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仲間たちと冬を照らす、追手門学院大のキャンドルナイト

2015年12月2日 / ほとゼロからのお知らせ, トピック

12月15日(火)に追手門学院大学で行われる「Candle Night 2015」。
「学年や、学部を越えた仲間と集える心のよりどころ、居場所をつくろう」という思いから生まれたキャンドルナイトも、今年で6年目。そんな今回のテーマは「moment-“今”を一緒に-」。今この瞬間しか表現できないもの、今を大事にしようという願いがこめられています。

今回はこの「Candle Night 2015」の開催を前に、昨年のキャンドルナイトの様子をご紹介します。これを見て気になった方は、ぜひ今年のキャンドルナイトへお出かけください!

キャンドルナイトは例年12月に行われるものですが、その準備は5月から。スタッフ募集、活動体制の決定とスタッフは早い時期から大忙し。2014年は、なんと学生スタッフが54名、職員スタッフが10名参加しました。職員さんたちは学生スタッフの意見を尊重しつつ、やさしくアドバイスしてくれていたそうです。

昨年は、大学祭でブースを設け、「Life is…!」というテーマに沿ったメッセージを集め、そのメッセージカードをキャンドルホルダーに巻き付けてキャンドルナイトを彩る企画を実施。3日間でおよそ800ものメッセージを集めることに成功しました。

メッセージが書かれたキャンドル

メッセージが書かれたキャンドル

また地域の幼稚園の園児たちにも協力してもらい、かわいらしいペーパーバッグでできたランタンも作りました。

ペーパーバックでできたランタン

ペーパーバックでできたランタン

本番まで一ヶ月を切る頃には広報活動も大詰め。大学近辺のご家庭にチラシをポスティングしたり、駅前でチラシを配布したり。現役の学生たちだけでなく、卒業生も協力してくれたようで、正に“学年を越えた仲間”です。

こうして半年以上に及ぶ準備期間を経てついにキャンドルに火が灯されます。
無事、点灯した光景を見て、思わず泣きだしてしまうスタッフもいたそうです。

ここからは、そんなステキで幻想的なキャンドルナイトの光景を存分にお楽しみください。

一つひとつ、ていねいに点灯していきます

一つひとつ、ていねいに点灯していきます

透明なキャンドルホルダーに色紙を巻いて色とりどりの炎を演出

透明なキャンドルホルダーに色紙を巻いて色とりどりの炎を演出

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いかがですか? 幻想的で本当にキレイです…。学生、そして職員さんの努力がつまったキャンドルたち。ぜひご自身の目で見たくなってきたんじゃないですか?

当日はピアノリサイタルもあるので、ぜひこちらも合わせてお楽しみください。

会場でほのおちゃんに会えるかも!

会場でほのおちゃんに会えるかも!

金沢工業大学が持つ「世界を変えた書物」を見に行こう!

2015年11月20日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

金沢工業大学が11月6日から11月23日までグランフロント大阪で行っている『[世界を変えた書物]展』。「世界を変えた」だなんて大げさに聞こえてしまうかもしれませんが、全くそんなことはありません。本当に世界を変えた書物ばかりが並ぶのがこの展示なんです。「え!それってすごいんじゃない?」と思われた方。そうです、すごいんです!大阪では初開催となった『[世界を変えた書物]展』の魅力をご紹介いたします。

[世界を変えた書物]展の主催校である金沢工業大学。学内のライブラリーセンターに設置された「工学の曙文庫」は科学的発見や技術的発見が最初に発表された初版本を中心に収集しています。その数なんと2000点あまり!

今回はその一部である稀覯書(きこうしょ)たちが展示されています。「稀覯書」とは極めて稀にしか見ることのない本のこと。定義として、少数しか残っていないことや制作が古い物であること、書物のデザインが美しく美術品的価値を持つことなどがあげられています。美術品的価値が必要とされるのは驚きですね…。本展示は会場全体を「知の森」と設定し、書物が持つ様々な魅力をあらゆる角度から味わえるように設計されています。来場者はこの「知の森」を旅する旅人となり、先へ進んでいきます。
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本をかたどった入り口をくぐると、まず圧倒されてしまいます。本、本、とにかく本がいっぱい…! ここは「知の壁」と題され、金沢工業大学の学生が作成した本棚にびっちりと雰囲気ある本が並びます。この本、イミテーションではなく全て本物だというのだから驚きです。
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そしてこのエリアでは主に建築書が展示されています。「建築書はデザインに優れたものが多く、イラストも繊細で美しいものばかりなんです」と監修をつとめた竺 覚暁(ちく かくぎょう)金沢工業大学教授。確かに繊細で美しい書物が並んでいて、ずっとながめていたくなります…。

「ラテン語より俗語に翻訳された十巻の建築書」/ウィトルウィウス(コモ 1521年 初版)

「ラテン語より俗語に翻訳された十巻の建築書」/ウィトルウィウス(コモ 1521年 初版)

 

 

 

「歴史的建築」/ヨーハン・ベルンハルト・フィッシャー・フォン・エルラッハ(ウィーン 1721年 初版)

「歴史的建築」/ヨーハン・ベルンハルト・フィッシャー・フォン・エルラッハ(ウィーン 1721年 初版)

 

そして「知の壁」を抜けると「知の森」へ。今回のメインと言えるエリアです。入ってすぐ正面に大きなオブジェが。
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「物理学や化学、天文学など多岐にわたる科学の分類ですが元をたどればアリストテレスの理論から出発するのです。これは今回展示している書物がどのように繋がっているのかを表しているんです。だから中心部にはアリストテレスの『ギリシャ語による著作集』があるんです」と竺教授。科学の祖と呼ばれたアリストテレス、そんな彼の書物ももちろん展示されています!

