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夏だ!カレーだ!大学発おすすめカレーまとめ!

2018年8月9日 / まとめ, トピック

もうすぐお盆休み!夏バテを吹き飛ばすカレーが食べたい!ということで、これまでほとゼロが紹介してきた大学発カレーをまとめてみました。大学の名物として定着したものや、地域活性化に一役買っているもの、面白い具材など、それぞれのカレーストーリーも味わってみてください。


大学発グルメのパイオニア、京都大学「総長カレー」

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大学発カレー界のレジェンドといえるこちら。カレー好きの第24代尾池総長自らの監修のもとに誕生しました。小麦粉を使用せず、香味野菜と9種類の香料、トマトで仕上げたスパイシーなソースに、りんご、バナナ、ココナッツミルクを加えた、複雑かつ芳醇な味わい。京大正門前のレストラン「カンフォーラ」でもいただけます。

総長カレーをもっと知る!

 


 

ブリが苦手でもOK!近大ゆかりの(株)食縁による「キーマ鰤カレー」

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近畿大学の有路昌彦教授が社長を務め、近畿大学も支援を行っている株式会社食縁が開発した、特有の青魚臭を抑えた「におわないブリ」。そのブリを使用しているのが「食縁のキーマ鰤カレー」です。エサを工夫することで、においを抑えることに成功したのだそう。鰤のフレークは入っているようで、ほんのり魚の味がして新鮮です。

「食縁のキーマ鰤カレー」をもっと知る!

 

 


 

茨木名物なるか!?梅花女子大学「安威川ダムカレー」

税込700円と良心的なお値段

 

2018年の大阪府茨木市市制70年を記念して、梅花女子大学の食文化学科、茨木市、いばらき茶屋がコラボしたダムカレー。市民に長年親しまれているという「龍王味噌」でコクをだし、さらに上に乗っている「温泉卵」を開放することで、黄身の放流ができる楽しみも用意されています。

「安威川ダムカレー」をもっと知る!

 


 

京都造形芸術大学のカフェ「Verdi(ヴェルディ)」の「鹿肉のキーマカリー」

鹿肉のキーマカリー。サラダにかけられたドレッシングもおいしい!

京都造形芸術大学のカフェでいただける本格インドカレー。鹿肉というのが少し躊躇するものの、臭みなどは全くなく、ふんだんに使われたスパイスとの相性抜群。さらにお米はインドの高級な香り米で、普通のカレーに飽きてしまった方はぜひ。道路沿いにあるので入りやすいのも◎。

「鹿肉のキーマカリー」をもっと知る!

 


 

【番外編】大学カレー対決 信大きのこカレーVS山食カレーVS総長カレー

長野県産を前面に押し出した信州大学の「信大きのこカレー」。地元パワーは他府県民に通じるか。

少し昔の記事にはなりますが、ほとゼロ編集部内で3つのカレーの食べ比べを行いました。取り上げたのは、信州大学の「信大きのこカレー」、慶應義塾大学の「山食カレー」、そして京都大学の「総長カレー」。軍配があがるのは果たして?

信大きのこカレー・山食カレーをもっと知る!

 


 

…いかがだったでしょうか? ここに紹介した以外にも、青山学院大学「青学カレー」、玉川大学「はちみつカレー」、神田外国大学「ポンシー先生のカレー」、北里大学「草熟北里八雲牛カレー」などなど、たくさんの商品が発売されています。

通販で購入できるものも多いので、ぜひチェックしてみてくださいね!!

“眼と眼”のパワーとおいしさに大満足。京都外国語大学「カフェタロー」

2018年7月19日 / 美味しい大学, 大学を楽しもう

2018年春から内部公開が始まった「太陽の塔」をはじめ、時代を超えて注目を集め続ける岡本太郎。その作品を身近に堪能できるカフェが、京都にある。

 

京都外国語大学の「カフェタロー」。一般利用OKの学食で、開店から約25年、学生の成長を支えてきた。

 

9号館(国際交流会館)1階にある

9号館(国際交流会館)1階にある

 

店に入ると、5m×5mというド迫力の作品がまず目に飛び込んでくる。真っ赤な眼からあふれるエネルギー、脈打つような躍動感に思わず足を止めた。

 

爆発してます!

爆発してます!

 

タイトルは「眼と眼(コミュニケーション)」。言葉より先に眼と眼でコミュニケーションを交わしている姿をイメージした陶板画で、1979年5月に完成した。当初この場所にカフェはなく、ロビーを飾るためのものだった。

 

では、なぜ岡本太郎の作品がここに?

