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遊びながらマーケティングの基礎が身につくってホント?! 武庫川女子大学生が商品開発したカードゲームで遊んでみた。

2023年10月17日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

アイドルのマネージャーになってさまざまなグッズを売り出し、国民的アイドルへ——武庫川女子大学の学生らが開発したカードゲームが今どきで面白いと耳にして早速、購入してみました。その名も「推しが尊すぎるので商品開発してみた!」。お気に入りのアイドルを応援する“推し活”を題材に、遊びながらマーケティングの基礎が身につくのだそう。本当に身につくの?!と半信半疑なホトゼロの編集スタッフが実際に遊んでみました!

 

まずはゲーム概要を知ろう

オリジナルのアニメキャラクターが描かれた箱を開けると、男女6人ずつのアイドルカードに、ターゲットの条件が書かれたカード、グッズカード、得点カードが入っています。説明書を読むと、プレーヤーが推したアイドルを売り出すために、そのアイドルのグッズをどういったターゲットに対して、どのように売るかの戦略を考えます。そして、それをプレゼンテーション発表し、参加者同士で評価し、得点を競うゲームとのこと。

 

★「推しが尊すぎるので商品開発してみた!」のルールがわかりやすく解説されている動画はコチラ

 

動画によると、マーケティングの基本である4P「商品戦略(product)」「価格戦略(price)」「流通戦略(place)」「販促戦略(promotion)」に当てはめながらプレゼンを行うのがおすすめだそう。

12人のアイドルから、プロデュースしたいアイドル1人を指差しで決定!

12人のアイドルから、プロデュースしたいアイドル1人を指差しで決定!

 

実際に遊んでみよう!

ゲーム概要がわかったところで、編集スタッフ4人でゲームに挑戦してみました。

推しのアイドルを決めて、ターゲットとグッズを選んで、いわゆる“4つのP”を意識しながらプレゼンテーションをする…と一言でいうには簡単ですが、なかなか難しいところです。というのも、“推し”のアイドルは、自ら選べるものの、ターゲットについてはシャッフルされた山札の中から選びます。イメージしやすいターゲットではなく、「20代男性大学生×ヲタバレしたくない」「10代女性専門学校生×まだ誰も推したことがない」といったクセのある、どちらかというと頭を悩まされるターゲットだからです。

 

また、何を売り出すかが書かれたグッズカードには、「カレンダー」「クリアファイル」といったアイドルグッズとしては王道なものがあるかと思えば、「ちくわ」「おたま」「ウィッグ」といった一見どうやって売り出したらいいのか、すぐには答えが出ないものが多く、考えれば考えるほど、思考停止してしまいそうな編集スタッフでした。

アイドルに対するターゲットの設定が決定。考えれば考えるほど…難しい!!

アイドルに対するターゲットの設定が決定。考えれば考えるほど…難しい!!

推しのアイドルとターゲットをイメージしながらグッズ選び

推しのアイドルとターゲットをイメージしながらグッズ選び

 

ターゲットがどういう生活をしているのかをイメージしながら、いかにアイドルグッズに興味を持ってもらえるのかをそれぞれが考えました。少し緊張しながらもプレゼンタイム。結局、面白いストーリーを考えた編集スタッフに軍配が上がりました。女性アイドルを売り出すグッズを「お米」という一風変わったグッズにしたのが決め手のようでした。

カードの組み合わせ次第で、ゲームに幅が出るので何度でも楽しめるというのも魅力。ただの商品開発というのではなく、推しを絡めることが今どきな視点がとても新鮮でした。

プレゼンでは、仕事仲間とは言え、こんな人だったのかぁと密かな発見があったりと、いろんな楽しみ方がありました

プレゼンでは、仕事仲間とは言え、こんな人だったのかぁと密かな発見があったりと、いろんな楽しみ方がありました

 

マーケティングの奥深さを感じつつ、ひと通りゲームを楽しんだら、このゲームがどんな学生さんが作ったのか気になってきました。しかも、クラウドファンディング(以下、クラファン)で出資金を募って販売したそうで、さらに興味が湧いてきました。

 

開発者に聞いたゲームの魅力とは?

プロジェクトメンバーのみなさん。経営学科の高橋千枝子ゼミ生7名がマーケティングを担当し、社会情報学科の肥後有紀子ゼミ生2名がイラストの制作を担当したそう

プロジェクトメンバーのみなさん。経営学科の高橋千枝子ゼミ生7名がマーケティングを担当し、社会情報学科の肥後有紀子ゼミ生2名がイラストの制作を担当したそう

 

——「推しが尊すぎるので商品開発してみた!」を開発された経緯を教えてください。

「『マーケティングを学べるゲームを作ってみたい!』という思いから始まったプロジェクトです。マーケティングを学ぶ身として、まず誰にカードゲームを届けたいのかを考えたうえで、次にカードゲームのテーマを決め、イラストの発案からゲームのルールまですべて学生が自主的に商品開発に携わりました。

今年のオープンキャンパスでは、来てもらった高校生にプレイしてもらって、マーケティングの楽しさを伝えることができました。高校生やマーケティングを知らない方にもっともっと遊んでいただきたいです」

 

——他のカードゲームとは異なる特長や魅力は何だと思われますか?

「他のゲームとは違って学びがあるのが一番の特長です。今、若者に人気の推し活に注目して、推し活を楽しみながら、気づいたらマーケティングが学べているというゲームを意識して作りました。『マーケティングってすごい!』『マーケティングって楽しい!』を詰め込んだカードゲームを作れたと自負しています」

 

——みなさんにとってマーケティングの楽しさはズバリ何だと思われますか。

「授業ではマーケティングは、消費者に渡るまでの必然を作るものだと習いました。自分が考えたプロセスや仕組みで、製品が消費者に届くと考えると、すごく面白いと思います」

 

——今回、クラファンで出資金を募ったそうですが、経験してみていかがでしたか?

