ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

版画家のこだわりとコレクターの愛が凝縮された小さな紙片。関西学院大学博物館「カラフル!日本の蔵書票展」を訪問

2025年7月8日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

蔵書票をご存知でしょうか。その名前から想像のとおり書籍に関するものなのですが、本の持ち主を示すために、本の見返しに貼りつける小さな紙片を蔵書票といいます。持ち主の名前や、その人を表す言葉などを入れることが一般的ですが、中には凝ったデザインが施されたものもあります。そんな蔵書票を集めた企画展「カラフル!日本の蔵書票 -技ひかる小版画の世界-」が関西学院大学博物館で開催中と聞き訪問。関西学院大学大学院で研究を行いつつ、展示の企画を担当した深谷佳那さんに話を聞きながら、個性豊かな作品の数々を鑑賞しました。蔵書票がもつ多彩な魅力をご紹介します。

※展示の一部は前期・後期で入れ替えあり。取材・撮影は前期に実施

清水洋子による蔵書票。左の「桜草」(1984年)、右の「水仙」はいずれも縦10cm弱、横7cm前後のサイズ ※前期のみ展示

 

銅板や木版、家庭用印刷機など。多彩な技法で個性を表現

蔵書票の文化は15世紀のドイツで生まれ、1900年に日本へ伝わったといわれています。蔵書票は複数の本に貼りつけることから量産する必要があり、多くは版画で制作されました。今回の展示は、そんな蔵書票の版画技法の多様さと、そこから生まれる色彩の鮮やかさをテーマに企画されました。企画の経緯を、深谷さんは次のように語ります。「私の専門分野は美学・芸術学で、大学院では19世紀ドイツの画家を研究対象にしていました。研究を行う中で、ヨーロッパの蔵書票を目にする機会が多々あったのですが、作品はモノクロが中心。ところが、日本の蔵書票は色彩が豊かなものが多くあります。関西学院大学博物館には、蔵書票の収集家として知られる原野賢吉氏から寄贈された1万点を超える 蔵書票のコレクションがあるのですが、初めて原野コレクションを見たときは、『なんてカラフルなんだろう』と驚きました。その経験がこの企画展のきっかけの一つになっています」

話を伺った企画担当の深谷佳那さん

 

本企画展では、ヨーロッパから伝わった銅板やリトグラフをはじめ、ガリ版、ステンシル、日本ならではの型染など、さまざまな技法を使った作品が展示されています。

企画展は大きく2つの章で構成されており、第1章は「蔵書票と技法」として、10の技法を軸にして作品が紹介されています。その中から3つの技法をピックアップして、深谷さんに解説していただきました。

 

1)メゾチント

17世紀のドイツで生まれた銅版画の技法です。まず、銅板の表面に鮫肌のような細かい傷(めくれ)をつくります。このめくれにインクが付くことで印刷ができ、めくれがあることで、ビロードのような質感に刷り上がります。さらに、めくれを削ったり、平らにしたりすることで、明るさを表現することができます。

「モノクロでも黒色から白色へと、微妙な諧調をつくりだすことができるので、濃淡が美しい作品が多いです。銅版画の魅力のひとつは、線の緻密さ。手作業で表現される繊細な図柄が注目ポイントです」

深い黒が印象的なメゾチントは清水敦によるもの。左:張子(1994年)、右:こけし(不明)。※前期のみ展示

 

2)板目木版

小学校の授業でもおなじみの木版画。彫刻刀で板材を彫り、凸になった部分に絵の具がついて印刷することができます。「板目」というのは版となる板材の切り出し方によるもので、繊維と同じ方向に、縦に切った板材を使うのが「板目木版」です。なお、立木を輪切りにした板材を使うのは「木口木版」といいます。板目木版は長い歴史をもつ技法で、日本では奈良時代から活用されていたといわれています。

「板目木版で使う板材は柔らかいため、色を大きく紙にのせる図柄が得意。紙の上にペタッとのせられた色に温かさが感じられるため、かわいらしい図柄に合う技法です。ちなみに木口木版は、板材の繊維が締まって硬いため、繊細な線を描きやすい点が特徴です」

温かい色合いが特徴の板目木版。柳田基が制作した蔵書票。左:馬と曲芸師のおもちゃ(1989年)、中央:張子(1986年)、右:窓辺の雪山(1990年) ※前期のみ展示

 