大学に取材すると、同大の森田嘉一理事長・総長が、岡本太郎の秘書で後に養女となる岡本(平野)敏子氏と、以前から親交があったことがきっかけだという。

 

森田氏は、現在カフェタローがある9号館(国際交流会館)建設にあたり、京都における国際交流を象徴的に表現するため、太郎の作品をぜひにと考えていたそうだ。

 

森田氏は「外国語」「コミュニケーション」「建学の精神※」をコンセプトに置き数多くの原画等を見るなかで、大きな眼のデザインに惹かれ、それをもとに敏子氏にコーディネートを依頼した。

(※建学の精神:PAX MUNDI PER LINGUAS 言語を通して世界の平和を)

 

かくして、滋賀県・信楽のアトリエ(「太陽の塔」背面のレリーフも信楽で製作されている)にて1年がかりの製作が始まった。太郎はたびたび同大を訪れ、壁画の場所にも細やかな指示を出し、関係者に「この場から壁画を絶対に動かさない」ことを何度も約束させたという。

 

カフェがオープンしたのはそれから数年後だ。学生増加に伴い、メインの学食以外でも食事ができるようにとのことだった。

 

当時からカフェはセルフサービス。デイリーランチ(550円)、パスタランチ(520円)の日替わりメニューが人気だ。他にもボリューム満点のチーズインハンバーグ(580円)など、がっつり系のメニューもそろっている。

 

とろけるチーズが男女問わず人気。チーズインハンバーグ(ごはん、味噌汁付)

とろけるチーズが男女問わず人気。チーズインハンバーグ(ごはん、味噌汁付)

 

昼時になると近隣の会社員、時折だが作品目当ての客もやってくる。キャンパス内にあるため一般の方は少し躊躇するかもしれないが、店長の中橋易史さんは「どしどし来てください!」と誰でもウェルカムだ。

 

20歳から四半世紀、このカフェを切り盛りしてきた中橋さんは、学生と接する毎日で「若さが保てる」と笑う。“タローさん”と呼ばれることもあり、”眼”とともに学生を見守ってきた。2018年4月からは、メニューのリニューアルや、歴史好きの中橋さんが選んだ京都本、雑誌、ガイドブックなどが置かれ、ブックカフェのような雰囲気にもなっている。

 

16時以降の限定メニュー、外大ラーメン(550円)が新登場。もやしたっぷりのあっさり醤油味で、大きなおにぎり付

16時以降の限定メニュー、外大ラーメン(550円)が新登場。もやしたっぷりのあっさり醤油味で、大きなおにぎり付

 

変化しているのはもちろんカフェタローだけではない。

京都外大としては2018年4月に「国際貢献学部」が誕生し、国際交流とキャリアデザインの拠点として4号館が大胆に生まれ変わった。

 

学校建築の第一人者、小嶋一浩氏が手がけた生前最後のプロジェクトで、専門誌にも取り上げられるほど。学生専用の施設だが、外観を眺めるだけでもぜひ訪れてほしい。

 

階段状のおしゃれなラーニングコモンズ

階段状のおしゃれなラーニングコモンズ。天井のデザインもかっこいい

 

 

ガラス張りの開放感ある空間には、階段状のラーニングコモンズや外国語習得のための支援室があり、当たり前のように多言語が飛び交っている。日本人学生、外国人留学生が一緒に課題をしたり、英語でミーティングしたりしている風景――新時代の「眼と眼」のコミュニケーションがあふれていた。

武庫川女子大学のブラウン・ライス・ウィークでプチ国際貢献!

2018年6月19日 / 美味しい大学, 大学を楽しもう

ブラウン・ライス―ちょっと聞き慣れない言葉だが「玄米」のこと。じゃあ、ブラウン・ライス・ウィークは玄米週間?2010年から毎月この取り組みを続け、国連WFP協会と連携協定を締結した武庫川女子大学を取材した。

 

きっかけはオックスフォード大学!?

 

ブラウン・ライス・ウィークとは、一週間限定で玄米を使用したメニュー(360円程度)を学食で販売し、売上の10%を寄付しようという取り組みだ。寄付先は食糧支援活動等を行う国連WFP協会。途上国で飢餓にあえぐ子どもたちに給食を提供する「学校給食プログラム」に役立てられている。武庫川女子大学では、8、9、3月の長期休暇を除き、毎月開催している。

 

大学に到着するとオレンジのかわいい看板が

大学に到着するとオレンジのかわいい看板が

 

ウィーク中なら誰でも学食利用OK!格安でランチが楽しめるとともに、ちょっとした国際貢献もできてしまうのだ。また、玄米には食物繊維やビタミンB1が多く含まれ、便秘やダイエットに悩む若い女性には強い味方である。

 

学食はいくつもあり、それぞれ日替わりでメニューが異なる。玄米タコライス(左)、玄米定食(右)※メニューは一例

学食はいくつもあり、それぞれ日替わりでメニューが異なる。玄米タコライス(左)、玄米定食(右)※メニューは一例

 

取材時のメニューは、西宮市・中央キャンパスのアゼリア食堂で提供されていた「梅マヨチャーハン&わかめスープ」。玄米とちりめんじゃこの香ばしい味のなかに、ほんのり梅のスパイスがきいたヘルシーなおいしさだ。私の場合、玄米を使った料理をすることはほぼないので、こういう機会に食べられるのはうれしい。

 

「梅マヨチャーハン&わかめスープ」。シンプル&ヘルシー!

「梅マヨチャーハン&わかめスープ」。シンプル&ヘルシー!