「出資金を募りましたが、ターゲットが高校生だっただけに、クラファンのサイトでは高校生の目に触れないため、なかなか広まらなくて苦戦しました。また、ターゲットの高校生には3,000円のゲームを気軽に買ってもらうにはハードルが高いことがわかり、アプローチの仕方を軌道修正しました。

一方で、ゼミの高橋先生にもお力添えいただき、新聞やテレビに出たり、TwitterやInstagramなども使って発信続け、クラファンの期限ギリギリに目標金額の30万円に到達することができました」

 

——「推しが尊すぎるので商品開発してみた!」で勝つための秘策や、おすすめの楽しみ方について教えてください。

「実際に自分が推し活している気持ちで、アイドルに寄り添ってもらえたら、自ずとアプローチの方法が見えてくるかもしれません! 身についたマーケティングの手法はあらゆる生活において役立つはずです。就活でも自分を企業に売るマーケティングの手法が役立ちました。みなさんにもマーケティングを生活に取り入れてもらったら、人生をさらに豊かにできると思います!」

たくさんの方々の協力を得て、テストプレイを何度も実施。膨大な時間を費やし、やっとの思いで完成!

テストプレイを何度も実施しては改良を重ねたそう。プロジェクト開始から4カ月を費やし、やっとの思いで完成!

クラファンの返礼品は金額に応じて「キラキラのアイドルカード」「社員証」など、返礼品でしか手に入らない限定品ばかり

クラファンの返礼品は金額に応じて「キラキラのアイドルカード」「社員証」など、返礼品でしか手に入らない限定品ばかり

遊びながら株式投資が学べる優れもの! 現役京大院生が開発したボードゲーム「株トレ」で遊んでみた。

2023年8月8日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

大人から子どもまで誰もが楽しめるアナログゲーム。定番のトランプやUNOはもちろん、近年では、デッキを作ってバトルするトレーディングカードゲームも根強い人気です。

日ごろ、大学や研究者に取材させてもらっているホトゼロとしては、「へぇ~!」と唸るゲームで遊んでみたい!

 

ということで、今回ご紹介するのは「株トレ」。“遊びながら知る、楽しく学ぶ”をコンセプトに、京都大学の現役大学院生たちが立ち上げた「京大ボドゲ製作所」が企画開発したゲームなんだとか。

株に興味はあるけれど、実際になかなか手が出せないホトゼロの編集スタッフが、実際に遊んでみました! さらに、企画開発者にも、ゲームに勝つコツをうかがいました。

 

安く買って高く売るために、ゲーム概要を知ろう!

まずは、ゲームのルール概要を説明します。

スタート時の所持金は1,000万円。ライバルとなる他の参加者たちと競い合いながら、企業5社の株を売買していきます。1ターンに売買ができるのは5回までで、買いが集まるとその企業の株価が上がり、売りが集まると株価は下がっていきます。そのため、買いが集まる前に上がりそうな株を買っておき、株価が上がった段階でうまく売り抜ければ、所持金が増やすことができるわけです。

 

ただ、そうはいっても単純にいかないのが、このゲームの面白いところ。ターンごとにイベントカードを引いて、そこに書かれている内容によって株価が上下したり、株を持っていれば一周するたびに配当金がもらえたりと、いろいろと考慮に入れておく要素があります。そして、これらいろんなことを加味しながら、最終的に手もとの所持金が最も多い人が、このゲームの勝者となります。

 

さらに詳しいゲームの説明については、YouTubeで配信されているので、ぜひこちらをご覧ください。ホトゼロ編集部は、この動画を見ずにはじめたので、随分ワタワタしました…。

 

★「株トレ」のルールがわかりやすく解説されている動画はコチラ

説明書を片手に、じゃんけん! 親と呼ばれるディーラーを決めます。右上から時計回りに、編集長H、スタッフK、スタッフT、スタッフYが参加

説明書を片手に、じゃんけん! 親と呼ばれるディーラーを決めます。右上から時計回りに、編集長H、スタッフK、スタッフT、スタッフYが参加

 

ゲームを引き立てるイベントカード

このゲームを興味深いものにさせているのは、なんといってもイベントカードの存在です。さまざまなイベントの発生により、スタート時は横一直線だった企業5社が株価を上下し、ゲームが盛り上がります。「原油安によって、日隈貿易の株価+1、GORDONの株価-1」「総理大臣の辞任によって、すべての会社の株価+1、Sky Unionのみ株価+2」といった社会情勢の変化によって、株価が上下していくのです。

※日隈貿易、GORDON、Sky Unionは本ゲームに出てくる企業名

 

イベントカードは引いた直後に、カードに書かれていることが実行されるのではなく、プレイヤーたちに内容が周知され、全プレイヤーが売買した後に実行されます。なので、イベントカードにこう書かれているから、きっと他プレイヤーはこういう動きをするに違いない…なんてことを予測しながら株券を売買していくわけです。

予測が当たって儲かったり、一方で予測が外れて大損したり…。まさに実際の株式市場に通じるものがあり、“遊びながら知る、楽しく学ぶ”を実感することができました。

リアルな社会現象が書かれたイベントカード

リアルな社会現象が書かれたイベントカード

手札をオープン! スタッフTが謎の妄想フェイントをかけて心理戦に持ち込む場面も

手札をオープン! スタッフTが謎の妄想フェイントをかけて心理戦に持ち込む場面も

 

