CHANEL×京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab!若い感性が表現したブランドとの“出会い”。
工科系単科大学の伝統校である国立・京都工芸繊維大学が、あの世界的なラグジュアリーブランドCHANELとタッグを組んだ!いったい、どんな化学反応を起こすのか?そのヒミツ、CHANEL NEXUS HALLで2019年6月22日(土)~7月4日(木)に開催された展覧会「STEP IN CHANEL——わたしがシャネルと出会ったら、」で探ってきました。
蓄積された知識とパッションを!シャネル、若者たちに門戸を開く。
会場となったCHANEL NEXUS HALLは、シャネルが日本初の路面店をオープンしたシャネル銀座ビルディングの4階です。ここは創始者のガブリエル シャネル(愛称:ココ)の“ピグマリオン精神”(才能を信じ、支援して、開花させる)を受け継いで若手芸術家・音楽家が展覧会やコンサート、エキシビションなどを開催するために作られたスペース。古い価値観にとらわれない、自由で斬新な発想のシャネルらしい企画が行われています。
シャネルの“ピグマリオン精神”のプロジェクトとして開催されたのが「STEP IN CHANEL——わたしがシャネルと出会ったら、」です。きっかけはシャネル会長のリシャール・コラス氏が京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab※を知り、おもしろそうな研究機関だと興味を持ったこと!というから驚きです。
※京都工芸繊維大学がデザインと建築を柱とする領域横断型の教育研究拠点として設立した、コラボレーションのためのプラットフォーム。国内外の研究者や企業などとともに、イノベーションの社会実装に取り組む。WEBサイト
今回展覧会を開くにあたり、デザインを学ぶ学生たちはブティックを訪れ、製品にふれ、アーカイブ資料をひも解き…1年程度の時間をかけ、シャネルの哲学と真髄に迫りました。そこで彼らは、シャネルが創造しているのは単なる美しい服飾や宝飾ではなく、すばらしい体験なのだと知ったといいます。
打ち立てたキーワードは「出会い」。キーワードを軸に、若い感性を通し、視覚的印象やイメージを用いてシャネルを自分たちなりに表現しました。
会場は、シャネルの本質を体験する(CHANEL Spaces of Transformation)、本質がプロダクトとなった世界をフィジカルとデジタルの融合によって表現する(SHADOW CHANEL)の2つの展示で構成。学生がシャネルと出会った時の等身大の気持ちが込められているそうです。
京都工芸繊維大学KYOTO Design Labラボラトリー長である岡田栄造教授は、「当初、学生たちにとってシャネルは遠い存在。それがシンプルなテーマが助けになって、学生たちの等身大の感覚とシャネルの哲学が徐々に一体化していった」(パンフレットより抜粋)と記しています。
シャネルの本質を体験するCHANEL SPACES OF TRANSFORMATION
会場に足を踏み入れた瞬間、白く輝くシャネルのロゴをモチーフにした幻想的な空間が目に飛び込んできました。その中にはブランドを象徴するツイードのジャケットが!
ここではシャネルの世界の中でブランドの本質を体験することができるといいます。フィッティング・ルームから着想を得て、自分がシャネルを着るまでに起こりえる変化を長い通路で表現したそう。
フィジカルとデジタルの融合SHADOW CHANEL
次の展示室は広がる陰影の世界———何があるのだろう?室内をよく見てみると、シャネルのアイテムが整然とディスプレイされていました。
Little Black Dressは足首が露出する短い丈、コルセットを取り除いたウエスト、紳士用に用いられたジャージー素材を使ったドレス。1920年代に発表され、黒い服=喪服という時代に、ココ・シャネルが新定番を生み出したシンボリックな作品です。
作品の足元には「Little Black Dress」などのタイトルが照明で照らされており、のぞき込むと映像が始まるギミックが隠されていました。
素材や色、形といった表面的な装いの裏側にあるココ・シャネルの思想やスタイル、そして企画から手工業まで携わるスタッフについてなど、知られざるシャネルの物語が足元に映し出されていきました。すてきな演出です!
次に現れたのは、黒板を彷彿させるボード。写真やメッセージ、ツイードの端切れがコラージュされています。
環境に配慮し、ブティックの椅子やソファなどの製作の際の余り布であるツイードの端切れを利用したそうです。 来場者は気に入った一枚を剥がした後に、思い思いのメッセージを書き込むことができました。
剥がした端切れは来場記念のお土産に♪パンフレットの表紙がポケットになっていたので、持ち帰ることができました。
ハイブランドが生み出した新しい出会いのカタチ。
「ブランドの名前はもちろん知っていたけど、高いだけでしょ、みたいな。煌びやかなイメージだったけど、シンプルというか、ミニマムなイメージをもちました」。今回のプロジェクトに携わった京都工芸繊維大学の学生は、こう答えてくれました。
展覧会では、シャネルをコスメで体験してもらうメイクルームを併設。有名な香水をはじめ、独特な色彩を放つメイクアップ・アイテムや、メンズ・コスメもラインナップされていました。アーティストがメイクアップをしてくれるという土日限定のイベントは老若男女に大盛況!今回を機にシャネルとの新たな出会いを経験した男性も多かったようです。
ココ・シャネルが無名時代から支援してきたパブロ・ピカソやルキノ・ヴィスコンティ、ジャン・コクトーに続く芸術家が「STEP IN CHANEL——わたしがシャネルと出会ったら、」から旅立ってくれることを願います。