3)新孔版

細かい孔(あな)のあいた版に、インクを落として印刷する「孔版(こうはん)」という技法があります。これをさらに手軽にしたものが「新孔版(しんこうはん)」です。新孔版は、理想科学工業株式会社が販売していた家庭用簡易印刷機「プリントゴッコ」に使われている技術で、今回の企画展で展示されている作品もプリントゴッコで制作されたものです。

「1977年に発売されたプリントゴッコは、年賀状の印刷道具として広く普及しました。その特徴は、1版で多色刷りができるところ。さらに版を複数用意し、順番に刷ることで細かい色の変化を表現することができます。2012年に事業終了してしまったプリントゴッコですが、ある世代の方にとっては身近で懐かしい道具ということもあり、鑑賞される方の中には、『プリントゴッコでこんな作品ができるなんて』と、驚かれる方も多くいらっしゃいます」

新孔版(プリントゴッコ)で制作された見代ひろこの蔵書票。左:雪のある風景(1963年)、右:ボート乗り場(1997年) ※前期のみ展示

 

このほか、着物に図案を描く染織技術「型染」や「合羽摺(かっぱずり)」、溝や孔をあけずに製版する「リトグラフ」などによる作品も展示されています。技法がさまざまなら、使われる色もさまざま。道具も材料もバラバラで、デザインも作風も多種多様です。蔵書票という小さな紙片の世界で、これだけバラエティに富んだ表現ができることに、圧倒されてしまうようなラインアップです。

 

聞けば、日本の蔵書票を求める海外のコレクターもいるとか。日本の蔵書票は、どうしてこんなに多様化したのでしょうか。

「蔵書票が多様化した理由のひとつは、明治時代後期に起こった創作版画運動であると考えています。この運動以前、江戸時代に大衆の間で人気を博していた版画といえば、浮世絵があります。浮世絵は、絵師・彫り師・摺り師(すりし)が分業制で制作するものです。しかし山本鼎(かなえ)という作家が1904年に発表した版画作品《漁夫》は、山本が作画から印刷まで、すべてを自分一人で手掛けました。版画の全工程を自分自身で行うことで、より自由に個性を表現しようとしたのです。これを機に、『自画・自刻・自摺(じずり)』を掲げる創作版画運動が世に広がり、版画の表現は豊かになっていきました。それが、蔵書票の多様さにも影響を与えているのではないかと思います」

 

創作版画運動を担った作家に挙げられる前川千帆、川上澄生、恩地孝四郎、棟方志功の作品は、この企画展でも取り上げられています。版画の新しい世界を拓こうとした作家たちの熱意が、作品から感じ取れるかもしれません。

 

集める人、広める人、交換する人。蔵書票に魅せられた人たち

企画展の第2章のテーマは「蔵書票を集める・愛でる人びと」。蔵書票をコレクションした人や、その普及に貢献した人にスポットを当てています。

 

蔵書票が日本に伝えられたのは1900年。そこからどのように広まっていったのでしょうか。そのきっかけの一つとしていわれているのが、文芸雑誌『明星』にオーストリアの画家エミール・オルリクの蔵書票が紹介されたこと。そこから広く認知され、文化として定着していく過程には、作家ではない人たちの尽力も関わっていました。

 

たとえば、愛書家向けの雑誌『書窓』の刊行に携わった志茂太郎もその一人。志茂は、創作版画運動の代表的な作家のひとりである恩地孝四郎と親交があり、『書窓』の装幀は恩地が担当していました。同誌では1943年から、蔵書票に1カ月のカレンダーをつけた「書票暦」を付録につけ、その普及に努めていたといいます。

企画展では、個性豊かな書票暦の数々と、恩地が装幀を手がけた『書窓』も展示されています。恩地は装幀家としても高い評価を受けており、一冊一冊異なる『書窓』の表紙はデザイン性が高く、モダンな雰囲気があります。

 

こうして蔵書票が浸透すると、「集める・愛でる人々」である愛好家たちも、蔵書票文化の発展になくてはならない存在でした。原野コレクションの主である原野賢吉もその一人で、作家に蔵書票の制作を依頼し、さまざまな蔵書票を集めるだけでなく、他の人たちと蔵書票を交換していたといいます。というのも、一般的に、蔵書票の発注は1つの図案につき50枚1セット。原野が残した蔵書票も残数わずかなものが多いそうで、蔵書票として使うことはもちろん、名刺のように誰かに渡したり、交換したりしていたことが考えられます。

 

