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  • date:2017.2.28
  • author:中橋 由香

人工知能は怖くない 関西学院大学梅田講演会で知るAI時代の学び方

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最近よく聞くAI(人工知能)。野村総合研究所から2015年、「10~20年後には日本の労働人口の49%が人工知能やロボットで代替可能になる」という衝撃的な研究結果が発表されました(注1)。技術がどんどん進歩していくなか、これから私たちはどうすればいいのか。関西学院大学が開催する梅田講演会「AI(人工知能)時代の学び方 ~野外教育のすすめ~」で、そのヒントを伺いました。

 

AI(人工知能)といえば少し前までは小説や映画の題材で見るものの、現実にはまだまだという印象がありました。しかし、ここ数年でGoogleのAlphaGOや自動運転カー、IBMのワトソンなど、ニュースでもよく目にするようになりました。「AIが人を超えるのももうすぐなのでは?」ということも考えてしまいます。

 

いずれ人間の仕事をAIがやるようになって人の仕事がなくなるとか、AIってなんて恐ろしいんだ! と思っている人もいるのでは?

 

けれど本当にそうなるのか? その謎を探るため、関西学院大学梅田キャンパスで開催された「梅田講演会『AI(人工知能)時代の学び方 ~野外教育のすすめ~』」に参加してきました。

 

関西学院大学 甲斐知彦教授

今回登壇されたのは、関西学院大学人間福祉学部の甲斐知彦教授。
普段は野外活動を教育に活用する野外教育をテーマに研究されているそう。野外教育で得られる成果と、それが今の時代どのように有効なのかを探るのがこの講演の主な内容です。

 

そもそもAIとは?

AI(Artificial Intelligence:人工知能)、よく聞く単語ですが、実は専門家のなかでも統一した定義はなく、「人工的に作られた、知能を持つ実体(中島 秀之氏 人工知能学会フェロー)」「人間と区別がつかない人工的な知能(松原 仁氏 公立はこだて未来大学教授)」など、その定義は人によって様々だそうです。
またAIにも、単純な作業を行う「弱いAI」、より人に近い「強いAI」があり、とくに後者は日々進歩し、更新され続けています。IBMのワトソンやGoogleのAlphaGOは後者に当たります。

 

AIの研究が始まったのは1960年代。第1次ブーム、第2次ブームを経て、現在は第3次ブームを迎えています。現在、機械の発達と計算速度の向上の影響もあり、AIはめざましく進歩していると甲斐教授。

 

テクノロジーの進歩は指数関数的※1に進んでいるそうで、現在はちょうどその加速度的進化のまっただ中にあるようです。「『シンギュラリティ(Singularity:技術的特異点)※2』の訪れがより現実のものとなってきているのでは」と甲斐教授は言います。

 

※1 指数関数的
関数の一種で、ある量の変化率がその量の現在値に比例する状況で生じるもの。あるものが指数関数的増加する場合、ある地点から急激に増加することがある。

※2 シンギュラリティ(Singularity:技術的特異点)
アメリカ合衆国の発明家レイ・カーツワイルが提唱したもの。同氏によるとテクノロジーが急速に変化し、それにより甚大な影響がもたらされ、人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまうような来るべき未来のこと。現在は2045年頃にシンギュラリティを迎えると言われている。

 

AIが発達すると人の仕事はなくなるのか?

では、冒頭で紹介した野村総合研究所の発表のように、進化したAIは私たちの仕事を奪っていくのでしょうか。
これについて、甲斐教授は「少なくとも、確実にタスクを奪う。」と言います。

 

日本ではあまり実感がありませんが、アメリカではすでにAIによる労働人口の減少が起こっているそうです。
とくに顕著なのは会計など、AIが得意な数字を扱う仕事。逆に代替可能性が低いのは抽象的な概念を理解し、協調や説得が必要な仕事です。

 

AIに代替可能な職業についてのスライド

AIに代替可能な職業について。銀行窓口係、レジ係、弁理士、司法書士などが代替可能とされる一方、教員、医師、デザイナーなどは可能性が低い

 

日本でも近年セルフレジが普及しつつありますが、近い将来、レジはすべてセルフレジ、どころかレジがなくなるかもしれないそうです。それに近いことはすでに実験段階に入っています。
ネット通販最大手のAmazonが展開する「AmazonGO」がそれです。

 

 

レジがなく、商品を持ってゲートをくぐるだけで買い物が終了するという店舗です。既にアメリカの一部で実証実験が始まっています。

 

しかしAIの進化が障がいをもつ人の障壁をなくすこともあります。こちらはマイクロソフトのあるエンジニアの動画。目が見えないというハンデをAIの力で変化させたインタビューです。

 

 

 

この方はマイクロソフトの中でエンジニアとして活躍しているそうです。

 

また忙しく論文を読む時間がとれない医師に変わってAIに論文を読ませ、分析させることで、医師に助言するなど、AIを上手く活用する例も出てきています。

 

このように、AIは確かに便利ですが、今人が行っている仕事がAIで効率化され、労働人口が減っているのも事実です。

 

やっぱりAIはいつか人間を超えて、失業者があふれる、なんてことも現実に起こりうるのではと思わざるを得ません。

 

AI時代に活きる“野外教育”

ところが、万能に見えるAIにも苦手なことがあり、現在人間のほうが優れている部分ももちろんあります。それが「少ない経験をもとに洞察を働かせ、原理を推測することで新しい知識を学習する力」なのだそうです。

 

「この力を伸ばすのに、野外教育の学びが生きてくる」と甲斐教授。

 

野外教育とは野外活動を学習に結びつけたもので、経験学習サイクルで学びを深める試みです。
体験(野外活動)での振り返りを通して気付きを得て学び、それを一般化。さらにそれを次の体験に応用することで学びを深めていく学習方法のひとつです。重要なのは成功体験はもちろんですが、非日常的な場面で行われる野外教育では失敗体験も思い切ってできるということ。

 

野外教育の体験を単なる「体験」に終わらせず、体験のなかで起きた成功や失敗を振り返り、そこから学び(原理)を得て成功モデル(新しい知識)を構築することが重要なのだといいます。
このような野外教育で得られる学びの積み重ねで、AIが苦手とする分野に強い人材育成が可能になるのでは、とのこと。

 

甲斐教授は「AIの進歩がめざましい今だからこそ、体験を通して学びが生まれる野外教育をオススメしたい」と言います。

 

当日行われた体験コーナー。二人で割り箸を落とさないようにしながら1回転するというアクティビティ

当日行われた体験コーナー。二人で割り箸を落とさないようにしながら1回転するというアクティビティ

 

体験のあと、野外活動を教育に活かすとはどういうことかの説明も

体験のあと、野外活動を教育に活かすとはどういうことかの説明も

 

あまり聞き慣れない野外教育という言葉でしたが、講演中に参加者が実際に体験できるワークショップもあり、野外教育の有用性を肌で感じることができました。また、AIに関するニュースをほぼ毎日目にするようになってきた今こそ、改めて学び方を考え直す時期なのかもしれないなと感じました。

関西学院大学梅田講演会はおおよそ1ヵ月に一度、大阪梅田キャンパス(K.G.ハブスクエア大阪)で開催されています。最先端の研究をわかりやすく学ぶことができるチャンス!
興味のある方は一度関西学院大学大阪梅田キャンパスに足を運んでみてはいかがでしょうか。

(注1)
野村総合研究所ニュースリリース「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に~601種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算~」
2015年12月02日 株式会社野村総合研究所
https://www.nri.com/jp/news/2015/151202_1.aspx
2017年2月22日検索


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