 

若者受けのこんなメニューも。デミグラスオムライス(左)、玄米ライスコロッケ(右)

若者受けのこんなメニューも。デミグラスソースオムライス(左)、玄米ライスコロッケ(右)

 

この取り組みの発端は、かつて武庫川学院の学院長・大河原量氏が「学生、生徒、教職員が一体となった国際貢献、社会奉仕はできないか」と考えていたところ、皇太子さまのご著書『テムズとともに 英国の二年間』を読んだことがはじまりだという。ご著書には、皇太子さまがオックスフォード大学留学中に経験したブラウン・ライス・ウィークのことが書かれており、大河原氏は奉仕の精神を学ぶよいシステムだと、感銘を受けたそうだ。

 

その後、2009年に皇太子さまが武庫川女子大学を訪問された。ご著書のことが話題になり、皇太子さまも喜ばれたことがきっかけとなって、翌2010年からスタートすることになった。

 

教職員や一般からメニューを公募したところレシピは100を越えた。現在はそれに加えて、後述する学内公認ボランティア団体「ブラウン・ライス・ボランティア」のメニューチームの学生がレシピを考案し、栄養計算した新作も提供されている。

さらに附属の中学校・高等学校、幼稚園でも実施しており、学院全体の取り組みとなっているのだ。

 

附属幼稚園で月1回開催、ブラウン・ライス・カレーの日

附属幼稚園で月1回開催、ブラウン・ライス・カレーの日

 

「食」から考える、学生たちの国際貢献

 

当初、実務担当は教職員だったが、2012年からは食に関するボランティアに興味がある学生を募り「ブラウン・ライス・ボランティア(通称ブラ★ボラ)」が立ち上がった。

 

集まった1期生は約50名。最初はブラウン・ライス・ウィークのビラ配りが主だったが、文化祭など学内外のイベントで国連WFP協会の活動についてパネル展示をしたり、玄米を使ったレシピ開発を行ったりと活動の幅を広げていった。

 

国連WFP協会が主催するチャリティイベントの補助スタッフとしても活躍

国連WFP協会が主催するチャリティイベントの補助スタッフとしても活躍

 

当初から顧問を務める松井徳光先生(学生部長・生活環境学部食物栄養学科教授)によると「軌道にのってきた2013年頃、食べ物の大切さをもっと学ぶために、田植えや稲刈りからやってみたいという声が学生からあがったんです」。その積極性には先生も驚いたそうだが、丹波篠山までバスを走らせ、泥んこになって田植え・稲刈りをするのは恒例行事となった。

 

自然の中で懸命に取り組むブラ★ボラメンバー

自然の中で懸命に取り組むブラ★ボラメンバー

 

収穫した玄米は文化祭で販売し、収益は全額、国連WFP協会に寄付するという。「全額寄付というのも学生たちの意見でした」と松井先生。打ち上げなどに収益の一部を使ってしまいそうなものだが…意識が違う。

 

そんな彼女たちのモチベーションを支えるのが、国連WFP協会の職員が毎年行う講義だ。世界人口の9人に1人が飢餓に苦しんでいること、国連WFPが途上国に支援する食糧の量よりも、日本のフードロスの方が多いことなど、学生は現実を目の当たりにするという。

 

現在73名のメンバーを束ねる委員長の大西陽香さん(食物栄養学科3年生)は「国連WFPのお話は衝撃的でした。でも、自分たちの活動がここにつながっているんだということに感銘を受けました」とふり返る。

 

松井先生は「知らなかったことを知る。そうすれば寄付をしているというだけではなく、自分たちの活動の“意味”がより深くわかってくる」と話す。自主的にメンバーだけで勉強会をする姿もみられるという。

 

お話を聞いたメンバー。左から落合絵令奈さん、蒔田紀子さん、下垣内実穂さん、大西陽香さん

お話を聞いたメンバー。左から落合絵令奈さん、蒔田紀子さん、下垣内実穂さん、大西陽香さん

 

学生の成長ぶりを見守る顧問の松井先生

学生の成長ぶりを見守る顧問の松井先生

 

大西さんと同じく食物栄養学科3年生の下垣内実穂さん、落合絵令奈さんは「もっと勉強し、世界の情勢を発信しようと思っています」(下垣内さん)、「学生でもこの活動を知らない人がいる。もっと広く紹介していきたい」(落合さん)と意欲的だ。副委員長の蒔田紀子さんは「ご飯を食べる。そういったことでも寄付ができるんだと知ってもらいたいです」と話してくれた。

 

2018年5月には、同大は国連WFP協会と連携協力の協定を締結した。「社会に貢献できる女性の育成」という教育目標と、ブラ★ボラの活動内容が合致していること、連携を強化して学生をさらに成長させたいとの願いから、今回の締結につながった。全国の大学では初の試みだ。

 

アゼリア食堂の入口には、国連WFPからの感謝状が飾られている

アゼリア食堂の入口には、国連WFPからの感謝状が飾られている

 

世界を知り自分たちの活動につなげていく。学生たちのようにはできなくても、ブラウン・ライスを食べるという簡単なことからでも、世界の厳しい食事情を知る一歩となる。小さな国際貢献から、まずははじめてみませんか。

 

メニューや日程はWEBサイトからチェックできる。11:00~だが、12:15~の昼休みは混み合うのでこの時間は避けて出かけてみよう。

 

英会話学習ロボット「チャーピー」を(株)CAIメディア×長崎県立大が開発!