コレクターたちの情熱は、蔵書票をまとめた書票集からも垣間見ることができます。凝ったデザインが施された分厚くて美しい書票集を見れば、蔵書票を大切に保管し、ときどき眺めていた持ち主の姿が思い浮かびます。

 

「原野コレクションの蔵書票には、作品の制作方法に関するメモが添えられてあります。これは原野氏が依頼した蔵書票を作家から受けとるとき、制作過程などについての話を聞き、それをメモされたものです。今回の企画展は技法をテーマにしていますが、本来、刷り上がった作品だけで技法を調べることは簡単なことではありません。この企画は、原野氏が技法を残されていたから実現できたともいえます」

 

作品はもちろん、それを生み出す作家への敬意が感じられる逸話です。原野や「書票暦」をつくった志茂のように、蔵書票をこよなく愛し、気鋭の作家たちを温かく応援する人たちがいたからこそ、蔵書票文化は広がっていったのでしょう。

「展示の企画と準備を通して、蔵書票には人をつなぐ力があるように感じました。作家と依頼者をはじめ、コレクター、本が好きな人、版画が好きな人などが、蔵書票を中心につながっています。さまざまな分野の人が集まることで成立し、発展していったというところが、蔵書票のおもしろいところだと思います」

 

楽しみ方はまだまだたくさん。広くて深い蔵書票の世界

第1章では技法、第2章では愛好家という切り口から蔵書票の魅力を紹介する本企画展ですが、版画家の作風を見るのも楽しみの一つです。「蔵書票は、発注する票主(ひょうぬし)の印象や依頼に寄り添った作品でもあります。人気作家や有名作家たちの、蔵書票でしか見られない表現を探すのも、おもしろい鑑賞方法かと思います」

 

企画展の出品リストには、前述した創作版画運動で知られる作家だけでなく、昭和を代表する作家や、現在も活躍中の作家などの名前が連なっています。中には、兵庫県神戸市で生まれ、連作『神戸百景』などを手がけた川西英の作品も。会場では川西の蔵書票をじっくり眺めている方もいました。

「今回は1930年代から2000年代に制作された作品を中心に構成しており、昭和らしさも感じられる展示です。川西の作品を見て懐かしく思う世代の方はもちろん、昭和レトロに興味がある若い世代の方にも、楽しんでいただけるかと思います」

 

ところで、蔵書票と同じく本の所有者を表すものに、日本の蔵書印を思い浮かべた方もいるのではないでしょうか。「日本は和紙文化なのでハンコである蔵書印が適しています。でも西洋の貴重書は革で装丁されているため、ハンコを押すことは難しいので、ので蔵書票を貼る文化が生まれたのだと思います。蔵書票だと、貴重書の所有者がほかに移ったときも貼り替えることができますから」

 

作品や技法だけでなく、歴史の面でも奥深い蔵書票の世界。企画展の会場はコンパクトですが、ずらりと並んだ蔵書票は見応え十分。蔵書票という限定されたテーマでありながら、技法・色彩・表現がとにかく多種多様で、広い博物館を一周してきたような充実感が得られました。小さな紙片の中に、作家や愛好家をはじめとするたくさんの人の物語が詰まった蔵書票。いろいろな発見がありそうです。

山盛りの野菜炒めを、もりもり食べよう!京都産業大学「やさい食堂イチマルイチ」

2025年6月10日 / 美味しい大学, 大学を楽しもう

京都市北区にある京都産業大学は、すべての学部がひとつの拠点に集まる「ワンキャンパス」の環境が特長の総合大学です。大勢の学生でにぎわうキャンパスには、9つの学生食堂があります。今回訪問するのは、2023年にオープンした「やさい食堂イチマルイチ」。野菜が主役の食堂とのことですが、どんなお料理が食べられるのでしょう。お腹を空かせて行ってきました!

