平安女学院大学のイルミネーション「アグネス・イルミネーション」は、12年目という息の長いイベント。最近では、「ああ、あのイルミネーションの大学か」と代名詞の一つにもなってきているとか。今年もいよいよ始まると聞いて行ってみた。
1年かけた力作イルミネーション
京都御所西にある京都キャンパス。今日、11月24日が点灯式とのことで、式典には企画から制作まで携わった学生による「イルミネーション委員会」のメンバーのほかに、多くの学生や教職員、さらには近所の人や通勤帰りのサラリーマンらしき姿もちらほら見える。
委員長の国際観光学部3年曽我部風花さんの合図で点灯。本館の前庭と通りに面した生垣にも飾り付けられたイルミネーションが一斉に輝き始め、感動の拍手とともにあたりは一気におとぎの国のようなかわいく不思議な華やかさに包まれた。
光の世界への入口
生垣や校舎壁面も使ったイルミネーションで道行く人も楽しい気分に
色遣いがポップな感じで、さすがは女子大生作。そう、平安女学院大学のイルミネーション最大の特色は、全部学生の手作り、というところなのだ。
今年のテーマは「煌めきの世界へようこそ! It’s showtime!!」。祝祭の雰囲気を華やかなサーカスのモチーフで表現した。「サーカスは華やかな非日常の世界。現実の世の中は激動してせわしないけれど、ここではそれを忘れて楽しんでほしい」(曽我部さん)
手作りとは思えない煌めき
準備にかかった時間は約1年。21名のメンバーで作り上げた力作だ。先輩たちの時代から使い続けてそろそろ寿命がきてしまったイルミネーションチューブライトが断線するなど、アクシデントやハプニングをみんなで乗り越えてきた。
メインゾーンを飾るサーカスの象やピエロなどは、園芸用の支柱を骨格にペットボトルを使って肉付けの造形をした上にチューブライトで飾り付けられている。象にしてもピエロにしても曲線の塊だから、ドライヤーをかけて熱でペット樹脂を柔らかくしながら整形するのは、かなり難易度も高く手間がかかる作業だったという。
ペットボトルで立体的に造形した苦心の作
苦労は多くても、イルミネーション委員会の活動は楽しい。来年は委員長になる予定の国際観光学部2年八重川真帆さんは、「初めての人も温かく迎えてくれ、一つになれる部活のような雰囲気が魅力」だったとか。一方、曽我部さんは「この大学でしか味わえないことがしたい」と、合格が決まってすぐ入ろうと決めたという。
伝統と挑戦が詰まってる
平安女学院大学のイルミネーションのそもそもは、2002年、学生たちが「平和の思いを広げていこう」と始めた「ピースツリー」だ。
1.5リットルサイズのペットボトル約300本からできた高さ3.5mほどのツリーは、青のLEDが凛として、会場でもひときわ目立つ存在だ。近寄って見ると、1つ1つのペットボトルに学生たちが寄せた平和への願いが書き込まれている。
ピースツリーとサーカスオブジェ
「お母さんが泣かない世界に」というメッセージもあった
委員会メンバーが授業終わりの教室を回ったり学内イベントなどの機会に学生たちにメッセージを書いてもらったペットボトルが、こうして命を吹き込まれ輝きを放っている。先輩から後輩へとバトンを渡され、毎年その美しい姿を見せているのだ。
伝統を受け継いで変わらないものがある一方で、先輩たちには負けたくないと新しい趣向にもどんどんチャレンジして変えていくのもまたアグネス・イルミネーションらしさ。
今年は人が近づくと反応して輝くアーチが、初お目見えした。大阪府立大学工業高等専門学校の学生とコラボして、人感センサーでコントロールしているという。センサーが敏感すぎて光りすぎるなど調整は難航したというが、華やかさを盛り上げるアトラクションになっている。
人感センサー付きアーチ。緑のクローバーに止まった赤い蝶々が光る
ペットボトルをメイン材料にした手作りのエコ・イルミネーションでは、昨年からさらにエコな取り組みもスタートした。大阪ガスと提携してカーボンオフセット、つまり、イベントで排出されるCO2量に見合った、温室効果ガス削減の取り組みへの投資を大学が行っている。
京都のど真ん中、京都御所西の一角をほんわかと優しく彩る手作りイルミネーション。ぜひ一度、訪れてみてください。なお、高槻キャンパスでも実施。こちらは、「Snow Forest ~丘の上のネコの大冒険~」をテーマに、広々としたキャンパスを美しく飾るという。