「ギリシャ語による著作集」/アリストテレス(ヴェネチア 1495-1498年 初版)

「ギリシャ語による著作集」/アリストテレス(ヴェネチア 1495-1498年 初版)

書物を解説してくださる竺教授

 

この「知の森」では分野ごとに進歩の過程を見ることができます。「この発見があったから、あの発見に繋がって、今の文明に至るのか」と書籍をたどることで簡単に理解することが可能です。例えば、電流が発見され、発電機が発明され、電気を使う文明である電話が発明される…その一連の流れに沿って書物が並んでいるのです。理系に明るくないわたしにも優しい展示方法です。

展示方法にはその他にもこだわりがみられます。本の装丁もしっかり見ることができるよう鏡が貼られているのです。装丁好きとしてはたまりません…! ちなみにとても好みの装丁だったのがコレ。 

「ピッチブレンドの中に含まれている新種の放射性物質について」/ピエール・キュリー、マリー・スクロドフスカ・キュリー(パリ 1898年 初版)

「ピッチブレンドの中に含まれている新種の放射性物質について」/ピエール・キュリー、マリー・スクロドフスカ・キュリー(パリ 1898年 初版)

 

[世界を変えた書物]展がはじめて大阪に進出! ということで特別展示も行われ、稀覯書12冊が展示されていました。

大阪展特別出展の稀覯書

大阪展特別出展の稀覯書

「天文機械上巻」/ヨハネス・ヘヴェリウス(ダンツィヒ 1673年 初版)

「天文機械上巻」/ヨハネス・ヘヴェリウス(ダンツィヒ 1673年 初版)

 

会場にある本には中に書かれた内容はもちろんのことながら、装丁や活字の美しさ、初版であるという歴史的な価値があります。中々見ることのできない稀覯書の数々…。たっぷり見ることができておなかいっぱい。でもまだまだ終わりません!

最後に待ち受けるのは「知の変容」。金沢工業大学の学生が、展示された稀覯書から受けたインスピレーションを立体作品、映像作品としてアウトプット。これがまたすごいんです。こちらもちょこっとお見せします。

「降り注ぐ文字」/小池智之さん
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一文字、一文字切り取られた文字の数々。作業工程を想像するだけで気が遠くなります。「本から飛び出た文字が雨となり降る。それがまた蒸発してまた降る。知識は巡り続けることを表しています」(小池さん)

「蝶の飛翔」/越森真衣さん
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約2000匹に及ぶ蝶の大群。大小4種、形も3種あるそうです。展示の際に絡まないようにするのが大変だったと話してくださいました。「書物のなかの知識を蝶に例え、知識が世界中に飛び立っていく様子を表しました」(越森さん)

「集積し、反復する記憶」/渡邉麗香さん
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真っ暗なスペースに浮かぶ一冊の本。これは映像作品となっていて、本をかたどった作品に文字が集積されていきます。そして落ちていく。地面を見ると、ちゃんと文字が落ちています。残念ながら作成者である渡邉さんのお話しは聞けませんでしたが、いつまでもその場に居たくなるステキな空間でした。

「知の変容」を出ればもう旅は終わり。何度見ても楽しめる空間になってますので、また最初から旅に出るのも良いかもしれません。

科学、工業を扱った書物ではありますが、ただただ本が好きだという方やグラフィックが好きな方、誰でも楽しめる展示になっています。

時間は夜8時まで(入場は30分前まで)と、お仕事帰りでも立ち寄れますし、土日祝には竺教授が見所や書物にまつわるエピソードを紹介するミュージアムトークが行われます。
行って損はないどころか、得しかない! そんな展示でした。みなさんもぜひ[世界を変えた書物]を自分の目でご覧になってください。

 

奈良女生と共に歩み、育つ学生食堂

2015年11月16日 / 美味しい大学, 大学を楽しもう

近鉄奈良駅より徒歩約5分。商店街や、観光地として賑わう奈良公園のすぐそばでありながら、静かで落ち着いた一角に奈良女子大学はあります。

前身の奈良女子高等師範学校から数えると創設して100年を越える奈良女子大学。学校敷地内に現存する建物からその歴史を感じます。「女子大っぽい!」と思わずにいられないかわいらしい正門と、入ってすぐの守衛室、更に正門から見える記念館が重要文化財に指定されているのです(現在工事中のため全貌は見えませんでしたが…)。
大学敷地内に複数の価値ある文化財、さすが100年の歴史を持つ大学は違いますね…!

そんな奈良女子大の学食では地産地消に取り組んでいて、そのご飯がとっても美味しいとのうわさを聞き、行ってきました!

かわいい正門。奥に見えるのが記念館です

かわいい正門。奥に見えるのが記念館です

なるべく「地産地消」!