山の上にある見晴らしの良いキャンパスへ

京都産業大学のキャンパスは、山の斜面に広がるような形になっています。バス停「京都産業大学前」が位置するのは、敷地の中でも低いところ。なので、バスから降りて南を見上げると、高台に校舎が並び建つのが見えます。やさい食堂イチマルイチがあるのは、高台にある10号館の1階です。まずはバス停の近くにあるエスカレーターに乗って上へ。それから、「K」のロゴマークが刻まれた時計台を左に見ながら少し歩いて、再びエスカレーターに乗って上へ。突き当りを右に曲がれば、すぐに10号館が見つかるはずです。

 

バス停に着いたときは、「10号館まで、階段を上って行くのかな」「これは体力を使いそうだ」と、少し心配しましたが、エスカレーターがあるので、階段をたくさん上る必要はなし。思ったよりも短時間&楽々で10号館までたどり着けました。

バス停の近くにあるエスカレーターで上へ

ひとつめのエスカレーターを上がったら、時計台の向こうにある2つめのエスカレーターへ

10号館には、「イチマルイチ」の看板とのぼりが立っています

たっぷり野菜が食べられる!野菜が主役の学生食堂

10号館1階には、イチマルイチの大きな垂れ幕が掲げてあります。入口に置いてある看板を確認すると、主なメニューは「とん汁」「カレー汁」「野菜炒め」の3種。単品で注文しても、定食で注文してもOK。さらに、この日は20食限定でまぜそばも注文できるようでした。

10号館1階のガラス扉から食堂の中へ。正面に食券機2台があります

 

小鉢or漬物がつく「ゴロゴロ野菜のとん汁定食」や、鶏肉・豚肉が入った「肉野菜炒め定食(中)」にも惹かれましたが、プレーンな野菜炒めを堪能するために、今回は600円の「野菜炒め定食(中)」を注文することにしました。なお、野菜炒め定食(中)は、野菜炒め300g+ごはん並200g+スープ、という内容です。このほか、野菜炒め200gの(小)、400gの(大)、500gの(大マシ)、600gの(大マシマシ)があります。また、ごはんを大盛りや鬼盛りにしたり、生たまごやゆで卵をトッピングしたり、単品で揚げ物を加えたりすることもできます。もしも肉野菜炒めを注文するなら、お肉の量を増やすことも可能です。

定食、単品、トッピングなどが選べます。券売機は現金のみ利用可能

食券を購入したらカウンターへ。カレー汁、とん汁、野菜炒めコーナーに分かれています

きざみにんにくを加えることができます。調味料コーナーには、コショウ、すりゴマ、魚粉なども

ガツガツ食べる幸せも味わえる「野菜炒め定食」

料理を受けとるカウンターの近くには、調味料のコーナーがあります。おなじみのコショウやマヨネーズのほか、きざみにんにく、魚粉、すりゴマ、たまり醤油などもあります。試しに、野菜炒めにコショウだけかけてみました。

「野菜炒め定食」600円。ごはんとわかめスープ付き。野菜炒めにはコショウをかけています

 

日当たりの良い窓側の席で、野菜炒め定食をいただきます!
この日の野菜炒めには、もやし、玉ねぎ、にんじん、キャベツが入っていました。こってりしているように見えますが、たっぷりのシャキシャキもやしがメインなので、重さは感じません。でも、軽すぎるわけでもありません。背脂がトッピングされているからか、まろやかなコクがあり、食べ応えがあるのです。この適度な脂のおかげで、ごはんとの相性もぴったり。肉がなくても十分にごはんが進む野菜炒めでした。

 

山盛りの野菜炒めは、もちろん一口や二口ではなくなりません。気付けば夢中でガツガツ食べていました。完食後は、お腹が満たされた多幸感に加えて、「お皿いっぱいの料理を食べた!」という満足感も得られました。今回は、お肉なしの定食を注文しましたが、次は「肉野菜炒め」も食べてみたい。大きな野菜がゴロゴロ入った「とん汁」や「カレー汁」は、寒い時期に食べると温まりそうです。


やさい食堂イチマルイチは、キャンパス内にある学生食堂「らーめん壱馬力」の運営会社がプロデュースしているお店だそうです。イチマルイチの味が気に入った人は、壱馬力の味も気に入るかも。ラーメン気分のときは、壱馬力を訪れてみても良いかもしれません。

広々とした空間には、約220席の座席が

日当たりの良い窓際の席もあります

大学アプリレビューvol.26 口の動きから言葉を読み取る。神奈川工科大学「読話クラブ」で、読話トレーニングに挑戦

2025年5月13日 / コラム, 大学アプリレビュー

皆さんは「読話」を知っていますか。読話とは、相手の口の動きを見て、話の内容を理解すること。聴覚障害をもつ人やその周囲の人にとって、大切なコミュニケーション手段のひとつです。もしかしたら、「初めて知った」という方も多いかもしれませんね。神奈川工科大学 情報学部情報工学科 画像情報処理システム研究室が開発した「読話クラブ」は、読話のトレーニングができるアプリ。初心者でも気軽に読話に親しむことができる内容になっていると聞き、さっそく体験してみました!

