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  • date:2015.7.13
  • author:蔵麻子

京都市民と佛大生がつくる祇園祭。知られざる祭りの裏側に迫る

学生鉾巡行7051

祇園祭とは平安時代から続く日本の大祭。7月の1ヵ月間を通じてさまざまな行事が行われるが、特にクライマックスとなる宵山・山鉾巡行の前後4日間(7月14日〜17日)には国内外から多くの観光客が訪れる。今回、この祇園祭を裏方から支える町衆とも呼ばれる人々の中から、綾傘鉾保存会を取材。知られざる祇園祭の裏側をお届けする。

厄よけの粽(ちまき)はご利益にも注目!

祇園祭の起源は平安時代に始まった、厄よけ・無病息災を祈願する御霊会(ごりょうえ)だ。山鉾が巡行する今のスタイルができたのは室町時代。町衆と呼ばれる商工業者が私財を投げ打ち、町ごとに風情を凝らした山鉾を作るようになったのだ。山鉾の中には、長い歴史の中で姿を変えたり戦乱で失われた山鉾もあるが、綾傘鉾は550年以上前から今の形を保つ。現在33基ある山鉾の中でも2基しかない「傘鉾」であり、祇園祭当初の姿を今に残す古式ゆかしい鉾である。

 

また宵山前後の祇園祭に繰り出すと買いたくなるのが、各山鉾の会所で売られている「粽(ちまき)」。「ちまき」と言っても食べるちまきではなく、笹の葉で作られた厄よけのお守りのこと。主となる「厄よけ」のご加護に加え、「勝運向上」「学問向上」「夜泣き封じ」など山鉾ごとに独自のご利益が込められているのが特徴だ。ちなみに綾傘鉾の粽のご利益は、町内にある大原神社の信仰にちなんだ「安産・縁結び」。こうしたご利益に注目して粽を選んでみるのも祇園祭の通な楽しみ方なのである。

悪いモノが家に入るのを防いでくれるものなので、購入した粽は玄関の外側に飾るのが正解。1年経ったら購入した山鉾の会所に返しに行こう。難しければ神社の納札所に返却してもOK。八坂神社がベストだが近所の神社の納札所でも問題ない

 

知られざる後継者問題を、学生が救う?!

歴史ある祇園祭だが、実は後継者問題を抱えている。市内にオフィスビルや賃貸マンションが増え、町衆として祇園祭を支えてきた古くからの住民が郊外に流出してしまったためだ。綾傘鉾でも町衆として残るのは高齢者ばかりの6軒だという。しかし綾傘鉾保存会の方々の表情は明るい。というのも同保存会では佛教大学の学生・卒業生が、綾傘鉾の伝統を守るため奮闘しているからだ。

 

綾傘鉾保存会と学生をつないだのは、佛教大学歴史学部の八木透教授である。

「20年ほど前に私が綾傘鉾保存会の理事を務めることになり、有志の学生を募って祇園祭を手伝ってもらったのが始まりです。参加希望者が多かったため、2001年からは『祇園祭研修』という大学の授業にしました。受講者の中には『これが目的で佛教大学に来た』という学生もいて、嬉しい限りですね」。

 

八木教授の指導のもと、学生たちはまず大学で祇園祭について勉強。その後、現場実習として綾傘鉾保存会で粽作りから鉾の組み立てまでを手伝い、宵山の前後4日間(7月14日〜17日)は山鉾巡行や会所での粽の販売を担当する。取材日も45名の学生が集まり、保存会の方々と3800個の粽づくりに取り組んでいた。

 

興味深いのが、参加する学生のほとんどが京都府外の出身だということ。さらに同保存会には青年部があるのだが、そのメンバーのほとんどが佛教大学卒業生。「彼らは『祇園祭研修』をきっかけに保存会活動を続けているメンバーで、普段は京都外に住むものの、毎年祇園祭の時期になると近くは大阪や三重などの関西圏、遠くは関東圏から駆けつけて来るんですよ」と八木先生。参加した学生に少し話を聞いてみた。

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(左)佛教大学の八木透教授。専門は民俗学 (中)粽作りを手伝う学生たち (右)粽作りに参加した学生。左から秋山さん(広島出身)、林さん(福井出身)、下城くん(熊本出身)

 

「広島出身なので、祇園祭の裏方を体験できることなんてまずないと思って参加しました」と話すのは秋山香莉さん。「人の縁を結ぶ大切な粽なので気持ちを込めて作りました」と今日の作業を振り返った。林紀予さんは「歴史ある祇園祭を現代まで続けている京都って素敵。福井にある私の地元にも昔は祭りがあったらしいので、調べてみたいと思うようになりました」と、祇園祭を通じて故郷の祭礼への関心が増したことをコメント。また熊本出身の下城孔星くんは「祇園祭について学んだ知識を次の代に引き継いでいくのが大事だと感じています。卒業生の先輩たちが青年部として和気あいあいと活動してるのも憧れますね」と今の想いを述べてくれた。どうやら、京都の歴史や文化へのリスペクトが、彼ら学生たちと綾傘鉾保存会をつないでいるらしい。

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(左)鉾町の中でも町内に神社があるのは綾傘鉾だけ。祇園祭限定で佛教大学の学生が巫女姿や揃いの浴衣姿で粽を販売する (中)大阪から手伝いにかけつけた青年部の2人も佛教大学卒業生 (右)30年以上綾傘鉾を守り続けてきた寺田進理事長

 

綾傘鉾保存会理事長の寺田進さんも、佛教大学の学生や卒業生たちに大きな期待を寄せている。

「祇園祭の中には歴史に埋もれてしまった伝承や文物も少なくありません。しかし大学や学生さんが関わるようになったことで、明らかになることが増えてきました。綾傘鉾では数年前から祇園祭限定で、江戸時代まで活躍していたという大原巫女を復活させ、女学生の方に巫女役をお願いしています。また今年は青年部が貴重な版木を発見。彼らには我々の後継者として、次の世代の綾傘鉾保存会を作って欲しいと期待しています」。

 

後継者問題だけでなく、歴史や途絶えた伝統の復活にも一役買っている佛教大学の学生たち。あなたも京都で学ぶ・住む機会があれば、保存会をお手伝いしてみてはどうだろう。日本が誇る大祭を裏方から支える楽しさを、存分に味わえるはずだ。

 

 


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