2018年4月19日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

最近はどこへ出かけても外国人観光客をよく見かけます。道を聞かれて焦ることもしばしば・・・。

翻訳アプリがあるとはいえ、とっさに対応できたり会話を楽しんだりできたら、もっと世界が広がりますよね。

 

語学を勉強するには、英会話教室やテキスト本、通信教育といろいろな方法がありますが、この春、新たに登場したのがこちら。

見た目はかわいいぬいぐるみのようですが・・・!?

見た目はかわいいぬいぐるみのようですが・・・!?

 

名前は「チャーピー・チョコレート」。

実は人工知能(AI)や音声認識、感情認識など多彩な機能を搭載した、すごい英会話学習ロボットなのです。学習教材などを制作する株式会社CAIメディアが開発し、2017年日本e-ラーニング大賞IoT特別部門賞を受賞しました。長崎県立大学情報セキュリテイ学科の松田健准教授も参画しています。

 

チャーピーは、英会話初心者から英検準1級、TOEIC800点まで対応。ユーザーのレベルを判断し、それに合わせた内容で話しかけてくれるほか、イマイチな発音でもひろってくれたり、ユーザーの表情・感情をとらえて会話したりする能力まで備えています。

 

学習メニューとしては、英語の歌や物語のヒアリング、短い会話練習、単語や決まり文句の学習、発音チェックやフレーズのシャドーイングなど、飽きのこないメニューがぎっしり。

 

利用には2つのモードが選べ、Wi-Fi接続ありの「Rainbowモード」(クラウドサービス・月額864円)なら、学習内容を蓄積してよりユーザーを理解した会話ができるようになります。Wi-Fi接続なしの「Homeモード」では、機能は制限されますが、手軽に英会話を始められます。

 

また、専用アプリもあり、チャーピーの生まれ故郷に遊びに行くという設定で、故郷にいるキャラクター、チャーピー、ユーザーとの三者会話ができる楽しいコンテンツも用意されています。

 

スマートフォンで学習メニューを選択

スマートフォンで学習メニューを選択

 

三者会話の仕組み

三者会話の仕組み

 

開発の原動力となったのは「英会話を話す相手がかわいらしいキャラクターだったら、シャイな日本人でも、リラックスして英会話を練習できるのでは?」というCAIメディア代表・福地三則氏の思いだったそうです。チャーピーが家にいると、いつでも好きなときに、しかも周りの目を気にすることなく練習ができますよね。

 

そんな福地氏に誘われ開発に参画したのが、長崎県立大学情報セキュリテイ学科の松田健准教授です。松田准教授は、チャーピーがユーザーの表情を判断したりする画像処理の部分で関わりました。ユーザーの利用環境をさまざまな場面で想定する必要がある部分が特に難しく、工夫したところだそうです。

 

「多くの方に利用していただくことで、チャーピーは進化します。私自身、英語の発音は得意としておりませんが、チャーピーはどんなときでも励ましてくれます。楽しく英会話を学んでもらえれば」と松田准教授。

 

どんなときでも励ましてくれるとは、うれしいポイント!

小さな体に、こんなに機能があるのが驚きですが、やはりコロンとしていてかわいい!チャーピーと仲良くなっていろいろな会話を楽しめるように、練習もがんばれそうです。

 

こちらがセットで届きます

こちらがセットで届きます

梅花女子大と茨木市がコラボ。最新「安威川ダムカレー」!

2018年3月13日 / 美味しい大学, 大学を楽しもう

ほとゼロではこれまで、あんなカレーこんなカレーを紹介してきました。

今回登場するのは「安威(あい)川ダムカレー」です!

 

大阪府茨木市で2022年完成予定の「安威川ダム」。カレーはそのPRとして開発されました。

 

実は茨木市には数種類の“○○店バージョン”が存在します。注文するとそれぞれデザインの異なる「安威川ダムカレーカード」なるものがもらえ、コンプリートする人がたくさんいるとかいないとか・・・。

 

なかでも今回は、茨木市にある梅花女子大学 食文化学科×茨木市×いばらき茶屋(フードコート)がコラボした新メニュー(2018年の市制施行70周年記念バージョン)を紹介します。

 

梅花女子大学はチアリーディングも有名ですが、食文化学科における産学連携の取り組みも活発です。

 

2017年には同大学×中田食品(株)×凸版印刷(株)による、梅豆乳鍋つゆ「梅なでしこ鍋」を開発。他にもイオン系列店でコラボ総菜を販売したり、学生が店頭PRに立ったりと、さまざまな実績があります。

 

そんな学生たちが考案したメニュー。期待がふくらみます。

 

カレーを楽しめるのは、イオンスタイル新茨木店3階の「いばらき茶屋」です。

阪急茨木市駅から徒歩約6分。シックなフードコートですね

阪急茨木市駅から徒歩約6分。シックなフードコートです

 

看板がありました!

看板がありました!

 

さて、注文して待つこと数分。いばらき茶屋 ver.はこちらです!

