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京都のこだわり店を学生目線で紹介する「こだわり市場」@京都橘大学

2017年3月9日 / コラム, 大学アプリレビュー

京都にはそれぞれのこだわりをもつお店がたくさんあります。旅行や観光で訪れてもどのお店も目移りしちゃう、なんてことも。そこで、京都にあるこだわりのお店を現地で学ぶ学生目線で紹介する、京都橘大学「こだわり市場」をご紹介します。

 

ウェブサイト「こだわり市場」は京都橘大学の現代ビジネス学部都市環境デザイン学科の谷口知司教授ゼミで観光学を学ぶ学生らが、京都のお店を紹介するサイト。
元々は2013年から継続して発行されている冊子「こだわり市場」のウェブ版にあたります。
掲載されている情報は実際に学生みずからが取材・撮影・広報までこなし、ウェブサイトの制作は谷口知司教授のゼミ卒業生が立ち上げた制作会社「青砥屋」が担当されているそう。

京都橘大学 こだわり市場

 

こだわり市場トップページ

こだわり市場トップページ

 

こだわり市場トップページ 説明

こだわり市場トップページ 説明

 

情報サイトではありますが、ビジュアルを大きく使い、サイトデザインもとてもすっきりして見やすくなっています。もちろんスマートフォンにも対応したデザインなので、ちょっと手元でお店を探したい時にも○。

 

カテゴリも「地域」「観光地」「ジャンル」と分かれており、直感で選べるのも嬉しいですね。

 

地域は各区ごとと細かくなっています。観光地も二条や祇園、桂と、京都の有名な観光スポットごとに分かれているので、観光がてらお店を探したいというときには便利。

 

メニューにあるそれぞれのカテゴリをクリックすると、お店の簡単な紹介と地図を一緒に見ることができます。

 

各お店紹介ページ

各お店紹介ページ(写真はほとゼロ編集部にて加工)

 

各ページではお店の写真と、実際に足を運んで取材したからこそと思える解説を見ることができます。
「こだわり市場」の名前どおり、ひとつひとつの説明が短いながらも丁寧で、それぞれのお店のこだわりが学生の目線でしっかり紹介されており、どのお店もとても魅力的。ページを見ているだけでワクワクして、他のお店も……と気になって見てしまう楽しさがあります。

 

また、細かいところですが、営業日時についてもしっかり記載されているのが嬉しいポイントだなと感じました。
あと写真もとてもキレイ!
店内の様子や雰囲気、そのお店で取り扱っている商品など抑えるところはおさえつつ、1枚1枚魅力的な写真を掲載しているので、ついつい気になってしまいます。

 

掲載されている情報は、学生の方が随時追加して行っているそう。

 

皆さんも一度このサイトで気になる1軒を見つけてみませんか?

人工知能は怖くない 関西学院大学梅田講演会で知るAI時代の学び方

2017年2月28日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

最近よく聞くAI(人工知能)。野村総合研究所から2015年、「10~20年後には日本の労働人口の49%が人工知能やロボットで代替可能になる」という衝撃的な研究結果が発表されました(注1)。技術がどんどん進歩していくなか、これから私たちはどうすればいいのか。関西学院大学が開催する梅田講演会「AI(人工知能)時代の学び方 ~野外教育のすすめ~」で、そのヒントを伺いました。

 

AI(人工知能)といえば少し前までは小説や映画の題材で見るものの、現実にはまだまだという印象がありました。しかし、ここ数年でGoogleのAlphaGOや自動運転カー、IBMのワトソンなど、ニュースでもよく目にするようになりました。「AIが人を超えるのももうすぐなのでは?」ということも考えてしまいます。

 

いずれ人間の仕事をAIがやるようになって人の仕事がなくなるとか、AIってなんて恐ろしいんだ! と思っている人もいるのでは?

 

けれど本当にそうなるのか? その謎を探るため、関西学院大学梅田キャンパスで開催された「梅田講演会『AI(人工知能)時代の学び方 ~野外教育のすすめ~』」に参加してきました。

 

関西学院大学 甲斐知彦教授

今回登壇されたのは、関西学院大学人間福祉学部の甲斐知彦教授。
普段は野外活動を教育に活用する野外教育をテーマに研究されているそう。野外教育で得られる成果と、それが今の時代どのように有効なのかを探るのがこの講演の主な内容です。

 

そもそもAIとは?

AI(Artificial Intelligence:人工知能)、よく聞く単語ですが、実は専門家のなかでも統一した定義はなく、「人工的に作られた、知能を持つ実体(中島 秀之氏 人工知能学会フェロー)」「人間と区別がつかない人工的な知能(松原 仁氏 公立はこだて未来大学教授)」など、その定義は人によって様々だそうです。
またAIにも、単純な作業を行う「弱いAI」、より人に近い「強いAI」があり、とくに後者は日々進歩し、更新され続けています。IBMのワトソンやGoogleのAlphaGOは後者に当たります。

 

AIの研究が始まったのは1960年代。第1次ブーム、第2次ブームを経て、現在は第3次ブームを迎えています。現在、機械の発達と計算速度の向上の影響もあり、AIはめざましく進歩していると甲斐教授。

 

テクノロジーの進歩は指数関数的※1に進んでいるそうで、現在はちょうどその加速度的進化のまっただ中にあるようです。「『シンギュラリティ(Singularity:技術的特異点)※2』の訪れがより現実のものとなってきているのでは」と甲斐教授は言います。

 

※1 指数関数的
関数の一種で、ある量の変化率がその量の現在値に比例する状況で生じるもの。あるものが指数関数的増加する場合、ある地点から急激に増加することがある。

※2 シンギュラリティ(Singularity:技術的特異点)
アメリカ合衆国の発明家レイ・カーツワイルが提唱したもの。同氏によるとテクノロジーが急速に変化し、それにより甚大な影響がもたらされ、人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまうような来るべき未来のこと。現在は2045年頃にシンギュラリティを迎えると言われている。

 

AIが発達すると人の仕事はなくなるのか?

