ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

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  • date:2019.8.27
  • author:岡田 正樹

ほとゼロ主催「大学と社会とのつながりを考える勉強会」記念すべき第1回目のイベントレポート!

大学の取り組みや楽しみ方を紹介する「ほとんど0円大学」を運営して約4年。その間に得られた経験や発見を共有しつつ、各大学の広報担当同士のネットワークづくりにも寄与したいと考え、2019年7月17日、『大学と社会とのつながりを考える勉強会』をKANDAI Me RISE(関西大学梅田キャンパス)で開催しました。


第1回目のテーマは「挑戦する大学広報誌」。大学広報担当者による広報誌制作の裏側ほか、ほとんど0円大学編集部が大学ムック本制作に携わるなかで得た発見を紹介しました。

KANDAI Me RISE(関西大学梅田キャンパス)

KANDAI Me RISE(関西大学梅田キャンパス)

 

梅田の繁華街に佇むKANDAI Me RISEは落ち着いた雰囲気の建物。スターバックスも入っています。


当日は15名の来場者にお越しいただき、席もいい感じに埋まってきたところで勉強会がスタートしました。

MOOK本の魅力を大学広報誌に盛り込む

最初にほとんど0円大学(ほとゼロ)の編集長、花岡が発表。ほとゼロが編集したMOOK本『関西の大学を楽しむ本』(京阪神エルマガジン社)、『楽しい大学に出会う本 首都圏版』(ぴあ)、また企画で携わった『アートとデザインを楽しむ京都本by京都造形芸術大学』(京阪神エルマガジン社)を事例に、MOOK本の制作で得たノウハウを、大学広報誌の制作にどう応用することができるかを報告しました。

ほとゼロ編集長の花岡

ほとゼロ編集長の花岡

 

例えば花岡は、大学MOOK本を「価値提案型」と「ブランドコラボ型」の2タイプに分類。その上で誌面の内容・目的によってこの2タイプの手法を使い分けるなど、広報誌の新しい作り方を提案しました。

一口に大学MOOK本といっても目的は1つではない

一口に大学MOOK本といっても目的は1つではない

 

また京阪神エルマガジン社の熊本さんも登壇し、MOOK本について解説。「京都本」MOOKのブランド力は他地域でも浸透しており、実際、『アートとデザインを楽しむ京都本』は、品川の書店でも1店舗で70、80冊の売上があったそう。「今後も各大学とコラボ展開していきたい」と語ってくれました。

エルマガジンの熊本さん。「京都本」ブランドは東海道を中心に広がっている

エルマガジンの熊本さん。「京都本」ブランドは東海道を中心に広がっている

学生が参加する“有料”広報誌の可能性

続いて、京都造形芸術大学企画広報課の曽田さんが登壇。広報誌『瓜生通信』の特徴やねらいなどを語ってくださいました。


『瓜生通信』は年2回発行。最新の73号では話題の映画『嵐電』の監督鈴木卓爾氏(京都造形芸術大学准教授)や出演者の井浦新氏が登場するなど充実した内容の冊子です。

当日配布された『瓜生通信』を都度参照しながら、みなさん熱心に耳を傾けていた

当日配布された『瓜生通信』を都度参照しながら、みなさん熱心に耳を傾けていた

 

『瓜生通信』の最大の特徴は、誌面を学生と一緒に作っている点だといいます。指導教員をつけ、撮影、インタビュー、校正などのポイントを共有しながら学生とともに制作しているそうです。

『瓜生通信』の文章は全て学生が執筆しているというから驚きだ

『瓜生通信』の文章は全て学生が執筆しているというから驚きだ

 

また出版コードを取得してAmazonでも販売しています。「すごく売れているわけではない」そうですが、「バーコードを付けることに意味がある」と曽田さん。もらった人が喜ぶことに加え、学生も出版物を作っているという意識が生まれるといいます。


この『瓜生通信』ですが、「京都造形芸術大学」としてのブランド価値を高め、入学志願者獲得の一助になることが大切だ、と締めくくりました。

大学の研究成果をいかにして世に広めるか?

3番目の発表は立命館大学研究部研究企画課の矢野さんです。現在10号まで出ている研究広報誌『RADIANT』の創刊から現在までの取り組みを紹介していただきました。

立命館大学研究部研究企画課の矢野さん

立命館大学研究部研究企画課の矢野さん

 

もともと学内の各研究機関が独自に発行する冊子はありました。しかしイベント等で配布すると5冊、6冊となり、もらう方も荷物になります。そこで、研究を端的に紹介する、シンプルな冊子を作ろうということになり『RADIANT』が生まれたそうです。


創刊にあたっては他大学の研究広報誌などの傾向を調査。その上で、冊子のコンセプトや配布方法などを決めていきました。

フロアのみなさんは創刊の経緯や制作のプロセスを興味深そうに聞き入っていた

フロアのみなさんは創刊の経緯や制作のプロセスを興味深そうに聞き入っていた

 