株券を売買する5つの企業には、それぞれ異なる特長があり、これもゲームに奥行きを与えています。

例えば、貿易会社の日隈貿易は、株価が下がりにくく安定しやすいのが特長。確実に儲けたい場面では、安定の株券を買うのがおすすめです。また、金融系のMFGは景気に敏感で株価が変化しやすい、メーカーのP&Gはバランスが◎、IT企業のSky Unionは成長が著しく高配当な反面リスクが高い…。

それぞれの特長を把握して売買すれば、勝利に近づくことができます。

 

ホトゼロ編集部でゲームを進めていくと、イベントカード「MFGがシステムトラブルによって、株価-3」によって、価格変動や場の流れが急変する事態に。そんな中でも、参加者の言動に左右されずに淡々とマイペースに売買を進めるスタッフY。さらに、配当金狙いで成長企業を一点買いする編集長H。参加者の性格や人間模様がゲームへと影響していくのが垣間見られて、面白いゲーム展開となりました。

 

途中、成長企業GORDONを一点買いしていた編集長Hは所持金がなくなるという事態に。それでも期末には、株券の保有枚数に応じて配当金を受け取ることができ、成長企業の株を集めていた編集長Hは無事に配当金をゲットすることができました。

株券の売買により、その都度、株価が上下します

株券の売買により、その都度、株価が上下します

 

ゲームの結果は、手堅く売買したスタッフYの勝利! 一方、一点買いで一獲千金を狙った編集長Hが最下位という結果に。ゲームを重ねれば、株について詳しくなれるかも?! と期待してしまい、もっと儲けたい! と誰もがハマっていく様子がわかりました。

 

開発者に聞いた、ゲームに勝つコツは?

今回のゲームでは、安定志向のスタッフYが勝ちましたが、勝つコツを知って、ゲームを攻略できたら…。

ということで、お話をうかがったのは、ゲームを企画開発された京大ボドゲ製作所のみなさん。株トレ開発の経緯やさらなる楽しみ方を教えていただきました。

ゲームの面白さと学びの深さに着目してほしいと、イベントの企画も行う。写真は開発時のひとコマ

ゲームの面白さと学びの深さに着目してほしいと、イベントの企画も行う。写真は開発時のひとコマ

 

―――『株トレ』を開発された経緯をお聞かせください。なぜ“株”に焦点を当てられたのでしょうか?

 

株トレのアイデアを考えた当時、金融教育の重要性が提唱されはじめ、世間でも注目が集まりはじめた時期でした。私たちメンバーにも、お金の扱い方や考え方を学ぶ機会をつくりたいという思いのあるメンバーが多かったため、ゲームを通してそれを叶えたいと思ったのがきっかけです。

株は、他の専門用語や概念に比べて、比較的一般的に誰もが耳にしたことがあるテーマで、お金や経済をみんなが考えるきっかけによいということから焦点があたりました。

 

―――他のカードゲームとは異なる「株トレ」の特長や魅力は何だと思われますか?

 

ゲームのルールの中に株式取引の仕組みを再現したところだと思います。制作メンバーは全員が、過去に株式投資を経験していたので、かなり難しい試みになることはわかっていました。それでも、議論を重ね、ゲームとしての楽しさと株式市場の再現性を両立させています。

 

―――京大ボドゲ製作所の最初の作品だとうかがいました。開発にあたってのこだわりはありますか?反対に、ご苦労はどんな点でしょうか?

 

こだわりは、ゲームとしての楽しさです。メンバー全員がボードゲーム好きで、ゲーム性への評価は私たち自身かなり厳しいところがあり、そんな私たちでも楽しめるゲームとなっています。

苦労した点は、コスト面です。はじめての制作だったため、制作費がどれぐらいかかるのか分からず、ゲームのコンポーネント(コマや板などのパーツ)や生産数の調整に苦労しました。

 

―――ズバリ、勝つための秘策は何でしょうか?

 

必ず勝つ秘策はないのですが(笑)、幅広い種類の株をたくさんバランスよく買うと良いかもしれません! 成績が安定しますね。一方で、さまざまな戦略で勝つチャンスがあるように設計していますので、選ぶ企業や売り買いの量など変えてみて、いろいろな戦術を試してみてください!

 

―――今後の展望を教えてください。

 

京大をきっかけに集まった“学ぶこと”が好きなメンバーたちが知恵を振り絞って考えています。今後も子どもから大人まで、世代を問わず一緒に楽しめるカードゲームを制作していきたいです。もちろん、学びを楽しくするというコンセプトは変わりません!

大人数で遊ぶと、より複雑な心理戦になり、戦略の幅も広がって、さらに楽しめますよ。

 

―――ありがとうございました!

 

遊びながら株式投資を学べて、お金や経済を身近に感じることができたボードゲーム「株トレ」。ご家庭でチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

「自分も使ってみたい」がキーワード。神戸松蔭女子学院大学の “神戸松蔭タータン”プロデュースの現場を潜入レポート!

