ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

  • date:2023.8.8
  • author:稲田妃美

遊びながら株式投資が学べる優れもの! 現役京大院生が開発したボードゲーム「株トレ」で遊んでみた。

大人から子どもまで誰もが楽しめるアナログゲーム。定番のトランプやUNOはもちろん、近年では、デッキを作ってバトルするトレーディングカードゲームも根強い人気です。

日ごろ、大学や研究者に取材させてもらっているホトゼロとしては、「へぇ~!」と唸るゲームで遊んでみたい!

 

ということで、今回ご紹介するのは「株トレ」。“遊びながら知る、楽しく学ぶ”をコンセプトに、京都大学の現役大学院生たちが立ち上げた「京大ボドゲ製作所」が企画開発したゲームなんだとか。

株に興味はあるけれど、実際になかなか手が出せないホトゼロの編集スタッフが、実際に遊んでみました! さらに、企画開発者にも、ゲームに勝つコツをうかがいました。

 

安く買って高く売るために、ゲーム概要を知ろう!

まずは、ゲームのルール概要を説明します。

スタート時の所持金は1,000万円。ライバルとなる他の参加者たちと競い合いながら、企業5社の株を売買していきます。1ターンに売買ができるのは5回までで、買いが集まるとその企業の株価が上がり、売りが集まると株価は下がっていきます。そのため、買いが集まる前に上がりそうな株を買っておき、株価が上がった段階でうまく売り抜ければ、所持金が増やすことができるわけです。

 

ただ、そうはいっても単純にいかないのが、このゲームの面白いところ。ターンごとにイベントカードを引いて、そこに書かれている内容によって株価が上下したり、株を持っていれば一周するたびに配当金がもらえたりと、いろいろと考慮に入れておく要素があります。そして、これらいろんなことを加味しながら、最終的に手もとの所持金が最も多い人が、このゲームの勝者となります。

 

さらに詳しいゲームの説明については、YouTubeで配信されているので、ぜひこちらをご覧ください。ホトゼロ編集部は、この動画を見ずにはじめたので、随分ワタワタしました…。

 

★「株トレ」のルールがわかりやすく解説されている動画はコチラ

説明書を片手に、じゃんけん! 親と呼ばれるディーラーを決めます。右上から時計回りに、編集長H、スタッフK、スタッフT、スタッフYが参加

説明書を片手に、じゃんけん! 親と呼ばれるディーラーを決めます。右上から時計回りに、編集長H、スタッフK、スタッフT、スタッフYが参加

 

ゲームを引き立てるイベントカード

このゲームを興味深いものにさせているのは、なんといってもイベントカードの存在です。さまざまなイベントの発生により、スタート時は横一直線だった企業5社が株価を上下し、ゲームが盛り上がります。「原油安によって、日隈貿易の株価+1、GORDONの株価-1」「総理大臣の辞任によって、すべての会社の株価+1、Sky Unionのみ株価+2」といった社会情勢の変化によって、株価が上下していくのです。

※日隈貿易、GORDON、Sky Unionは本ゲームに出てくる企業名

 

イベントカードは引いた直後に、カードに書かれていることが実行されるのではなく、プレイヤーたちに内容が周知され、全プレイヤーが売買した後に実行されます。なので、イベントカードにこう書かれているから、きっと他プレイヤーはこういう動きをするに違いない…なんてことを予測しながら株券を売買していくわけです。

予測が当たって儲かったり、一方で予測が外れて大損したり…。まさに実際の株式市場に通じるものがあり、“遊びながら知る、楽しく学ぶ”を実感することができました。

リアルな社会現象が書かれたイベントカード

リアルな社会現象が書かれたイベントカード

手札をオープン! スタッフTが謎の妄想フェイントをかけて心理戦に持ち込む場面も

手札をオープン! スタッフTが謎の妄想フェイントをかけて心理戦に持ち込む場面も

 

株券を売買する5つの企業には、それぞれ異なる特長があり、これもゲームに奥行きを与えています。

例えば、貿易会社の日隈貿易は、株価が下がりにくく安定しやすいのが特長。確実に儲けたい場面では、安定の株券を買うのがおすすめです。また、金融系のMFGは景気に敏感で株価が変化しやすい、メーカーのP&Gはバランスが◎、IT企業のSky Unionは成長が著しく高配当な反面リスクが高い…。