 

税込700円と良心的なお値段

税込700円と良心的なお値段

 

ドライカレーでカラフルな見た目がいい感じです。ダムを表現したごはんが、ゆるやかなカーブを描きしっかりとカレー(ダム湖)をせき止めています。

 

ブロッコリーと唐揚げは、北摂山系の竜王山を表現しているそう。手前のサラダとともにダム周辺の緑豊かな風景がイメージされています。

おいしそうないい色です

おいしそうないい色です

 

主役のカレーは、市内の小学校給食にも使われているという茨木市名物「龍王みそ」を使用。塩分控えめで米麹独特の甘い香りと深みが特徴です。

 

口に含むと、コクのある味噌の味がほんのりと感じられ、後からくる辛さとの相性ばっちり。食べ応えもあっておいしいです。白ご飯にも合いそう。

 

そして何より注目したのは、ココ。

 

温泉たまごといんげんがスタンバイ

温泉たまごといんげんがスタンバイ

 

これは、ダムから水を放流するための洪水吐(こうずういばき)をイメージしています。ダム下流の河川環境を活性化させるため、定期的に放流を行うらしいのですが、それを「フラッシュ放流」と呼ぶそうです。

 

 

では、いきます。

 

フラッシュ!!

フラッシュ!!

 

 

・・・・・・実際はフラッシュというよりトローリと放流。

たまごと混ぜながら食べると味噌ベースのカレーがマイルドになり、また違った風味を楽しめるのもおトクです。

 

最後に、もちろんコレもついてきました。

これが安威川ダムカレーカード いばらき茶屋ver!

安威川ダムカレーカード いばらき茶屋ver

 

裏面にはしっかり情報が載っています

裏面にはしっかり情報が載っています

 

市の名物と風景がふんだんに織り込まれたダムカレー。フラッシュ放流というアトラクションも楽しめて、学生たちの茨木市への愛着も感じる一皿でした!

大阪工大梅田キャンパスOIT梅田タワーのクリスマス!

2017年12月26日 / 話題のスポット, 大学を楽しもう

キラキラのクリスマスシーズン、みなさんどう過ごしましたか?

あらゆる場所でイルミネーションやら、セールやらが繰り広げられていましたが、ほとゼロがご紹介するのは2017年4月に誕生した「大阪工業大学梅田キャンパスOIT梅田タワー」で開催されたクリスマスイベントです!

 

OIT梅田タワーの普段の姿は、以前こちらでお伝えしたとおり。ロボティクス&デザイン工学部があるほか、一般の方も楽しめるレストランなどが入っています。今回のイベントも、たくさんのご家族や高校生が楽しんでいました!

大阪工業大学梅田キャンパス「OIT梅田タワー」外観写真 (1)

提供:大阪工業大学

 

建物に入ると、1階奥に白い不思議な展示が!これは「コビト(妖精)のやどりぎ」という作品で、素材はなんとダンボールです。

1階ギャラリーに現れた“やどりぎ”

1階ギャラリーに現れた“やどりぎ”

 

この展示は、梅田を中心に開催されていた「梅田スノーマンフェスティバル2017」にロボティクス&デザイン工学部の学生有志が出展していたもの。ロボット工学科、システムデザイン工学科、空間デザイン学科のメンバーからなるダンボールプロジェクトチームの作品です。

 

「クリスマスが近づくとコビトたちは木にかざりつけをはじめました―」と物語仕立てになっており、絵本の世界のようです。

空間デザイン学科の学生によるイラスト。ストーリーが横に続いている

空間デザイン学科の学生によるイラスト。ストーリーが横に続いている

 

雪化粧をした大きな木。コビトたちがあちこちに

雪化粧をした大きな木。コビトたちがあちこちに

 

さすが工業大学といった仕掛けも。

 

手を近づけると、かわいらしい扉が開く

手を近づけると、かわいらしい扉が開く

 

小さな家の中にはコビトが隠れていました。仕掛けのあるポイントにはセンサーのついた手のマークがあり、手とセンサーが一定の距離になると動く仕組みです。プロジェクトチームの学生さんが仕組みを説明してくれるほか、訪れた子どもたちに遊び方を教えていました。扉が開くという以外にも、コビトがまわったり、飛び出してきたりと、子どもたちはがっちり心をつかまれていました。

 

一方、取材に訪れた日は、毛糸で雪だるまを作り「スノーマンブローチ」「スノーマンキーホルダー」として持ち帰ることができるワークショップを開催(期間限定のため終了)。そろってコートにブローチをつけて帰る家族連れも見かけました。ほっこりしますねー。

もこもこの雪だるま

もこもこの雪だるま

 

また、作品の奥には大画面モニターが。なぜか少年がほうきを振り回しています。

 

画面の中で雪や星が踊っています

画面の中で雪や星が踊っています

 

これはほうきの動きに反応し、画面のカラフルな星が動く仕掛けになっているもの。MESH(メッシュ)という、さまざまな機能を持ったブロック形状の電子 「MESHタグ」を、この場合はほうきに取り付けることにより、ほうきを動かす→モニター横に設置したパソコンに信号が送られる→モニターが動くという、かなりざっくりですがそんな仕組みになっているそうです。

 

ほうきを上に振れば画面の上部で星がキラキラと降り注ぎ、ほうきで床を掃けば、画面下に星が現れます。確かにおもしろい!少年、いつまでもほうきを離しませんでした。

 

他にも、ピタゴラ装置的な展示に多くの人が足を止めていました。赤い観覧車の下でボールがさまざまなルートをたどるボールマシンです。

ボールはどこへ…?興味津々

ボールはどこへ…?興味津々

 

