ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

  • date:2015.6.22
  • author:椎木伶奈

最新鋭工場でロボットがムダ無く生産! 大阪府大産のハイテクレタス「学園菜」【後編】

大阪府立大学「学園菜」

前回は、大阪府立大学の福田弘和准教授に「学園菜」が生産される植物工場ができた経緯や、なぜレタスなのか?を伺った。今回は実際に「学園菜」が生産されている植物工場と「学園菜」を扱うレストランを訪問!工場産野菜の安全性は?味は?栄養価は? 気になる「学園菜」の魅力に迫ります。(前編はこちら

安心安全で使いやすい「学園菜」

大幅なコストカットを可能にした最新鋭の植物工場。ここで生産されるレタス「学園菜」は、従来よりも高品質なものに仕上がっていると言うが、いったいどういうことなのだろうか? その秘密は現場が握っている! ということで、実際に生産から販売までの事業運営を担う、(株)グリーンクロックスの木村一貫さんを訪ねた。

 

株式会社グリーンクロックス 木村一貫さん

株式会社グリーンクロックス 木村一貫さんに工場産レタスについて伺う。

「まず、工場は病害虫の入る余地がほとんど無く、作業員の人数も出入りも最小限に抑えた、かなりクリーンな環境です。そのため、農薬を全く使わずに生産することができます。『学園菜』はいわゆる安心安全な農薬不使用の野菜であり、洗わなくてもそのまま食べられますよ。それに、ほとんど生菌類が付着していないので、腐敗しにくく日持ちするんです。家庭用の冷蔵庫保存でも、3週間程度は美味しく食べられます」

 

農薬の心配も洗う手間も無く、日持ちも抜群!! これは、多くの人がスーパーで生野菜を買う時に躊躇する点を見事に覆す、かなりうれしいポイントだ。かく言う私も、本当は毎食欠かしたくない程の野菜好きながら、忙しく働くようになってからというもの、洗うのが面倒だったり、すぐに傷んでしまうので買い溜め出来なかったりで、めっきり生野菜を買う機会が減った一人。それだけに、この点には大きく反応してしまった。そういうことなら是非、自宅の冷蔵庫に「学園菜」をお迎えしたい!

 

「また、露地栽培は天候との戦いですが、工場栽培ならその心配が不要。常に最適な環境にコントロールされた空間で、計画生産が可能なんです。生産量が一定であれば、固定価格で販売することができますし、味や品質も常に一定のクオリティのものを提供できます。私たちの工場ではレタスのポテンシャルを最大限に引き出すべく、肥料や水、光、温度を調整しているので、栄養価が高い上に、レタス特有の苦みを抑えた仕上がりになっています」

 

どんどん出てくる、「学園菜」の魅力。収穫後、行き着く先は?

 

「現在は、学内の販売所と地元堺市のスーパー、生協、インターネットで150~200円ぐらいで販売している他、学食や市内の飲食店、ホテルなどでもメニューに使っていただいています。一般の主婦の方には、アレルギーのある家族にも安心、苦みが少ないので子どもでも食べられるといった声をいただいていますし、飲食店やホテルのシェフには、価格が変動しないことや日持ちの長さ、いつでも味が一定といった点が、長期的に使っていきやすいと好評です」

 

何を隠そう、実は当初、私は工場生産の野菜に対し、自然の露地栽培に比べて何か人工的に操作してつくっているような、どことなく危険なイメージを抱いていた。しかし、よくよく話を聞いてみると、むしろ逆。工場ではクリーンな環境で植物の能力を活かし、安全で美味しい野菜をつくっているのだ。疑って申し訳ない……。それに、最近多く見られる、異常気象による価格高騰なんていう心配もなく、常に一定の価格、品質で安定供給されるという点も安心である。地域の人々も最初は嫌悪感や拒否反応を示す人も多かったそうだが、地道なプレゼンテーションの結果受け入れられ、今では大人気となっているのだ。

さらなる未来へ向けて

工場は一般の方も見られるように見学者用通路が設けられ、いつでも解放されている。ということで、一通り話を伺った後、私も足を運んでみた。そこから見えたのは、床から天井まで約9mもの高さに積み重なっている栽培ベッドの数々。赤っぽい独特の色味のLEDに照らされ、無数のレタスが整然と並んでいる様は圧巻の一言だ。この工場は正に総合大学ならではの、さまざまな科学技術の結晶。未来に思いを馳せた人々の、夢と希望が詰まっているのだ……。そう思うと、レタス一つひとつが一際輝いて見えた。

育苗室

苗の赤ちゃんを育てる育苗室

栽培棚

育苗室で育った苗は選別され、栽培棚へ。収穫まではすべて全自動だ。

さらに大学からの帰り際、「学園菜」を使っているというイタリアンレストラン&バー「Trattoria Primo Piano」に立ち寄った。なかもず駅に程近い一角で、一際オシャレな雰囲気を醸し出している。そこで、オーナーの大谷さんに「学園菜」との出合いを聞いた。

 

大阪府立大からすぐのイタリアンレストラン&バー「Trattoria Primo Piano」

大阪府立大からすぐのイタリアンレストラン&バー「Trattoria Primo Piano」

 

大谷昭徳さん

レストランを経営する株式会社ウィスキーキャット 大谷昭徳さん

「元々、工場が完成する前の研究段階の時に研究センターの方が来店されて、どういったレタスなら使ってみたいかなど、ヒアリングされたんです。その時は、甘くて、味がしっかりと濃いレタスが良いと答えました。それから試作品をいただいたり、『学園菜』がどういったものなのか説明していただいたり、工場が完成してからオープンまでの間に見学にも行かせていただきました。正直、始めは工場産と聞いて、安全なのか疑問でしたし、普通に畑で育ったレタスの方が美味しいだろうと思いましたよ。でも、実際に食べてみたら『学園菜』は美味しくて栄養価も高いですし、安心安全で便利ということで、正式にお店で使わせていただくことにしたんです」

 

実際に調理をしているシェフの七夕純一さんも、オーナーと口を揃える。

 

「Trattoria Primo Piano」シェフ 七夕純一さん

「Trattoria Primo Piano」シェフ 七夕純一さん

「やはり工場生産ということで、品質も価格も安定しているのが良いですね。季節に関係無く、甘味が強く、はっきりとした味わいです。無農薬できれいなので破棄する部分も無く、扱いやすいのも魅力。お客様にも美味しいと好評ですよ」

 

「学園菜」は見事に地元の方々に受け入れられていた。私も自宅に帰ってお土産にいただいたレタスを食べてみたが、確かに苦みが少なく、とても甘くてみずみずしい。シャキッと歯ごたえもよく、洗わずそのまま、何もつけずにパクパクと食べられた。

 

「植物工場研究センター」ではもちろん今現在も、植物工場の発展に向けてさらなる技術開発が進んでいる。今年度からは、大学の工学系分野と生命環境科学系分野の学生が副専攻という形で植物工場科学を選択できるようになるなど、今後はさらに多くの学部生や大学院生も巻き込んでいく方針だ。ハード面だけではなくソフト面もということで、今後ますます増えるであろう植物工場をきちんと管理運営できる、専門的な人材育成にも力を入れるのである。これから日本の植物工場がどのような発展を遂げるのか、私たちが口にする野菜がどう変わっていくのか、非常に楽しみだ。


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