ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

  • date:2016.12.16
  • author:中橋 由香

理学部レンドに医学部レンド? 大阪大学限定本格コーヒー誕生の裏側

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これ、なんだかわかりますか?一見すると普通のコーヒーパックです。

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実はこれ、大阪大学生協から販売中の各学部をイメージした本格ブレンドコーヒー、その名も「阪大薫る珈琲 OU-COFFEE」。阪大でなぜコーヒー? 学部をイメージしたブレンドって? いくつも疑問が浮かんでしまい、直接大阪大学に尋ねてきました!

今回お話を伺ったのは、企画に携わっているクリエイティブユニットの伊藤雄一准教授と、コーヒーのブレンドを担当している株式会社matin/北摂焙煎所の宮﨑豊さん。いったいどんな経緯で阪大珈琲は誕生したんでしょうか。

「めっちゃがんばる人を応援する」心から生まれた阪大コーヒー

大阪大学といえば、関西では誰もが知る名門大学。学校をイメージしたものといえば、2015年にオリジナルウィスキー「光吹-Mibuki-」が販売されたのが記憶に新しいです。
今回ウィスキーではなくオリジナルブレンドコーヒーを出そうと思ったきっかけは何だったのか、伊藤先生に尋ねました。

大阪大学クリエイティブユニット 伊藤雄一准教授

大阪大学クリエイティブユニット 伊藤雄一准教授


「『光吹-Mibuki-』は限定で3000本を用意したのですが、ウィスキーブームもありすぐに完売してしまいました。また、ウィスキーは飲む人が限られていて、とくに女性はあまり嗜む人がいません。ブランド向上の取り組みの一環としてオリジナルグッズを出そうという動きがあるんですが、次に出すのであればウィスキーのような限定品ではなく、日常づかいできるものを作ろうということになりました。
ただ、阪大は、こう言ってはなんですが、観光客はほとんど来ない。そのため、グッズを作ったとしても外部の人が買わないだろうな、というのがありました。
なら阪大に所属する中の人のためになって、ちょっと話題性もあって、外への拡がりも期待できるものはなにか? と考えた時、コーヒーにたどり着いたんです」

学内の先生たちはコーヒー愛好家が多く、研究の合間や論文執筆のお供にしたり来客者へ出したりとコーヒーの出番は多い。そこで話題になるのが1つの目的なんだそう。

「お客さんにこのパッケージを出すと、『なにこれ?』ってなりますよね。そこで『阪大が出してるコーヒーやねん』といってもそんなに話が広がらないと思うんですね。ですが例えば『文学部のコーヒーやねん』って言うと『え?』って。『学部ごとにあるの?』って話になると思うんです。そこで『学部ごとにあるよ。理学部のブレンドもあるよ』なんて話になると、話題が広がりますよね。しかもウィスキーと同じく、パッケージには『真理を探求する』とか、『戦士たちに注ぐ』というコンセプトが書いてある。これおもしろいなって話になるんじゃないかと。じゃあついでに帰りに買って帰ろうかとか。そうやって拡がっていってくれることを期待しています」
そんな観点から、大学イメージのブレンドではなく、学部ごとのブレンドを作ろうという流れになったんだそう。確かに学部イメージと言われると、何となく気になってしまいますよね。

各パッケージの表と裏にコンセプトが書いてある。

各パッケージの表と裏にコンセプトが書いてある。


また、阪大の成り立ちも、このコーヒーが生まれた理由に関わっています。
「阪大はもともと大阪の財界や市民の力によって設立された大学。学問をする人を応援しようという気持ちが文化としてあります。先ほども言ったように、研究や勉強のお供としてコーヒーを嗜む人は多い。だからそこに寄り添い応援しようという気持ちでコーヒーを出した、というのもあります。総長も日頃から阪大に所属している人が阪大に所属して良かったと思える大学にしたいと話されているので、その考えも継いでいます」

阪大で頑張る人を応援したい、ということで、パッケージにはギリシャ文字24番目最後の文字「Ω」と「“大”阪大学は“め”っちゃ“が”んばる人を応援します」という言葉を掛けた「O・ME・GA」というキャッチコピーも。応援したい! という強い思いを感じます。