解説パネルによれば、理科離れが進む中、「工学」の楽しさを子どもたちに伝えるには?という課題に対して学生が研究し、デザイン画からダンボールによる試作を重ねて完成させたといいます。

以前子どもたちに公開した際、ねらい通り「ボールが入る仕組みがおもしろい!」「作ってみたい!」という感想が聞かれたそうですよ。

 

「梅田スノーマンフェスティバル2017」にはもう1チーム、空間デザイン学科の学生有志が参加しています。ユニクロOSAKAとのコラボ企画で、ユニクロOSAKA店内に懐かしさを感じる“紙風船”を使った雪だるまを展示していました。

 

大学の一般向けイベントは、地元の人しか足が向かないことも多いと思いますが、梅田の中心部にキャンパスがあることで、自然と訪問者数も伸び、反響をダイレクトに受け取れるのが、学生にとって何よりのメリットといえそうです。

これからもどんなイベントが行われるのか、ぜひチェックを!

 

動物の行動を読みたい!科学者たちのプロジェクトX @阪大ラボカフェ

2017年10月17日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

子どもの頃アリを観察したり、動物番組が好きだったりした人は多いでしょう。でもそこから、動物の行動を読み解いて社会問題を解決しよう!とはなかなかなりませんよね。ところが今、さまざまな分野の専門家たちが集結し、動物の行動パターンを解明することで社会に応用しようというプロジェクトがあるんです!アートエリアB1でのイベントに参加してお話を聞いてきました。

GPSなしであなたはたどり着けますか?

参加したのは、ラボカフェ『「なぜたどりつけるの?」を科学する・第2回 〜ロボットと人工知能で、動物の心を読む〜』。大阪大学大学院の木村幸太郎先生(理学研究科准教授)が語り手です。

木村先生は生物の脳や神経科学の研究者。初心者にもわかりやすい解説

木村先生は生物の脳や神経科学の研究者。初心者にもわかりやすい解説

 

このプロジェクトが始まったのは2016年。「生物ナビゲーションのシステム科学(生物移動情報学)」という文科省から予算を受けたプロジェクトで、5年間で今までにない新しい学問分野を作ることを大きな目標としています。

 

ナビゲーションというのは、ヒトや動物にとって目的地に移動する、ということです。どこかへ行って、帰ってくる。これだけですが、もし人里離れた知らない場所に放り出されたらどうでしょう。スマホのGPSなしで家に帰るなんて、少なくとも私にはムリ。

 

一方、クジラの大回遊やサケの母川回帰、渡り鳥の生態を考えてみると、彼らは自らの力で行動しています。ナビゲーションは最も重要な生命活動の一つであり、驚くべき能力なのですね。

 

このナビゲーションを理解・解明して予測や制御が可能になれば、鳥インフルエンザや蚊が媒介するデング熱・ジカ熱など伝染病の拡散防止のほか、害獣の侵入予防、効率的な駆除などに役立つ可能性があるんだとか!

 

さらには高齢者の徘徊や迷子の行動予測など、広い範囲で社会問題の解決への可能性が見込まれています。

最新の研究を知ろうと多くの人がつめかけた

最新の研究を知ろうと多くの人がつめかけた

 

まずは測ること!苦労の末に世界初の快挙

動物は見たり、聞いたり、においを嗅いだりと何かに刺激を受け行動しています。刺激を取捨選択して行動につなげる「仕組み」を知りたい。そのためには次の4段階が必要です。

 

①動物の行動や環境を測る 

②分析する 

③彼らの頭の中の計算を数式で表す 

④数式が本当かどうかを確かめる

 

なんだか壮大!とても1つの専門分野では対応できません。そこでプロジェクトでは「ロボット工学」「データ科学」「行動生態学」「神経科学」の専門家が集結。組織立ってナビゲーションを研究しているのは世界でもここだけなんだそうです。

 

第1段階クリアのために、研究チームはまず「ログボット」というロボット機能を搭載した8㎝ほどの小型カメラを開発しました。例えば、海鳥の飛行ルートのビッグデータをもとに、飛び方の特徴を人工知能(AI)に学習させ、特徴的な動きが出たときのみ撮影するようプログラミングされています。

 

数年前から、動物にカメラを付けての撮影は行われてきたのですが、長時間撮りっぱなしだったそう。大学院生が長時間映像をすべて見ながら「○時○分○秒 エサをとる」など一つひとつメモしていたとか・・・。必要なところだけオンになれば、バッテリーの消費も抑えられます。

 

しかし、高機能をわずか数センチに詰め込んだオリジナルの最先端装置は壊れやすく、10個のうちなんとか回収できた唯一のログボットの映像を、今回見せてもらうことができました!

 

水面すれすれを飛び、水中にもぐり、また水面へ!とまさに生き生きとした鳥の目線。

 

AIを利用してこうした映像を撮影したのは世界初だそうです。

スピード感もあり迫力満点の映像でした

スピード感もあり迫力満点の映像でした

 

ポケモンのアレがあれば検証できる!

