東大×くろぎ 和菓子の未来をきいてみよう。【後編】
ライブ感のある新しい和菓子屋へ。
前回は和菓子と珈琲を合わせるという挑戦について伺いました。今回はこれからの和菓子屋さんのあり方についてお話をしていただきます。
ほとゼロ:私のように和菓子に馴染みのない方もいると思うんですけど、どういうこと感じたり楽しんでほしいですか?
森藤:まだ知名度低いので、近所の方が散歩でふらっと入ってきて何屋さんですか?と聞かれることが多いです。看板しかないので、ちょっと分かりにくいですよね。
ほとゼロ:食べものかな…?みたいな(実際に私も通り過ぎました)
森藤:そうですね。ごはんあるんですか?って聞かれると、ごめんなさい、和菓子と珈琲なんです、とお答えしていますが、そもそも、昔の茶屋ってそういうもので、たまたま散歩で通って茶屋があったから、ちょっと休んでいこうというものでした。だから最初はそういう気持ちで入ってもらって、あとは用途用途に合わせていただければうれしいです。
ほとゼロ:そうですね。
森藤:何屋かも分かんないのに入ってみよう、という気持ちを持ってもらいたいなと、看板がないことはポイントになっています。
ほとゼロ:好奇心から入るって素敵ですよね。建物もきれいなので、気になって通り過ぎたけど戻ってくる人いると思います。
森藤:そういう方もいらっしゃいます(笑)。入口あたりでゆっくり歩いて来て、僕らも興味あるんだなって見て分かるので、メニューを持って説明しに行くと入ってくださいます。最後のあと一歩は僕らで作ってあげなくてはと心がけています。
ほとゼロ:ガラス張りだから、目とか合ってにこってされたら…。
森藤:そうなんです。フルオープンのガラス張りですべてが見えてってなるともう、目線で分かり合えるというか、コミュニケーションは取りやすいお店かもしれないです。
ほとゼロ:良いですね。和菓子で新しいチャレンジされてる中で、これからどういうことをしていきたいですか?
森藤:やっぱり、和菓子がもっと若い世代の方に認知されてほしいです。というのは個人的な思いなんですけど、僕は福島の生まれで小さい頃、上生菓子とか練り切り菓子って…。
ほとゼロ:どうしていいかわからない?
森藤:いや、、おいしいと感じませんでした。
ほとゼロ:おお…(いいのかな)。
森藤:よくおばあちゃんとか買ってくるじゃないですか。でも小さい頃の印象でおいしいと思ったことがありませんでした。今思うと、スーパーで売っているのって、ビジネス化された和菓子なんです。うちの店で出している本わらび粉を使ったわらびもちは賞味期限でいうと30分ぐらいです。
ほとゼロ:すごい。
森藤:じゃないと水を吸っておいしくなくなっちゃうんですよ。コンビニで売っていたりするのは全然別物の名前だけわらびもちです。時代的に本来あるべき味が失われているんですよね。
ほとゼロ:はい。
森藤:なので大事なのは、和菓子職人にスポットを当てていく中で、商業化されすぎている和菓子の排除ではなく、それ以上に目立つライブ感や臨場感ある和菓子を作り続けなければならないというところなのかなと思っています。だからこそ、日本一の東大にある意味があります。やっぱり東大のみなさんは日本を代表して羽ばたいていくような人ばかりだと思うんですけど、そういう人たちがうちで本物を食べていくことで、将来コンビニのわらびもちが本当に変わっていくかもしれません。
ほとゼロ:なるほど。今、ライブ感という言葉が出てきてとてもいいなと思いました。音楽とかも近ければ近いものほど、最近では求められていると感じますが、確かに和菓子は遠く感じます…
森藤:その点、パティシエは作っている姿もカッコよく見せたりするのが上手だと思います。そういう姿を和菓子の世界にもあるといいなとは感じます。
ほとゼロ:見せない美徳とか文化もありそうですね。
森藤:それはあると思います。でも、注文が入ってから全部つくるのは、やっぱりお客さんが見ていて楽しいですよね。目の前で作ってお客さんが覗いているときには、無理をしてでも見せてあげたいと思います。体験学習しているような臨場感やライブ感はコミュニケーションの場にもなり、とても大事なものです。この店もスタッフ4、5人いるんですけど、全員ホールに出て話していたりします(笑)。
ほとゼロ:東大生との思わぬコラボが生まれるかもしれませんね。今日はお話をしていただいてありがとうございました。
(食レポへつづきます。裏メニューも2点ご紹介します)