イメージからブレンドを考えるのはやっぱり大変

では実際、この学部イメージブレンドはどんなふうに作られているのでしょうか。宮﨑さんに伺いました。

株式会社matin/北摂焙煎所の宮﨑豊さん

株式会社matin/北摂焙煎所の宮﨑豊さん


「まず大学から各学部のイメージとシチュエーションをいただき、それをコーヒーの味でいえば何になるのか、自分の中でイメージを膨らませることから始めています」

学部ごとのイメージはウィスキー「光吹-Mibuki-」を作る際にとった学生アンケートの情報を活用。学生ならではの歯に衣着せぬ意見がたくさんあるそうです。
素人が考えても、形のないイメージからブレンドを作るのは大変では?と思うのですが、宮﨑さんに尋ねてみると、やはり「大変です」との答えをいただきました。

「新規オープンのカフェに出すコーヒーブレンドを依頼されることもありますが、おおよそオーナーさんの好みの味や、こういうコーヒーを出したいという希望があるので、それに沿ってブレンドを考えています。今回のように、理学部の『真理を追究する』みたいな、イメージとシチュエーションだけでコーヒーを作るというのは初めての試みでした。正直お話しをいただいた時は不安もありました。もちろんやるからにはしっかりやろうという気持ちでしたが」
とはいえ初めての試みなので、企画がスタートした当初はまずお試しとして理学部のブレンドのみを出すことに。

「今回のブレンドは通常カフェの看板メニューとして出せるクオリティのものをパックしています。イメージに合う生豆の選定から煎り方も変えて。例えば理学部は少し浅めの焙煎でコーヒー本来の果実らしさがあるタイプ、文学部は深煎りの苦みがあって濃いもの、という風にすべての学部で違うコーヒーにしています」と、かなりこだわりがあるようです。

初回に出した理学部のブレンドは少しクセがあるため、売れるか不安もあったそう。しかし、売れ行きは好調。8月の初回販売3000パックについてはすぐに完売したほどの人気だったそうです。理学部が好調だったことから11学部すべてのイメージブレンドを出すことが決まり、現在は、医学部、工学部、文学部、外国語学部、歯学部など、すでに8学部のブレンドが大阪大学生協から販売中です。

こういう学部のイメージものを出すことに反対意見はなかったのでしょうか。

「珈琲をグッズとすることに反対はありませんでした。ただ、試作のコーヒーを試飲して学部のイメージに合わないという話は出ました。例えば今度出す予定の工学部のブレンドなどは、結構まろやかで万人受けする珈琲なんですが、『めちゃくちゃ美味しいけど、スッキリしすぎで、工学部のイメージじゃないとか言われないか?』とか(笑)。
でも出来上がったものはどれも好評です。個人の好みもあるのでそこは仕方ないですが、『これから論文を書きます』というツイートに写真付きで阪大珈琲を載せてくれる先生がいたり、濃い珈琲が好きな先生が『僕は(所属は理学部だけど)文学部か~』って言ってくれたり」と伊藤先生。
個人の好みや気分で味を選べるのもこのコーヒーの魅力ですね。

取材時、私は理学部レンドをいただいたのですが、確かに普段飲むコーヒーよりも酸味が強い印象でした。ですが苦みが少なくて後味すっきり、取材中だというのについつい手が伸びてしまうおいしさでした。
ちなみにこの記事を書く時のお供には外国語学部レンドをチョイス。賑やかな味わいという説明通り、コーヒーらしい華やかな香りと味が楽しく、あっという間に1杯飲み終えてしまいました。

取材当時は4学部が発売中でしたが、12月15日には工学部、歯学部、法学部、経済学部が追加され、来年2月には薬学部、基礎工学部、人間科学部が登場予定とのこと。「阪大薫る珈琲 OU-COFFEE」は大阪大学内にある大学生協で1パック120円(生協価格、一般は126円)で購入できます。

皆さんもちょっとしたお土産や自分へのご褒美に、知的な気分で美味しいコーヒーを楽しんでみてはいかがでしょうか。私も今度コーヒー好きの母にお土産として持って行こうかなと思います。


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