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  • date:2016.7.27
  • author:中橋 由香

くずし字習得者の裾野を広げる 「くずし字学習支援アプリKuLA」の挑戦(後編)

アイキャッチ

近世以前のくずし字を学ぶために開発された「くずし字学習支援アプリKuLA」。前回は開発までの経緯と収録コンテンツについて語ってもらった。今回はアプリそのものの操作感やデザイン、さらに今後の展開について伺った。

 

アプリのこだわりは細部の操作やデザインに及ぶ。

アプリを開発する上で、使い心地の面もかなりのこだわりを詰め込んだという。
なるべくストレスなく学習できるよう、操作面でかなり細かな調整が入ったことは、実際のアプリを使っていても感じる。

 

「スマートフォンで使うため、小さな画面に出てくる情報の制御と操作感にこだわりました。
操作面では、例えば、次の文字に移動するとき。戻るボタンをタップする手間をへらし、スワイプで文字間を移動できるようにしました。
また、用例集にもスワイプで楽に移動できます。このあたりはモニターを募り、何度もテストしてもらいました。
収録資料を読むメニューについても同じです。

最初は5行くらいを一度に表示させていましたが、画面に表示する文字量は2行、多くて3行に制限しました。これもテスト時、多いとやりづらいという声を聞き、改良した部分です」

「け」の解説画面

用例や前後の文字にはスワイプで移動できる

 

次に、このアプリのアイコンや起動画面、飯倉先生の似顔絵などデザイン部分を担当したという平井さんに、デザイン面での苦労を伺った。

平井華恵さん(大阪大学博士後期課程)

起動画面やアイコンデザインを担当した平井華恵さん(大阪大学博士後期課程)

「アイコンデザインではまず、これがくずし字のアプリと分かること、学習アプリと分かること、親しみやすいことの3つを心がけました。とくに難しかったのは、文字を『読めるようになる』ことをアイコンで示すところですね。
書くアプリであれば筆やペンで『書いている』ことを表しやすいのですが、『読む』というのは絵にしづらくて……。しかし、くずし字そのものを全面に出してしまうと、学習アプリであることが分かりづらくなる。
いろいろなパターンを考えて、今のような、近世の和装本をイメージしたアイコンに落ち着きました。
また、「くずし字」とそのまま単語を入れることで、これがくずし字に関わるアプリだということを示し、マスコットキャラクターを追加することで親しみやすさを出しました」

 

平井さんデザインのアイコン

こちらが平井さんデザインのアイコン。わかりやすくかわいいデザイン

「起動画面の方は、アプリの操作画面がとてもシンプルなので、その雰囲気を受け継ぎ、シンプルさを心がけて制作しました」と平井さん。

 

なお、しみまるの声は飯倉教授が直々に担当されている。元々別の方の声の予定だったそうだが、しっくり来ず、先生に打診したところ快諾し収録してくださったそう。
アプリを使用する際はぜひ先生の声も聞いていただきたい。

 

まだまだ発展するKuLA。

今でも十分なアプリだと感じるが、KuLAはまだまだ進化予定なのだそう。
今後どのような発展があるのだろうか。

 

まずはアプリの実装部分を担当されている橋本さんから。
「次のバージョンでは海外向けに英語対応を予定しています。機能はどんどん強化していくつもりで、現在は試験運用中の『つながる』機能を大幅拡張する予定です。
今はFacebookで実名登録する必要があるので敷居が高くて……。それでもかなりの人が使ってくださっています。今後はTwitterやGoogle+アカウントでも使用できるようにする予定です。

 

また、現在は分からない文字をアップして教えてもらうことをメインにしていますが、欲しい資料を募ったり自分の持っている資料を紹介したり、アプリだけでなくブラウザからも閲覧できるようにして、情報蒐集のプラットフォームになるような使い方も考えています。

 

元々この『つながる』機能、研究者向けに実装したんですが、ふたを開けてみると、家にあった古い文献などを読んでみたいという一般の方にも利用されているんです。
意外と一般の人にも需要があるんだなと。学習だけでなく、くずし字を介したコミュニケーションツールとしても発展できたらと考えています」

 

橋本さんへ教材の追加について伺うと、「追加予定です。今のようなアプリに含む形ではなく、ユーザーが選択して追加ダウンロードできる、そういう機能を考えています。
また、読んで覚えるだけでなく、手でなぞって覚える機能も、構想としてはあります」とのこと。

 

テスト機能についても強化する予定だという。

 

「現在は仮名だけですが、今後は漢字についても対応予定です。収録文字や用例については今後もどんどん追加していく予定です」と久田さん。
収録文字についてはまだ検討中とのことだが、より深く学べるツールになるのは間違いない。

 

さらに! 近いうちにしみまる以外のキャラクターも登場予定とのこと。
増えるキャラクターについても見せていただいた。しみまるは笠間書院の編集者である西内友美さんがデザインしたキャラクターだが、次回追加予定の新キャラクターも、同じく西内さんがデザインしたとのこと。

 

どんなキャラクターなのかは、実装後、ぜみみなさんの目で確かめていただきたい。

 

追加されるキャラクターの資料画面

追加されるキャラクター。しみまるよりもすこし小さく、性格も違うキャラクターになるそう

「アプリに実装するか未定ではありますが、KuLAを入り口にして、翻刻化されていない歴史資料をみんなで翻刻するプロジェクトも考えています。古い文献をクラウドソーシングで翻刻していくものです。
海外では既にロンドン大学の市民参加型プロジェクトとして似たプロジェクトがあり、そちらは大成功しています。現在KuLAのダウンロード数は2万以上。それだけの人数が参加してくれれば、あるいはと」

 

2万人が参加する市民プロジェクト、そこまで行くとかなりの一大プロジェクトになるかもしれない。くずし字を覚えてそれを役立てられるようになれば、さらに学習者が増える可能性もある。

 

「これまでくずし字は、覚えて読む訓練をして、ようやく読めるようになるものでした。このアプリでその敷居をぐっと下げていければ」

 

今後も発展を続けるKuLA。今後のさらなる躍進に注視していきたい。

 

取材協力:大阪大学21世紀懐徳堂

 

【2017年1月11日(水)追記】
2017年1月10日から、パソコン・タブレット向けWebアプリケーション「みんなで翻刻」が公開されました。こちらは研究者と市民が協力し、古い地震資料に書かれたくずし字の活字化を進めようというプロジェクトです。
「みんなで翻刻」ではくずし字解読を学ぶことも可能。こちらの内容はKuLAとも連携しているので、KuLAで学んだことを活かして、地震研究に協力することができます。

 

 


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