では、冒頭で紹介した野村総合研究所の発表のように、進化したAIは私たちの仕事を奪っていくのでしょうか。
これについて、甲斐教授は「少なくとも、確実にタスクを奪う。」と言います。

 

日本ではあまり実感がありませんが、アメリカではすでにAIによる労働人口の減少が起こっているそうです。
とくに顕著なのは会計など、AIが得意な数字を扱う仕事。逆に代替可能性が低いのは抽象的な概念を理解し、協調や説得が必要な仕事です。

 

AIに代替可能な職業についてのスライド

AIに代替可能な職業について。銀行窓口係、レジ係、弁理士、司法書士などが代替可能とされる一方、教員、医師、デザイナーなどは可能性が低い

 

日本でも近年セルフレジが普及しつつありますが、近い将来、レジはすべてセルフレジ、どころかレジがなくなるかもしれないそうです。それに近いことはすでに実験段階に入っています。
ネット通販最大手のAmazonが展開する「AmazonGO」がそれです。

 

 

レジがなく、商品を持ってゲートをくぐるだけで買い物が終了するという店舗です。既にアメリカの一部で実証実験が始まっています。

 

しかしAIの進化が障がいをもつ人の障壁をなくすこともあります。こちらはマイクロソフトのあるエンジニアの動画。目が見えないというハンデをAIの力で変化させたインタビューです。

 

 

 

この方はマイクロソフトの中でエンジニアとして活躍しているそうです。

 

また忙しく論文を読む時間がとれない医師に変わってAIに論文を読ませ、分析させることで、医師に助言するなど、AIを上手く活用する例も出てきています。

 

このように、AIは確かに便利ですが、今人が行っている仕事がAIで効率化され、労働人口が減っているのも事実です。

 

やっぱりAIはいつか人間を超えて、失業者があふれる、なんてことも現実に起こりうるのではと思わざるを得ません。

 

AI時代に活きる“野外教育”

ところが、万能に見えるAIにも苦手なことがあり、現在人間のほうが優れている部分ももちろんあります。それが「少ない経験をもとに洞察を働かせ、原理を推測することで新しい知識を学習する力」なのだそうです。

 

「この力を伸ばすのに、野外教育の学びが生きてくる」と甲斐教授。

 

野外教育とは野外活動を学習に結びつけたもので、経験学習サイクルで学びを深める試みです。
体験(野外活動)での振り返りを通して気付きを得て学び、それを一般化。さらにそれを次の体験に応用することで学びを深めていく学習方法のひとつです。重要なのは成功体験はもちろんですが、非日常的な場面で行われる野外教育では失敗体験も思い切ってできるということ。

 

野外教育の体験を単なる「体験」に終わらせず、体験のなかで起きた成功や失敗を振り返り、そこから学び(原理)を得て成功モデル(新しい知識)を構築することが重要なのだといいます。
このような野外教育で得られる学びの積み重ねで、AIが苦手とする分野に強い人材育成が可能になるのでは、とのこと。

 

甲斐教授は「AIの進歩がめざましい今だからこそ、体験を通して学びが生まれる野外教育をオススメしたい」と言います。

 

当日行われた体験コーナー。二人で割り箸を落とさないようにしながら1回転するというアクティビティ

当日行われた体験コーナー。二人で割り箸を落とさないようにしながら1回転するというアクティビティ

 

体験のあと、野外活動を教育に活かすとはどういうことかの説明も

体験のあと、野外活動を教育に活かすとはどういうことかの説明も

 

あまり聞き慣れない野外教育という言葉でしたが、講演中に参加者が実際に体験できるワークショップもあり、野外教育の有用性を肌で感じることができました。また、AIに関するニュースをほぼ毎日目にするようになってきた今こそ、改めて学び方を考え直す時期なのかもしれないなと感じました。

関西学院大学梅田講演会はおおよそ1ヵ月に一度、大阪梅田キャンパス(K.G.ハブスクエア大阪)で開催されています。最先端の研究をわかりやすく学ぶことができるチャンス!
興味のある方は一度関西学院大学大阪梅田キャンパスに足を運んでみてはいかがでしょうか。

(注1)
野村総合研究所ニュースリリース「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に~601種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算~」
2015年12月02日 株式会社野村総合研究所
https://www.nri.com/jp/news/2015/151202_1.aspx
2017年2月22日検索

一文字からでも参加できる 京都大学「みんなで翻刻」で研究参加

2017年2月23日 / コラム, 大学アプリレビュー

大学の研究は専門家だけがやるもの、そんなものは今や古い考えです。今は研究者と市民が協働して研究を進めるプロジェクトが広がっています。京都大学の「みんなで翻刻」もその1つ。一文字からでも参加できる市民参加型の研究プロジェクトです!

 

「みんなで翻刻」は以前紹介したくずし字学習アプリ「KuLA」の流れを汲むプロジェクトです。くずし字学習に主眼を置いた「KuLA」と少し違い、活字化されていないさまざまな研究資料を市民の力で翻刻※していこうというもの。

※翻刻
写本や版本などを原本通りに活字に組むなどして新たに出版すること。ここでは写本や版本に書かれたくずし字を読んで活字にしていくことを指します。

 

中心となっているのは京都大学の古地震研究会。大きな地震は数十年、数百年という単位で周期的に起こると考えられているので、地震研究では古い史料を読み解くことが必要です。しかし、地震研究者のなかでくずし字が読める人は少ないのが現状。そこで史料を調査研究に適した活字資料にするため、くずし字が読める市民に協力してもらおうというのがこのプロジェクトの目的です。

 

こういった市民の力を借りる研究活動は、海外でも広がりを見せています。今回は翻刻に市民の手を借り、その後の研究は専門家が詳しく行うという方法をとっています。

 

プロジェクトへの参加はとても簡単。まず「みんなで翻刻」ウェブサイトへ行き、会員登録をします。

「みんなで翻刻」トップ画面

中央にある「参加する」ボタンから参加可能

 

登録はTwitterやFacebookのアカウントを連携すれば完了です。会員登録後、アップロードされている史料の翻刻に参加することができるようになります。

ダッシュボードスクリーンキャプチャー

ログイン後のダッシュボード。翻刻文字数ランキングや翻刻された資料がほぼリアルタイムに表示されます。(モザイクはほとゼロ編集部で加工)

