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  • date:2021.3.23
  • author:谷脇栗太

学問×エンタメ! オンラインで学ぶ・楽しむ祭典『どこでも博物ふぇす!零』潜入レポート

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ちょっと敷居が高い学問の世界を、エンタメとして楽しんじゃおうというイベントがオンラインで開催されると聞いた。その名も「どこでも博物ふぇす!零」。これは放っておけない! ということで、2021年1月30日〜2月14日に開催されたこのイベントに潜入取材した。

学問で交流する人気イベントがバーチャル空間に

動植物の標本や化石、美しい鉱物、あるいは夜空の星座や物理法則をあらわした数式。自然界はいろいろな美しさ・楽しさに溢れている。眺めているだけでも楽しいけれど、学問的な背景を知るともっと楽しい。そんな知的好奇心を存分に満たしてくれるイベントが「博物ふぇすてぃばる!」だ。

 

デザイナーやアーティストから、大学などの研究機関所属の研究者まで、自然や学問の魅力にとりつかれた人々が一堂に会し、グッズの販売、展示、講演などを通して交流する。東京の科学技術館を会場として2014年から毎年開催されている人気イベントだが、今回は会場をオンラインに移し、「どこでも博物ふぇす!零」として開催。バーチャル空間ならではの仕掛けを盛り込んだ内容になっているそうだ。

 

ということで、自宅のPCからバーチャル会場に潜入!

 

まずは物販ブースを歩き回ってみよう。並んでいるのは単にかわいいだけでなく、ちょっとマニアックなラインナップや細部へのこだわりがキラリと光るものばかり。掲示されているQRコードを読み込むことで外部の通販サイトにつながり、好きなグッズを購入することができる。

古生代カンブリア紀の生き物をモチーフにしたグッズたち。みんな大好きアノマロカリスがお店番

古生代カンブリア紀の生き物をモチーフにしたグッズたち。みんな大好きアノマロカリスがお店番

星座を模したアクセサリー。「わりと正確な宇宙アクセサリー」という言い回しの安心感

天体モチーフのアクセサリー。「わりと正確な宇宙アクセサリー」という言い回しの安心感

とはいえやはり、かわいいは正義。タヌキとキツネの鼻先に癒される

とはいえやはり、かわいいは正義。タヌキとキツネの鼻先に癒される

 

ところで、さっきからチラチラと目に入っていたどこか生き物っぽい形をしたタワーが気になる。「放散虫」という看板に導かれて入口をくぐると……

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会場の真ん中にそびえる気になる塔……?

 

クリスマスのオーナメントのような造形が美しいプランクトン、放散虫の展示コーナーだった。この時は「中の人」のお一人、生物造形作家でアクセサリーデザイナーの横山隼さん(RC GEAR)が在廊していて、放散虫に関して来場者からの質問にチャット機能で丁寧に答えておられた。

青い放散虫のアバターが横山さん。出展者と来場者との交流もイベントの大きな魅力のひとつ

青い放散虫のアバターが横山さん。出展者と来場者との交流もイベントの大きな魅力のひとつ

 

これまでの「博物ふぇすてぃばる!」では、グッズを販売する出店者も関連する学問について解説や紹介をすることがルールになっていた(たとえばタヌキグッズを販売する際に、タヌキの生態についての解説パネルを作ってブースに掲示するなど。名付けて「ガクモンからエンタメ」)。今回のオンラインイベントでもそのコンセプトは活かされていて、楽しく学問のエッセンスに触れられるようになっているのが肝だ。

楽しく学べるバーチャル講演

イベントのもうひとつの目玉は、多彩なラインナップの講演。といっても堅苦しいものではなく、バーチャル空間を駆使した個性的な演出や、最新の研究成果を楽しく伝えるエンタメ性がふんだんに盛り込まれている。いくつか覗いてみたので紹介したい。

 

