近年聞くようになったロハス。だけど、「詳しくはわからない…」「体によさそう・・・」「エコ…?」という方が多いのではないでしょうか。
今後も広まっていくであろうロハスを軸に、武蔵野大学環境学部の学生たちがコンセプト作りから取り組んでいるカフェが、武蔵野大学有明キャンパス内にあります。オープンして4年目。いままでの取り組みやこれからのビジョンについて、店長の足立さんにお話を伺いました!
ほとゼロ:こんにちは。今日はロハスをキーワードにしたカフェが大学内にあると聞き、お話を伺いに来ました。よろしくお願いいたします。
足立さん:よろしくお願いします。
ほとゼロ:どのようなことがきっかけで、ここにカフェを作られたんですか?
足立さん:ここはソトコトという雑誌を出している木楽舎という出版社が運営しています。武蔵野大学に新しいキャンパスが建ち、環境学部が入るということで声がかかりました。ここではロハスを軸に環境に関する活動をしたり、人と人とが繋がるイベントなどを行います。
ほとゼロ:そうなんですね。
緑を感じる広々とした空間。90席あります。
足立さん:学生のみが利用する学食ではなく、近隣の方にも気軽にご利用いただいています。不定期ですが一般の方に向けたイベントの開催もしています。
ほとゼロ:そうなんですね。最近だとどのようなイベントを?
足立さん:たとえば、夏祭りとか。盆踊りやお祭りが有明にはないので。お神輿まではいかないけれど、ヨーヨー釣りやわたあめの屋台をしました。
ほとゼロ:場所はここで?
足立さん:そうです。このカフェとテラスを解放してですね。バンドも入れて音楽も一緒に。音楽と食の繋がりですね。8月23日に1日限定でやりました。
ほとゼロ:楽しそうですね。
足立さん:あとは、7月の内1週間だけ七夕を。近所の子どもたちが短冊に願い事を書いたり、笹を装飾して楽しみました。
ほとゼロ:この辺りって住んでる方は多いんですか?
足立さん:ここ最近、急激に増えてきていると思います。近隣にもマンションがどんどん立っていて。前の通りを歩いている人も増えてきたし。
ほとゼロ:常連さんも増えましたか?
足立さん:おかげさまで結構増えてます。特に最近は夏休みということもあって、一般の方にもたくさん来ていただいてますね。子連れの方も多いです。
広いキッズスペースもありますよ!
ほとゼロ:学生も一緒に夏祭りなどのイベントをしたんですか?
足立さん:七夕では環境学部の子たちがやっている活動のひとつで、フェアトレード商品(途上国の生産品を公正な対価で買取り、継続的に輸入販売することで生産者を支援することを目的にした商品)であるバナナペーパーを広めているのですが、そのペーパーを使ってみんなで工作をしました。
バナナペーパー(バナナの茎と古紙を使った環境に優しい紙)で作ったアニマルクラフト
足立さん:あとはカフェから出る廃油でロウソクを作ってキャンドルナイトをしたり。ほかには、環境学部はハチを育てているので、採れたはちみつをデザートにして出したり、今年から菜園もはじめたので、ハーブやバジルを作って、ジェノベーゼパスタとかに使っています。
ほとゼロ:すごいですね。環境学部の学生全員が取り組んでるんですか?
足立さん:実際に会ったことのある学生は20人ぐらいかな?ひとりの先生がいて、その方が窓口なんです。学生との関わりのスタートは店を始めるときの内装からで、間伐材を使った店内の柱の装飾などは、学生たちのアイデアで出来ています。卒業していって新しく入ってきて、またその子たちが何かアイデアひらめいて出してくれて。七夕も最初からあったわけじゃなくて、おととしの学生が始めて、今年で2年目です。はちみつは今年からですね。
ほとゼロ:アイデアがいっぱいあるんですね。
足立さん:あとはテラス菜園をオープン当時もやっていましたが、今年から改めて始めました。普通の菜園と少し違うのはミミズを育てているところですね。野菜の皮や芯などと一緒に専用のプランターでミミズを育てています。そして、その土から染み出た水を肥料として菜園に使っています。ミミズは正に天然の肥料ですね。
なので、ちょっとずつ学生たちと関わることが多くなってきています。
よく見るとミミズがいます
菜園のバジル。たくさんできるので小分けにして配っているんだそう。
ほとゼロ:これからは何をしていきたいですか?