2023年1月19日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

神戸の街に訪れると、街の雰囲気や道行く人がとにかくオシャレで歩いているだけで心ときめきます。オシャレさんを観察していると、タータン・チェックを身にまとっている人の割合が気のせいか高い印象です。

 

そんな神戸っ子も愛用している多色の糸で綾織りにした格子柄の織物・タータンを、神戸松蔭女子学院大学の学生たちが「神戸松蔭タータン」というブランド名で新たに開発したと聞きました。しかもこの「神戸松蔭タータン」は、バーバリー、伊勢丹、神戸タータン等に継ぐ、日本で5番目の法人に対して商標登録された由緒正しいタータンと言われているそうです。このタータンがどのようにして生まれたのか、開発現場となったファッション・ハウジングデザイン学科の授業をのぞいてきました。

 

「神戸松蔭タータン」の誕生

「商品のイイねがまた増えてる!」「式典でハンカチを大量に購入してもらった!」「ボールペンが売れたので梱包お願いね」——このやり取りは、神戸松蔭女子学院大学ファッション・ハウジングデザイン学科「地域プロデュース演習」の授業の様子です。この授業は、神戸という地域を題材に、ファッションやデザインの観点から地域社会の問題に対する視点を養うことをめざしています。

 

「神戸松蔭タータン」プロジェクトは、学院創立130周年を記念する事業の一環として2019年に始動しました。まずは大学をイメージする色を選考するために、松蔭女子学院の歴史、伝統などの調査からスタート。翌2020年度の授業では、さらに調査を進め、最終的に神戸松蔭タータンを構成する5色を決定しました。

 

この5色は、100年近く親しまれている松蔭中学・高校の制服に使われている紺と白、その胸に刺しゅうされた「Shoin Mission School」の文字色に使われた赤、大学のキャンパス内に六甲山を背にして建つレンガ色の校舎のイメージであるサーモンピンク、そして緑によって構成されています。全体のアクセントになっている緑は、「松蔭」の由来にもなった松蔭女学校設立当時の校地そばにあった3本の大松の象徴だそうです。

学位創立130周年を記念する事業の一環として制作された「神戸松蔭タータン」

学位創立130周年を記念する事業の一環として制作された「神戸松蔭タータン」

 

タータンのデザインについては、5色をもとに学生がシミュレーションソフトを駆使して、さまざまな組み合わせを検討しました。最終的に学生投票により、現在のデザインの素案を決定。ラインの太さに若干の変更を加えて、3年がかりで神戸松蔭タータンが出来上がりました。

 

「地域プロデュース演習」を教える石田原弘先生(人間科学部ファッション・ハウジングデザイン学科 専任講師)は「生地を開発するにあたり、神戸松蔭タータンはそれぞれの素材の有名どころの産地にお願いしています。ウールは尾州一宮産、コットンは神戸の北に位置する多可町産の播州織、さらにスコットランド産のハリスツイードを使用しています。昔は赤色が出しにくいためタータンは緑色が多かったのですが、現代の技術だからこそ出せる色味で、とても気に入っています」と力説します。

 

さらに、2021年度の授業ではKobe Shoin Tartanのロゴタイプの開発も行いました。学生から85もの案が提案され、学生投票により最終デザインの素案が決定。グラフィックデザイナーに、ロゴタイプに落とし込んでもらい、運用マニュアルも制作してもらいました。他の大学グッズではあまり見ない、とても手の込んだ商品づくりとなりました。

5色の糸が織り上げた「神戸松蔭タータン」のグッズたち

5色の糸が織り上げた「神戸松蔭タータン」のグッズたち

 

日本で5番目のタータンとして商標登録

そもそもタータンとは、多色の糸で綾織りにした格子柄の織物のことで、スコットランドの伝統文化として保護されています。日本ではタータン・チェックの方が馴染み深いかもしれません。タータンのパターンはスコットランドの政府機関「The Scottish Register of Tartans(スコットランド・タータン登記所)』が管理していて、ここに登録されていないものはタータンを名乗ることができないとも言われています。

 

「神戸松蔭タータン」は2021年3月にスコットランド・タータン登記所における正式なタータンとして登録。登録番号13,101とのことで、スコットランド・タータン登記所のウェブサイトで確認すると、「神戸松蔭タータン」ほか、たくさんのタータン柄が登録されています。

「The Scottish Register of Tartans」公式サイトに掲載された「神戸松蔭タータン」の登録情報

「The Scottish Register of Tartans」公式サイトに掲載された「神戸松蔭タータン」の登録情報

 

さらには2022年にはタータンのデザイン、ロゴタイプとも特許庁における商標登録も完了。晴れて学校法人松蔭女子学院公認のタータンとなりました。通常なら商標登録を取得するのに2、3年かかると言われているそうですが、ブランドロゴデザインの運用マニュアルを作成するなど、実績を積み上げて説明し、出願から1年足らずで取得することができました。

 

自前のセールスプロモーションで取り組む

プロジェクト3年目を迎えた今年は、「神戸松蔭タータン」を使ったグッズの開発と販売に取り組んでいます。業務を担うのは、「地域プロデュース演習」の履修生30名です。学生たちは、「グッズ開発」の5チーム、「ECサイト開発チーム」、「販売促進チーム」の合計7チームにわかれて、それぞれ担当する業務を行います。

 

取材にうかがった日も、オンラインショップでボールペンが売れたことがわかると、伝票を印字し、倉庫から商品を持ってきて梱包する……手慣れた手つきで作業をする学生たちがいました。

 

現在は、大学構内のヤマザキYショップかオンラインショップのみの販売ですが、石田原先生は「神戸の街おこしにつながるよう、学内の販売にとどまらず、街中でも売れる商品にしていきたいです」と意気込みます。

ECサイトで販売されている「神戸松蔭タータン」グッズ

ECサイトで販売されている「神戸松蔭タータン」グッズ

 

販売促進チームに同行させてもらいました。週一回の授業があるたびに、ショップへうかがい、在庫確認をして補充を行います。「ハンカチやクリアファイルなど、さりげなく持てる商品が『かわいい』と評判です」と話す販売促進チーム。売りたい商品を目立つところに置き、下の段でも目が届くようにと商品棚の陳列にも工夫が見られました。

ヤマザキYショップのスタッフの方と在庫確認する販売促進チーム

ヤマザキYショップのスタッフの方と在庫確認する販売促進チーム

手づくりポップで購入をあと押し!