まずは、恐竜の3Dモデルをはじめ最新技術を活用して教育普及活動に取り組んでいる、福井県立大学 恐竜技術研究ラボの「VR恐竜シンポジウム」だ。骨格標本がずらりと並ぶ会場で、最新の古生物学研究についての発表を聴講した。

講演会場で大人気だったブラキオサウルスの骨格。落ちないように頭まで登って、向かいの骨格に飛び移る遊びをみんなでやっているところ

講演会場で大人気だったブラキオサウルスの骨格。落ちないように頭まで登って、向かいの骨格に飛び移る遊びをみんなでやっているところ

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フクイプテリクスの骨格(左)と、放散虫の一種ウビゲリナ・アキタエンシス(右)の3Dモデル

 

今井拓哉さんが研究しているのは福井県で2013年に発掘された原始的な鳥類、フクイプテリクス。恐竜から鳥への進化の過程を知る重要な手がかりとして研究が進められている。一方、芝原暁彦さんは有孔虫というプランクトンに関する研究を紹介。さまざまな形のものがあり、土産物の「星の砂」として知られているのもこのうちの一種。地層からたくさん見つかる小さな化石は過去の地球の環境変化を知る手がかりになるそうだ。

 

化石を拡大して展示したり、360度いろんな角度から観察したり、手に持ったり、上に乗ったり……現実ではちょっと難しいこともVRならば簡単に実現できるのが面白い。

 

続いて、なんとお笑いライブがあるということでお邪魔してみた。「科学コミュニケーター黒ラブ教授の濃厚科学お笑いライブヽ(´▽`)/体験版」。タイトルからしてはっちゃけている。

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研究者で科学コミュニケーターでよしもと芸人

 

この方が黒ラブ教授。某大学で植物やウイルスの研究をしている本物の研究者であり、研究者と一般の人とを橋渡しする科学コミュニケーターであり、吉本興業所属の芸人でもあるという濃厚なプロフィール。

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黒ラブ教授のボケに対して、コメント欄からツッコミや声援が飛ぶ

 

ネタはというと、「研究者あるある」と「日常あるある」と「覚えておくとカッコいい科学知識」を織り交ぜたやや強引な展開がクセになる。視聴者からのコメントも丁寧に拾って会場を沸かせていた。気になった方は是非YouTubeで検索を!

 

2週間のイベントの大トリを飾るのは、変形菌(真性粘菌)の研究者・増井真那さんの講演。変形菌と暮らして14年、研究歴13年という増井さん。なんと7歳から研究を始め、高校2年生で国際学術誌に査読論文が掲載されたそう。現在は慶應義塾大学に通う19歳だ。

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変形菌はこう見えて単細胞生物。同種の変形菌同士を混ぜ合わせると、ひとつに合体する場合と回避しあう場合がある

 

そんな増井さんの研究対象であり相棒的存在が、変形菌(真性粘菌)。小さな不定形の生物で、樹皮の下や落ち葉の下を這うように移動しながら有機物を食べ、時が来ると変形して胞子を飛ばす。変形菌はひとつの個体がふたつに分裂することができるほか、他の個体と出会うと混ざり合ったり、避け合ったりもする。自己と他者の区別はあるが、その在り方はかなりユニークだ。

 

終了時間が過ぎてからもコメント欄からひっきりなしに質問が飛び、それに丁寧に答える増井さんが印象的だった。筆者はというと、それまで当たり前だった自分という存在がなんだかふわふわ頼りなく感じられるのだった。

変形菌は今回のイベントのマスコット「推し博物」にも選ばれていて、あちこちで会場を侵食していた

変形菌(真性粘菌)は今回のイベントのマスコット「推し博物」にも選ばれていて、あちこちで会場を侵食していた

 

自然や学問への愛とこだわりに溢れた祭典、いかがだっただろうか? 今回ご紹介できたのはほんの一部だが、気になる出展者や出演者がいれば是非その活動を追いかけてみてほしい。そして、今秋の9月11日、12日には「博物ふぇすてぃばる!」のリアル開催が予定されている。会場は例年通り東京九段下の科学技術館とのことだ。


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