ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

大学Webサイトレビュー第2回 ゲームのようなサイトで京都大学をめぐる「探検!京都大学」

2022年12月22日 / 大学WEBレビュー, コラム

大学のサイトには、公式サイトや受験生向けサイト以外にも、さまざまなものがあります。「大学Webサイトレビュー」では、そんな大学の知にふれられるもの、ユニークなサイトを紹介。第2回は京都大学が運営している「探検!京都大学」を取り上げます。

 

京都大学といえば日本を代表する大学の一つで、iPS細胞を開発し、ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥先生の研究拠点としても注目されています。

 

今回お届けするのは、京都大学の「おもろい!」をグッと詰め込み、バーチャル探検ができる「探検!京都大学」。現役大学職員として、多くのWebサイトを見てきた筆者がその面白さを紹介します。

 

トップページのスタイリッシュさに驚かされる

「これは大学のWebサイトなのだろうか」。私が「探検!京都大学」を訪れてまず抱いた感想です。

 

コロナ禍の影響もあって、大学ではオンラインでの情報発信に力を入れるところが増えています。「探検!京都大学」も動画などを上手く取り入れており、短時間でも京大の魅力が上手く伝わる有益なコンテンツとなっています。

 

まず訪れてみるとトップページがゲームの街のようなデザインになっていて、とてもポップかつスタイリッシュな印象です。トップページにある建物たちは、京都大学にある施設を表しており(シンボルの時計台も!)、非常に面白みがあります。

 

さまざまな建物にカーソルを合わせてクリックをすることで、地面から建物が現れたり、鐘の音が聞こえたり、中には中に入れる建物など、さまざまな仕掛けがあり、“探検”の演出が感じられます。

この施設をクリックすると……!? どんな建物が現れるか、ぜひサイトをご覧ください

この施設をクリックすると……!? どんな建物が現れるか、ぜひサイトをご覧ください

 

さて、「探検!京都大学」は、下にスクロールしていくことで、さまざまなコンテンツを楽しむことができます。

 

コンテンツとしては、先生の図鑑のほか、ノーベル賞受賞者のメッセージ、これまでの京都大学の発明、学生数などのデータ、京都大学の先生方を動画で紹介した京大シアターといったものがありました。

 

京都大学はフィールドワークをとても大切にしていると、「探検!京大」の紹介ページにありましたが、サイト内を移動して、さまざまなコンテンツを訪れることが「フィールドワーク」を表しているのかもしれないと思いました。

 

そのような魅力あふれるコンテンツがたくさんある「探検!京都大学」の中で、他の大学のWebサイトではあまり見かけず、印象深いと感じたコンテンツを2つ紹介したいと思います。

 

1つは「京大先生図鑑」です。2022年11月現在では、14人の先生が紹介されています

 

大学のWebサイトで先生の紹介というと、どうしても、堅くなってしまいがちですが、「京大先生図鑑」ではほかにはない切り口の質問をすることによって、先生の素の姿が見えて印象的でした。

先生の紹介ページの一部

先生の紹介ページの一部


名前を聞いたことあるような有名な先生の研究がわかりやすく紹介されているほか、「学生時代」「もし京大の先生になっていなかったら」「自分を漢字一文字に例えると」など、フランクな質問にも丁寧に答えてくれていて、とても親近感が湧きます。研究の紹介はもちろんですが、それ以上に先生の人柄を伝えようとする、“中の人”の思いが感じられました。

 

もう1つ印象に残ったコンテンツは「京大データ」です。

 

京大データは単に数字を羅列するだけではなく、イラストなどをうまく組み合わせることによって、訪れた人に視覚的に伝わるコンテンツにしている点がすごいなと感じました。

探検京都大学5

2020年の博士学位授与者数が777名っていうのはラッキーセブンで縁起が良い数字ですね。他人になんだか話したくなります。

 

見ていて飽きないデザインなので最後までどの様なページになっているんだろうと感じて、最後まで見てしまいました。

 

ユーザー視点を感じるこだわりのWebサイト

いまや企業も大学もWebサイトを持っているのが当たり前の時代になりつつあり、訪れた人が面白いと思うコンテンツでなければ、最後まで見てもらうことは難しくなりつつあります。

 

そのような中で「探検!京都大学」は訪れた人が楽しんでもらえるようにデザインの細部まで工夫して作られている点が印象深く感じました。

 

このコンテンツの面白さは、堅苦しいと思われがちな大学の研究等を身近に感じてもらえるよう、誰にとっても分かりやすいコンテンツになっている点です。フィールドワークや探検をしながら大学を知っていくという、Webサイトの作り方はとても斬新で、大人の方でも子どもに戻った気持ちで楽しめるような構成になっていると思いました。

 

スマホで「探検!京都大学」を見てみると、パソコン版とは印象が異なるのも興味深い点です。パソコン版とスマホ版、見比べてみるのも面白いかもしれません。

大学Webサイトレビュー第1回 東京大学の公開講座やシンポジウムの動画が無料で見られる「東大TV」

2022年10月20日 / 大学WEBレビュー, コラム

大学のサイトには、公式サイトや受験生向けサイト以外にも、さまざまなものがあります。「大学サイトレビュー」では、そんな大学の知にふれられるもの、ユニークなサイトを、現役の大学職員である筆者が紹介します。第1回は東京大学が運営している「東大TV」を取り上げます。

東大TV https://todai.tv/

 

東京大学といえば、多くの研究者や著名人を輩出し、いわずと知れた名門大学のひとつ。日々、様々な教育や最先端の研究が行われているのは、みなさんご存知のとおりです。

 

その教育や最先端の研究を社会に還元するために、東京大学では公開講座やシンポジウムを無料で視聴できる「東大TV」を運営しています。大人になって、もう一度大学で学び直しをしたいといった方にもおすすめです。それでは、詳しく見ていきましょう。

公開講座からオープンキャンパス関係までその数1,600以上!

