大学に入学したら4年間はずっと研究と勉強!……とはいかず、早めに就職について考えなければいけない今の大学生。日本企業のほとんどが中小企業であるにもかかわらず、近年学生の大手志向が強まり、中小企業は人材の獲得に苦心しているという状況があります。
知名度が高い大企業に比べ、どうしても学生との接点が少なく、そもそも知られていないことがその一因です。そんななか、学生が会社案内を作ることで地元中小企業との接点を作ろうという「志プロジェクト」という取り組みがあります。今回はこのプロジェクトに取り組む大阪経済大学の杉本俊介先生のゼミに潜入! ミーティングを取材しました。
そもそも「志プロジェクト」とは?
志プロジェクトとは、富士ゼロックス株式会社が主幹となり、大学と企業を結びつけ、地域人材を育成しようとする取り組みです。もともとは2014年、多摩地域ではじまった多摩大学の「志企業の会社案内プロジェクト」が発祥で、学生が地元企業を訪問し、学生目線で学生向けの企業案内を作ることで、相互の交流を図るためにはじまりました。
この取り組みを全国展開するため、2015年からは富士ゼロックス株式会社が参画。2017年8月現在13地域20大学がプロジェクトに参加しています。
今回話を伺ったのは、大阪経済大学の杉本ゼミ。
12月7日は進捗確認のミーティングを実施。プロジェクトに関わるゼミ生と地域事務局を勤める株式会社アピックスの代表取締役である河村さんと常務取締役の川野さんが参加。
参加している3チームがそれぞれ進捗報告を行いました。
現在大阪経済大学では、3つのチームが会社案内の制作に携わり、それぞれ1度目の企業訪問を終えたところ。企業訪問で聞いた内容とその内容を踏まえ会社案内の構成などを発表していきます。
それぞれの代表者が進捗を報告
今回は印刷物ということもあり、ページ数や案内の構成についての質問や、それに対してアピックスの河村さんからアドバイスが送られる場面も。
紙への印刷を踏まえたアドバイスを行う河村さん(左)
さまざまなアドバイスに耳を傾ける学生
1度目の訪問を終えてすぐのミーティングでしたが、すでに次の企業訪問を予定しているグループもありました。
訪問した企業の色の違いはありますが、どのチームも企業を訪問し、真剣に企業の売りを考えページの構成などを考えているのが印象的でした。
社長の思いを受けて中小企業に対するイメージが印象が変わったという意見が多かったです。
学生と中小企業の接点を増やしたいという思いから参加した志プロジェクト
中小企業への就職も多い中、学生が企業訪問の機会がなく、実態を知らないことをどうにかできないかと思っていた杉本先生。たまたま志プロジェクトの存在を知り、ゼミ活動の一環としてこのプロジェクトへの参加を決意したそうです。
「大阪経済大学では中小企業へ就職する学生が多いのに、就職するまでそういった企業との接点が少ないことが気になっていました。私のゼミでは企業のCSR活動などを研究テーマにしていますが、授業でも大手企業を例にすることが多いので、学生が身近な企業について知る機会がなく、もったいないと感じていました」と杉本先生。
他にも、今の学生が大人と関わる機会が少ないことも、このプロジェクトに参加しようと思ったきっかけだったと杉本先生。
「今の学生が接する大人というのは、アルバイト先の人や親、先生と非常に限られています。社会に出る前の多感な時期だからこそ、人間性を磨く意味でももっと人に関わる機会を増やしたいというのも理由の1つです」
地元にもユニークで活発な企業があることを知って欲しい
印刷を司るアピックスの河村さんもこのプロジェクトに大きな期待を寄せるひとり。
「地域人材育成などの話を伺うと、やはり中小企業でのリクルートが難しいということを聞きます。地元にも優れた企業がたくさんある。今回協力いただいてる3つの企業はとても活発に活動されている、元気な企業です。学生の皆さんにはもっと地元企業を知ってほしいと思っています」
次回は2月の成果発表会が予定されています。こちらでは実際に案内を作った会社の方も参加するとのこと。
どんな会社案内が出来上がってくるのか、今から楽しみです。