 

翻刻は自分がわかる範囲でOK。また、自信がない時は別の人に添削をお願いすることもできます。
参加したい史料は左メニューの「史料一覧」から探します。史料の中には既に翻刻が済んでいるものも。まだ作業中の史料を見つけて翻刻しましょう。

史料一覧

翻刻済みの史料には判子が押されたようになっているのでわかりやすい。翻刻済みの史料を閲覧もできる

翻刻画面

翻刻画面。右の資料を見ながら左に文字を打ち込んでいく

 

登録されている史料は高解像度なので、わかりづらい部分は拡大して確かめながら作業ができるのも魅力。

史料を拡大したスクリーンキャプチャー

最大でこれくらいまで拡大ができる

 

また翻刻を始める前に「翻刻ガイドライン」をチェックしましょう。こちらのマニュアルを確認し、ルールに沿って翻刻していくことで、利用しやすい翻刻データになります。

翻刻ガイドラインスクリーンキャプチャー

翻刻ガイドライン。合字や旧仮名のあつかいなどが記載されている

 

さらにこのアプリの特長は、KuLAでも搭載されていた「学ぶ」機能を利用できること。KuLAと同じ教材が使用されているので、相互で効率的に学ぶことができます。

「学ぶ」スクリーンキャプチャー

「学ぶ」メニューの画面。KuLAと同じくテストで知識を確かめることもできます

 

さらにくずし字の質問などができる「つながる」機能もあり、わからないところを質問したり、返答したりすることで交流もできます。「つながる」機能は掲載されている史料以外のものでも画像がアップでき、くずし字をきっかけに気軽に交流を楽しめます。

 

KuLAのアプリはくずし字を読む力をつけることが主でしたが、こちらはその力を使ってプロジェクトに参加できるのがおもしろいです。自分の力が将来、大きな研究の支えになるかも?!

 

また、2017年3月からニコニコ動画で【みんなで翻刻してみた】プロジェクトがスタートします。
第1回放送は3月1日(木)21:00~。初級編としてくずし字や翻刻についてわかりやすく解説。

 

みなさんもぜひ一度チャレンジしてみてください!

大阪府立大とコラボした「大阪いちじくドーナツ」がやってきた!

2017年2月14日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

2015年にほとゼロでも開発の模様をお伝えした「Habikinoいちじくプロジェクト」第3弾、「いちじくほっぺ」。2016年10月、「大阪いちじくドーナツ」としてついに一般販売されました。
最終的にどんなドーナツになったのか、ほとゼロ編集部で調査しました。

 

「Habikinoいちじくプロジェクト」は、羽曳野市の特産品であるいちじくの新たな活用法を探るため、大阪府立大学とみどり製菓株式会社が協同で商品開発を行っているプロジェクトです。
いちじくはおいしいものの、足がはやいため捌ききれない、そのまま遠方まで運ぶことが困難という問題を抱えています。そんな問題を解決しつつ、羽曳野いちじくを広く知ってもらおうというのが「Habikinoいちじくプロジェクト」の目的です。

 

第3弾はほとゼロでも紹介した、「いちじくほっぺ」。

参考
府立大発スイーツ第3弾「いちじくほっぺ」ができるまで(前編)
府立大発スイーツ第3弾「いちじくほっぺ」ができるまで(後編)

 

そしてこちらが現在発売中のいちじくほっぺ改め、「大阪いちじくドーナツ」です!

 

大阪いちじくドーナツ

 

大阪産いちじくと紫芋を使用したもっちり食感の焼きドーナツとのこと。
見た目はチョコレートがけのドーナツ。封を切るとケーキのような甘い香りが漂います。

 

コーティングのチョコレートにはいちじくの実が使われており、プチプチした食感を楽しめます。
さらにドーナツの中には「大阪いちじくタルト」でも使用された、羽曳野産のおいしいいちじくを皮ごと加工したジャムが!

 

ドーナツ断面図

ほのかな酸味がおいしいいちじくジャム入り

 

ドーナツは揚げない焼きドーナツですが、軽すぎず重すぎず、しっかりした食べ応えでした。

 

全体的にはしっとりしたテイストのドーナツで、大きさもそれほど大きくはありません。紫芋も入っているので腹持ちも◎。

ドーナツに入っているいちじくジャムはほのかに酸味があるので、甘すぎると感じることなくあっという間に食べ切ってしまいました。

 

「大阪いちじくドーナツ」はみどり製菓株式会社のホームページから購入できるほか、羽曳野市のふるさと納税返礼品のひとつとして選択できるスィーツセットにも含まれています。
新しい大阪のお土産として、ぜひ一度味わってみてください。

ミライを感じる 甲南大学「甲南サイエンス体感展示イベント」

2017年2月9日 / 話題のスポット, 大学を楽しもう

大学の研究ってなんだか難しそう、あんまり生活には関係なさそう、そう思っていませんか? もちろんまだまだこれからの研究もありますが、近い将来私たちの生活を変える研究が生まれているのも確かです。
今回は、とくに科学の分野で大学の研究を体感してもらおうという甲南大学の「理系でミライ無限大!甲南サイエンス体感イベント」に行ってきました。

 

兵庫県・神戸市。オシャレな街という印象がとても強いのですが、実は全国でも有数の“大学都市”でもあります。そんな神戸市と同市にある大学がタッグを組み、その魅力を発信する取り組みがグランフロント大阪で開催中です。

 

神戸市にある大学が順番に展示を行うこの取り組み。今回は1月23日(月)から開催されている甲南大学の「理系でミライ無限大!甲南サイエンス体感展示イベント」を訪ねました。

 

こちらがその展示ブース。
今回は甲南大学が取り組む研究のなかでも理系の研究が展示されています。

 

まずブース入り口にあるこれ。こちらは知能情報学部の田中教授の研究です。

 

IMG_5459

 

