必要な文章量に絞り込んだ、「細マッチョ」な広報誌。
日本全国の大学が発行する広報誌を、勝手にレビューしてしまおうというこの企画「大学発広報誌レビュー」。第20回目となる今回は、大正大学が発行する「OHDAI」を取り上げます。
大正大学は1885年に創設された天台宗大学を起源とする仏教系大学で、旧大学令により仏教連合大学として設立されたのが1926年。2026年に設立100周年を迎える東京・巣鴨の文系大学です。今回取り上げるのは、そんな大正大学の広報誌「OHDAI」。「OHDAI」とは「鴨台」のアルファベット表記であり、「巣鴨の高台」を意味する名称なのだそう。
印象的で清潔感のある写真は健やかなキャンパスライフを連想させる
毎号巻頭に特集が生まれており、2018年10月発行の105号の特集は「What’s Local Creation? 地域創生の魅力と、おもしろさ。」です。全体を通して写真を中心としたレイアウトがなされており、文字数は少なめ。左開きの誌面の左ページに大きめの写真が配置されていることからも、印象的な写真で目を引き、コンパクトなテキストで内容を伝えるという手法を採用しているのだと思われます。ビジュアルの力が重要なレイアウトだけに、写真のクオリティはとても高く、丁寧なレタッチで清潔感のある写真に仕上げられています。
105号の特集では、地域創生を牽引する企業人へのインタビューや、地域創生を実践する第一人者と学生とのインタビューなど盛りだくさんの内容。いずれも、長々と読ませるというよりも最低限の文字数で伝えるべきことをシンプルに伝える方針がとられています。一般的に、コピーライティングは長く書くより短く書く方が難しいものです。この文章量で誌面が正しく機能しているということは、何を書くべきかの取捨選択を制作会社と大学とがきちんと精査していることの証明であるといえるでしょう。
美しい写真とコンパクトなテキスト。まさに贅肉を絞り込んだ「細マッチョ」な誌面です。小さな文字をびっしりと並べた広報誌も読みごたえがあるものですが、「OHDAI」のようにシンプル・イズ・ベストを追求した広報誌も、ひとつの方向性として十分に「アリ」ではないでしょうか。
全体を通じて絞り込まれたコンパクトなテキスト