アプリで簡単に体験できる読話トレーニング

アプリを紹介する前に、読話のしくみを簡単に説明します。読話を行うときは、たとえば、母音「あ・い・う・え・お」を発音するときの口の形や、バ行・パ行・マ行といった子音を発音するときの唇の動きなど見ながら、相手の言葉を読み取り、何を伝えようとしているのかを把握します。読話だけで言葉を精密に読み取ることは難しいのですが、手話のように使用できる人が限られるわけではないところが利点。手話や筆談、補聴器と組み合わせることでコミュニケーションに役立てられています。

 

「読話クラブ」は、そんな読話のトレーニングができるiPad専用アプリです。アプリストアの概要欄には、「主に、難聴者やその家族、声による会話が難しい人と接する方々などにご利用いただき、コミュニケーションに役立てていただくことを想定しています」と書かれています。どんな風にトレーニングをするのか、使って確かめましょう!

「読話クラブ」タイトルページ

 

こちらがタイトルページです。メインのメニューは、[口形学習を行う]と[訓練を行う]と[試験に挑戦する]の3つ。初めて挑戦する人は、一番下の[レクチャーを見る]で、読話の基本をさらっと勉強しておくことをおすすめします。

 

それでは、上から順に挑戦していきましょう。まずは[口形学習を行う]から。

[口形学習を行う]>[音で口形パターンを学ぶ]

 

[口形学習を行う]には、[音で口形パターンを学ぶ]と[口形パターンの音を学ぶ]の2メニューがあります。上の画像は[音で口形パターンを学ぶ]。クイズ形式で口形パターンを学びます。「ぺ」の音は、口を閉じた状態から「エ」の音を出すので、答えは「閉→エ」ですね。テンポ良くさくさくクイズに答えていくうちに、口形学習の世界に慣れてきます。

[口形学習を行う]>[口形パターンの音を学ぶ]

 

続いては[口形パターンの音を学ぶ]。三角形の再生マークを押すと、無音で口が動く仕組みです。口形が「イ→ア」と変化する音はどれでしょう。答えは「ひゃ」と「じゃ」かな?……と思いましたが、残念、正解は「な」と「ひゃ」と「じゃ」でした。言われてみれば、「な」も、最初の口形は「イ」かも。ちょっと難しい……。

[訓練を行う]

 

タイトルページに戻って、次は2番目のメニュー[訓練を行う]を試してみましょう。単語例のボタンから単語を選び、再生ボタンを押すと、動画で口の動きを教えてくれます。

 

[訓練を行う]では、単語例だけでなくひらがな・カタカナを入力することで、その単語も発話してくれます。この機能には、画像生成AI技術が活用されています。たとえば「ぺ」という音を出すときは、口を閉じた状態から、「エ」という形に口形が変化しますね。それを表現するために、まず、口を閉じている画像と、「エ」の口形の画像を用意します。それから、「閉→エ」の間をつなぐ画像を生成AI技術で作成し、それらを並べて「閉→エ」と口形が自然に変化していく動画を作成します。そのような動画を仮名ごとに作成し、単語に合わせてつなぎ合わせることで、自動で発話動画が生成できるようになっているそうです。

[訓練を行う]単語を入力すれば、その通りに発話してくれる

 

ところで、読話の難しいところのひとつに、「同口形異音語」があります。これは、音は異なるけれど、口形は同じ、という単語のこと。「たばこ・たまご・なまこ」などがそれにあたります。音声が聴こえない場合、口形だけでこの3単語を区別するのは難しいのです。

 

……という話を聞いたので、試しにこちらで「たばこ」を入力してみました。3回動画を再生して、それぞれ頭の中で「たばこ・たまご・なまこ」と唱えながら見てみます。すると、びっくり! 3回とも同じ動画なのに、「たばこ・たまご・なまこ」と言っているように見えました。音声のない会話の難しさが実感できました。

[試験に挑戦する]

さて、もう一度タイトルページに戻って、最後は3番目のメニュー[試験に挑戦する]へ。

 

こちらは、口の動きを見て、選択肢の中から正解を選ぶ試験です。発話動画の下部分にある「音の数」「1音目」「カテゴリー」は、それぞれ答えにかかわるヒントです。おすすめは、発話動画だけ見て推理→ヒントを見て推理→選択肢から推理、という順番。選択肢を見る前に単語が当てられたときは、ゴールが決まったような爽快感が味わえます。

 

 

「読話クラブ」は、聴覚障害をもつ人だけでなく、誰にでもおすすめできるアプリ。ゲーム感覚で、楽しく読話を学ぶことができました。読話を知っていれば、聴こえづらい人とお話するときに、ゆっくり分かりやすく口を動かす配慮などができるはず。ぜひ一度、試してみてください!

