ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

  • date:2015.7.29
  • author:一村 歩郁

研究の最前線にふれる!大阪大学×ナレッジキャピタル「わたしの研究、いま、ココです!」レポート

大きな窓が開放感をもたらす明るい店内、そこに老若男女問わず多くの人が集まっています。
この日は、ナレッジキャピタル「超」学校シリーズ「大阪大学×ナレッジキャピタル『わたしの研究、今、ココです!』」シリーズ開催日!

この講座は大阪大学の研究の幅の広さを知ってもらい、参加者と一緒に考え対話しようと大阪大学と一般社団法人ナレッジキャピタルが共同企画で行っているもの。会場は梅田グランフロント大阪北館内のナレッジキャピタル「カフェラボ」。好立地で仕事終わりに行くのにとても便利です!
また、1ドリンク制でお酒を飲みながら講義を聞くことも可能なので、講義だからといって肩肘張らずにリラックスしてお話しを聞くことができます。

そんな“わた研”、第2回「教育を経済学で考える」に行ってきました。

今回の先生は大竹文雄教授!
NHK Eテレの番組「オイコノミア」に出演中の大竹教授。番組中ではお笑いコンビ・ピース又吉さんとのゆるっとまったりした経済論が話題です。

大竹文雄 大阪大学特別教授 大阪大学社会経済研究所・教授

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大人気の今回は特別に普段の2倍ほどのスペースを使って開催

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経済学ってどんな学問?

「経済学ってお金のことばっかり考えている学問でしょ」なんて思っている人が多いように感じます。実はわたしもその一人でした。

しかし大竹教授は「経済学というのは人間の意思決定のありかたを研究して、世の中が良くなる、人が幸せになる仕組みを考える学問」だと言います。そう聞くと経済学が身近に思えますよね。

経済学を使って考える教育

大竹教授は、まず「小学校における教育は、日本人の価値観に影響はあるのか」と疑問を持ったといいます。
そこで「小学校の隠れたカリキュラム※における日本人への影響」の研究をはじめられました。(※隠れたカリキュラム・・・学問以外における教育のこと)

「日本人は、競争心が低く、お金を平等に分けることを嫌う性質の人が多い。これは先進国には珍しい性質」であり、はたしてこの性質はどこで形成されたものなのか。
調べていくうちに「競争のない教育」に行き着いたそうです。

競争のない教育とは、だれもが平等で、勝ち負けのない教育のことです。たとえば以前話題になった、かけっこに順位をつけない、お手々をつないでみんなでゴール。そんな教育方針は子どもたちにどんな影響をあたえたのでしょうか?
きっとどんな人にも平等に優しく、困っている人には迷わず手をさしのべる、そんな人を育てたくてはじめた教育のはずです。

ですが、実際に調査してみると驚くべき結果が出ました。

調査方法は簡単で、自身が受けた教育、自身の性格についてアンケート形式の質問に答えてもらい、その回答をいくつかの型に分け、分析していきます。
その結果、非競争型の教育を受けた人は、皮肉にも冷たい人間になってしまうというのです。
「具体的には、“貧しい人の面倒を見るのは政府の責任だ”“高所得者に対して多くの税を課すべきだ”という質問に対して、非競争型の教育を受けた人は反対意見を唱えます。
なぜなら、競争を否定する教育の背景には、人の能力は同じだという考えがあるからです。
この皮肉な結果についてわたしは、能力は同じなのだから所得が低い人は怠けている、あるいは能力は同じなのだから助け合う必要はない、所得再分配の必要もないという考えにいたってしまったのではないかと解釈しました」

なるほど。教育の与える影響は必ずしも意図した通りになるわけじゃないんですね。

(調査方法、結果ともに興味深いものでした。〈http://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/14e024.html〉から論文が読めるのでお時間あるかたはぜひ※全編英語ですのでご注意を)

熱心にメモをとる受講者の方々

熱心にメモをとる受講者の方々

他人のためにお金を使うと幸せになれる?

教育の話がひと通り終わったあと、教授がお金と幸福度について興味深い話をしてくれました。
それは自分のためにお金を使うより、誰かのためにお金を使った方が高い幸福度が得られるという話。実際に調査をして、こういう結果がでたようです。

ここまでお話ししてくれた大竹教授が一言。
「そこでオススメなのが大阪大学未来基金!寄付というかたちで誰かのためにお金を使ってみませんか?」
それまで静かだった会場が一気に笑いに包まれました!

講座が終わってからも教授は大人気。
受講者のみなさんがサインや握手を求め行列を作っていました。

講演後の大竹教授の元に行列を作る受講者のみなさん

講演後の大竹教授の元に行列を作る受講者のみなさん

 

実を言うと学校の授業以外で講義なんて受けたことがなく、全く理解できなかったらどうしよう・・・なんてドキドキしながら受講させていただいたのですが、右も左も分からないわたしでも知的好奇心がしっかり刺激された2時間になりました。

まだ大学の公開講座などに参加したことのないみなさん。なにも不安に思うことはありません、行ってみればとっても楽しく勉強できる場所です!

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