奈良女子大学生活協同組合が運営する学生食堂「KOTO.KOTO.Kitchen」が取り組む「地産地消」。「地産地消」とは産地で採れた農水産物を、その土地でいただくことですが、他の産地のものと比べて、輸送にかかるエネルギーを削減することができますし、輸送時間がかからないので新鮮なものを食べることができます。また地域経済の活性化や地域文化の継承にも繋がり、良いことづくめなのです。最近、地産地消に取り組むカフェやレストランも多いですよね。その取り組みについて、責任者の加藤さんにお話を伺いました。

――地産地消に取り組まれてもう長いのですか?
そうですね。わたしの前任者からなので、少なくとも3年以上は続けています。

――地産地消のメリット、デメリットを教えてください。
メリットはとにかく美味しいこと。新鮮なお野菜は本当に美味しいです。学生にも評判ですよ。
デメリットは天候などに左右されることですね。農家さんの事情もありますし、収穫量にばらつきがでます。しかし、どんな状況でも食堂を利用する学生の食事を作らなければいけないので、こういった施設で全食材を地産地消でまかなうことは無理です。それでも美味しいものを食べて欲しいので、出来る限りの地産地消をめざしてます。

――どういった狙いがあってこの取り組みをはじめられたのですか?
奈良を好きになってもらいたいという想いがあります。地産地消というのは地元の方の協力あってこそできることなのです。大学ですので、長期休暇の期間は野菜を仕入れることが出来ません。なので取引相手としてはすごく不安定な立場なのです。それを快く了承してくださる、そんな方がいる奈良を好きになって欲しいという想いです。


地産地消とひとことで言っても大変むずかしく、全ては生産者さんの理解あって、はじめて成り立ちます。そんな大変なことを学生のためにと頑張る生産者さん、生協のスタッフさん。頭が下がります。

採れたての野菜たち(大根・チンゲンサイ・サツマイモ・茄子・大和コショウガ)

採れたての野菜たち(大根・チンゲンサイ・サツマイモ・茄子・大和コショウガ)

「食」へのこだわり

お話を伺っているなかで感じたのは「食」に対するこだわりの強さでした。そのこだわりの強さの背景はどこにあるのでしょうか。

――すごく「食」にこだわっていらっしゃいますよね。どうしてですか?
学生には自分自身で健康を作れるようになって欲しいのです。そのためにわたしたちは全力でサポートしています。奈良女子大の理念の一つとして「男女共同参画社会をリードする人材の育成」というのがあるのですけど、人をリードしていくにはやっぱり健康であることが第一ですから。「日本を支える女性」を支えるのが私たちの役目だと思っています。

――そこまで考えていらっしゃるなんて…。学生が羨ましいです。
学生あってこその学生食堂ですからね。学生の意見にはなるべく応えるようにしています。ご飯のサイズをSSサイズまで置いてみたり、地元を離れて暮らす学生たちに向けて郷土料理をふるまう週間をつくったり、季節ごとに食事を変えることはもちろんイベント時には期間限定メニューを提供したりしています。女の子はそういうの好きですから(笑)。

――メニュー数がすごく豊富ですよね。
そうですね。バイキング形式のおかずが45種、丼物が4種、麺類が4種、小鉢が10種、お味噌汁、スープが常に並ぶようにしています。そして小鉢一つをとってみても、その中で栄養素が偏らないように気をつけています。学生が喜んで食べてくれて、中にはレシピを聞きにくる子もいます。でも目分量で作る方がほとんどなので、レシピを聞いてもなかなか再現できないみたいです(笑)。

冬限定の一人鍋

冬限定の一人鍋

ハロウィンセット

ハロウィンセット

クリスマスセット

クリスマスセット

見た目もキレイで味ももちろん美味しい、栄養もばっちりだなんて、女の子が喜ぶこと間違いなしのメニューですね…!

実食!

こだわりをお伺いすればするほど、食べてみたくなるもの…。そんなわけで実際にいただいてきました!
実食写真
鶏のチリソース、茄子の甘辛いため、里芋の煮物、サツマイモの甘露煮。
どれも美味しい!優しい味で、家庭の味といった感じでした。学生がレシピを聞きたくなる気持ちもわかります。
この中だと、茄子が地産地消にあたるそうです。茄子、本当に美味しかったです。

実際に学外の方でも利用があるのかきいてみたところ、観光で来られた方がときどき来られるとのこと。
訪れる際は、守衛室にお声かけ下さい。またお昼時12~13時は学生たちが多く利用するので、その時間は外してお食事を楽しんで下さいね。

奈良女子大に奈良公園の鹿が現れることも!

奈良女子大に奈良公園の鹿が現れることも!

 

加藤さんとお話ししていて感じたのは、学生のことを本当に大事に想っているのだなということ。
愛情は一番の調味料と言いますが、本当にそうなのだと思います。加藤さんをはじめ、スタッフのみなさん、地産地消に協力してくださる生産者さんたち多くの方々に愛され、育てられる奈良女生。ここからどんな立派な「未来の女性リーダー」が登場するのでしょうか。楽しみですね。

大阪大学が主催!! 世界一臭い缶詰の開封祭!!

2015年11月13日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

みなさんは「シュールストレミング」という缶詰をご存じでしょうか?
ニシンを発酵させたものなのですが、世界一臭い食べ物として知られています。そんな「シュールストレミング」の開封を大阪大学が主催する「ラボカフェ」で行われるとのことで行ってきました!