 

 

管理栄養士と学生が運営する帝塚山学院大学「ダイニングコモンズ」で、栄養満点ランチを

2025年5月8日 / 美味しい大学, 大学を楽しもう

大阪府堺市にある帝塚山学院大学は、見晴らしの良い丘の上にキャンパスをもつ大学です。ダイニングコモンズは、2021年に誕生した同大学の学生食堂。その特長は、「食」を研究する食環境学部が、プロデュースを担当しているところです。専属の管理栄養士と学生が運営するダイニングコモンズで、栄養たっぷりのランチをいただいきました。

のんびりバスに乗って、丘の上のキャンパスへ

南海電鉄の「泉ヶ丘」駅からバスに乗り、10分ほど揺られていると、大学最寄りのバス停「はるみ小学校前」に到着。バスから降りれば、すぐそこにキャンパスがあります。大学名を掲げる校門を通って、なだらかな坂を上っていくと、ダイニングコモンズがある本館が左側に見えてきます。

キャンパスは、バス停「はるみ小学校前」から徒歩すぐ。大学名が書かれた校門を目印に

坂を上って左側に現れるのが、ダイニングコモンズが入っている本館

 

本館の中に入ると、右側にクリエイティブコモンズ、左側にダイニングコモンズがあります。食券の販売機があるので、どちらが食堂かすぐにわかるはず。伺った日は、メニューのサンプルを置いたショーケースも出ていました。

本館1階のエントランス。手前がショーケースで、奥が食券の販売機

ショーケースにはランチA・Bのサンプルが。エネルギー量などが掲示されています

 

この日は、ランチA・B(450円)、ラーメン(390円)、丼orパスタ(390円)などのメニューが掲げられていました。ランチA・Bは、メインのおかず・ごはん・汁物・小鉢1つを含めて450円とのこと。今回は、このお得なセットを注文することにします。ランチAのメインは「スパニッシュオムレツ」で、ランチBは「餃子の野菜あんかけ」。野菜がたくさん摂れそうな、ランチBの食券を購入しました。ちなみに、ごはんは大・中・小から選択可能。価格は変わりません。

食券の販売機は、現金・キャッシュレスに対応。ご飯の大・中・小はここで選択します

看板には「唐揚げ、フライドポテトtake out OK」の文字。テイクアウト用のお弁当も販売しています

広々としたダイニングコモンズ。お盆を取って食券をカウンターへ

 

カウンターに食券を出して、メインのおかず・ごはん・汁物をよそっていただいた後は、ショーケースから自分で小鉢を1つ選びます。この日の小鉢は6種類。生野菜サラダ、パンプキンサラダ、冷奴、プチケーキなどが並んでいます。どれもおいしそうでさんざん迷いましたが、結局「白菜とほうれん草お浸し」をお盆にのせました。

小鉢のショーケース。こちらにも、エネルギー量などが掲示されています

 

野菜たっぷり! 栄養バランスばっちりランチ

お盆を持って窓際の席へ。健康に良さそうな定食を、さっそくいただきます!

揚げ餃子が4つも入ったメインのおかずは、温かくて優しいお味。野菜あんかけには、椎茸、ニンジン、もやし、玉ねぎ、キャベツ、豚肉などが入っています。汁物は、大根とお揚げが入ったお味噌汁。小鉢の白菜とほうれん草のお浸しには、カニ風味のかまぼこが入って彩りを添えています。

このセットだけで、10種類以上の野菜やお肉を食べることができました。お腹いっぱいの満足感に加えて、いろいろな栄養をしっかり採った満足感で、充実した気持ちになりました。

「餃子の野菜あんかけ」(ごはん小)450円。小鉢は「白菜とほうれん草お浸し」

 

選べる小鉢で、楽しく健康的な食事を

今回は日替わり定食のランチを注文しましたが、ラーメンや丼orパスタも毎日メニューが変わります。1週間の献立を見ると、台湾ラーメン、豚たま丼、ミートソーススパゲティなど、多彩なラインアップでわくわくします。