すぐ近くを通るとセンサーが反応。通り抜けた人の身長を記録するというものです。入場と退場で表示色が異なるのですが、入退場人数を自動でカウントできるという優れもの。
ちなみに私も試してみましたが、出てきた身長がかなり正確!(靴の高さも含まれます)

 

2つのセンサーを使って身長を算出しているそうなのですが、こんな正確に数値が出るのか……と感心してしまいました。
こちらの研究は、例えば鳥居の近くに設置して参拝者数をカウントしたり交通量を計測するなどに応用できる技術なのだそう。
たまに交通量を手でカウントしている方を見かけますが、なるほど、そういうところを機械で代用できるようになるようです。

 

こちらは知能情報学部の山中准教授のスマートウォッチを使って自分の行動を計測できるもの。ユーザビリティテストなどを手軽に行えるんだそうです。

 

タブレット上でテストをする様子

タブレット上でテストをする様子

 

すごいのは、ウェブサイトなどのデジタルのものだけでなく、壁の掲示物のわかりやすさなどのテストにも使えるところ。
手の動きから計測しているのか、どういう仕組みかがわからなかったのですが、ちょっとした手の迷いなど、微細な動きをしっかり計測できるというから驚きです。

 

こちらの2つは色素を専門に研究されている理工学部の木本准教授の研究成果。
手前のこれ、一見するとただの小さなドームです。
しかしこれ、「吹き付けて作るタイプの太陽光電池」なんだそうです。

 

吹き付けるタイプの太陽電池

見ただけでは何なのか分からない……

 

太陽光電池といえばパネルをずらーっと並べるのが一般的。

 

太陽光発電のイメージ

太陽光発電のイメージ

 

ですが、この塗料が一般的になると、曲面でも塗料を噴射するとそれが太陽光発電の電池になるといいます。
将来的には家のカーテンで太陽光発電ができるなど、あらゆるもので発電ができるかも!とのこと。

 

すごい、めちゃくちゃ未来を感じます。

 

なお、お隣には印刷の色は実は3つのインクで表現できる、ということを体感できるスペースもあります。拡大すると網点が見えたりと、知識として知っていても実際見ると「おおっ」と思うこと間違いなしです。

 


さて最後はこちら。理工学部の林教授の研究にかかわるものです。

 

土石流の実験器具

今回の展示のなかでも一番大がかりなもの

 

こちらは土石流について体感できる展示です。
土石流って耳にする機会も増えましたが、実際どういうものなのかあまりわかっていませんでした。
土石流って水の勢いがすごすぎて土砂や岩が流されてくるものだとばかり思っていたのですが、実は水だけでは大きな災害にはならないんだそうです。

 

それを実験でわかりやすく体感できるのがこの装置。

 

岩に見立てた発泡スチロールのかけらや細かな砂や土、丸石の代わりとなる発砲ビーズ(体が沈むソファなどに使われているアレ)を使い、土石流がどんな仕組みでどのような結果を引き起こすのかをわかりやすく知ることができます。

 

広島の土石流災害などでも、下流付近まで大きな岩が流されたりしていたそうですが、これがなぜなのか、また地質によって被害がどう変わるのかなど、とてもわかりやすく知ることができます。

 

詳しくはぜひ実験で感じていただきたいです。
おそらく皆さん思っている以上に驚かれると思います。私はかなりびっくりしました。

 

その他にも甲南大学で研究されている漫才ロボットや案内ロボットの紹介も。今回は写真のみとのことです。

 

話題を指定するとネットを駆使して漫才をするロボット。今回は紹介のみ

話題を指定するとネットを駆使して漫才をするロボット。今回は紹介のみ

 

案内ロボット。今回は紹介のみ

案内ロボット。今回は紹介のみ

 

色々と体感させてもらいましたが、「えっどうなってるの?!」と思うものも多く、また、どれも簡単に体験できるので子どもでも楽しめるような展示ばかりでした。取材中も何組かのご家族がブースを訪れる様子も。

 

期間中は13時~17時は甲南大学のスタッフの方が常駐しているので、説明を聞きながら展示を楽しむことができます。

 

甲南大学の展示は2月18日(土)まで。また、2月11日(土)、12日(日)は「知の世界を楽しく学ぶ!甲南大学公開講座」も開催予定です。公開講座では、神戸という土地をテーマにした生活文化セミナーや、地域ブランドのお話しなど、4つの講座が開講予定。
こちらの展示と一緒に、ぜひ公開講座で大学の知の一端にも触れてみてはいかがでしょうか。

2016年のマンガ界を語り尽くす!「マンガカフェ25」に行ってきた。

2017年1月31日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

皆さん、マンガは好きですか?出版不況でもまだまだ大人気のマンガ。そんなマンガを語り尽くすイベントが開催されるとを聞き、私もマンガ好きの一人として参加してきました!

 

アートエリアB1が主催し、大阪大学21世紀懐徳堂と京都精華大学国際マンガ研究センターが共催の「マンガカフェ」は5年以上続くイベント。今回は2016年12月23日にアートエリアB1で開催された「マンガカフェ25『今年のマンガ界をふり返るぞ 2016』」に参加しました。登壇者による今年のマンガ界についてのトークセッションと、登壇者や参加者が各々の「今年の1冊」をプレゼンテーションする2部構成で展開されました。
なお、来場する際は「今年一番のマンガを持って参加してください」とのこと。私も今年イチオシのマンガを1冊持って参加しました。

 

どきどきしながらの初参加でしたが、会場はとても和やかな雰囲気。何度も参加されている方もいらっしゃるようで、あまり気負わず話を聞くことができ、とても楽しかったです。

 

さて、オススメマンガを語る前に、2016年はマンガ界にとってどんな年だったのかを振り返るトークセッションからスタート。
登壇者は以下の通りです。

 

カフェマスター
  • 伊藤遊氏(京都精華大学国際マンガ研究センター研究員)
  • 金水敏氏(大阪大学文学研究科教授)
ゲスト
  • 雑賀忠宏氏(マンガ学会関西交流部会代表、京都精華大学国際マンガ研究センター研究員)
  • 吉村和真氏(京都精華大学マンガ学部教授、京都精華大学国際マンガ研究センター研究員)
  • ユー・スギョン氏(京都精華大学マンガ研究センター研究員)