 

「ラボカフェ」とは、京阪中之島線のなにわ橋駅構内にあるコミュニティースペース「アートエリアB1」で大阪大学が開催しているレクチャー&対話イベント。 大阪大学の教員らがカフェマスターとなり、平日夜を中心に、哲学、アート、科学技術、鉄道など多岐にわたるテーマで、ゲストや参加者のみなさんで語り合うカフェプログラムを提供しているものです。 

「シュールストレミング」ができるまで

今回のイベントは「シュールストレミング開封祭~スカンディナヴィアの食文化~」と題され、行われました。ただの開封祭だけではなく、食文化も学べるというところに大学らしさを感じますね。

今回、スカンディナヴィアの食文化を教えて下さるのは、古谷大輔先生(大阪大学大学院言語文化研究科)。
シュールストレミングのふるさとであるスウェーデンの食文化を中心に講義がスタートしました。


スウェーデンという国は、非常に食べ物が乏しく限られた食材・調味料での料理が求められてきました。

まず19世紀に入るまで、原料が育たず砂糖が作れませんでした。そのため糖分の補給には木の実やサトウダイコンを使っていました。

そして塩。これまた中々採れずに苦労したそう。塩田は日照不足で干上がらない、岩塩も採れない。効率は悪いですが、海水を煮沸し、塩を採るしか方法が無かったんです。そんな中で海草を焼いて塩を作ることに成功したそうです。日本で言うところの「藻塩」ですね!

お次はお酢。スウェーデンではお米が採れません。ぶどうも採れないのでぶどう酢も作れません。そこでヤギのミルクから「ホエー」と呼ばれるものをお酢の代わりに使用していました。ヤギミルクから作るお酢…、癖がありそうです…。


最後に食材。

主食はパンでした。でも小麦が採れないので、普通のパンとは少し違ったものを食べていたようです。
それが、ライ麦を使ったパンと、大麦を使ったパン。
ライ麦パンは今でも見かけることがあるかと思います。少し黒いパンです。
しかし大麦を使ったパンはあまり見ないかも。大麦は発酵しづらく、なかなか膨らまないため、鹿のツノ(!)を膨らし粉として混ぜ込み食べられていました。それでもあまり膨らまないので「紙のようなパン」と呼ばれていたようです。

もちっとしていて美味しいらしい。具を巻いて食べるのが一般的

もちっとしていて美味しいらしい。具を巻いて食べるのが一般的

タンパク源として食べられていたのが豚、サケ、そして今回の主役であるニシンだったそうです。

森林面積が国土の68.7%を占めるスウェーデン。そんな森の中に住んでいる豚は貴重な食料でした。スウェーデンでクリスマスにあたる「ユール」という日には、塩漬けされた豚肉が必ず食卓に並びます。

そしてサケや、ニシン。特にニシンは300年前の書籍にも大量に捕れる絵が描かれるほど、とにかく漁獲量が多いんです。

300年前の絵本に描かれるニシン漁

300年前の絵本に描かれるニシン漁

そんなニシンを腐らせないように塩漬け加工されたのがシュールストレミングのルーツです。塩は調味料として使用されるよりも、保存料として使用されることの方が多いらしく、その塩味をごまかすために甘いジャムやディルという香辛料を使うんだそう。
スウェーデンを代表するブランド、IKEAのミートボールにはコケモモのジャムが添えられていますが、これはこの時代の名残かもしれませんね。

IKEAのミートボール。コケモモのジャムが添えられています

IKEAのミートボール。コケモモのジャムが添えられています

ついに世界一臭い缶詰開封!

80分ほどの講義が終わり、ついに「シュールストレミング」を開ける時がきました。
「もしこの場で開ければ異臭騒ぎとしてニュースになっちゃいますので、屋外に移動します!」と会場を出て、向かったのは中之島公園の端っこの方。人気のない場所です。

開封前の缶を少し持たせていただきましたが、持っているのが怖くなるほど缶はパンパンに膨らんでいました。一次発酵を済ませたニシンを缶に詰め、中で二次発酵をさせるため、缶が膨らむそうです。なので空輸では破裂の可能性があるとされ禁止されています。飛行機の中でにおいが広がっては大変ですもんね…。

開封は飛沫を防ぐため水の中で行うことが推奨されています。今回も用意されていたバケツの中で開封作業が行われました。

水の中で開封作業を進めていきます

水の中で開封作業を進めていきます

ついに開きました!開いた瞬間、缶から泡が吹き出てバケツの中でゴポゴポ音を立てています。
「あれ? 臭くないかも?」なんて思った次の瞬間、きました。臭いです。あまり手入れのされていない公衆ト○レのようなにおいです…。とても臭いです。
「今回のは、においがマイルドな方だね」と古谷先生。え! これでマイルド!? …信じられません。なぜこれを食べようとしたのか、本当に不思議です。
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これが開封後。発酵が進み、身がほとんどなくなっていました。骨は硬く食べることは出来ないため、缶の底に残った身を少しずつ分けることに。

ライ麦入りのパンにサワークリーム、スライスオニオン、ポテトサラダ、ディル、そしてシュールストレミング。現地での食べ方とほぼ同じです。
わたしはシュールストレミングの身ではなく、残ったエキスを数滴垂らしていただきました。

数滴のエキスでは味を感じることは出来ませんでしたが、口の中に異臭が広がります。その臭いをディルやサワークリームなどが消してくれますが、やはり臭いです。数滴で充分の存在感でした。

現地の方でも嫌いな方は多く、日本でいうと「くさや」のようなポジションだそうで、日常的に食べられている訳ではないとのこと。年に一回、お祭り気分で開けるのなら楽しいかもしれませんね!