ショーケースに並んでいる小鉢は120円で注文ができるので、ラーメンや丼に小鉢をプラスして、足りない栄養を採ることも可能です。もしくは、杏仁豆腐、ケーキ、みたらし団子などのスイーツが入った小鉢を選んで、デザートにするのも良いでしょう。「甘いものが食べたい」という気持ちを小鉢で満たすことで、余計な間食や食べ過ぎを防げそうです。

 

食環境学部プロデュースのもと、管理栄養士が運営を手掛けているとあって、栄養バランスの整ったごはんが食べられる学生食堂でした。ほとんどのメニューにエネルギー量が提示されているので、ダイエットを意識している人にもおすすめです。もちろん、味も量も申し分ないので、栄養やダイエットに関心がなくても満足できるはず。もしかしたら、そんな人でも、注文した料理のエネルギー量をなんとなく眺めたり、小鉢をあれこれ選んでいるうちに、健康的な食事に関心が出てくるかもしれません。そんな可能性も感じることができました。

ダイニングコモンズのフロア。学生の中には、2階のステューデントコモンズで食べる人も

森ノ宮医療大学の「葵ダイニング」で満腹ランチ!食後は「さくらカフェ」でデザートを

2025年3月11日 / 美味しい大学, 大学を楽しもう

森ノ宮医療大学は、大阪港に浮かぶ人工島・咲州に拠点を置く医療系総合大学。キャンパスは、大阪メトロ「コスモスクエア」駅から徒歩約1分でアクセスできる便利な場所にあります。敷地内にある学生食堂・カフェは、「葵(あおい)ダイニング」、「さくらカフェ」、「メディカフェ」の3施設。今回は、その中でも「葵ダイニング」が2024と聞き、「さくらカフェ」とともにお邪魔してきました。

毎日メニューが変わる!新校舎の「葵ダイニング」

コスモスクエア駅から大阪府咲洲庁舎へ向かって歩くと、人工運河の咲州キャナルが見えてきます。運河を渡って左側にあるのが、新校舎の「あおいポート」。2024年春に完成した建物です。葵ダイニングがあるのは1階。入口には看板が立てかけてあり、「一般のお客さまもお気軽に」と書いてあります。

通りに面したあおいポートの入口。葵ダイニングは校舎に入ってすぐ

 

葵ダイニングの広々としたフロアには、ソファ席やカウンター席など約が並びます。ガラスの壁面からたっぷり自然光が差し込むので、空間は明るくて開放的。学生や教職員、一般客が、思い思いのスタイルでお昼の時間を過ごしています。

メニューを決めたら、食券を購入しましょう。入口の右側に発券機があります

 

伺った日は春休み期間で、ダイニングは縮小営業中。選べるメニューは、「ランチA定食」「カレー/丼」「麺」の3種類でした。掲示されている1週間の献立を見ていると、「火曜日の『鶏肉と彩り野菜の黒酢あん定食』、食べてみたい!」「木曜日は『プルコギ丼』と『濃厚魚介ラーメン』で迷いそう」と、妄想が膨らみます。

 

授業がある期間は、選べるメニューに「ランチB鉄板」「イベントメニュー」「葵カレー」が加わります。選択肢が増えれば、わくわくも増幅しそう。毎日通える学生の皆さんがうらやましくなります。

 

この日は、ランチA定食「鶏の唐揚げとシューマイ定食」(580円)と、「欧風メンチカツカレー」(500円)を注文しました。学生価格と一般価格は異なりますが、学食ならではのリーズナブルなお値段です。

「鶏の唐揚げとシューマイ定食」。一般価格580円

 

「鶏の唐揚げとシューマイ定食」は、ごはん・みそ汁・小鉢がつきます。ごはんは100gから300gまでの5段階で選択可能。小鉢も選べるようで、この日は切り干し大根の煮物、納豆、みたらし団子など6種類が並んでいました。

 

今回選んだのは、ごはん150gと、ナスの小鉢です。カリッと揚がったメインの唐揚げがおいしくて、ご飯がすすみました。お肉も野菜も楽しめるのが、定食の魅力ですね。

「欧風メンチカツカレー」。一般価格500円

 

「欧風メンチカツカレー」は、お肉ぎっしりの大きなメンチカツが主役です。マイルド風味のカレーとサクサクのメンチカツを食べたら、お腹も心も大満足。このボリュームで500円、さらにみそ汁がつくのもうれしいです。

多彩なドリンクメニューが楽しい「さくらカフェ」 

食後にデザートが食べたくなったら、キャンパス内の「さくらカフェ」を訪れてみましょう。場所は、あおいポートから通りを挟んで北西にある校舎「さくらポート」の中。エレベーターで2階に上がればカフェがあります。

さくらポートの入口。カフェの看板が出ているのでわかりやすいです!