 

まずは登壇者それぞれから2016年印象的だったことを発表。

 

転換期を迎えるマンガ業界
大物マンガ家の逝去、長期連載終了がめだった2016年

吉村和真氏(京都精華大学マンガ学部教授、京都精華大学国際マンガ研究センター研究員)

吉村和真氏(京都精華大学マンガ学部教授、京都精華大学国際マンガ研究センター研究員)

 

「少子化などの影響でマンガ読者人口が確実に減るなか、マンガ業界全体が利益を得るために何ができるかを考える場面に来ている。個人的には今年は出版社と関わる機会が多かったんですが、(出版社と一緒に)どのようなことをやっていくべきかが分かった一年だった」と吉村氏。加えて京都精華大学が関わる京都国際マンガミュージアムについても触れ、「今後求められるのは勤勉な読者であり、マンガミュージアムがその拠点となっていかないといけない」と続けました。

 

さらに、高井研一郎氏をはじめとした大物マンガ家の逝去や、『こちら葛飾区亀有公園前派出所(こち亀)』といった世代を超えて長年親しまれてきた長期連載の終了についても言及。「一時代の終わりを感じる。こういったマンガ界を長年支えてきたマンガの終了は、今後じわじわと影響してくるのではないか」と分析しました。

 

過去を見直す「リバイバル」「マンガ家マンガ」の増加
Twitterなど新しい場の台頭

雑賀忠宏氏(マンガ学会関西交流部会代表、京都精華大学国際マンガ研究センター研究員)

雑賀忠宏氏(マンガ学会関西交流部会代表、京都精華大学国際マンガ研究センター研究員)

 

次にリバイバル作品や、マンガ家が自分の経験を綴るマンガ家マンガブームが来ているというのは雑賀氏。
「80年代に流行したマンガのリバイバルの波が来ており、懐かしさから手に取る人も多い。マンガの波がひとつの成熟期を通り越したのでは。この流れでそのうち90年代に流行したマンガのリバイバルも出てくるのでは」と分析。

 

ほかにも、TwitterやSNS発のマンガの増加が話題に上がりました。
『このマンガがすごい!2017(宝島社)』のオンナ編上位にランクインした『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』など、これまでもウェブ発表から書籍化する例はありましたが、Twitterでは絵とコメント(ツイート)で展開されているのが特徴。
「新しいメディアとしてTwitterなどの存在感は増している」と雑賀氏。

 

「インターネット上でも『クラスタ』と呼ばれる小さなコミュニティが多数でき、広いインターネットのなかでもある種のローカル性ができている。一部で大きく話題になる一方、全く知らないという人も多い。スマホの普及でオンラインでのマンガの進歩がめざまく、業界地図も変わりつつある。終戦直後の赤本や貸本以降のオーソリティだ」と評価しました。
私も普段Twitterを使っていますが、先に上がったようなマンガは話題になっていた印象が強く、全く知らない人も多いという話に少し驚きました。

 

日本の手法を取り入れた海外マンガの今

金水敏氏(大阪大学文学研究科教授)

金水敏氏(大阪大学文学研究科教授)

次に金水氏とユー氏からは、視点を変えて海外のマンガについて。
まず金水氏からは、フランスで大ヒットしている自伝マンガ「L'ARABE DU FUTUR」の紹介がありました。
「このマンガはシリア人の父とフランス人の母をもつリアド・サトゥーフの幼少期を描いたマンガ。多くのアラブ系移民を抱えるフランスの現状を具体的に知ることができる貴重な作品です。このようなマンガがヒットしているということが、今のフランスを表している」と金水氏。いじめや移民といった生々しい現状が淡々と描かれており、とても興味深い一作でした。

 

続いて同じくフランスのマンガについてユー氏から。

 

ユー・スギョン氏(京都精華大学マンガ研究センター研究員)

ユー・スギョン氏(京都精華大学マンガ研究センター研究員)

 

今海外では日本スタイルでマンガを描く若い作家が増えているそう。なかでもとくにユー氏が注目していたのが、フランスのマンガ(バンド・デシネ)の『ラストマン』。

 

「日本では1人の作家が作品を作るのが常ですが、作者が3人のチームとして活動しています。また、完全に日本スタイルを踏襲しているのではなく、演出や技法を取り入れつつもバンド・デシネらしい作画に寄せるなど、いいとこ取りで構成されているのがおもしろい。こういった日本マンガの影響を受けつつも独自進化している海外マンガも今後注目してほしい」とユー氏。

 

マンガは海外では9番目の芸術として評価され、グランフロント大阪でも、日本のマンガ家とフランス語圏のバンド・デシネ作家等が「ルーヴル美術館」をテーマに創作した作品を展示した「ルーヴルNo.9~漫画、9番目の芸術~」展が開催されました。
「(近年はバンド・デシネが認知されつつあり)フランスのマンガも日本に定着してきたかな?」と言うのは司会の伊藤氏。

 

他にも文章では書ききれないほどさまざまなお話しがあったのですが、総じて感じたのは思っていた以上に新しいことがはじまっているんだな、という印象。海外でのマンガ編集の事情などは知らないことも多く、感心するばかりでした。

今年の振り返りは以上。後半からはいよいよ2016年の今年の1冊へ。まずはトークセッション登壇者からイチオシのマンガについて紹介がありました。

 

それぞれこだわりの「今年の1冊」を紹介!

