校章というと、どこも同じようなマークと思っている人も多いのではないでしょうか。でも、よくよく見ると、実はすごく個性的なのです! ギリシャ神話をモチーフにしたり、時代劇の定番『水○黄門』の印籠みたいだったり、となかなかユニークです。
今回は、大学の魅力をよりニッチな角度からご紹介できればという思いから、大学の校章に注目して調べてみました。いろんな大学を調べてみると、建学の精神や、創設の歴史、などといった、その大学の特徴が校章から垣間みえてきます。
それでは、実際に使われている校章には、どのようなものがあるのでしょうか。
バリエーショにとんだ多くの校章の中から、ホトゼロ編集部で特に印象深く感じた4校をご紹介させていただきます!
星座をモチーフにした校章に込められた壮大なメッセージとは?
校章というと、漢字がモチーフにされているなど和風なイメージがありますが、なかには西洋的なモチーフのものも多々あります。京都産業大学の校章も、そのうちの一つ。同大学の校章はサギタリウス(射手座)という星座がモチーフです。
「京都産業大学の校章」(画像引用元はこちら)
なぜ、この星座をモチーフにしたのでしょうか? 調べたところ、公式サイトに「広大無辺な大宇宙を自由奔放に駆け巡る星々の姿は、新しい時代に、世界へ雄飛する若者への希望を表している」という説明文がありました。また、初代総長である荒木俊馬先生が天文学者であったことも、星座をモチーフにしたことと関係があるようです。
大宇宙を自由奔放に駆け巡るサギタリウスに、グローバルに活躍する若者たちを重ね合わせる。何ともダイナミックであり、ロマンチックです。小さな校章のなかに、こんな壮大なメッセージが込められていること、そして、そんなメッセージが込められた校章が今も大事に使われていることに、ちょっと感動してしまいます。
「三つ葉葵」の家紋がひときわ目をひく校章。徳川家とつながりが?
日本には戦国武将の家紋がたくさんあります。そのなかでも徳川家の「葵」は多くの人に知られている家紋。そんなとても有名な徳川家の家紋をあしらった校章をみつけて、興味津々となりました。埼玉工業大学の校章です。
「埼玉工業大学の校章」(画像引用元はこちら )
大学の正式名称は、学校法人智香寺学園 埼玉工業大学。智香寺学園の名前にもなっている智香寺は浄土宗のお寺で、徳川家康の生母を荼毘に附した地に建てられました。これが、徳川家の家紋「三つ葉葵」が校章のモチーフに使われている理由です。
さらに「三つ葉葵」には建学の精神が込められていて、若いうちに「使命感を養う」「人生観を養う」「連帯感を養う」の3つの理想を表現しているそうです。
徳川家の家紋に目が奪われてばかりでしたが、そこに込められた建学の精神は、「大学で学ぶ」ことについて、普遍的でとても大切なメッセージに感じられました。
徳川家と浄土宗の智香寺との歴史的なエピソード、さらに大学の建学の精神が込められている校章。
校章を調べることが、大学の魅力をさらに深く知ることにつながると、あらためて思いました。
ハンマーが描かれている校章-さきがけとなるあるコンセプトが!
大学の校章といえば、漢字をデザイン化したもの、葉や花が描かれたりしたものが多く見られました。そんな中でも少し変わった校章がありました。ハンマー(金づち)をモチーフにした、愛知県の豊田工業大学の校章です。
「豊田工業大学の校章」(画像引用元はこちら )
大学の公式ホームページの説明によりますと、ハンマーは「エンジニアリングハンマー」で「実践と産業界」を、羽根ペンは「学問と大学」を表しているそうです。
「愛知県」「豊田」「産業」のキーワードがそろうと、トヨタ自動車を思い浮かべる方がいらっしゃるのではないでしょうか。その推察どおりといいますか、この大学のルーツは、トヨタ自動車の創始者である豊田喜一郎氏で、1981年にトヨタ自動車により、将来の技術者の育成をするために設立されたそうです。
校章のデザインは、大学と産業界が良きパートナーになることを表しているそうです。
産業界の発展への願いが込められているように感じられました。
ふだん見かける校章とは少しちがう?! 有名デザイナーが手がけた校章
校章のデザインは、バラエティーに富んではいるものの、ある共通点に気づきました。デザインが左右対称であったり、円で囲まれていたり、という校章が実に多くあることです。
ここでご紹介するのは、左右対称でもなく円に囲まれているわけでもないデザインの獨協大学の校章です。
「獨協大学の校章」(画像引用元はこちら)
デザインをしたのは、有名なグラフィックデザイナーの松永真(まつなが しん)さん。松永さんの作品には、日ごろ私たちがよく見かけるデザインがたくさんあります。たとえば、食品会社の「カゴメ」や「カルビー」、ゲーム会社の「バンダイ」のロゴマークなども、松永さんの作品です。
公式ホームページの説明によりますと、「大学の前身である獨逸学協会学校(1883年創立)の時代から使ってきたドイツの花文字の"D"」をもとに作られたそうです。花文字とは、第二次世界大戦以前まで使われていたドイツ語(ドイツ文字)の書体の名前です。
なぜドイツかというと、大学の前進である「獨逸学協会学校」は、あの「鹿鳴館」が開館した1883 (明治16)年に、ドイツの言語と文化をとおして国際人を育てるという理念のもと創立されたのがルーツにあるからです。
こちらの校章にも大学の歴史と理念が込められていました。
「ほとんど0円大学」では、最新の研究や講座をご紹介することが多いのですが、大学の新たな魅力を発見するために、全国の大学校章めぐりをさせていただきました。
多くの大学で、校章に建学の精神や歴史、学びについての想いが込められていたことを、あらためて知ることができました。
出身大学の校章は知っているけど、込められている想いや意味を知らないという方もたくさんいるのではないでしょうか。筆者もその一人です。今回を機に母校の校章をくわしく調べてみようと思いました。本記事を読んでいただいた皆さまも、興味が湧きましたら、ぜひリサーチしてみてください。