートルにもなる尾長鶏のはく製。これほど美しく残っている個体はめずらしいとか

尾の長さが6メートルにもなる尾長鶏のはく製。これほど美しく残っている個体はめずらしいとか

古民家のジオラマはかなりクオリティが高い

古民家のジオラマはかなりクオリティが高い

エミューの卵の外殻。経年のため黒く変色してるが、実際は深い緑色だそう

エミューの卵の外殻。経年のため黒く変色してるが、実際は深い緑色だそう

 

 

 

 

運が良ければ、ワオレムールからのアツい歓迎もあります

ここには、進化生物学研究所が世界の熱帯地域から研究のために集めてきた動植物が飼育・管理されています。出迎えてくれたのは、元気に飛び回るワオレムールの家族。マダガスカル固有の原猿で、バイオリウムには5種類約80頭が飼育されているとか。運が良ければ、雄叫びのような大コーラスが聞けるそうです。この日は…残念ながら、ちょっとそんな気分じゃないみたいですね。
「温室内で、グリーンイグアナを放し飼いにしているんですよ」と職員の方に説明いただき、どこにいるか分からないドキドキ感でいっぱいに。「ほら、あそこに!」指差された木の枝、地上2.5メートルの高さに緑のしっぽが見えました。なるべく近くで、動植物の生態を観察してほしいという願いから、こうした飼育方法になっているそうです。

サボテンや熱帯植物が茂るバイオリウム内部

サボテンや熱帯植物が茂るバイオリウム内部

ちんまりと座る姿がかわいい、ワオレムール

ちんまりと座る姿がかわいい、ワオレムール

陸ガメが散歩中でした

陸ガメが散歩中でした

いよいよ、生どら焼きの実食!

充実した展示にすっかり興奮してしまったのですが、館内のカフェテリアで、いよいよ目的のエミューの卵で作られた、「笑友(エミュー)生どら焼き(324円)」をいただきます。ふっくら、もっちりの皮と、小豆入りの生クリームがマッチしておいしい! エミューの卵は鶏卵と異なる、独特の弾力性があるそうで、皮のもちもち感はそのおかげかもしれないですね。
この製品は、東京農業大学のベンチャー企業・東京農大バイオインダストリーと北海道オホーツクキャンパス周辺の地元企業が、地元産業の活性化をめざして共同で開発したもの。オホーツクのエミュー牧場で飼育されたエミューから生産される、オイル、卵などをつかって、他にも様々な製品を開発しています。笑友(エミュー)生どら焼きは発売以来の人気商品で、カフェテリアでは売り切れになることもしばしばあるとか。今日は、商品があってラッキーでした。

これが食べたかった! 明るいカフェテリアでいただきます

これが食べたかった! 明るいカフェテリアでいただきます

冷凍して食べても美味しいそうです

冷凍して食べても美味しいそうです

生どら焼きのほかにも、エミューオイルを素材にした製品を開発販売

生どら焼きのほかにも、エミューオイルを素材にした製品を開発販売

 

 

 

 

 

 

 

 

家族、友だち、一人でも。ゆっくりできる憩いの場

年間約12~13万人が訪れ、そのほとんどがリピーターということから、博物館の居心地の良さがうかがえます。取材日は平日だったため、お母さんと一緒の4~5歳くらいの子どもたちが館内の展示を見て盛り上がっていました。こんな憩いの場があるなんて、近くに住んでいる方が羨ましいですね。


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