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  • date:2019.11.22
  • author:椎木伶奈

デザインの今、未来とは? 大阪芸術大学「わたしぼくデザイン」の熱いクロストーク!

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2019年11月12日(火)~12月1日(日)の間、あべのハルカス24階の大阪芸術大学スカイキャンパスにて開催中のイベント「わたしぼくデザイン」。初日となる11月12日(火)にはオープニングトークイベントが実施され、「拡張するデザイン」をテーマにしたディスカッションが展開された。

体験型デザインエンターテインメント「わたしぼくデザイン」

大阪芸術大学が主催、同大学デザイン学科約50名の学生が制作・運営を行う「わたしぼくデザイン」。本イベントは、「わたしの中に眠る想像性に出会い、ぼく自身を超えていく。想像力をデザインする、体験型デザインエンターテインメント」と定義されており、一般的な展示イベントとは一線を画す。

会場では体験を楽しむためのガイドブックも配布

会場では体験を楽しむためのガイドブックも配布

 

会場に用意されているのは、想像力をオンにするというさまざまな「きっかけ」だ。普段の感覚を揺さぶられる「違和感スイッチ」、自分の過去に戻る体験「赤ちゃんゲート」「からだの記憶」、自分の感覚を知る「音のヘヤ」「本のヘヤ」、自分をほめられる体験「ちやほや廊下」、そして最後に、自分の変化に出会う「わたしぼく写真」と、ユニークなコンテンツを順番に体験することができる。

 

まず現れるのは、見た目は玄関チャイムや自転車のベルなのに、押すと「ピンポーン」や「チリンチリン」とは全く異なる音が鳴る「違和感スイッチ」。この音が鳴る、ということすら考えず使っている日常のものだからこそ、しっくりこない感じがすごい。掃除機なのにこの音?なら使い方が違うかも、など違和感を超えて自分で使い方を想像してみるのもおもしろい。

 

「からだの記憶」ゾーンに用意された、狭いすき間に入ってみると、公園で友だちとかくれんぼをした記憶が頭をかすめた。見つからないようにとハラハラしたあの瞬間。大人になってちらりとも思い出さなかったことが、仕掛けによって呼び起こされる不思議な体験だった。

「からだの記憶」ゾーン。匂いのするシェード、抱っこ柱などさまざまな展示物を体験することで、頭より先にからだが憶えていることを刺激する

「からだの記憶」ゾーン。匂いのするシェード、抱っこ柱などさまざまな展示物を体験することで、頭より先にからだが憶えていることを刺激する

 

こうして、誰もが大人になるにつれ多かれ少なかれ失っていっただろう想像する力を今一度意識し、自らの手で取り戻すことに。思わぬきっかけから、新たな自分が目を覚ます!? かもしれない。

「本のヘヤ」では本の山の中から直感で見つけたページを切り取り、コラージュする体験ができる。コラージュに見るのは自分自身かもしれない

「本のヘヤ」では本の山の中から直感で見つけたページを切り取り、コラージュする体験ができる。コラージュに見るのは自分自身かもしれない

うねり、広がる、デザインの未来を読み解く

イベント期間中には、さまざまなゲストを迎えてのトークショウやディスカッション、ワークショップ、プレゼンテーションも実施。初日である11月12日(火)には「拡張するデザイン」をテーマに、変化し続けるデザインの世界において、これからのクリエイティブの可能性について語り合うトークセッションが繰り広げられた。

 

メンバーは、
矢島 進二氏
 公益財団法人日本デザイン振興会 理事 事業部長
高橋 喜丸氏
 大阪芸術大学デザイン学科教授 学科長
 NPO法人日本タイポグラフィ協会理事長
辻 邦浩氏
 国立民族学博物館 特別客員教授
 東京大学 空間情報科学研究センター 協力研究員
 未来社会をデザインする会(2025年万国博を考える会)代表
清水 柾行氏
 「わたしぼくデザイン」総合ディレクター
  大阪芸術大学デザイン学科教授
  公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会運営委員
  大阪市特別参与
の4名。

左から清水教授、矢島氏、辻氏、高橋教授

左から清水教授、矢島氏、辻氏、高橋教授

 

始まりは、矢島氏が所属する公益財団法人日本デザイン振興会がグッドデザイン賞を主催していることから、矢島氏による「最新のグッドデザイン賞から読み解くデザインの未来」と題したキーノートスピーチから。

2019年のグッドデザイン賞のテーマは「デザインの持つ美しさ、そして共振する力」。受賞対象全1,420件の中で大賞候補となったファイナリスト5件を具体的に紹介しながら、その傾向について語った。

グッドデザイン賞の一覧をみながら話を聞く参加者

グッドデザイン賞の一覧をみながら話を聞く参加者

これからのデザインとデザイナーの役割とは?

続いて、メンバー4名によるクロストークへ。近年、デザインというものがどのように変化しており、今後どのようになっていくのか? それぞれの考えを語った。

矢島氏が「最近は、あらゆるジャンルで社会性や公益性というものが問われています。その中で、デザインの担い手というのはどんどん変化し、広がっています」と話せば、「これからは、デザイナーは制作者側ではなく、社会も含めたユーザー側に視点を移さなければならないということでしょう」と高橋氏。

自身の作品を背景に話す高橋教授

自身の作品を背景に話す高橋教授

 

辻氏は「生活者自体もどんどん成長していますし、もはやすべての生活者がデザイナーであると言えるのではないでしょうか。だから、今回の『わたしぼくデザイン』で、全ての人にある想像性のスイッチを、ぜひオンにしてほしいですね。想像性というのは大体5歳ぐらいで基本的な枠組みが完成するのですが、その後、環境などの因子で硬直化が始まると言われています。しかし、それをもう一度柔らかくして、復活させてほしいと思います」と、今回のイベントの意義を改めて提示した。

 

最後に高橋氏は、「デザイナーには、ものづくりが好きだから(デザイナーになった)という人が多いと思います。でも、今はすでに“つくる”対象が“もの”ではなく、全体的なシステムであるとか、目に見えないものも含め全てが、ものづくりの“もの”に置き換わってきています。ユーザーは、単に“もの”を買うのではなく、“もの”によってもたらされる“体験”を買っているんです。そういうことをしっかりと考えた制作を行っていかないと、これからのデザインは成り立たないのではないでしょうか」と問題提起。

 

そして、「これはデザインというものが変わったということではなく、デザインが関わる領域が広がったということ。すなわち、デザインが拡張していっているということになるのです」と締めくくった。

 

極端に言えば、今や誰もがデザイナーであり、想像力を駆使してさまざまな未来を描ける時代。だからこそ、今一度自分の中に眠る無限の可能性を呼び起こすべく、「わたしぼくデザイン」に足を運んでみてはいかがだろうか。


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