また『RADIANT』制作のプロセスも紹介。写真を大胆に用いる『RADIANT』ですが、研究対象や研究進捗の違いによって、写真や試作品を豊富に所有する研究者もいれば、そうではない研究者もいます。その点も考慮してデザインをいかに工夫しているのか、具体例をまじえて解説してくださいました。


今後は冊子の認知度向上や配布先の拡大が課題とのこと。大学オリジナルグッズとともに渡すなどの取り組みをしているそうです。

立命館大学オリジナルグッズの一つ。地層の深さが測れるユニークな定規

立命館大学オリジナルグッズの一つ。地層の深さが測れるユニークな定規

大学から地域の魅力を発信!

事例紹介の最後は、大阪大学21世紀懐徳堂の肥後さん。21世紀懐徳堂とは、主に年間約130回におよぶ主催(企画制作)イベントの企画や運営、そして他部局主催の社学共創活動をサポートしている部局です。

大阪大学21世紀懐徳堂の肥後さん

大阪大学21世紀懐徳堂の肥後さん

 

そんな21世紀懐徳堂は、大阪大学がキャンパスを構える豊中市から「とよなか魅力アップ助成金」を得て『待兼山PRESS』というフリーペーパーを発行しています。助成金応募時、要項には「イベント等」と書かれていたそう。しかし「イベントは一過性で、参加者が限られる」のに対し、「紙媒体は長期的で、広範囲に発信できる」というメディア的な差に着目。「フリーペーパー」制作を掲げて応募し、見事に助成金を獲得しました。

大学の方針とも共鳴する地域貢献のために助成金獲得へ

大学の方針とも共鳴する地域貢献のために助成金獲得へ

 

よい意味で「大学っぽくない」ことや、地域の文化を伝えることをねらいにした『待兼山PRESS』。大学が位置する待兼山の奥深い魅力をわかりやすく紹介する内容になっています。

軽くて持ち運びもしやすい『待兼山PRESS』

軽くて持ち運びもしやすい『待兼山PRESS』

 

学外でも好評という『待兼山PRESS』ですが、肥後さんは「空き時間や電車での移動中にも読める手軽さ」がよいのではないかといいます。講座申込などの案内はせず、ただシンプルに、まちなかのフリーペーパーの1種として読んでほしい。薄く折りたたんで持ち運べるサイズ感も相まって、気兼ねなく手にとれるのだと語ってくださいました。

質疑応答~大学オリジナルお菓子を食べながらのフリートーク

フロアをまじえての質疑応答では、『瓜生通信』において教員はどの程度の頻度と責任で指導しているのか?『RADIANT』の予算立てはどうしているのか?『待兼山PRESS』の助成金の金額はいくらくらいか?といった質問とそれに対する回答が飛び交い、活発な意見交換がなされました。

複数の質問が出て活発な議論に

複数の質問が出て活発な議論に

 

その後、登壇者、フロアの参加者全員まじえてのフリートークタイムに。さまざまな大学が開発に携わったオリジナルのお菓子を食べながら、質疑応答の続きとなる話題や広報担当者ならではの共通の話題で盛り上がりました。

大学オリジナルのお菓子を食べながらのフリートーク。事前に想定していた以上の盛り上がりだった

大学オリジナルのお菓子を食べながらのフリートーク。事前に想定していた以上の盛り上がりだった

 

ちなみにこの日用意したお菓子は以下の通り。

1:三重大学×モンパクトル「伊賀忍者伝承のお菓子 かたやき小焼き」

2:近畿大学×UHA味覚糖「ぷっちょ 近大キャンパスアソート」

3:奈良女子大学×ドネー ドゥ ガトー「奈良漬サブレ」

4:大阪大学×UHA味覚糖「頭脳グミ」

5:近畿大学発のベンチャー企業株式会社アーマリン近大の「近大マグロせんべい」

6:近畿大学×UHA味覚糖「特濃ミルク8.2(近大ハニー)」

(「伊賀忍者伝承のお菓子 かたやき小焼き」、「奈良漬サブレ」、「ぷっちょ 近大キャンパスアソート」の実食レポートはこちら。また、「ぷっちょ 近大キャンパスアソート」開発の経緯を取材した記事はこちら

どれもやみつきになるような、おいしいお菓子だった

 

今回の勉強会は、発表者・来場者の方々のおかげで非常に盛況なイベントになりました。ご協力ならびにご来場、ありがとうございました。


参加者へのアンケートも実施したところ、他大学の広報活動の実際を知ることができる貴重な機会だった、といった感想もあり、全体としてもご好評をいただけたのかなと考えております。勉強会は、第2回、第3回と開催を予定しています。今後ともよろしくお願いいたします!

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