手づくりポップで購入をあと押し!

 

また、販売サイトをゼロから立ち上げたECサイト開発チームの学生に、難しかった点ややりがいについてうかがうと、「オンラインショップだと、何が必要とされているのかが目に見えて面白いです」と話してくれました。

「みんなが買いやすい場になるように、今後も試行錯誤しながら頑張りたいです」と話すECサイト開発チーム

「みんなが買いやすい場になるように、今後も試行錯誤しながら頑張りたいです」と話すECサイト開発チーム

 

履修生の大半を占めるグッズ開発チームでは、さまざまな商品の開発に取り組みます。費用も予算も限られた中で、自分たちが使いやすいかどうか、買いたいかどうかを考えながら取り組んでいるそう。

「ボールペンもハンカチも自分たちが使うことを想像しながら開発するのが楽しいです」「商品開発をリアルに想像できるようになりました」と将来の仕事を見据えていました。

「企画に携われる!」「地域貢献できるのは面白そう」と人気の授業

「企画に携われる!」「地域貢献できるのは面白そう」と人気の授業

一番売れているタオルハンカチ。学生の意見を反映してデザインは2種類

一番売れているタオルハンカチ。学生の意見を反映してデザインは2種類

 

石田原先生は「まだまだ未知数ですが、今期の売れ行きをみながら、商品のバリエーションを増やし、ブランドビジネスとして取り組んでいきたいです」と今後の展望を語ります。

 

「神戸松蔭タータン」を身につけたオシャレな神戸っ子が街であふれる日も、そう遠くはないかもしれません。神戸松蔭タータンのこれからの動向が楽しみです。

プロモーションの一貫として神戸市内で行われた「おひろめマーケット」に参加。衣装の製作やモデルの演出、運営など学生有志によるファッションショーで神戸松蔭タータンをアピール!

プロモーションの一貫として神戸市内で行われた「おひろめマーケット」に参加。衣装の製作やモデルの演出、運営など学生有志によるファッションショーで神戸松蔭タータンをアピール!

遊びながら法学の知識が身につく?! 慶應義塾大学卒業生が開発した『こども六法すごろく』で遊んでみた。

2021年8月31日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

人生ゲームや野球盤など、卓上でボードやコマ、カードなどを使って遊ぶアナログゲームがコロナ禍でのお家時間が増えた今、再注目されているのをご存じですか? スマホやパソコンのゲームとは違い、自然と会話が生まれるため、家族や友人同士のコミュニケーションツールとしてもおすすめです。

せっかくだから学問のエッセンスが詰まったゲームで遊んでみたい! ということで、今回ご紹介するのは、子ども向けに作られた『こども六法すごろく』。子どもたちと実際に遊んでみました。また、教育研究者でありながら、劇団四季のミュージカル俳優や写真家といったマルチな才能をあわせ持つ開発者の山崎聡一郎氏(慶應義塾大学SFC研究所所員)にもお話しを伺いました。

遊ぶ前に、そもそも法律って何?!

遊び始める前に、「そもそも“法律”って何かなぁ?知ってるかなぁ?」と法律について、子どもたちがどの程度知っているのか質問を投げかけてみました。一人がボソッと「ルールになるのかなぁ」。他の一人が「犯罪から守るための決まりごと」と回答。うんうん、法律とは?!だなんて、大人でも難しい題材だよね。

ついでに居合わせた大人は「六法って、何から構成されていたっけ?!」という話になり、「えーっと、民法、司法、立法…。あれっ?!」「それ、三権分立と混ざってる!」と総ツッコミ。

“すごろく”と聞いて、気軽に考えていた参加者だっただけに、なんだか難しいことをやるのかも?!と少し緊張した面持ちでのスタートとなりました。

小学3年生、小学4年生に大人2人で遊ぶことに。

小学3年生、小学4年生に大人2人で遊ぶことに。

 

小学校低学年でも遊べるファーストステップ編

まずは、小学校低学年からでも楽しめるという「ファーストステップ編」で遊んでみました。遊び方はいたってシンプル。サイコロを振って、出た目の数を進み、早くゴールした人が勝ち。一般的なすごろくとは違って、法律を身近に感じられるエピソードがもりだくさんな内容。「家族で入ったレストランにはテーブルコンセントがついていた。ゲーム機を充電したかったので、お店の人にコンセントを使っていいか聞いてみた→1マスすすむ」「直接けがをさせていなくても友だちに石を投げたり水をかけたりして、こわい思いやイヤな思いをさせたら犯罪になるんだ→3マスもどる」といったように、エピソードの良し悪しで、コマを進んだり、戻ったりします。

子どもは早く進みたくて、「1マスすすむ」というところだけを読んで進もうとするので、文面をキチンと“音読する”ことをルールづけさせてみました。そのうち読むのが楽しくなってきて、「他の人のも読みたい!」なんて声も。

 

「お父さんとお母さんが何日もごはんを食べさせてくれなかったので児童相談所に相談してみたら、助けてもらえた→3マスすすむ」にとまった時には、「それいいなぁ」という子どもたち。えっ!? ごはんを食べさせてもらえないのに、それ本当にいいのかなぁ?!といった複雑な内容でも、子ども目線だと「3マス進む」ということだけに対して、ラッキーかどうかを感じてしまうから面白いです。

 