まずユー氏からは自身の価値観を変えたマンガとして、ドジだけど明るく素直な彼女と“ネコ彼氏”のほのぼのカップルを描いた『オデットODETTE(著:日当貼/ほるぷ出版)』を紹介。
ネコ“系”ではなく“ネコ彼氏”というのがポイントで、彼氏は完全にネコ。ですが、ネコにしては真面目だったりと、それまでもっていたネコの価値観が変わったとスギョン氏。

 

雑賀氏からは『天野めぐみはスキだらけ(著:ねこぐち/小学館)』が紹介されました。作者はなんと雑賀氏の後輩の方だそうで、「いかにもサンデーっぽい王道ラブコメです」とのこと。また、もう1冊おまけでということで、雑賀氏がコメントを寄せている坂田靖子氏のムック本も紹介。雑賀氏いわく、「ほとんど個人としての情報がでない作家・坂田靖子さんの歴史を紐解く貴重な一冊」だそうです。

ねこぐち:天野めぐみはスキだらけ!, 1巻(株式会社小学館、2016)

ねこぐち:天野めぐみはスキだらけ!, 1巻(株式会社小学館、2016)

 

吉村氏からは2冊。
1冊目は『パンラボ&comics 漫画で巡るパンとテロワールな世界(著:パンラボ/ガイドワークス)』。アーティスティックなタッチが印象的な1冊です。いわゆるグルメマンガとも違う、パン好きのためのマンガ。食パンなど“日常簡単に手に入るパン”の平均点が高いのは実は日本だそうで、とにかく編集者の熱意がすさまじいマンガだといいます。

もう1冊は、ドラマ『重版出来!』に登場する『タンポポ鉄道』を手がけた村上たかし氏の『アキオ(著:村上たかし/小学館)』。実はこのマンガ、妻に不倫された中年男性が主人公。吉村氏からは「主人公は負け組ではない、不倫の新しい解決法に目から鱗だった」との感想がありました。
またおまけとして、「女子柔道部物語(著:小林まこと/講談社)」を紹介。アトランタオリンピック金メダリスト・恵本裕子が原作・モデルの柔道マンガです。まだ連載が始まったばかりだそうですが、「来年の1位は間違いなくこれ」と太鼓判を押す1作、ぜひ注目してほしいとのこと。

村上たかし:アキオ(株式会社小学館、2016)

村上たかし:アキオ(株式会社小学館、2016)



金水氏からは息子さんが持っているマンガから、『ヒナまつり(著:大武 政夫/KADOKAWA/エンターブレイン)』ほか、『波よ聞いてくれ(著:沙村広明/講談社)』『ゴールデンカムイ(著:野田サトル/集英社)』の3冊。こちらは息子さん本人から紹介が。
「『ヒナまつり』はだらーっと読むのに最適。中盤まで『泣ける話か?』と思ったら最後は笑えるオチがある。『波よ聞いてくれ』は、(作者は『無限の住人』の沙村広明氏だが)『無限の住人』とは全く作風が違い、サブカル知識がぎゅうぎゅうに凝縮され、細かい突っ込みが痛快なコメディ」とのこと。

 

紹介された本、タイトルは知っていても読んだことがない本や、全く知らない本も。会場では見本としてこれらの本が回覧されていましたが、さすがオススメされるだけあり、どれもかなりおもしろそうでした。


ここからは来場者の中から今年イチオシの一冊を紹介することに。こちらは数が多いため、一部のみ紹介します。

 

アサイ:木根さんの1人でキネマ,1巻(株式会社白泉社、2015)

アサイ:木根さんの1人でキネマ,1巻(株式会社白泉社、2015)

木根さんの1人でキネマ(著:アサイ/白泉社)
三十路越え映画を見るのが趣味の独身OLの、映画愛をこじらせた生き様を感じるマンガです。登壇者からは「最近こういったお一人様マンガ、趣味女子マンガは増えている」というコメントも。これからまだまだこういったこじらせ女子マンガ増えそうです。

 

ジョージ朝倉:ダンス・ダンス・ダンスール, 1巻(株式会社小学館、2016)

ジョージ朝倉:ダンス・ダンス・ダンスール, 1巻(株式会社小学館、2016)

ダンス・ダンス・ダンス―ル(著:ジョージ朝倉/小学館)
男子バレエを題材にしたスポーツマンガ。バレエマンガといえば昔から女性の身体を美しく見せるためによく少女マンガなどでも題材にあがるものですが、こちらはあえて男子バレエに焦点をあてているそうです。

 

浅野りん:であいもん,1巻(株式会社KADOKAWA、2016)

浅野りん:であいもん,1巻(株式会社KADOKAWA、2016)

であいもん(著:浅野りん/株式会社KADOKAWA)
私が紹介させていただいた一冊です。京都の和菓子屋を舞台にしており、和菓子と京都と家族もの、というとしんみりしそうですが中は軽快なコメディ。とにかくこの作家さんは京都弁をマンガにするのが上手いのでぜひ。

 

雲田はるこ:昭和元禄落語心中, 1巻(株式会社講談社 2011)

雲田はるこ:昭和元禄落語心中, 1巻(株式会社講談社、2011)

昭和元禄落語心中(著:雲田はるこ/講談社)
同じ人物が年をとっていく、経年の差をしっかりと描けているのがスゴイと紹介者絶賛。落語そのものが経年が重要ということもあり、その部分を繊細に描いているのがとても魅力的だとのこと。

 

アトム ザ・ビギニング(元案:手塚プロダクション コンセプトワークス:ゆうきまさみ マンガ:カサハラテツロー 監修:手塚眞 協力:手塚プロダクション/小学館クリエイティブ)』
タイトル通り、鉄腕アトムの前日端を描く物語です。鉄腕アトムを元案にしつつも今風にリファインされており、アトムを知らない人でも十分に楽しめるとのこと。

 

ぼのちゃん(著:いがらしみきお/竹書房)』
『ぼのぼの』に出てくるぼのぼのの赤ちゃんの時のお話しだそうで、ぼのぼのらしい笑いと懐かしさが魅力。

 

最後に締めとして、司会の伊藤氏から『動物たち(著:panpanya/白泉社)』と『傘寿まり子(著:おざわゆき/講談社)』を紹介。とくに、80を超えた女性を描く『傘寿まり子』は作者の才能を感じたとのことです。

panpanya:動物たち(株式会社白泉社、2016)

panpanya:動物たち(株式会社白泉社、2016)

 

16時から18時までの開催でしたが、2時間があっという間に過ぎてしまいました。マンガが好きだという共通点があるからか、終始とても楽しそうだったのも印象的。

 

マンガカフェは現在不定期で開催、次回は2月17日(金)に「海の向こうで、BLはどうなっているのか?~藤本由香里さんを迎えて~」を開催予定です。(2017年1月31日現在受け付けは終了しています)



取材協力:大阪大学21世紀懐徳堂

学生の力×大学の研究 関西大学「AjiCon」で新しい大学発商品を探せ!