それぞれの特長を把握して売買すれば、勝利に近づくことができます。

 

ホトゼロ編集部でゲームを進めていくと、イベントカード「MFGがシステムトラブルによって、株価-3」によって、価格変動や場の流れが急変する事態に。そんな中でも、参加者の言動に左右されずに淡々とマイペースに売買を進めるスタッフY。さらに、配当金狙いで成長企業を一点買いする編集長H。参加者の性格や人間模様がゲームへと影響していくのが垣間見られて、面白いゲーム展開となりました。

 

途中、成長企業GORDONを一点買いしていた編集長Hは所持金がなくなるという事態に。それでも期末には、株券の保有枚数に応じて配当金を受け取ることができ、成長企業の株を集めていた編集長Hは無事に配当金をゲットすることができました。

株券の売買により、その都度、株価が上下します

株券の売買により、その都度、株価が上下します

 

ゲームの結果は、手堅く売買したスタッフYの勝利! 一方、一点買いで一獲千金を狙った編集長Hが最下位という結果に。ゲームを重ねれば、株について詳しくなれるかも?! と期待してしまい、もっと儲けたい! と誰もがハマっていく様子がわかりました。

 

開発者に聞いた、ゲームに勝つコツは?

今回のゲームでは、安定志向のスタッフYが勝ちましたが、勝つコツを知って、ゲームを攻略できたら…。

ということで、お話をうかがったのは、ゲームを企画開発された京大ボドゲ製作所のみなさん。株トレ開発の経緯やさらなる楽しみ方を教えていただきました。

ゲームの面白さと学びの深さに着目してほしいと、イベントの企画も行う。写真は開発時のひとコマ

ゲームの面白さと学びの深さに着目してほしいと、イベントの企画も行う。写真は開発時のひとコマ

 

―――『株トレ』を開発された経緯をお聞かせください。なぜ“株”に焦点を当てられたのでしょうか?

 

株トレのアイデアを考えた当時、金融教育の重要性が提唱されはじめ、世間でも注目が集まりはじめた時期でした。私たちメンバーにも、お金の扱い方や考え方を学ぶ機会をつくりたいという思いのあるメンバーが多かったため、ゲームを通してそれを叶えたいと思ったのがきっかけです。

株は、他の専門用語や概念に比べて、比較的一般的に誰もが耳にしたことがあるテーマで、お金や経済をみんなが考えるきっかけによいということから焦点があたりました。

 

―――他のカードゲームとは異なる「株トレ」の特長や魅力は何だと思われますか?

 

ゲームのルールの中に株式取引の仕組みを再現したところだと思います。制作メンバーは全員が、過去に株式投資を経験していたので、かなり難しい試みになることはわかっていました。それでも、議論を重ね、ゲームとしての楽しさと株式市場の再現性を両立させています。

 

―――京大ボドゲ製作所の最初の作品だとうかがいました。開発にあたってのこだわりはありますか?反対に、ご苦労はどんな点でしょうか?

 

こだわりは、ゲームとしての楽しさです。メンバー全員がボードゲーム好きで、ゲーム性への評価は私たち自身かなり厳しいところがあり、そんな私たちでも楽しめるゲームとなっています。

苦労した点は、コスト面です。はじめての制作だったため、制作費がどれぐらいかかるのか分からず、ゲームのコンポーネント(コマや板などのパーツ)や生産数の調整に苦労しました。

 

―――ズバリ、勝つための秘策は何でしょうか?

 

必ず勝つ秘策はないのですが(笑)、幅広い種類の株をたくさんバランスよく買うと良いかもしれません! 成績が安定しますね。一方で、さまざまな戦略で勝つチャンスがあるように設計していますので、選ぶ企業や売り買いの量など変えてみて、いろいろな戦術を試してみてください!

 

―――今後の展望を教えてください。

 

京大をきっかけに集まった“学ぶこと”が好きなメンバーたちが知恵を振り絞って考えています。今後も子どもから大人まで、世代を問わず一緒に楽しめるカードゲームを制作していきたいです。もちろん、学びを楽しくするというコンセプトは変わりません!

大人数で遊ぶと、より複雑な心理戦になり、戦略の幅も広がって、さらに楽しめますよ。

 

―――ありがとうございました!

 

遊びながら株式投資を学べて、お金や経済を身近に感じることができたボードゲーム「株トレ」。ご家庭でチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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