ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

  • date:2015.7.22
  • author:南 ゆかり

学生ガイドとゆく140年の歴史。同志社大学今出川キャンパスツアー

オープンキャンパスで受験生に、ホームカミングデーで卒業生に、など、学生が案内してくれる大学キャンパスツアーが花盛りだ。そんな中、創立140年の同志社大学では、歴史ある今出川キャンパス、理系学部の集まる京田辺キャンパスともに一般の人も参加できるキャンパスツアーを展開している。今回は、今出川キャンパスのツアーを体験してみた。

一人でも予約なしでもOK 、土曜日の定期キャンパスツアー

京都にある国の重要文化財(国宝含む)の指定を受けている建造物は294件。もちろん都道府県別でいうとトップの数だが、それでも大学所有の建物ということになるとたった3件。そのうちの1件が、同志社大学今出川キャンパスにある5棟の近代建築である。

切妻屋根が美しい同志社礼拝堂(同志社大学提供)

切妻屋根が美しい同志社礼拝堂(同志社大学提供)

 

そう聞かされると見たいではないですか。

一般人も自由に出入りできるキャンパスなので風格ある外観はいつでも堪能できるのだが、残念ながらほとんどの建物の内部へは通常立ち入り禁止。そこでおすすめしたいのが、学生がガイドしながら案内してくれるキャンパスツアーだ。10名~100名の団体向けで予約制の「平日キャンパスツアー」の他、年に数回の日程で実施される「定期キャンパスツアー」が個人の気軽な参加にはおすすめ。予約不要で1名だけでも参加でき、平日のツアーでは入れない建物の中も見学できる。


ということで、さっそく定期キャンパスツアーに参加してみた。この日の参加者は50~60人といったところ。記念品の大学グッズとキャンパスマップをもらい、ツアーの説明と元気ハツラツな学生ガイドの自己紹介を受ける。その後、15人程度のグループに分かれていよいよツアー開始だ。

キャンパスツアーガイドの社会学部2回生 長穂智基さん、グローバル地域文化学部3回生 水谷優希さん

キャンパスツアーガイドの社会学部2回生 長穂智基さん、グローバル地域文化学部3回生 水谷優希さん

明治の空気を吸って、背筋が伸びるよう

同志社大学のシンボル的存在、クラーク記念館(同志社大学提供)

同志社大学のシンボル的存在、クラーク記念館(同志社大学提供)

 

明治から戦前にかけての近代建築と最近の近代的な建物が調和し、赤レンガの建物を緑陰が爽やかに彩る今出川キャンパス。2015年で創立140年という歴史の重みにあふれ、どこを見ても絵になる。学生ガイドに連れられ、5つの重要文化財のほか、国内大学の中で最大級の規模を誇るラーニング・コモンズなど、最新設備が自慢の良心館を中心にキャンパスを巡る。

良心館のラーニング・コモンズ(同志社大学提供)

良心館のラーニング・コモンズ(同志社大学提供)

 

平日ツアーは約1時間のところ、定期ツアーは1時間30分といくぶん時間に余裕があるのがうれしいところ。通常は入れないクラーク記念館や同志社礼拝堂にも入館でき、明治の学生気分を味わえる。クラーク記念館ではチャペルに案内され、その堂々としたしつらえや華麗なシャンデリアなどに目を奪われる。

クラーク記念館内部のクラーク・チャペル

クラーク記念館内部のクラーク・チャペル

 

一方、同志社礼拝堂では、荘厳な中にも温かみのある室内装飾や色ガラスを通してさしこむ光に魅入られる。色ガラスについては、同志社礼拝堂が大好きという、ツアーガイド歴3年となる水谷優希さんの、「晴れの日だと、バラのモチーフを通して床が輝き本当に美しい」という情報を付け加えておきたい。


両ポイントとも、ガイドから「それではお座りいただいて、じっくりお楽しみください」という一言がかかる場所。異次元感たっぷりの空間で、写真を撮ったり質問をしたり、一気に参加者のテンションも上がってくる。