ゲームを進めていくと、人のコマを自分のコマだと間違って動かしてしまった人に対し、「それ、犯罪やで」と一喝。子どもたちの会話が、習いたての法律用語を使い出すから、子どもの吸収力の速さに大人たちは驚くのでした。

『こども六法すごろく』というだけあって、少年法といじめ防止対策推進法の内容も加わっている。カード左上の星印がポイントに。

『こども六法すごろく』というだけあって、少年法といじめ防止対策推進法の内容も加わっている。カード左上の星印がポイントに。

 

本編のセカンドステップへ

ファーストステップの内容を経て、次はセカンドステップで遊びました。ファーストステップ同様に、サイコロをふり、出た目の数だけコマを進みます。ファーストステップと異なるのは、2マスに一度の割合で、出題される法律に関する〇×クイズに答えながらゴールを目指します。さらに10マスごとには、イベントカードと呼ばれる難問クイズにも答えます。ゴールした順番によって得点が与えられ、さらに、ゴールした時点で持っているクイズカードとイベントカードのポイントの合計が多い人の勝ちとなります。必ずしも、早くゴールしたからと言って、勝ちではないのでご注意を。

 

六法は通常、日本国憲法、刑法、民法、商法、刑事訴訟法、民事訴訟法の6つの法律を指しますが、『こども六法すごろく』では、子どもとあまり関係のない商法の代わりに、少年法といじめ防止対策推進法のクイズが用意されています。

ファーストステップ同様に、「友だちから借りたゲームソフトを20年間返さなかったら自分の物になる」「加害者はいじめていると思っていなくても、被害者が『いやだ』と思ったり『つらい』と感じたら、『いじめ』になる」といったように、子どもにもイメージしやすい法律が盛り込まれた正誤問題を出題しています。

一方で、イベントマスには、参加者で議論してポイントを分け合う「富の再配分イベント」や「法改正ディスカッション」など、大人でも考えさせられる少々厄介な内容も用意されています。

 

ゲームを進めていくと、「契約ってどういうこと?」「憲法は法律とどう違うの?」といった具合に、大人は子どもからの質問攻め。「憲法はそもそも…」と一人の大人が説明しだすと、「それ違うんじゃない?!」と、大人の方がヒートアップしてしまう場面も。もちろん、正誤問題だけして、サクサクとゲームを進めるのもヨシ。せっかくの機会なので、子どもたちと一緒に法律についてキチンと話すのもヨシ。結局のところ、傍にいる大人がどの程度の熱量で子どもに接するかで遊び方が変わってくるのだと実感してしまうのでした。

 

子どもたちが興味を持ちながら読んでいたのが印象的!

子どもたちが興味を持ちながら読んでいたのが印象的!

民法6イベント_1

 

開発者に聞いた『こども六法すごろく』への思い

ひと通り遊んでみて、どんな人が作ったのか興味が湧いてきました。開発者の山崎聡一郎さんに、『こども六法すごろく』に託した思いや今後の展開について教えていただきました。

 

---ゲームを作ろうと思われたきっかけは何だったんでしょうか?

「もともと2019年に、いじめに悩む子どもにたくさんのヒントを与える1冊として子ども向け法律書『こども六法』を執筆しました。今回の『こども六法すごろく』は、この本の準拠教材という位置付けで開発したものになります。中学生になると、いじめの件数が急増するので、それよりも前の段階に法教育を伝えたかったので、子どもというよりは小学生に教えることにこだわって作りました」

 

---なるほど。他にも児童書はたくさんありますが、これまでのものと異なる点は何でしょうか?

「これまでもマナー本などは、よく見かけたと思うのですが、法律に限定した児童書というのは画期的だったようです。内容も子どもにしか通用しない子ども騙しのものにはしたくなくて、いじめの問題に悩んでいる子どもが、自分に課せられている状況が普通ではなく、非常事態なんだと大人に認識させて対応してもらうため、法律用語も正しいニュアンスで伝えながら、理解しやすい言葉に直していきました。この作業に一番骨が折れましたね。おかげで、書籍の認知度は広がり、大学の副教材としても使われるようになっています」

 

---たしかに。大人でも難しい法律用語がバンバン載っていて、大人が勉強させられました。では、なぜその書籍をもとに、すごろくを作ろうと思ったのですか?

 

「本に抵抗がある子どもに向けて、親しみやすいアナログゲームにしました。かわいいイラストを用いていますが、中身は本格的です」

 

---本当ですね!すごろくと聞いて油断してしまいましたが、法律を勉強するつもりで挑めば、さらに深く楽しめそうですね。今後の展開はいかがですか?

 

「遊びながら家族や友だちと法律を学べるんだよ、ということを広く知ってほしいですね。そのためにも、法律をただお堅いお勉強としてではなく、気軽に学んでほしくて、アプリなどのゲームにしていきたいです。その方が、勝手に子どもたちが勉強していってくれるんじゃないかと思います」

 

ワクワクするような仕掛けがいっぱいの『こども六法すごろく』。遊びなら法律の知識が身につく素敵なゲームを、ご家庭にいかがでしょうか。

身につけた知識をアウトプットできる日は近いかも?!

身につけた知識をアウトプットできる日は近いかも?!

パッケージ(立ち)

『こども六法すごろく』株式会社幻冬舎 価格 2420円(税込)

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豆?!蜂?! 武庫川女子大×神戸のスイーツ店がコラボしたスイーツ「豆蜂」を食べてみた!