2017年1月26日 / 大学の知をのぞく, この研究がスゴい!

全国各地、さまざまな大学で行われているビジネスコンテストやプロジェクト発表。学生のやるものだしと侮っていませんか?


大学の研究は最新科学を扱うものも多く、その研究力と学生のアイディアが商品化につながった例も多数あります。今回はそんな大学のもつ研究を活かす方法を考える、関西大学の文理融合プロジェクト「AjiCon」を訪ねました。

関西大学で毎年開催されている「AjiCon」は文理融合型イノベーション対話プログラムであり、とくに「食のイノベーション」をテーマに同大学の理工系学部のもつ研究成果(シーズ)とビジネス系学部の対話により事業化に向けたアイディアを創出するプログラムです。


ほとゼロでも紹介した「和neチャージS」も実はこのプログラムから誕生した成果のひとつなんです。

参考
アスリートのための冷凍餅!? 関大×和菓子屋の技の結晶「和ne チャージS」【前編】
アスリートのための冷凍餅!? 関大×和菓子屋の技の結晶「和ne チャージS」【後編】

もしかしたら次の大学発商品をいち早く見つけることができるかも……?! と思い、「AjiCon」に参加しました。

関西大学化学生命工学部 河原秀久教授

今回使用されたシーズに関わる関西大学化学生命工学部の河原秀久教授

 

関西大学商学部 西岡健一准教授

AjiConの総括を行う関西大学商学部の西岡健一准教授


今回最終プレゼンに参加したのは7組。活用するシーズとしては同大学化学生命工学部河原秀久教授の「不凍タンパク質※」「不凍多糖※」「接着タンパク質※」「過冷却促進物質※」の4つのシーズ。この中から1つ以上のシーズを選択し、事業化をめざすプランを発表します。


食のイノベーションをめざすというテーマから、会場には広く食品を取り扱う会社の関係者がたくさん集まっていました。

※「不凍タンパク質」 カイワレ大根由来の物質で、氷再結晶化を抑制し、冷凍による品質劣化を抑えます。
「不凍多糖」 エノキダケ由来の物質で、不凍タンパク質同様冷凍による品質劣化を防ぎます。耐熱・耐酸性に優れます。
「接着タンパク質」 エノキダケ由来の物質で、添加量により食品の堅さ調節に役立ちます。
「過冷却促進物質」 あん粕など食品加工廃棄物から抽出されるもので、物質の氷結そのものを制御します。


「AjiCon」ではそれぞれのグループが7分間発表し、参加者の投票によりチャンピオンが決まるシステムです。今回発表されたのは以下の7つ。

タイトル

提案した新しい食べ物

概要

E.T.~Eating Technology~

アレルギー表示対象27品目を除いたアレルギーフリーケーキ

接着タンパクや米ゲルを使用し、おいしくてアレルギーフリーかつ、腹持ちがよくローカロリーなケーキを考案。

モチがやきもち

もちもち食感のアイスクリーム

餅による窒息事故の多くが高齢者という点に着目し、餅のような食感を楽しみつつ、溶けることで窒息を防ぐアイスを考案。接着タンパクを使用し、食感をより餅に近づけている。

わたしのおひさまパン~地味に有米(うまい)~

米粉パンの欠点を補った米粉パン

ぱさぱさしやすい・傷みやすいなどの米粉パンの欠点を接着タンパク・不凍多糖を使用して克服。さらに缶入りパンにすることでデザインの多様性や非常食としての機能も付加した。海外展開も視野に入れたプランを考案。

おからのチカラ~もったいない改革~

栄養のあるおからを使ったアイスクリーム

廃棄されるおからの活用方法としておからを使ったアイスクリームを提案。おからの食感を改善するために不凍タンパクと接着タンパクを使用。栄養価が高くておいしい、さらにカロリーもおさえた新商品について発表。

がんばるあなたへ、落ちないクッキー

新しい栄養機能食品

忙しい社会人をターゲットに、オフィスで手軽に食べられる新しい栄養機能食品を考案。シチュエーションごとに商品を複数展開する。接着タンパクを使用して、クッキーの「ポロポロと落ちる」欠点を改善。パッケージを変え受験生向けの展開も可能に。

大豆のある生活~あなたに寄りソイたい~

豆乳や米ゲルを使ったアイスケーキ

豆乳や米ゲルを使用したローカロリーで栄養のあるアイスケーキを考案。接着タンパク・不凍多糖・不凍タンパク・過冷却促進物質を使うことで、冷凍しても品質が落ちないようにした。健康に関心の高い層をターゲットに健康志向のカフェなどを中心に展開を企画。

「問題のアレ」が生まれ変わって社会良くしちゃった話

あんこを使った新しいスイーツと新聞社のネットワークを活かした商品展開企画

和菓子は人気だがあんこが不人気という点に目をつけ、酒粕とあんこ、接着タンパクを混ぜて食感を軽くした新しいスイーツを考案。さらに新聞社のもつネットワークを活用し、企業向けに配達し展開する案を発表。


どれもとてもよく考えられていて、質疑応答では実際の展開を見据えた質問も多く上がりました。

私がとくに興味深かったのは、缶のデザインを変えることでさまざまな市場展開を狙った「わたしのおひさまパン」。缶入りパンは既にありますが、米粉を使うことで小麦アレルギーに対応したり輸出や非常食としての展開も見据えた点がおもしろいなと感じました。

また、「大豆のある生活~あなたに寄りソイたい~」では、シーズを活用することで「和菓子を輸出するときに問題になる抹茶の退色を防ぐ」というアイディアがあったのですが、こちらは海外向けの和菓子展開を扱う方から高い評価を受けていました。

さらに最近注目されている「米ゲル」など新素材を活用している企画が複数あったことも驚きでした。会場には米ゲルを製造している企業の方が参加されており、米ゲルの活用法として前向きに検討したいという意見もありました。