どこかほっとする温かみと美しさに時間を忘れる(同志社大学提供)

どこかほっとする温かみと美しさに時間を忘れる(同志社大学提供)

バラをモチーフとした窓は必見(同志社大学提供)

バラをモチーフとした窓は必見(同志社大学提供)

キャンパスライフ満喫中の学生ガイドだからこそ

一方、学生ガイド側も、この「座る」ポイントで、自分の個性を発揮したフリートークを展開する人が多い。「ツアーの最初の段階で、どんなプロフィールのお客様なのかをつかみ、ニーズに合った情報の提供を心がけています」というのは、ツアーガイド歴2年の長穂智基さん。水谷さんも「受験生とそのご家族が多いグループだと、自分の学部で何を学んでいるかとか、受験勉強の経験談などを多めに盛り込みます」とうなずく。

1887(明治20)年竣工の有終館。当時は日本最大の学校図書館で「書籍館」と呼ばれた

1887(明治20)年竣工の有終館。当時は日本最大の学校図書館で「書籍館」と呼ばれた

 

所属学部も学年もさまざまな学生ガイドたち。建物の由来や歴史、機能などをしっかり学習した後、通算3回の先輩ガイドのツアーへの同行を経て、ようやく独り立ちできるという。決まった解説原稿があるわけではなく、どんな話題をどんな配分で盛り込んでいくかや、時間の余裕があった時に+αとしてどこを紹介するかなど、結構、ガイド一人ひとりの裁量に任されているのだそうだ。「歴史的な建物の解説だけなら職員がやってもいい。学生だからこそ伝えられる学生生活の雰囲気、キャンパスの居心地などを生の言葉で語ってほしい」と広報部広報課・角厚志さんは学生ガイド起用の狙いを語る。

ハリス理化学館の階段。手すりをこすると同志社大学に合格できるらしい?!

ハリス理化学館の階段。手すりをこすると同志社大学に合格できるらしい?!

 

ガイドが終わると、「一緒に写真撮ろう」とか握手やサインを求められることもあって、「いいツアーができたのかな、とすごくうれしい」と話す水谷さん。OBOGを案内することも多く、昔のキャンパスについていろいろと教えてもらえるのも楽しみの一つだそう。先輩からすれば、自分の学生時代の話を後輩にできるのって、かなりうれしいはずだ。一方、創部55年の歴史あるクラブ「喜劇研究会」に所属する長穂さんは、あえてツアーの最後あたりでお笑いをやっていることを披露して「あ、だから話がうまいんだね」と言ってもらえることを励みに精進しているらしい。

5つの重要文化財や良心館がどれだけステキでスゴイかという話は、ぜひ同志社大学今出川キャンパスに出かけて、学生ガイドの口から聞いてみてください。個性的で意欲的なガイドばかりなので、きっと充実した時間になるはず。

終了後は、烏丸通を挟んで西側の室町キャンパス・寒梅館にあるフレンチコースの楽しめるレストランなど、キャンパス内にたくさんある学食でいまどきの大学の味を堪能してみるのもよさそうだ(平日ツアーで学食探訪をするなら、昼のピーク時は避けること! 学生で満杯です)。

それともう一つ、長穂さんが好きだというポイント、パーパスロードもいい感じだったのでおすすめしておきたい。西門からクラーク記念館に続くメインストリートで、「ここを通らないとどこへも行けない」道。木々がどっしり、こんもり茂る中に赤レンガの建物がよく映えて、歩く人の足取りも「未来へ一直線」に見えてくる。ここからどこへでも行ける、大学のキャンパスってそういう場所だよねと、改めて実感できた今出川キャンパスの半日だった。

まっすぐに伸びるパーパスロード(同志社大学提供)

まっすぐに伸びるパーパスロード(同志社大学提供)

 

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