洗練されたデザインで多様な魅力を伝える一冊。
日本全国の大学が発行する広報誌を、勝手にレビューしてしまおうというこの企画「大学発広報誌レビュー」。第30回目を迎える今回は、桜美林大学が発行する「J. F. Oberlin Tokyo」を取り上げます。
学群制とメジャー・マイナー制度の導入、航空業界に特化したカリキュラム、女子学生比率の高さなど、独自の取り組みや特徴が目を引く桜美林大学。2021年には学園創設100周年を迎えました。広報誌「J. F. Oberlin Tokyo」でも、春と秋の2号にわたって総勢100人の卒業生、教員、在学生のインタビューを掲載。かなり読み応えのある誌面になっていました。今回ご紹介するのは通常の誌面構成に戻った第7号ですが、読者目線から紹介する特集記事やコンテンツによって変化をもたせたデザインなど、クオリティの高さを感じます。
第7号の巻頭特集は「その先に何が見える?」と題して、データサイエンスを取り上げています。最初の見開きでは、ビッグデータの活用によって日常がどのように変化するかを、イラストを使ってわかりやすく紹介。続くページで日本におけるDXの現状と展望を示した上で、「桜美林のデータサイエンス」を3ページにわたって具体的に解説しています。誌面に限りがあるのはいずれの広報誌も同じですが、自学の情報からではなく読者の日常生活に焦点を当てて語り始めることで、データサイエンスに対する関心が薄い人にも読みやすい編集だと感じました。
データサイエンスがもたらす暮らしをイラストで可視化
特集以降は連載企画が並びます。卒業生の紹介ページは落ち着きのあるレイアウトと書体でまとめる一方、イベント紹介や在学生向けのページはメリハリがあって活発な印象を受けます。「J. F. Oberlin Tokyo」は大学校友会の広報機能を担っていることもあり、読者は多岐に渡ります。企画内容と想定する読者に応じてデザインを丁寧に変化させることで、読んでいて飽きることがありませんし、大学(卒業生にとっては母校)の多面的な魅力が伝わるクリエイティブだと思います。
企画ごとに配色やあしらいが変化して読み飽きない
桜美林大学らしさを色濃く伝えているのが、巻末の1コーナー「いま・むかし」。今号は学内にある「パイプオルガン」を取り上げ、学園の過去と現在を紹介しています。桜美林学園は、キリスト教の宣教師だった創立者がアメリカ・オハイオ州のオベリン・カレッジに留学して、その教育思想に感銘を受けたことが名前の由来になっているそうです。在学生や卒業生はもとより、受験を考える高校生にとっても、大学の歴史と理念に興味をもつきっかけを与える良い企画だと感じました。
キャンパスの変遷とともに、変わらない理念も伝えている