一人で来ていた参加者の方が多かったですが、においのおかげで和気藹々としたムードでした!

一人で来ていた参加者の方が多かったですが、においのおかげで和気藹々としたムードでした!

 

東京で神戸大学のミリョクが分かる!?

2015年10月14日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

9/27(日)に東京にて「第4回シンポジウム 神戸大学のミリョク」と題し、神戸大学を受験希望の高校生に向けたイベントが開催されました。場所は東京・秋葉原UDX。当日は駅前でフリーマーケットが行われていたり、賑わいを見せていましたが会場に入ると一変、そこは正に神戸大そのもの。静かで落ち着いた空気が流れていました。

受付でレジュメと「神大緑茶」いただきました

受付でレジュメと「神大緑茶」いただきました

元宝塚歌劇団にいたという学生・神谷 彩さんの歌唱で始まったこのシンポジウム。本格的なパフォーマンスに驚きました。

そして武田 廣学長の挨拶。「関東では“神大”というと神奈川大学、“しんだい”というと信州大学を思い浮かべる方がほとんど。もっと神戸大学の存在感を高めていきたい」とおっしゃっていたのが印象的でした。

その後、二部構成の講演会がスタートです。
「世界の中野日本サブカルチャー神戸からの研究発信」/油井 清光教授
「はやぶさ2 人工クレーターへの挑戦」/荒川 政彦教授
どちらの講演も興味深いモノで、高校生だけでなく、この講演の聴講に来ておられる方もおられました。

講演が終わると、3次元可視化見学会が行われました。臼井 英之教授(システム情報学研究科)、目野 大輔特命助教(計算科学教育センター)のお二人が、スーパーコンピューター「京」などで計算したデータを目で見える形の3次元画像にすることの意義などを説明。参加された方は小惑星探査機のイオンエンジンの稼働状況や、津波の動きなどの立体映像を体感されていました。

また別会場では直接担当者に相談できる高校生向けの相談会や大学グッズの展示、研究成果の発表の場も設けられていました。

奥:神戸大の様子を伝える映像の上映。手前:神戸大グッズの展示

奥:神戸大の様子を伝える映像の上映。手前:神戸大グッズの展示

ズラリと並ぶのは神戸大の研究成果をまとめたポスター

ズラリと並ぶのは神戸大の研究成果をまとめたポスター


こちらでは神戸ルミナリエの際に使われるという「光る募金箱」の展示が。
募金箱_説明
どのようなものなのか、実際にコインを入れてみます。
募金箱1_1
コインを入れると…
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虹色に光りました!
簡単な作りだそうで「ホームセンターにあるもので作れますよ!」と教えていただきましたが、そうは見えません。絶対わたしには作れません。すごい。

ルミナリエで募金を集めるためにはどうすれば良いのか、と考え作られたのがこの「光る募金箱」。実際に使っていると子どもたちが喜んで募金に協力してくれるとのこと。確かに入れたくなる気持ちが分かります。

こちらもコインを入れると光ります!

こちらもコインを入れると光ります!


そして今回のイベントでは神戸スイーツと、神戸大で栽培したぶどう ピオーネが参加者に振る舞われました。

しっかりした甘みが味わえる神戸大学産ピオーネ

しっかりした甘みが味わえる神戸大学産ピオーネ

神戸スイーツ:2004モンドセレクション 最高金賞受賞「丹波 黒豆おうじ」

神戸スイーツ:2004モンドセレクション 最高金賞受賞「丹波 黒豆おうじ」

このピオーネが本当に美味しいんです。とっても大粒で、一粒でもしっかり食べ応えがあり、とにかく甘みがすごい。ぶどう特有の渋みが薄く、食べやすかったです。参加者の中には「美味しい!」と、何度かおかわりをされている方も!

「今年は雨の影響で持ってこれなかったんだけど、本当は梨も持ってきたかったんだよ…」と担当の方はおっしゃっていました。これだけ美味しいぶどうはどこで作っていらっしゃるのかお聞きしたところ、神戸大学大学院農学研究科付属食資源教育研究センターという場所で栽培していらっしゃいました。そこは市街地からは離れていて、自然にあふれた場所で、ぶどうや梨の栽培、牛の放牧なども行っているとのこと。
ちなみに「神戸大学ビーフ」と呼ばれるお肉は、学内の方でもなかなか口にすることがない稀少なものだそうです。機会があれば、ぜひ食べてみたいです。

そして神戸が誇るスイーツとして用意された「丹波 黒豆おうじ」。こちらも大人気であっという間になくなっていました。
スイーツにあふれた街・神戸。美味しいスイーツで糖分補給したあとはしっかり勉学に励む。正に理想的なシチュエーションですね!

今回のシンポジウムでは、大学はもちろん神戸自体のミリョクも伝えることができているように感じました。

英語で遊んで、英語を好きになろう!

