先日、会場とオンラインで同時開催した大学広報勉強会では、Zoomによる発表の音声が乱れ、座談会のオンライン配信ができなかったなどのトラブルが発生しました。貴重な時間を割いてご参加いただいた皆様に快適な配信をお届けできず、大変申し訳ありませんでした。そこで今回は、当日のトラブルの原因と反省点について可能な範囲で振り返ってみることにしました。今後の再発防止に活かすことはもちろんですが、今後配信イベントを予定されている方にとっても有益な情報になるように思いましたので、レポートにして公開させてもらいます。
それでは、編集長の花岡と当日の配信を担当したスタッフによる振り返りの模様をどうぞ。
どんなトラブルが起こっていたのか?
花岡:まず、当日想定していた流れと、実際当日に起こったことを以下にまとめてみました。これをもとに、実際に配信でどんな問題が起こったのかを振り返っていきましょう。
<当日想定していた流れ>
会場では登壇者2名と進行役(ホトゼロスタッフ)が参加。Zoomでは登壇者1名が参加し、第一部では3名それぞれの発表、第二部では進行役を加えた4名が座談会を行った。第二部終了後、会場参加者で意見交換会を行った。
YouTubeでは第一部冒頭から第二部の座談会までをライブ配信する予定だった。
<当日起こったこと>
・開始時にYouTubeへの接続ができず、第一部の開始時間が10分ほど遅れた。
・3人目の登壇者(Zoom参加)の発表時に、音声にエコーがかかりほぼ聞き取れない状態が発生した。
・発表を一時中断したが音声は復旧せず、聞き取りづらい状況で発表を続けていただいた。
・第一部終了後にYouTube配信の接続が切れたため、第二部の配信は中止、会場のみで行った。
・全体として終了時間が1時間ほどずれこんだ。
配信担当(以下、担当):そのまえに一点いいですか? 今回、元々の予定では登壇者3名に会場に来てもらって、会場の様子をYouTubeでも配信する予定でした。その想定で会場の下見を行って、配線などを確認していたんですが、事情により1名がリモート登壇されることになってしまった。そこで急遽、YouTubeとZoomと会場の3点をつなぐ機材構成に組み替える必要があったんです。
花岡:ちょうど感染が急拡大している時期だったので、遠方から来てくださる予定だった登壇者の方とご相談して、リモート出演という形にしていただいたんです。それが決まったのは直前でしたね。
担当:そうなんです。それで本番ですが、実はイベントがはじまるまでに2つトラブルがありました。
まず、開始の2時間30分前に会場入りして設営とZoom、YouTubeのテストを行ったのですが、そこで1つ目のトラブルです。配信用に持ち込んだPC3台のうち、Mac2台がネット接続できないという問題が発生したんですね。はっきりとした原因はわかりませんが、会場のセキュリティ上の問題かもしれません。そこで急遽、残りの1台でYouTubeとZoom、そして配信用のソフトウェアのコントロールを行うことにしました。若干不便ではあったのですが、問題はないだろうという認識でした。そのままZoomの接続と音声チェックまでは滞りなく進みました。
ところが、本番30分前に2つ目のトラブルが起こりました。YouTubeへの接続ができなかったのです。結局、開始を10分遅らせてもらい、その間にエンコーダー(映像や音声を配信用のデータに変換する機材)を交換することでなんとか本番配信に漕ぎつけました。ただ結局テスト配信はできないままスタートしてしまったので、不安は大いにありました。
花岡:YouTubeにつながらなかったそもそもの原因は何だったんですか?