動画は撮ることができたので、次は分析が必要です。

 

ここで木村先生は問いかけます。「動画にエサが映っていた場合、例えば鳥が旋回するなど特徴的な動きを始めたとします。それはエサが見えたからだ、と言っていいでしょうか?」

 

答えは「NO」。因果関係がないからです。

 

特徴的な動きをするのはエサが原因か、映っているだけではわかりません。因果関係の有無の確認には、人為的にエサを存在させ、そのとき特徴的な動きが出れば証明されます。

 

今は動画を撮影するのみですが、今後先生たちが挑戦しようとしているのは、エサだけではなく人工的な刺激を存在させ、何に反応しているのかの検証です。

 

どうやって・・・?と思っていると、「拡張現実(AR)」という言葉が登場!現実世界の映像に、別の映像を上乗せしている「ポケモンGO」と同じ技術です。これを使って,動物や生物が現実から感じている刺激に人工的な刺激を上乗せして,反応がどう変わるのかを確認しようというわけです。

 

共同研究の可能性に期待がふくらむ!

日々メディアを賑わすAIやビッグデータという言葉がいくつも登場しましたが、技術がすごいというだけでなく、エキスパートたちがそれぞれの知性とアイデアを絞り、プロジェクトに挑んでいることが伝わってきました。

 

市役所で鳥獣保護区の管理に携わる女性参加者にお話を聞いたところ、「もっと自然に学ぶことがこれからは必要なんだと思いますね」と期待を寄せていました。

渡り鳥の生態に長年興味があったという女性。熱心にメモをとっていた

渡り鳥の生態に長年興味があったという女性。熱心にメモをとっていた

 

プロジェクトでも、普段はコンピュータと向き合う分野の若手研究者を無人島に連れ出し、野鳥にカメラを取り付ける経験(糞まみれになるそうです!)をするなど、自然にふれ視野を広げるような育成にも力を注いでいます。

 

素人目には、AIならもっとすごいことができるのでは?と思ってしまいますが、専門家の先生が言うには、人口知能(専門家的にいうと機械学習)ができるのは、膨大なビッグデータがあれば「AなのかBなのか」「似たグループが○個あるのか」といったことが分かるだけといいます。

 

「何でもできるように思いますが、せいぜい分類することと例外を見つけること」。そうシンプルに教えてもらえると、納得できるような気がします。

 

最新技術は万能ではありません。それが導き出したデータをどう活用するかは人間の知性や探求心がもっとも重要なんだと思えます。この共同研究がこれからどう進んでいくのか。わくわくしながら次の開催を待ちたいと思います。

 

取材協力:大阪大学21世紀懐徳堂

 

完璧な子どもがほしい?大阪大学公開講座で聴くゲノム編集。

2017年1月20日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

才色兼備な子どもを意図的に作れるとしたら、あなたならどうしますか?

2016年、大阪大学では「老いの未来」「若さの将来」をテーマに公開講座が多数開催されました。その中の一つ「デザイナーベビー/ゲノム編集の光と影」に参加し、約3年前に開発されたゲノム編集についてお話を聞いてきました。

緑に光るマウス、マイクロサイズの豚。

今回登壇されたのは大阪大学微生物病研究所の伊川正人教授。
研究所では500人ものスタッフがワクチンなどを研究しており、教授はマウスを使った研究を主なテーマとしています。

会場は阪大中之島センター。平日ですがほぼ満席です

会場は阪大中之島センター。平日ですがほぼ満席です

 

講座はDNAの基本的なお話から始まり、緑に光る「グリーンマウス」の話題に!
これは20年程前、教授の研究チームが生み出した、紫外線を当てると緑色に光るマウスのこと。光るクラゲの遺伝子等をマウスに組み込むことで生まれたものです。

グリーンマウス。SF映画みたいですがもう20年前の技術なんですね・・・!

グリーンマウス。SF映画みたいですがもう20年前の技術なんですね・・・!


見た目がすごい・・・のですが、光を当てなければ普通のマウス。別の生物の遺伝子で何かおかしくなってしまうのでは?と思うかもしれませんが、何の異常も見られなかったそうです。

このマウスはがん治療の研究にも役立てられました。グリーンマウスにできたがん細胞を普通のマウスに組み込むと、その部分のみが光るため、どのようにがんが転移していくのかを研究できるのです。

教授によれば「この技術はある遺伝子を別の生物に入れ込むという遺伝子の“足し算”。“引き算”も可能ではあるが効率が悪く、ヒトには使えないなど技術的に難しいことが長年の課題でした」とのこと。

それが自在にできるようになったのが、約3年前に開発された「ゲノム編集」の技術です。

生命の設計図ともいえる遺伝子は、A、C、G、T、とよばれる4種類の文字(核酸)からできています。それが並んで文章のようになっているのですが、ヒトの細胞一つにはなんと約30億文字が入っているんだとか。

1つでも違えば、その人の性質(お酒に強いとか太りやすいとか)が変わってきますし、ある病気になりやすいということも違ってきます。
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現在では、その30億もある文字を「CRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン)」というゲノム編集技術で短時間&低コストで編集できるようになりました。