足立さん:すぐには無理ですけど、テラスの前に芝生があるのでそこか、中庭で芋掘りできるところを作りたいです。プランターじゃなかなか育たないんですよ。小さい頃芋掘りしましたか?
ほとゼロ:しました!楽しいですよね、いっぱい採れて。
足立さん:あれを有明の子供たちみんなでしたいんです。それをうちで料理して食べたいですね。
ほとゼロ:きっと喜びますね。
足立さん:あとは隣にある「水の科学館」には小学生たちが遠足でやってくるので、そういう場とも繋がっていきたいですね。近所の人や小学生、そして環境と食が有明キャンパスで繋がるような。
ほとゼロ:これから有明全体がまとまっていくといいですね。
足立さん:そうですね。みんなそういう考えは持っています。近所の人とも話すんですけど、なかなか土地に根付いている人が少ないんです。下町だったら町内会とかで仲良くなれたりすると思うんですけど、みんな基盤が違うので腰が上がらない。
そんな中、ロハスカフェARIAKEは大学との繋がりがあるので、そこを使ってこれからいろいろ出来るようになるといいなと思ってます。
ほとゼロ:なるほど。料理はロハスということでこだわりとかありますか?
足立さん:基本は手作りです。既製品のマヨネーズとかケチャップってすごくおいしいんですけど、がんばって手作りしたり。牛乳でなく豆乳を使ったりだとか。あとバターを使わないでケーキ焼いたりとか。料理もしっかりソースから手を加えて作っています。そういうところは意識しています。
ほとゼロ:足立さんが実践する「ロハス」ってどんなことですか?
足立さん:僕が思うのは、電気やガソリンなどのエネルギーを使わないことは大事だと分かっているけど、バスとか電車って必要だから全く電気やガソリンを使わずにはいられない。それと同じように野菜が身体に良いことは分かっているけれど、完全にベジタリアンにはなれない。ストイックな方法が続けられない時には、現実的に可能な範囲で歩み寄り長く持続させていく方法、それが「ロハス」なんじゃないかなと思っています。
ほとゼロ:なるほど。
足立さん:無理に意地張ってやってもストレスたまるじゃないですか(笑)。そんなことしてても、心が豊かにならない。理想の田舎暮らしでも、万が一倒れたときとかのために携帯一個ぐらいは持っておこうよって。それは悪いことじゃないし。江戸時代とか昔には戻れないから。話飛んじゃいましたね(笑)。
ほとゼロ:大丈夫です。とても分かります。
足立さん:まあそれぐらいのバランスでお料理もやってます。完全な自給自足はできないけど、手作りで出来るだけやりたいんです。冷凍されたものを温めて出すだけはいやだし、ソースは一から作りたい。学食だから低価格でおいしいものを出すっていう根底があるので、無理はしない程度ですよね。そこは正直にやっていこうと思ってます。
ほとゼロ:続けていけないと意味がないですもんね。メニューは何が人気ですか?
足立さん:学生に人気なのはタコライスですね。一般的なカフェで使っているサルサソースとかと全く違うと思います。チリコンミートは何時間もかけて煮込んで作っていますし、自信があります。
ほとゼロ:ではそれをいただいて帰ります!
タコライス750円(ライス小盛)
ということで、学生に人気のタコライスをいただきました!(筆者が胃腸の調子が悪くて小盛の写真ですみません…)
まずぱっと見て、野菜が新鮮です。それだけでポイント高い!おいしそう!まぜて一口食べると、とてもフレッシュなことに驚きます。ソースがふわっと口の中に広がるんです。そして酸味も絶妙。これは足立さんが自信を持つのも納得です。肉感がたっぷりあって、学食でこのレベルのタコライスは絶対ない。自然な風味でそれぞれがおいしいです。
手が込んでるなあと一口で分かります。染みるというか。手料理のタコライスという感じです。これから菜園が本格化していくと、もっとおいしくなるんだろうなあ…。他のメニューもとても気になる!私が学生だったら毎日くる!開放的な雰囲気も最高です。
取材前まではロハスってストイックそうだなあ…と思っていたのですが、ゆるやかに自分たちのできることを続けていくというスタンスにとても共感できました。
お話の途中でお金を得ることも大事だけれど、細く長くでも良いから続くことが大切とおっしゃっていたのが印象的でした。ロハスには持続可能という意味も込められているので、そこが大切なんですね。