担当:エンコーダーに何らかの問題があったんだと思います。ただ、後日別の配信で同じ機器を使った際は問題なかったので、エンコーダー自体の故障というより、他の機材や回線との兼ね合いで何らかの問題が発生していた可能性もあります。同じ環境で再検証しないことには特定できませんが……。
(※後日、関係者を通じて会場に確認いただいたところ、同会場ではこれまで同様のYouTube配信は問題なく実施できているとのことでした)
花岡:ともかく第1部の発表がスタートして、お二人目までは問題なく配信できていました。ところが最後の方のリモート登壇の際にまたトラブルが起きてしまった。
担当:はい、リモート登壇の方の声にエコーがかかったようになって、発表が聞き取れなくなってしまいました。これが3つ目のトラブルです。ちなみにこれはYouTube配信だけの現象で、会場では問題なく聞き取れていましたし、本番前のリハーサルではYouTubeのテスト配信こそできなかったものの、YouTubeに送る音声自体はチェックして問題ありませんでした。ただ、リハーサルと本番とでPCやマイクといった機材の配置も変わっていたので、そのどれかがエコーの原因になったのかもしれません。本来なら、こうした可能性はリハーサルの時点で潰しておくべきでした。
花岡:登壇者の方には本当に申し訳なかったのですが、このトラブルは解決しないままなんとか発表を続けていただいて、第1部が終わります。それで休憩に入ったわけですが……。
担当:第2部までの休憩の間はエコーの解消に追われていたんですが、そこで4つ目のトラブルが発生しました。YouTubeの配信がまた止まってしまったんです。結局このときは原因が全くわからず、配信を復旧できませんでした。
花岡:そうでしたね。休憩時間を伸ばして対応してもらいましたが、復旧の見込みが立たなかったので配信はそこで終了という判断をしました。それで、YouTubeを観てくださっている方には、後日アーカイブを限定配信させていただく旨をチャット欄でご案内しました。原因不明ということですが、防ぎようはなかったんでしょうか。
担当:無線LANルーターなどでバックアップ用の回線を準備しておけば、切り替えて配信を続けられたかもしれません。今回は会場備え付けの回線を使わせていただけるということで、そこまでする必要はないかなと考えていたんですが……。
以上4つが、当日会場で起こっていたトラブルです。YouTube配信を終了して会場とリモート登壇のみで行った第2部は、とくに問題ありませんでした。
イレギュラーを想定し、余裕を持ったイベント運営を
花岡:はっきりと原因が特定できないトラブルが立て続けに起こったという印象ですが、全体を通して、次回に向けた反省点としてはどんなことが挙げられるでしょうか。
担当:振り返ってみると、当日の準備時間が十分ではなく、YouTubeに接続できないというトラブルに余裕を持って対処できなかったために、その他に気を配るべきことへの対応が十分にできなかったことが後々大きく響いたように思います。ここまで準備不足の状態で本番に入ることは普段はないので、気持ち的にはかなり不安でしたね。
そこで反省点ですが、今回は配信・音響まわりを2名のスタッフで対応していましたが、リモート登壇が決まった時点で、配信スタッフとその他会場の音響などを取り仕切るスタッフは切り分けて人員を増やすべきでしたね。人員を増やせない場合は、チェック・リハの時間をもっとしっかり取っておくべきでした。原因不明のトラブルもその時点で対処できた可能性があります。
もう少し込み入った技術的な話としては、会場音声と配信の音声の回線をどう組み立てればトラブルを減らせるのかという点も今後の課題です。会場の音声に関しては備え付けのスピーカーを使わせていただきつつ、回線の都合でBluetoohスピーカーも併用していたのですが、それがトラブルに繋がる不確定要素をひとつ増やす結果になりました。今回のような特殊な配信の場合は、会場のものは使わず、使い慣れた機材を一式持ち込んでしまうというのもひとつの方法だと思います。
花岡:昨今の情勢を考えると、イベントの企画段階でリモート登壇の可能性について、ちゃんと考えておくべきでした。ここらへんは、僕のツメの甘さですね……。他に印象に残っていることはありましたか?
担当:トラブルがつづく中で、個人的にとても助けられたことがありました。第二部の開始が大幅に長引いてしまったときに、登壇者の方が自発的に声をかけて、会場参加者の方々の自己紹介の時間にしてくださったことです。
花岡:あのときは本当に有り難かったです。会場全体で協力してもらい、登壇者、参加者の皆様には頭が上がりません。進行サイドとしては、YouTube配信で不具合が起こる中、視聴してくださっている方とチャット欄で状況を共有できたことも不幸中の幸いでした。あのとき本当はチャットを閉じておく予定だったんですが、対応が間に合わなくて開けたままになっていたんです。
というわけで、ホトゼロとして今後に活かすべき点を次のようにまとめてみました。
<今回の反省点>
・企画段階でリモート登壇など考えられる限りのパターンを想定し、事前準備と本番のギャップを可能な限り減らす。
・事前の確認と準備はできる限り念入りに行い、余裕があるならプレも一通り行っておく。
・イレギュラーが起きた場合はいったん立ち止まり、できる限りリスクの少ない方法を選択する。
・当日の準備時間は、準備に必要な時間だけでは十分ではない。何かトラブルがあったときに対処できるように、想定よりも長くとっておく。
――以上、配信トラブルについて振り返ってみました。今回の反省を活かして、次回からはより快適に、大学職員のみなさまに役立てていただける勉強会をめざしたいと思います。
今後とも、よろしくお願いいたします。