2021年8月24日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

暑さが厳しくなると、つるんと滑らかな口当たりのいいスイーツが食べたくなるもの。何かないかと探していたら、夏にぴったりなスイーツを見つけました。その名も「豆蜂(トーファン)」。豆乳とハチミツでできた新食感なスイーツで、武庫川女子大学 食物栄養科学部 食創造科学科の有井康博教授の研究室と神戸市の食品会社・ハートスフードクリエーツによって開発されたよう。早速このスイーツを食べてみたのでご紹介します!

新技術から考案されたスイーツ

豆乳ににがりを加えると豆腐になることは知られていますが、有井研究室では、にがりの代わりにハチミツで豆乳を固める方法について研究し、その技術を使ってつくられたのが「豆蜂」なのだそうです。

お手製のチラシ。商品への愛情がたっぷり!

お手製のチラシ。商品への愛情がたっぷり!

 

ハチミツが豆乳を固めるのは、グルコン酸という成分によって。有井研究室ではこの成分の含有率が高く味や香りのバランスのいいハチミツを、国内外20種類以上のハチミツの中から探しました。結果、たどり着いたのが、通常の蜂よりも小さな日本蜜蜂がつくる、淡路島産のハチミツなのだそうです。

サイトで日本蜜蜂について調べてみると、整腸効果や抗菌性のあるグルコン酸が他のハチミツよりも豊富に含まれているとのこと。小さな日本蜜蜂が運ぶ“希少”で“栄養価も高い”最高級ハチミツ。別の機会に、ぜひハチミツだけでも試したいなと思いました。

 

また、「豆蜂」のラベルのロゴやデザイン、商品名は学生が考案したようです。流行の台湾スイーツのような商品名は、豆乳とハチミツでできていることが一目でわかるように漢字を組み合わせた造語なのだとか。なるほど、アイキャッチになっているイラストはかわいらしく、ロゴはスタイリッシュ。学生ならではの目線で、商品化に向けて全力で取り組んだ様子がうかがえます。

よくよく見ると、こだわったイラストやロゴが点在!

よくよく見ると、こだわったイラストやロゴが点在!

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パティシエ指導のもと、学生がゼリーやフルーツの飾りつけも提案。断面が美しい!

パティシエ指導のもと、学生がゼリーやフルーツの飾りつけも提案。断面が美しい!

 

甘みがあるのに低カロリー

ではとうとう実食です。種類は、ベースになっている豆蜂部分の上に、抹茶のゼリー、サツマイモ、栗、黒豆、小豆がトッピングされた贅沢な「抹茶」。アールグレーティーのゼリー、ネーブルがトッピングされた爽やかな「紅茶」の2種類。豆蜂部分の材料は豆乳とハチミツのみで食品添加物は一切不使用、体にやさしいのもポイント高し!しかも美味しいだけでなく低カロリー(1個あたり紅茶が51kcal、抹茶が66kcal)なのも◎。

筆者おすすめは抹茶味。口に入れると、豆乳とハチミツの上品な香りが広がり、後からサツマイモや栗のほっこりとした甘味が合わさる。何より抹茶がアクセントになっていて、味を引き締めているように感じました。食感はプリンのように柔らかく、のど越し軽やか。食べ始めると、美味しさのあまり、あっという間に完食してしまいます。

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抹茶(写真上)と紅茶(写真下)。それぞれ480円。

抹茶(写真上)と紅茶(写真下)。それぞれ480円。

 

商品の購入はハートスフードクリエーツが運営するスイーツ店「TOKINONE」(神戸市東灘区)や9月からは武庫川女子大学の学内でも販売される予定。量産できる商品ではないとのことで、購入される際は、事前の予約がベター。この夏の手土産に、自分へのご褒美スイーツとして、一度はお試しあれ!

パイ専門店「TOKINONE」の店内には、甘い香りが漂う。

パイ専門店「TOKINONE」の店内には、甘い香りが漂う。

大阪大学×サラヤが共同研究した「メディカルフィットネスラボ」を体験してみた。

2021年4月20日 / 話題のスポット, 大学を楽しもう

新型コロナウイルスの影響で、外食ができず自炊が増えた。オンラインが普及してカメラ映りが気になる。コロナ太りを解消したい―――。

コロナ禍により、誰しもが大きな変化を受けたのは「健康への意識」ではないでしょうか。健康づくりの基本は、今も昔も変わらず「食事」「運動」「休養」の3つをバランスよく摂ることだと言われています。

そんな健康志向が高まるなか、大阪大学大学院医学系研究科と衛生用品で知られるサラヤ株式会社が共同研究講座を通じて作られた、新しい形のメディカルフィットネスラボ「ビタレーザラボ」が誕生したと聞き、百聞は一見にしかずということで、体験してきました。

最先端の研究や予防医学の考えから生まれたフィットネスラボ

大阪モノレールと阪急千里線が交差する「山田駅」から徒歩3分。大阪大学の国際学生寮や教職員宿舎をはじめ、商業店舗やクリニックからなる複合施設「グローバルビレッジ津雲台」が現れます。その一角に「ビタレーザラボ」が2021年3月にオープンしました。

笑顔が爽やかなスタッフのみなさんがいつでも迎えてくれます。 運動を習慣化する仕組みの研究や、行動変容と言われる人の行動パターンを分析する研究のため、館内では人の動きをAIで感知するカメラが2台設置され、人の密集度を計測しています。

笑顔が爽やかなスタッフのみなさんがいつでも迎えてくれます。
運動を習慣化する仕組みの研究や、行動変容と言われる人の行動パターンを分析する研究のため、館内では人の動きをAIで感知するカメラが2台設置され、人の密集度を計測しています。

 

