大学では日々いろんな公開講座が開かれています。最新の研究内容だったり意外な豆知識だったり、参加してみるととてもおもしろいんですが、やっぱりちょっと敷居が高いかも……。
そういう方にもってこいなのが、コーヒーとお菓子をつまみながら学問を楽しむ関西大学の「ココロカフェ」です!
「ココロカフェ」は、レクチャーやワークを通して学問のおもしろさを知ってもらおうという対話型イベント。
参加者同士が交流したり、先生同士のちょっとコミカルな会話があったりするのが特徴です。ちなみに、参加者が先生にツッコミを入れてもいいそうです。
お邪魔したのは第1回ココロカフェ。今回のテーマは「笑い」です。
登壇したのは人間健康学部の森田亜矢子先生と、社会学部の北村英哉先生。
人間健康学部 森田亜矢子助教
社会学部北村英哉教授
森田先生は「笑い」を科学する専門家、北村先生は社会心理学や対人心理学が専門とのこと。
「笑い」には楽しくない「笑い」もある
私たちが笑うのは、おもしろかったり楽しかったりするときだけだと思いがち。
しかし森田先生は「怖い時や不安な時も人間って笑うんです」といいます。そのほかにも泣き笑いや何かをごまかすときの愛想笑いなど、実は楽しい・嬉しい感情以外でも人は笑うんだそうです。
さまざまな笑いの種類を分類
赤ちゃんから年配の方まで、人は何歳でも笑います。
生まれたばかりの赤ちゃんもほほえむことがありますが、赤ちゃんの笑みは作為の笑みではなくて、意識して笑っているわけではないとのこと。
人間は未熟な状態で生まれるので、生きるために笑顔で人の関心を得るのではないかという仮説もあるそうです。しかし近年、赤ちゃんは母親の胎内にいるときにも笑っていることが確認されたそうです。笑顔を作ることそのものが、人の本能にプログラムされていると考えられているそうで、いつから人は笑顔を作れるようになるのかは現在解明中なんだとか。
「笑い」が生まれるのは「ギャップがあるとき」
さて、人は楽しくなくても自発的に笑うことができます。どうやら笑いには感情とは別の側面がありそう。
でも、意識していなくても思わず笑ってしまうことも。そういった笑いは何がきっかけになっているんでしょうか。
不安なときや怖い目に遭ったとき思わず笑ってしまうのは、恐怖や不安に別のものをぶつけて恐怖心を相殺するためでもあり、臨床にも応用されているそうです。
恐怖を感じる状況下などで感じるストレスを笑いの題材に変え、ストレスを緩和する。そうすることで人はストレスを乗り越えてきたといいます。
また、自分の認識と現実に「ずれ」があるとき、人は思わず笑ってしまうんだそうです。
ワークショップで笑いのメカニズムを体感しよう
今回ワークショップではこのずれの理論を実際に体験しました。まず配布されたシートに描かれている「いつ」「どこで」「だれが」「だれと」「なにをしたか」という質問に沿って、思いついた単語を当てはめていきます。
配布されたシートを埋めていく
そしてグループ内で単語をシャッフルし、全く別の文章を作り上げるというもの。
でき上がる文章はもちろんちぐはぐ。そこに生じるギャップが笑いを誘います。
とても簡単なワークですが、あちこちのグループから笑い声が上がっていました。
参加者のほとんどは初対面。年齢も立場も違うというグループばかりでしたが、ワークショップをきっかけに会話が弾んだグループもあったようで、楽しくワークを進めているの印象的でした。
最後に各グループごとに渾身の一文を発表。現実ではあり得ないような文章に思わず笑ってしまう人も
こういった試みは初めてということでしたが、先生1人の講演や複数人が議論するシンポジウムとは違い、異なる専門の先生がそれぞれに話を振りながら1つのテーマについて話していくというスタイルがおもしろかったです。
1つのテーマであっても先生それぞれ違う切り口で話が聞けるので、退屈せず、「なるほど」と思う場面もたくさんありました。
ココロカフェは3月中の木曜日夜もしくは土曜日午後に開催。すでにチケットは完売とのこと。次回開催は未定ですが、次期シリーズの可能性もあるそうです。
興味のある方は一度チェックしてみてはいかがでしょうか。