「東大TV」は、東京大学で行われた公開講座やセミナーが無料で視聴できるのですが、まず学外に、それも無料で配信していることに驚きました。

 

というのも、「大学の地域・社会への貢献」を目的として公開講座を行っている大学は多くありますが、講座を撮影していても、終了後はその動画は学内記録で終わってしまい、学外に対して配信を行っていない大学がほとんどだからです。

 

教養を深めるために公開講座を利用する社会人は年々増えつつありますが、忙しい社会人は時間を確保するのも難しいこともありますよね。そういった方々だけでなく、東京大学から離れて住む人も「東大TV」を使うことで、自分の興味のある講座を自宅から好きな時間に受講することができると思いました。

 

「東大TV」は全部で1,600本以上の動画があり、最先端のIT分野から英語学習まで幅広い動画が用意されているのがすごいポイントです。

トップページには「人気の動画」をはじめとする動画が並ぶほか、キーワードから検索することも可能です

トップページには「人気の動画」をはじめとする動画が並ぶほか、キーワードから検索することも可能です

 

さらに東大TVでは、東京大学で行われるイベント情報も発信されています。シンポジウムやオープンキャンパスなど、気になっていたけど行くことができなかったという方のためにもイベントから動画を探すことができるようになっていることも嬉しいポイントです。

 

大学のオープンキャンパスは高校生の夏休み期間に集中してしまい、他大学と日程が被ってしまっていた、という保護者や高校生も少なからずいると思います。そうした高校生の方も視聴できるコンテンツが用意されていることで、高校生の方には、「大学ってこんな感じで授業が行われているんだ」ということを知るきっかけになりそうですね。

 

どの世代にもおススメ! 東大TVはあらゆる動画を配信している

先ほどもお伝えしたとおり、公開講座をはじめ「東大TV」では非常に多くの動画が掲載されているので、何を見たら良いか迷う方もいるかもしれません。そこで現役の大学職員である筆者が選んだ面白い、タメになる動画を2つ紹介していきます。

 

◆阿部 公彦「文学部的リスニング必勝法」 

 

2015年度 オープンキャンパス模擬講義の動画ですが、オープンキャンパスとあなどってはいけません。日常生活や仕事で英語を使う場面は増えつつあると思いますが、リスニングに苦手意識のある方は多いのではないでしょうか。

 

この動画では英文学の先生が、どうすればリスニング力が向上するのかということについて丁寧に解説してくれます。受験テクニックだけではなく、仕事で英語を使う方にもおすすめの動画です。

 

 

◆「メタバース」ではすべてが可能になる

 

2つ目は2021年度「東大×知の巨人たちの雑談」から、東京大学の最前線の研究者たちがメタバースの未来について真剣に語っている動画です。

 

近年、大学業界でも大きく注目されているメタバース。今後、私たちの生活を大きく変えていく可能性が秘められていますが、どんな未来が待っているのか想像もつきません。その可能性にワクワクできるような動画です。

 

  • * *

公開講座は「大学の地域・社会への貢献」「大学の広報効果」を目的としているケースが多くありますが、“大学の中のヒト”目線で見ると、公開講座を提供することはそれ以外にも多くの効果があると思っています。

例えば、公開講座を発信することによって企業と大学の繋がりができ、新たな共同研究が始まるきっかけになったり、正規の授業と公開講座の連携をすることで学生への教育効果があったりします。

「東大TV」が公開講座の配信に力を入れて、コンテンツを充実させていることも、そういった多くの効果があるからなのかもしれません。

RANKINGー 人気記事 ー

  1. Rank1

  2. Rank2

  3. Rank3

  4. Rank4

  5. Rank5

PICKUPー 注目記事 ー

BOOKS ほとゼロ関連書籍

50歳からの大学案内 関西編

大学で学ぶ50歳以上の方たちのロングインタビューと、社会人向け教育プログラムの解説などをまとめた、おとなのための大学ガイド。

BOOKぴあで購入

楽しい大学に出会う本

大人や子どもが楽しめる首都圏の大学の施設やレストラン、教育プログラムなどを紹介したガイドブック。

Amazonで購入

関西の大学を楽しむ本

関西の大学の一般の方に向けた取り組みや、美味しい学食などを紹介したガイド本。

Amazonで購入
年齢不問! サービス満点!! - 1000%大学活用術

年齢不問! サービス満点!!
1000%大学活用術

子育て層も社会人もシルバーも、学び&遊び尽くすためのマル得ガイド。

Amazonで購入
定年進学のすすめ―第二の人生を充実させる大学利用法

定年進学のすすめ―
第二の人生を充実させる …

私は、こうして第二の人生を見つけた!体験者が語る大学の魅力。

Amazonで購入

フツーな大学生のアナタへ
- 大学生活を100倍エキサイティングにした12人のメッセージ

学生生活を楽しく充実させるには? その答えを見つけた大学生達のエールが満載。入学したら最初に読んでほしい本。

Amazonで購入
アートとデザインを楽しむ京都本 (えるまがMOOK)

アートとデザインを楽しむ
京都本by京都造形芸術大学 (エルマガMOOK)

京都の美術館・ギャラリー・寺・カフェなどのガイド本。

Amazonで購入

PAGE TOP