2015年10月2日 / 話題のスポット, 大学を楽しもう

皆さんは“英語”に対してどんな思いをお持ちでしょうか?
「苦手……」「勉強してみたいけどどうすればいいのか分からない」というネガティブな感情をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。わたしもその一人。
そんなわたしが今回お邪魔させていただいたのは近畿大学「英語村E3[e-cube]」。英語村という名前の通りコミュニケーションは全て“英語”で行われます。

はたして英語が苦手なわたしが、英語村でなにかできるのでしょうか。

英語で遊ぼう!

英語村は通常、近畿大学の学生・教職員(またはその同伴者)のみが利用できる場所ですが、夏休み・早春期間には一般公開があるとのことで、今回行ってきました。
木のぬくもりを感じさせる建物、一歩足を踏み入れるとそこは日本ではなく「英語村E3[e-cube]」。ここでは日本語は一切禁止! 聞こえてくる会話はもちろん全て英語です。

一般公開期間中、毎日13:00からアクティビティが行われています。
この日はOsaka Entertainmentと題し、大阪の観光地に関するクイズが出題されました。それを同じテーブルに座ったチームで回答していき、ポイントで勝敗を争います。

まずはチーム名を決めていきます。

大阪を表す英単語を挙げていき、その中からチーム名を決めます。わたしはdeliciousチームになりました

大阪を表す英単語を挙げていき、その中からチーム名を決めます。わたしはdeliciousチームになりました

チーム名が決まると、どんどん出題されるクイズにチームで話し合い、答えを導いていきます。英語で出題という前提を除いても難しいクイズが続々と出題されました。例えば大阪城にある西の丸庭園の入場料は? という問題(正解は200円!分かった方いらっしゃいますか?)など。大阪の観光地の中でもコアな場所に関する問題もあり、知識豊富な参加者の方々でも首をかしげることが多々ありました。

導き出した答えをチームの代表者が発表

導き出した答えをチームの代表者が発表

前述した通り、英語が苦手なわたし。どんなクイズが出題されているのか画面に表示されている画像、そして雰囲気からなんとか感じ取りながら参加していきます。自分の伝えたい言葉が出てこないもどかしさはありましたが、同じチームの方々のご協力でなんとか乗り越えていくことができました。

1時間みっちりのアクティビティはあっという間に終了。参加者のみなさんはそのまま、参加者同士でお話し。本当にみなさん楽しそうです。
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どうして英語村?

ここで参加者の方にお話しを伺いました(特別に日本語でお願いいたしました。本当はダメなんですけど……)。
「わたしは1回の一般公開期間に3~5回ぐらいのペースで、5年ほど参加しています。こうしてネイティブの講師と英語で話せる機会を無料で提供してもらえるのはとても嬉しいです。孫にも勧めて、一緒に来たこともあるんですよ。
ここではだれかと話すためには英語を使わなくちゃいけない。話せないことがもどかしくて、もっと勉強しなくちゃいけない!って思えるんですよ」
と女性の方。こんなにアクティブなおばあちゃんがいたら、お孫さんもいい刺激になりますね!

もう一人、女性の方にお話しを聞きました。
「英語を習ってるんですけど、外で英語を話す機会ってあんまりないの。ここには5年ほど前から年に2回ぐらい来てるけど、習った英語で話せるのがすごく嬉しいです。外国人の講師の方とのおしゃべりも楽しいです」
お話ししてくれた通り、外国人講師の方と臆することなく話していらっしゃる姿が印象的でした。

英語村みたいな施設がもっとあればいいのにね、とお話しを伺った方々はおっしゃっていました。
たしかに英語しか話しちゃだめ!という講座はあるものの、英語村のように英語しか話せない“施設”があるというのはめずらしい気がします。
建物丸々日本語禁止!となると、「英語を話さなければ!」という気持ちへ切り替えやすいものです。日本であって、日本ではないという実感が持ちやすいというか。教室のドアをくぐるだけでは感じられない気概みたいなものを感じることができました。

英語村を楽しんでみる

ここで、慣れないことをして疲れた頭に糖分補給をしようとカフェメニュー注文口へ向かいました。
注文窓口
注文方法はいたって簡単!スタッフの方に欲しいものを伝えるだけ!
……ですが、もちろんここでも全てが英語で行われます。どう伝えればいいのか全く分からず戸惑っていると、スタッフの方が優しく教えてくれました。

黒板に書かれた通り読み上げていくと注文できました 

黒板に書かれた通り読み上げていくと注文できました

メニュー用紙がオシャレ!

メニュー用紙がオシャレ!

ひと息ついて、まわりを見渡すと当たり前ですが全てが英語表記です。

過去に英語村で特別講演を行った著名人のサイン

過去に英語村で特別講演を行った著名人のサイン

ゲームをプレイする際ももちろん日本語禁止!

ゲームをプレイする際ももちろん日本語禁止!