スポーツウェアに着替えた後は、体験するためのアンケートに答えます。書いた内容をもとに、統括マネージャーの岩田さんにカウンセリングしていただきました。

「姿勢をよくしてスタイルを維持したい」「膝痛が酷くなる前に治しておきたい」など、それぞれの悩みから具体的な目標を設定。プログラムを作成してくれます。

「姿勢をよくしてスタイルを維持したい」「膝痛が酷くなる前に治しておきたい」など、それぞれの悩みから具体的な目標を設定。プログラムを作成してくれます。

 

ビタレーザラボスタッフ岩田さん(略称、岩)「何を一番解決したいですか?」

筆者(略称、筆)「うーん。一番は痩せたいです。適度に運動しているものの、全然痩せないんです。年々、新陳代謝が悪くなる一方で…。」

岩「そうなんですね。具体的に何キロ痩せたいですか?」

筆「3キロぐらい痩せれたら理想的です」

岩「いつまでに痩せたいですか?」

筆「えっ!?いつまで?うーん、3カ月ぐらいが現実的ですかね?!」

トップアスリートやメディカルトレーニングでも起用されているマシンを完備。専門のトレーナーが丁寧にサポートしてくれます。

トップアスリートやメディカルトレーニングでも起用されているマシンを完備。専門のトレーナーが丁寧にサポートしてくれます。

入り口には、消毒と体温チェックを瞬時に済ませられ、コロナ対策はバッチリ。除菌グッズもいたるところに設置されています。

入り口には、消毒と体温チェックを瞬時に済ませられ、コロナ対策はバッチリ。除菌グッズもいたるところに設置されています。

 

なんとなく痩せたいというボヤっとしたものを、“3カ月で3キロ痩せる”という具体的な目標に設定させ、トライアルが始まりました。

岩「1キロは7000kcal消費しないと痩せません。それを30日で割ると、一日あたり約230kcal。230kcalというのは、おにぎり一個分や板チョコ1枚分、もしくは缶ビール1本分に相当します」

筆「なるほど、なるほど~」

岩「230kcalを運動で消費するとなると、ウォーキングだと約60分、ジョギングだと約30分に換算できます。ただ毎日、運動するのは実際のところ難しいので、食事で改善していくしかありません」

料理をしながら、ついチョコレートを間食してしまう筆者ですが、消費エネルギーの具体的な数字を聞いてしまうと、数日間は間食を控えようと決意せざるを得ないのでした。

具体的な目標設定ができたら次はマシンによるボディチェックで、体脂肪をはじめ、筋肉量、基礎代謝量や体水分量などをチェック。プリントアウトしてもらったシートで現実を突きつけられるのでした…。

「“いつまでに、どうありたいか”という目標はとても大切ですよ」と岩田さん。今回、測定したデータや筆者の悩み、ライフスタイルをもとに、目標達成に向けたオリジナルのプログラムを作成してくれました。入会すると、トレーニングのたびに毎回、詳細なデータを取り、蓄積されたデータをもとに専門のトレーナーが定期的にプログラムを調整。アップデートされたプログラムにより、一人ひとりのカラダに最適なトレーニングを実施することができます。

そして何より、巷のスポーツジムとは違う一番の特長は、メディカルフィットネスラボというだけあって、膝や腰の痛みを緩和・改善するエクササイズを大阪大学大学院医学系研究科と共同開発していること。科学的に検証された最新の研究結果をもとにしたフィットネスプログラムを体感することができます。

また、グローバルビレッジ津雲台内にある整形外科との連携もあり、カラダに不安のある方でも安全で効果的に運動に取り組めるよう、運動はもちろん、食事や休養など、多角的なアプローチによって、利用者の健康を全面的にサポートしてくれるそう。さらに月1回、理学療法士の方の相談会も開催していて、運動の指導もしてくれるというから安心ですね。

久しく計測していなかった体重や体脂肪。驚愕の事実を目の当たりに。

久しく計測していなかった体重や体脂肪。驚愕の事実を目の当たりに。

トレーニングの際は、リストバンドによりデータを簡単に計測。それぞれのカラダに最適なプログラムを定期的に作成してもらえます。

トレーニングの際は、リストバンドによりデータを簡単に計測。それぞれのカラダに最適なプログラムを定期的に作成してもらえます。

 

マシンを使用する前には、必ずエクササイズのポイントと、その都度、呼吸法を教えていただきました。「呼吸は、人間が必ずする唯一の運動なので、呼吸を意識しながら運動することで、効果がさらに得られますよ」と岩田さん。なるほど、そうなんですね。意識しながら呼吸するだけで、お腹まわりがピクピク。これからは呼吸を意識して腹筋してみようと誓うのでした。

ちなみに、新たな研究につなげるため、運営していく中で得られた利用データは研究にも活用し、その成果を地域にも還元していきたいとの思いもあるそうです。

ひとしきり汗を流したところで、1Fのデリ&ベーカリー「ビタレーザキッチン」へも立ち寄りたいところ。“いいものを、いい状態で”をモットーにした、パンやお惣菜など、ラボと連携して開発されたヘルシーなのに栄養価の高い食事が食べられます。

ひとしきり汗を流したところで、1Fのデリ&ベーカリー「ビタレーザキッチン」へも立ち寄りたいところ。“いいものを、いい状態で”をモットーにした、パンやお惣菜など、ラボと連携して開発されたヘルシーなのに栄養価の高い食事が食べられます。

 

春は新しいことを始めるにはピッタリの季節。今こそ、ためらっていた一歩を踏み出すチャンスです。大学研究に裏打ちされた最新のフィットネスで、安全に効果的に、そして楽しくカラダにいいことしてみませんか?

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