プレゼンテーションの様子

プレゼンテーションの様子

 

チャンピオンに輝いた西岡ゼミC班「おからのチカラ~もったいない改革~」

チャンピオンに輝いた西岡ゼミC班「おからのチカラ~もったいない改革~」


正直、思っていた以上に見応えのある発表でした。

こういった大学の学生が活躍するビジネスプランコンテストなどは各大学で盛んに行われています。

各地で開催されているビジネスプランコンテストなど(一部)

大学名

コンテスト名

概要

龍谷大学

プレゼン龍

学生ベンチャー育成事業のひとつ。
http://rec.seta.ryukoku.ac.jp/info/presendragon/index.html

関西学院大学

KGビジネスプランコンテスト
KGビジネスアイデアコンテスト

大学部門、高校部門、中学校部門あり。プレイベントとしてアイデアコンテストも開催。
http://www.kwansei.ac.jp/shakairenkei/shakairenkei_m_001164.html

立命館大学

立命館学生ベンチャーコンテスト

立命館大学以外の学生も参加可能。
https://www.facebook.com/r.startup.2016/

同志社大学

New Island Contest

同志社大学リエゾンオフィスと協力して起業家育成をねらう同志社ベンチャートレインが行う。
http://doshishaventuretra.wixsite.com/doshisha

神戸市外国語大学

全国大学生マーケティングコンテスト

実在する商品・サービスを課題としたマーケティングプランを競う。
https://marketingjp.com/


そうはいっても学生でしょうと思わず、興味があるものがあれば一度足を運んでみるがおすすめです。今後この中からどんなものが生まれるのか、注目していきたいと思います。

大学アプリレビューvol.14 立命館大学の学生が開発した「うめちかナビ」

2017年1月16日 / コラム, 大学アプリレビュー

大阪駅、梅田駅、東梅田に西梅田……。大阪梅田駅周辺といえば、複雑な地下街で迷う人が多い場所として有名です。「梅田ダンジョン」「迷宮」なんて言われることもあるそんな梅田の地下街を楽に移動できるのが立命館大学ユビキタス環境研究室が開発した「うめちかナビ」です。

 

もともとはウェブアプリとして提供されていた「うめちかナビ」。これをiPhone版やAndroid版として開発したのが立命館大学のユビキタス環境研究室です。

 

この「うめちかナビ」の特長は、最短距離を示すだけではなく、梅田地下街をなるべくバリアフリーに移動するルートを選択できる点。梅田駅周辺で迷ったことのある方はご存じかも知れませんが、梅田の地下街は平坦ではなく、目的地にたどり着くには上下の移動が大きいことがあります。

そこでバリアフリー経路ではエレベーターやスロープなどを選択しつつ、階段やエスカレータが経路上に出ないように工夫されています。

 

また、電波が届きにくいという問題も、公衆Wi-Fiやビーコンを活用することで解決。地下でも問題なくナビゲーションできる工夫がされているそう。

 

では実際にどのようなアプリなのか。

 

初回起動時は利用規約が表示され、規約に同意することでアプリが使用できるように。
2回目以降の起動時はすぐにマップが表示されるようになります。

 

マップ上には初めからトイレの場所や飲食店などが表示されるようになっています。地図上右下にはこの場所が何階なのかもわかりやすく表示。さらに階数を切り替えると表示される店名なども変化。必要ない情報が見えないことでよりわかりやすい地図になっています。

 

地下街のマップ。

地下街のマップ。選択中の階数は青く表示される。「-」は地上を指す。

 

通れない場所はグレーになるので、視覚的にもわかりやすくて便利。

 

同じ場所で地上を選択。地下街の表示は消え、地上にある施設のみ表示される。

同じ場所で地上を選択。地下街の表示は消え、地上にある施設のみ表示される。

 

同じ場所の地上と地下の表示。地下

同じ場所の地上と地下の表示。地上。

同じ場所の地上と地下の表示。改札(電車マーク)なども対応した階数を選択している時のみ表示される。

 

左上の「≡」をタップするとメニューが開き、目的地を選択したり、規約や操作方法を確認することができます。

 

メニュー画面

メニュー画面

 

「近くのトイレを探す」でもバリアフリーを意識し、男性女性のほか多目的トイレを選択することができるという細かい配慮が。
「乗り換え駅を探す」メニューでは、それぞれの駅の改札を細かく指定できます。
出る改札によっては大きく迂回する必要がでるので、これはとても助かりますね。

 

改札口選択。周辺駅の改札を細かく選択できる。

改札口選択。周辺駅の改札を細かく選択できる。

 

ナビ機能を使用する場合は、行きたい場所をタップすることで目的地を設定できます。また、現在地を長押しすることで出発地点を設定。
両方を設定した状態で右下のナビゲーションマークをタップするとナビゲーションがスタート。

 

この際、「最短距離」と「バリアフリー経路」を選択できます。

 

ナビゲーション開始前の選択画面

ナビゲーション開始前の選択画面

 

ナビゲーションでは今いる階と同じ階は赤、それ以外の階を通る場合は緑で経路が表示されます。上下移動が多くてもどこを通ればいいのかわかりやすくなっているのが特長です。

 

最短距離を選択した場合の経路。

最短距離を選択した場合の経路。エスカレーターが表示されている。

 

同じ経路のバリアフリー経路を選択した場合。

同じ経路のバリアフリー経路を選択した場合。上下移動の際エレベーターを使う経路に変更されている。

 

ナビを解除する時は右下の「×」をタップすれば解除できます。

 

Googleナビなども十分高性能ですが、階数によって必要な情報のみ取捨選択されて表示されるのは思っている以上にわかりやすいなと感じました。

 

実際の梅田地下街はお店も多く、うまく通り抜けられれば地上を行くよりも楽に目的地に着ける、便利で楽しい場所なんです。

いつも梅田で迷ってしまう、他の地方から梅田に来るなんていう方、ぜひこちらのアプリで「梅田ダンジョン攻略」をめざしてください。

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