手前に見えるのは日本の漫画作品が英訳されたもの

手前に見えるのは日本の漫画作品が英訳されたもの

英語村の営業スケジュールとパンフレット

英語村の営業スケジュールとパンフレット

さいごに

英語村に来て思ったのが、やはり英語は話せるに越したことはないということ。英語を話せると、ただ単に話せる言語が増えるだけではなく、積極性も増すように思います。今回参加されていた方々も積極的にコミュニケーションをとり、外国人講師ともジョークを交えつつ談笑されていました。しかし、わたしはみなさんがなにに笑っているのか分からずじまいでした……。
日本にいる限り、英語を話せなくても困りませんが、話せた方が楽しいに決まってる、そう実感した一日でした。

古都「飛鳥」を灯すやわらかな光

2015年9月11日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

奈良県明日香村で8/29(土)・8/30(日)に行なわれた「飛鳥 光の回廊2015」。
このイベントは明日香村各地を灯ろうで灯し、お寺のライトアップやオブジェが設置されるというもの。
関西大学は明日香村と地域連携を結んでおり、その一貫として5年前からボランティアセンター学生スタッフがこのイベントに参加しています。

一日目の8/29(土)は残念ながら雨のため、灯ろうを使ったイベントは中止となってしまいましたが、二日目の8/30(日)は一部中止となったものの無事開催されました。その様子をレポートします!
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お昼時の飛鳥。すでに人がたくさん集まっています。


雨が降っていたこともあり、空気が澄んでいて、とても気持ちいい!
飛鳥 竹


飛鳥 風車


日が暮れると、灯ろうに火が灯され幻想的な風景が広がります。こちらは石舞台エリアに設置されていた「飛鳥 光の竹回廊」。

この日、関西大学ボランティアセンターの学生スタッフ3名に苦労したところと見所をお聞きすることができました。

左)商学部2年生の秋房さん、中央)今回リーダーを務めている文学部2年生の遠藤さん、右)昨年リーダーを務めていたという社会学部3年生の岡本さん

左)商学部2年生の秋房さん、中央)今回リーダーを務めている文学部2年生の遠藤さん、右)昨年リーダーを務めていたという社会学部3年生の岡本さん

 

遠藤さん)大変だったのはやっぱり天気ですかね・・・。1日目は中止になってしまいましたし、2日目の今日も当初の予定より縮小して行っています。


岡本さん)1日目に設置は完了していて、今日は火を灯したんですけどカップにたまっていた水を捨てて、そして火をつけて・・・という作業を石舞台エリアに設置された灯ろう約950個分(!)行いました。あと、今年から後片付けにも参加するので、それも大変ですね。


秋房さん)見所・・・。どこでしょう・・・。


ほとゼロ)全部ということですかね?


3人)そうですね! 見所は全部です!(笑)

では見所は「全部」の灯ろうをどうぞ!


今年の灯ろうのテーマは「花鳥風月」。
花

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こちらは「花」。


鳥

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

お次は「鳥」。

 

風2

 

風

「風」。扇子で起こした風が風車を回しています。

 

月

最後は「月」。


石舞台の周りを見事に「花鳥風月」をテーマとした灯ろうが彩っていました。


会場では「分かった! 花鳥風月になってるんやわ!」とお客さんのたのしそうな声も聞こえてきます。


夏休み最後の思い出に、と家族連れの方もたくさんいらしていましたが、みなさん感嘆の声をあげてらっしゃいました。

ライトアップされた石舞台

ライトアップされた石舞台

 

石舞台内部

灯ろうは石舞台内部にまで設置

 

石舞台エリア以外でもアート作品や灯ろうの展示が行われていました。


とてもキレイだったので、こちらも少しご紹介!

伝飛鳥板蓋宮跡(でん あすかいたぶきのみやあと)でのアート展示

伝飛鳥板蓋宮跡(でん あすかいたぶきのみやあと)でのアート展示

 

街灯は無く灯ろうの光を頼りに歩いていく  

街灯は無く灯ろうの光を頼りに歩いていく

高松エリア「光りの地上絵」

高松エリア「光りの地上絵」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高松エリア「SPACE EGG -創造の卵-」

高松エリア「SPACE EGG -創造の卵-」

 

明日香村全体を使ったアートイベント「飛鳥 光りの回廊2015」。

同時開催されていた「飛鳥光の食舞台&世界の肉バルin飛鳥」も含め、多くの方々が楽しんでいらっしゃいました。


わたしの中で「飛鳥=歴史・自然」というイメージだったのですが、今回行ってみると、歴史や自然を感じることはもちろん、それだけではない土地の魅力・人柄の良さを感じることができました(一般家庭の前で住民の方が展示している切り絵を見ていたら、その住民の方に串こんにゃくをいただきました)。


こういったイベントをきっかけに明日香という土地の魅力を再発見する。そのきっかけ作りに関西大学の灯ろうも一役かっていました。これこそ「地域貢献」ですね!

怖いだけじゃない、美しい「うらみ」の世界

2015年9月2日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

芸術の街、上野。多くの美術館が建ち並ぶその一角に芸術大学界のトップ「東京藝術大学」があります。そんな東京藝大の敷地内美術館にて「うらめしや~、冥途のみやげ展」が開催中。この展示は「うらみ」をテーマに行われています。
どうして「うらみ」という特殊な系譜で美術作品を展示することになったのでしょうか。展示会のレポート、そして主催である東京藝術大学大学美術館 古田 亮准教授のお話をお届けいたします。

幽霊たちが活きる展示

上野公園に入ってすぐ、美術館の展示会ポスターがずらり!
さすが芸術の街です。
上野公園 看板

平日でも多くの人で賑わう上野公園をぬけ、東京藝大へ。
大学へ着くとドーンと大きな看板がお出迎え。
実は道に迷ってしまっていたのですが、この大きな看板でなんとか到着!

