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  • date:2016.7.1
  • author:中橋 由香

大学アプリレビューvol.10 クイズでくずし字学習ができる 大阪大学「くずし字学習支援アプリ KuLA」

くずし字学修支援アプリ「KuLA」

古文を楽しむうえで障害となるくずし字(草書体)や変体仮名※。以前変体仮名を学べるアプリを紹介しましたが、今回は江戸時代以前に使われていた変体仮名とくずし字を学び、『方丈記』や今話題の日本刀に関する本も原文で読めてしまうアプリ、大阪大学の「KuLA」をご紹介します。

 

※変体仮名(へんたいがな)
1900年の小学校令施行規則改正以前に日常的に使われていた仮名文字で、現代のひらがなの異体字にあたります。多様な漢字をもとに、さまざまな形のひらがなが使われていました。

 

このアプリはよく使用される変体仮名のほか、「御」「候」「様」といった、古文で頻繁に使われる漢字のくずし字についても学べるところが特徴です。
変体仮名も漢字のくずし字も、当時は書く時の筆運びや見た目の美しさを考え、さまざまな使い分けやくずし方がされていました。ですので、一文字一文字の形を覚えることに加えて、文字と文字のつながりを知り、読み解くことが必要になります。
KuLAでは一つ一つの文字とともに、用例という形で文字のつながりを学ぶこともできるのです。

 

ではまず、アプリの使い方について。
アプリの使い方については、ゆるキャラしみまるが丁寧に教えてくれます。

アプリを案内してくれるゆるキャラ、しみまる

こちらがしみまる。このアプリだけでなく、日本近世文学会刊行の「和文リテラシーニューズ」にも登場します。
メニューは「まなぶ」「よむ」「つながる」の3つ。まずは「まなぶ」機能から。

 

「まなぶ」機能で変体仮名とくずし字を学習!

「まなぶ」メニューのトップ画面

「まなぶ」メニューのトップ画面

 

「まなぶ」メニューでは変体仮名やくずし字に加えて、くずし字学習の基本についても知ることができます。文字検索では、変体仮名の元になっている漢字(これを字母といいます)をもとに文字を探せます。

 

くずし字学習の基本 仮名編

変体仮名のもとの漢字(字母)ごとにかなの形もがらっと変わる

 

くずし字学習の基本 くずし字を読むために

収録されている文献についても、どの段階で読めばいいのかを教えてくれる

 

かな文字は元となった漢字から学びたいものを選べます。また、メニューから文字を選ぶ以外に、前後の文字には上下にフリックすることで移動も可能。混同しやすい文字については注意書きがあり、確認しながら覚えられるのもいいところです。

 

文字詳細 け(遣)

誤読注意から直接似た文字の項目に飛ぶことができる

 

このアプリでは一つ一つの文字だけではなく、江戸時代の本から抜粋した用例も収録。2文字以上のつながった文字もあわせて学習できるよう設計されています。

昔は同じ単語でも本や文章によって違うかな文字が使用されていることもあったので、こうしてさまざまな用例を比較しながら学べるのは助かりますね。

 

こ(己)の用例

「こ(己)」の用例集にある「まこと」の用例。「ま」の字母が「真」と「満」で異なっている

 

文字を学んだ後はテストで確認もできます。テストは10問出題のものと、19問出題のものの2パターン。全問正解までは根気強く覚える必要がありそうです。

 

私も19問のテストにチャレンジ!

 

19問のテスト画面

テスト画面。出題されるのは変体仮名のみ

 

結果画面

結果発表後、SNSでシェアする機能もある

 

結果は19問中11点……まだまだ勉強が必要のようです。

 

「よむ」メニューで原文を読んでみよう!

「よむ」メニューでは、古文の授業でおなじみの『方丈記』や江戸時代に遊ばれた『しん板なぞなぞ双六』、江戸時代の刀工についてまとめた『新刃銘尽後集(あらみめいづくしこうしゅう)』の3つの書籍を読むことができます。
教材は随時追加予定とのこと。『新刃銘尽後集』では新撰組沖田総司が愛用した刀の作者とされる、加州清光の記載も。

 

よむメニューのトップ画面

「よむ」メニュー。3つの書物の一部を読むことができる

 

このメニューでは、「まなぶ」のメニューで勉強した知識を活かして、江戸時代に出版された本の原文に親しむことができます。各ページごとに翻刻文※も付いているため、原文のみ・翻刻文付きを切り替えて、正解を確かめながら読むことができますよ。

※翻刻文
古文書や写本など、くずし字で書かれた昔の文献を楷書に直し、一般に読める形にすること。

 

『方丈記』

『方丈記』の画面。翻刻文のボタンで表示を切り替えられる

 

『方丈記』翻刻文付き

翻刻文を表示した画面。活字と見比べながら読める

 

アプリには使用頻度が高い278字に対し、江戸時代の本から蒐集した用例3000以上を収録しています。この時代の本は木版印刷が主流。本によって文字の字体も変わるため、さまざまなパターンを比較できるのはありがたいなと思います。

 

「つながる」機能で一緒に勉強もできる

まだ実験段階のようですが、わからない文字を写真で共有し、読み方を尋ねる「つながる」機能も搭載。ひとりで黙々と勉強するのではなく、誰かと一緒に勉強できるというのは、学び続ける上で重要かもしれません。

 

「つながる」機能トップ画面

 

昔の文章を読んでみたい方はもちろん、今大学で古文を学んでる学生の方、町中で見かけるおそば屋さんなどの看板を読みたい方などなど……グローバルの前に日本の文化知識を深めるためにも、ぜひ一度古い日本の文字に触れてみてはいかがでしょうか。

 

【2017年1月11日(水)追記】
2017年1月10日から、パソコン・タブレット向けWebアプリケーション「みんなで翻刻」が公開されました。こちらは研究者と市民が協力し、古い地震資料に書かれたくずし字の活字化を進めようというプロジェクトです。
「みんなで翻刻」ではくずし字解読を学ぶことも可能。こちらの内容はKuLAとも連携しているので、KuLAで学んだことを活かして、地震研究に協力することができます。

 

 


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