ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

  • date:2016.8.5
  • author:松原ユウ

理系研究室は今、未来をつくってる! 明治大宮下教授に会ってきた。

理系の人って何してるんだろう?と、文系のみなさん、思ったことありませんか?聞いても分からないかもしれないけれど、直接聞けば少しくらい分かるかもしれない!ということで話を聞きに行きました。

答えてくれる先生は、人間の表現能力をコンピュータで拡張することを研究テーマにしている明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科教授の宮下芳明先生です。

宮下先生たちが技術協力をした、スマホでタッチ操作ができるダンボール製VR(バーチャルリアリティ)ゴーグル・MilboxTouchについても伺います。話の内容も出てくる言葉もかなり刺激的です。ではどうぞ!

理系の先生って何してるんですか?

松原 文系というか、一般の人には理系の研究者の方って、どんなことをしているのか実感がわかないのですが…。

宮下 たしかにそうですね。僕たちは総合数理学部という数学の学部ですが、一般の人からすると、「おじいさんが紙と鉛筆でむずかしい意味不明な数式を解いている」ような古くさいイメージで見られがちです。

松原 (う、ばれてる)はい。

宮下 古くさいどころか、「未来すぎる」から伝わらないんだと思ってます。

松原 (もっとわからん)……。

宮下 例えば、ギリシャ時代にアリストテレスがやっていた数学は、それはコンピュータ内部の演算原理そのものなのです。

宮下 研究の当事者たちも想像できなかったぐらい社会が変わるという点では、一番未来へぶっ飛んでるのが数学だと思います。アリストテレスも数千年後、コンピュータが出来るぜ!とは言っていなかったので(笑)。

松原 知らなかったです。タイムラグがかなりあるんですね。

宮下 そうですね。だから一般の人には実感がわきにくいかもしれない。あ、アラン・ケイさんって知ってますか?最初にパーソナルコンピュータっていう概念を考えた科学者なんですが。
当時、コンピュータは軍とか政府とか企業が持つ共有物で、個人が使うものっていう発想がまったくなかったんです。この絵、40年以上前のものですが、予言書みたいだと思いませんか?

アラン・ケイのパーソナルコンピュータのイメージ図  Children using proposed Dynabook, 1968

アラン・ケイのパーソナルコンピュータのイメージ図 
Children using proposed Dynabook, 1968


松原 すごい。iPadだ。

宮下 そうですね。アラン・ケイが提唱していた概念はかなりiPadと符合しています。A4サイズで、片手で持てるべきだとか。

松原 おお~。

宮下 こどもに与えても問題がなく低価格なもの。あとはネットワークに繋がらなければならないとか。この時代は今言うインターネットがなかったにもかかわらず、英語だけじゃなくて多言語の表示ができないといけないという記述もあります。iPad やパソコンが普及するずっと前から、科学者による構想が行われていたことになります。

松原 怖いぐらいです。

宮下 科学技術はみんな「未来すぎて伝わらない」ものですね。ドローンは第二次大戦中から研究されていますし、VRが発明されたのは60年代。3Dプリンターは1980年。
逆に言うと、科学者たちは、数十年後、数百年後ぐらいの未来であっても、それに貢献することを考えていると言えます。

人とコンピュータの関係はどうなるんですか?

宮下 世間で言われているのは、人が機械に仕事が奪われてしまう未来がやってくるといった話ですよね。まず、すでに改札で切符を切る人も、電話の交換手もいませんし、今に始まったことではない気がしています。

松原 その…もっと技術が発達した時に、人って何をするのかなって思うんですけど。人ってたぶん働きたい…と思うんですよね。

宮下 僕もそう思います。

松原 でも、何を働けば良いのか見いだせなくなりそうな気がして。

宮下 ほんと?(笑)

松原 はい(笑)。

宮下 そんなに不安がる必要はないですよ。例えば今もこの職(ライター)があるじゃないですか。パソコンやインターネットを駆使して文章を書いていますよね。

松原 でもなくなる仕事もあるしなぁとか…。

宮下 人間の表現力というのは上に上がっていくので大丈夫です。人はまだまだ表現力を高めることができます。たとえば、たくさんの人たちがボーカロイドである初音ミクをプロデュースできるようになったからといって、プロがたくさん失業したという話はあまり聞かないですよね。

松原 確かに。

宮下 むしろ人間の歌唱力は以前に比べ上がっているような気すらします。ボーカロイドのすごいところは、人間の声よりさらに高い声とか、あり得ない速さだとか人間にはできないだろうっていう表現ができるところだったりしますが、それに対抗してボーカロイドみたいに歌うのを本気でやっている人たちもいます(笑)。

松原 なるほど。拮抗してどんどん上がっていくんだ。

宮下 オリンピックの記録も止まってないですよね。人間は記録を更新し続けている。

松原 !!じゃあ、人ってちょっとずつ進化してるってことですか?

宮下 はい、身体能力も表現能力も、経済も社会システムも同じです。そんなに不安がる必要はありません。もちろん、パソコンやインターネットや携帯電話を拒絶しながらライターを続けるのがいま大変なように、「現状のまま」ということに固執しないほうがいいと思いますが。

松原 じゃあ、みんながもっと良い記事が書けるようになったり、良い表現ができるということですね。

宮下 そうです。僕たちは「表現の民主化」って言っています。

松原 みんな誰でもつくる人になるってことですか?

宮下 そうですね。僕たちは「創造的生活者」と呼んでいます。文章に限らず、音楽でもゲームでも、VRコンテンツについても、「表現の民主化」が起こってます。私たちのMilboxTouchについても、VRコンテンツを自由に開発できるようにSDK(ソフトウェア開発キット)を公開しています。


次ページでは、宮下先生の開発したMilboxTouchについて聞かせていただきました!

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