夜に見ると怖そう・・・

夜に見ると怖そう・・・

今回の展示は展示方法にも強いこだわりがあるそう。例えば、入り口にあたるこの部分。
入り口 火の玉
ぼんやりとした火の玉が現れると、次には・・・
入り口 幽霊
幽霊(幽霊図 河鍋暁斎 イズラエル・ゴールドマン・コレクション(ロンドン))が!
思わず背筋がゾッとする演出です。

本展は三遊亭圓朝の幽霊画コレクションを主としており、圓朝ゆかりのものも展示されていました。

東京演芸会 ビラ

東京演芸会 ビラ

薄暗い会場の中、足を進めていくと一際大きなスペースに出ます。
お伺いしたのは、お盆明けすぐの平日。閉館間際だったにもかかわらずたくさんの人が!

薄暗い会場。幽霊画の魅力がひきたちます

薄暗い会場。幽霊画の魅力がひきたちます

掛け軸が一幅ずつライトアップされ、描かれた幽霊たちの表情がはっきりと浮き出ています

掛け軸が一幅ずつライトアップされ、描かれた幽霊たちの表情がはっきりと浮き出ています

ずっと見ていると消えていってしまいそうな儚げな幽霊もいれば、今にも動き出しそうな怨念深さを感じる幽霊もいました。
「まるで生きているよう」というのは幽霊に対しての言葉として少し変ですが、わたしはそう感じました。

錦絵による「うらみ」

展示会場を進み、幽霊画の展示が終わると、会場は一気に明るくなりました。
ここからは錦絵で「うらみ」をみていきます。(錦絵とは浮世絵のなかでも精巧な多色摺の木版画のことを言います。)

幽霊画とは一変して明るい空間の錦絵展示会場

幽霊画とは一変して明るい空間の錦絵展示会場

歌川国芳の作品

歌川国芳の作品

幽霊画とは一変、鮮やかな色使いで堂々と「うらみ」が描かれています。

今回展示されていた作品は江戸時代後半から明治時代にかけてものということなのですが、全く古さは感じられず色味もそのまま。まるで現代のポップアートを見ているようでした。

幽霊画はずっと見ている内に沸いてくる怖さがある一方、錦絵には一目見て分かる怖さがありました。

なぜ「うらみ」?

なぜ「うらみ」を系譜する展示を行うことになったのか。
ここからは主催である東京藝術大学大学美術館 古田 亮准教授にお話しをお伺いしていきます。

東京藝術大学大学美術館 古田 亮准教授

東京藝術大学大学美術館 古田 亮准教授

――なぜこのような展示を行うことになったのでしょうか。
大学の地域連携というものが注目されつつあるときでした。当大学でも地域連携の一貫として、大学の近くにあるお寺、全生庵の所蔵物である圓朝コレクションを展示してはどうかと。
50幅に及ぶコレクションを展示することは大学の学究的な面でもアプローチできますから。
実はこの展示は2011年の夏に行われる予定だったんです。しかし同年の3月に東日本大震災が起こり、テーマ的にもどうしようかと悩んでいたところ節電対策の話がきて。これは無理だなと。そこで一度延期というカタチをとりました。
そして4年経った今年、開催することになりました。

――今回のメインとなった幽霊画の魅力とはどのようなところにありますか。
「怖さ」と「美しさ」が同時に存在するところです。「怖さ」だけでなく、その先に美術的な美しさがある。
こうした日本美術の闇を表現した作品っていうのは、作品を見ることで見た人のこれまでの人生経験がはね返ってくるんです。どんな人間でも「失敗」や「恨みをかったかもしれない」といった負の感情は心のどこかに残っています。作品を見ることで、この感情が思い出される。それが「怖さ」なんです。怖さのインパクトがあることで、人々は作品の魅力を覚えている、伝えていくんです。

――今回の展示のターゲットはどのような方ですか。
実は決めてなかったんですよね。でも広報をはじめる段階で決めなくてはとなり、最近子どもたちに流行の妖怪の作品はないし、大人向けの展示会にしよう! と。
ところがいざ始まってみると、中学生や高校生が多いんですよ。入場料が少し安いからかなと考えたのですが、これまで行ってきた展示も同じ価格でしたが、そんなことなかったし。
今まではあまり興味のなかった子たちが来てくれて嬉しいことではありますね。でも、なんでだろう(笑)。

――古田先生のいちおしの作品はどれですか。
「生成(なまなり)」です。インパクトはあるのですが、怖がらせようという気持ちは感じられない。「怖い」ってなんだろうって問いかけてくる作品なんです。

生成・・・人の心を捨て切れていない鬼女を表している。不気味な中にもの悲しさが感じられる

生成・・・人の心を捨て切れていない鬼女を表している。不気味な中にもの悲しさが感じられる

「うらみ」と一言で言っても、その奥には悲しみ・憎しみ・妬みなど様々な感情があるもの。今回の展示では作品が持つ怖さはもちろん、見る側であるわたしたちの内に秘められた「怖さ」を呼び起こすことで、更なる恐怖を味わうことができます。

「うらめしや~、冥のみやげ展」は9月13日(日)まで開催。
更に9月1日(火)からは「焔 上村松園 東京国立博物館蔵」が限定公開。ぜひ足をお運びください!

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