 

さくらカフェの魅力は、メニューが豊富なところ。スイーツならドーナツ、パンケーキ、ソフトクリーム。ドリンクならコーヒー、紅茶、ジュースやソーダ。お腹が減っている人には、パスタやカレーなどのフードメニューもあり。加えて、季節限定のメニューもあります。

「キャラメルパンケーキ」(300円)と「さくらミルクコーヒー」(レギュラー210円)

 

まずは、「キャラメルパンケーキ」と「さくらミルクコーヒー」を注文しました。さくらミルクコーヒーは、さくらフレーバーのソースがかかったデザートのようなドリンク。さくらカフェの看板メニューです。さくらミルク(レギュラー180円)や、さくらミルクティー(レギュラー210円)も人気があるそうです。

期間限定の「ミニアイスロールケーキプレート」(230円)と「バナナミックスジュース」(レギュラー230円)

 

もうひとつ、期間限定の「ミニアイスロールケーキプレート」と「バナナミックスジュース」も注文。ミニアイスロールケーキプレートは、「ちょっとだけ、いろいろ食べたい」という思いを叶えてくれるひと皿です。食後のデザートにぴったりでした。

南側の窓に面したカウンター席からは、咲州キャナルが見下ろせます

 

さくらカフェにも、テーブル席、ソファ席、カウンター席など、いろいろなタイプの席があります。一人で静かにお茶を飲んだり、友だちとお喋りしたりと、どんなシチュエーションでも快適に過ごせそう。伺った日は、お子さま連れの方もいらっしゃいました。

3つの学生食堂・カフェ。気分に合わせて使い分けて 

葵ダイニングも、さくらカフェも、一般客の利用を歓迎してくれるフレンドリーな雰囲気を感じました。空間や座席のタイプが多彩で、一人でもグループでも利用しやすいところも魅力です。

 

今回はお邪魔しませんでしたが、別の学食「メディカフェ」(食堂棟)もあります。10を続けている学生食堂で、日替わり定食メニューのほか、大学オリジナルの「森のカレーライス」や、焼き立てのパンなどがいただけて、こちらも一般客OKという食堂です。

 

満腹になりたいときや、軽く食べたいとき、コーヒーを飲んでひと休みしたいときなど、いろいろな気分に寄り添ってくれそうな学生食堂・カフェでした。

 

RANKINGー 人気記事 ー

  1. Rank1

  2. Rank2

  3. Rank3

  4. Rank4

  5. Rank5

PICKUPー 注目記事 ー

BOOKS ほとゼロ関連書籍

50歳からの大学案内 関西編

大学で学ぶ50歳以上の方たちのロングインタビューと、社会人向け教育プログラムの解説などをまとめた、おとなのための大学ガイド。

BOOKぴあで購入

楽しい大学に出会う本

大人や子どもが楽しめる首都圏の大学の施設やレストラン、教育プログラムなどを紹介したガイドブック。

Amazonで購入

関西の大学を楽しむ本

関西の大学の一般の方に向けた取り組みや、美味しい学食などを紹介したガイド本。

Amazonで購入
年齢不問! サービス満点!! - 1000%大学活用術

年齢不問! サービス満点!!
1000%大学活用術

子育て層も社会人もシルバーも、学び&遊び尽くすためのマル得ガイド。

Amazonで購入
定年進学のすすめ―第二の人生を充実させる大学利用法

定年進学のすすめ―
第二の人生を充実させる …

私は、こうして第二の人生を見つけた!体験者が語る大学の魅力。

Amazonで購入

フツーな大学生のアナタへ
- 大学生活を100倍エキサイティングにした12人のメッセージ

学生生活を楽しく充実させるには? その答えを見つけた大学生達のエールが満載。入学したら最初に読んでほしい本。

Amazonで購入
アートとデザインを楽しむ京都本 (えるまがMOOK)

アートとデザインを楽しむ
京都本by京都造形芸術大学 (エルマガMOOK)

京都の美術館・ギャラリー・寺・カフェなどのガイド本。

Amazonで購入

PAGE TOP