「きれい…宇宙みたいだね」「貝殻にもみえるよ!(うっとり ☺️)
私たちが興奮を隠せなかったこの瓶の中身、実は“液晶”なんです!
うっとりとは程遠く、堅いイメージがある、科学。
そんな科学について学ぶイベント「中高生のためのUMEKITA科学塾」がグランフロント大阪内のナレッジキャピタルで行われました。
ナレッジキャピタル超学校シリーズの一貫として開催され、中学・高校生限定講座が開講されるのは初めての試み。今回は
「液晶を楽しもう!」
というテーマで開催されました。
液晶はトロトロ?!
私たちの身近にあるスマートフォン・テレビ・腕時計などに使われている液晶。でも液晶ってそもそも何でできているのか考えたことはありますか?
液晶はよく硬い画面のことだと思われがちですが、実は画面の内部に詰まっているトロトロした液状物質のことなんです。
こんな感じのトロトロ具合
今回はそんな身近であってもあまり知らない液晶について、講師の久保孝史教授(大阪大学大学院理学研究科)のもとで実験を交えて学んでいきました。
実験から液晶を知る
科学の中でも、“化学”の分野にあたる今回のテーマ。久保教授が登壇すると、参加者の中高生たちは少し緊張した様子です。そんな中、液晶についての講義のあと、実験がはじまりました。
用意されたのは、小さなびんに入った謎の白い粉(ヒドロキシプロピルセルロースといいます)、ほんの少しの水、そして竹串一本。
たったこれだけの材料で、ほんとに液晶なんて作れるのでしょうか?
ちなみに、今回の実験に使用したヒドロキシプロピルセルロースは、マーブルチョコのコーティングやグミにも使われているんですって。食べてもいいものが液晶になるなんて、不思議!(知らなんだぁ😕💭)
実験のお話に戻りましょう。
まず、粉の入ったびんに水をすべて入れます。
たった一滴足りないだけでも、きれいな結晶にはならないのだとか。化学はとっても繊細な世界なのですね。
つぎに、竹串でぐるぐるかき混ぜて、粉と水を均一に混ぜます。
ぐるぐる ぐるぐる…
実験に夢中の参加者たちと久保教授
実験途中の液晶ネバネバ
混ぜ続けていると、水あめのような粘り気が出てきました!
粉っぽさが無くなったら、しっかり蓋をして、完成。
え、これで完成? 白くてドロドロしたままなんですけど…と思っていたら、どうやら液晶が本当に出来上がるのは、一晩置いた後のようです。
ちなみに一晩置くと、こうなりました! なんと美しい✨
美しい七色のきらめきが素敵
液晶がこんなに簡単につくれてしまうなんて、驚き…😱!!!
では、そんな液晶はなぜディスプレイに使われるの?
液晶の性質を知るべく本日2回目の実験がスタート。
用意されたのは、小さなガラス板2枚と、一方向にしか光を通さないという偏光フィルター2枚、そして洗濯のり。
洗濯のりをガラス板1枚には縦、もう1枚には横に塗り、乾かして擦ります。次に2枚のガラス板の間に液晶を一滴垂らし重ね、その上から偏光フィルターをはさむと…
なんと液晶を垂らした部分だけ光が透けて反対側が見えるっ(偏光フィルターに勝利!)
向こうの机が見える!!!
これが液晶の力💪 !!!
ガラス板に擦り傷をつけることで、液晶の分子を溝にうまく並べることができ、光を通すという仕組み。また、液晶は熱や電気のON / OFFで光をコントロールできるんだそう。
私たちが普段使っているテレビやスマートフォンの画面は、こういった液晶の性質を利用しているんですね。
科学への驚き、感動がきっかけに!
最後に、今回のイベントに関して参加者のナマの声を聞きたい!ということで、突撃してみました🏃
「実験を通して、実際に目にしたことで化学を身近に感じ、楽しかった」と話してくれたのは、なんとまだ中学1年生の女の子。
そんなに早くから理系への進学を考えているのですか、と驚いていると、お母さんは、「というよりも、理系もちゃんと視野に入れているという感じです。高校の文理選択の前にこういったイベントへの参加を通して、『できない・わからない』だけで苦手を排除してしまうんじゃなくて、まず『楽しい』ということを感じてほしい」と話してくださいました。
たしかに、私たちも今回のイベントを通して、驚きや感動がきっかけとなって、「どうしてこうなるんだろう、おもしろい、もっと知りたい!」という探求心が生まれることを、身をもって体感しました。今回のようなイベントは、子どもたちがより多くの選択肢の中から、将来を選ぶ貴重な機会となることでしょう。
このイベントは第4回まで開催されるので、ぜひ参加してみてください!
取材協力:大阪大学21世紀懐徳堂