パソコンのワードソフトで文章のてにをはを変えるように、文字通り編集できるようになったわけなんですね。

例えば、赤身ばかりの筋肉ムキムキの牛、歯ごたえの良い筋肉質のふぐのほか、通常300kgを超える豚の15分の1サイズの豚(ミニブタよりさらに小さくマイクロ豚と呼ばれる)などが研究レベルで次々と生み出されています。
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実は豚の臓器はヒトの臓器のサイズと似ているそうで、一時的に豚の心臓をヒトに使うための研究がアメリカでは進められています。300kgもあると飼育も実験も大変なため、マイクロサイズをつくることで効率的な実験が可能となっているそう。

教授は「何年もかかっていたことが1~2カ月ででき、費用も10分の1程度。良い面もあるが簡単な知識と技術があればできてしまう悪い面もある。法整備が必要」と指摘していました。

手軽に自分の遺伝子がわかる時代に

遺伝子の研究・実験の様子

遺伝子の研究・実験の様子

 

次にお話されたのは、グーグルが出資しているアメリカの「23andMe」という会社のこと。私は講座で聞くまで知らなかったのですが、1万円程度で自分の遺伝子を判定してくれるサービスを行っています。

“あなたの遺伝子はこの型なので、この型を持つ人はアルツハイマー病になりやすい”など、医療診断ではなくあくまでも簡単な判定にとどまるので、結果を見てどう行動するかは個人の判断に委ねられています。すでに50カ国40万人が利用しており、日本語サイトもあります。

将来病気になるか知りたい、予防したいという思いは誰にもあるかもしれません。でも治らない病気だったら、どうでしょう。

教授がお話されたある女性の例では、自分の遺伝子を調べた結果、将来親と同じ病を必ず発症することがわかったそう。女性は出産を望んでいましたが、病気になれば子育てを満足にできない可能性があるといいます。

子どもを持たないという選択もありますが、我が子をと願う女性の思いは切実。
「これほどの選択や判断を迫ることになる。そういった技術であることを理解していただきたい」。教授の言葉がずしりとひびきます。

デザイナーベビーが問いかける未来

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「23andMe」では他にも夫婦の遺伝子を調べ、どんな子どもが生まれるか予測するサービスがあるそうで、特許も取得済みなんだそうです。

このようにさまざまなことがわかり、病気の治療など役立つことも多い一方、タブー視されていたことが現実味を帯びてきています。それがデザイナーベビー。

ゲノム編集すれば容姿端麗、スポーツ万能、高い知性を持つ子どもをデザインできてしまいます。自分より優れた子どもがほしいという親の願いは万国共通かもしれません。親の育て方や家庭環境はもちろんあるものの、やはり遺伝子で決まる部分も多くあります。

「遺伝子を自分の希望通りにデザインして優れた子どもがほしい。そういった要求をどこまで満たしていいのかという問題があります。病気を治すなら賛成する人も多いかもしれません。では体質や外見、人種についてはどうなのか」。

2015年、中国では世界で初めてヒトの受精卵を使ったゲノム編集が行われたそう。生育しない異常な受精卵を使用したとされていますが、世界で大論争となりました。

しかし人間の探求心は止められないようで、「その後イギリスでは2週間までの受精卵なら実験してもOKと決まったり、アメリカでは国のお金ではできないが、個人でならOKとなったりしています。今ではさらに研究が進んでいるかも」と教授。法整備が追いついておらず、実験したからといって罰則規定もありません。

「例えばAIの自動運転車。事故を起こした場合、誰の責任になるのかといった議論がありますが、ゲノム編集も同じようにクリアしなければならないことがたくさんあります」

さらに「こんな議論もエスカレートするかもしれません。病気の治療はOKなのに、髪の毛が減るのを止めたいがそれはだめなのか?視力を治すのはどうなの?といった問題も出てきます。痛みを感じない兵士がつくられる可能性もあります。誰も病気で死ななくなったら?それはそれで問題です。では死ぬ人を誰かが決めるのか?」

ゲノム編集の課題に言及する井川教授

ゲノム編集の課題に言及する伊川教授

 

次々と膨らんでいく話に会場では少し笑いも起きたものの、今後山積される問題に気が遠くなる思いがしました。

「うまくいった例ばかり注目されるが100%安全とはいえない技術。しかし、何もかも禁止してしまえば助かる人も助からなくなります。議論しながらより良い社会をめざさないといけない」と教授は締めくくりました。

意図的にデザインされた子ども。映画のようで好奇心を刺激されますが、それは物語の中だからこそ。

例えばこの条件で!とデザインして自分の遺伝子ゼロの子どもを育てるとなったら、ちゃんと愛情をもてるかなぁとふと考えました。この鼻はお母さん似だね、頑固なところはお父さん似かなぁとかいう会話もなくなって、ちょっとさびしいような。でも希望した通りの子どもなら、やっぱりうれしいんでしょうか・・・。

教授のこの言葉も、ワクワクするようなゾッとするような、印象深い言葉でした。

「生物は自然と進化してきました。何をもって進化というのか、という問題はありますが、それを自分たちの手でできる時代が来てしまった、ということです」。
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教授のわかりやすい語り口で、さまざまな側面からゲノム編集を学び、考えることができた90分でした。世界の研究者たちが今後どのような研究を進め、私たちもどんな選択が迫られるのか。これからも注目していきたいと思います。

取材協力:大阪大学21世紀懐徳堂

※グリーンマウス、講義風景以外の画像はイメージです。

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