実はコレ、玩具ではありません。最小公倍数・最大公約数算出器です。東京理科大学 数学体験館にはこんな算数・数学の抽象的な概念を具現化した道具・装置がいっぱい。しかも実際に触って動かしてみることができるんです。数学が楽しい!? 数学に対する見方が180°変わるかもしれませんよ?
数学の理論には一切の妥協を許さない真実の美があり、その理論はあまりに抽象的で多くの人々はその美しさに気がつかないそうです。そこで数学体験館では数学の面白さ、有用性を具体的に表現するために定理や公式、概念を実感できる装置・教具・教材を開発して展示しています。そして、ここの館長を務めるのが長髪にバンダナ姿の「ヒゲの数学者」として知られる秋山仁先生。人気の先生が率いる施設と聞いて、それだけでも期待が高まります!
自転車、滑り台、造花…これが算数・数学の抽象的な概念を具現化したものとは!見ただけではわからない、触ってはじめてわかるんです。
館内には多くの数学の先生や併設の数学工房でスタッフがあの手この手を用いて作った展示品も。独創性の高いものばかりで、小学校で習う内容から大学で学ぶレベルまで、「なるほど、こんなものなんだ」とわかるよう演出に考慮しているそうです。
立体・多面体のコーナー。作品は手に取れる小さいものが多いけれどスタッフの力作ばかり。
最小公倍数・最大公約数算出器が展示されている展示広場「数学体験プラーザ」。面積・体積、立体・多面体、曲線といった算数から、ゲーム・パズル、美術・音楽まで12のコーナーに大小さまざまなものが並んでいます。
展示品の使い方などがわからなくてもご安心を。学生インストラクターが常駐しているので、気になることがあったらすぐに質問できるのが◎。彼らは教員を目指す学生でもあるので、工夫を凝らした解説は楽しみのひとつです。
楕円ビリヤード。印の位置にボールを1つずつ置いて、そのうち一方のボールを壁に向けて打つと…もう1つのボールに命中する。ビリヤードの腕は関係ない?
江戸時代から“断ち合わせの問題”として親しまれている。図形をいくつかの断片に切り分けて他の図形に並べ直す内外逆転変身図形(三角形⇔四角形)「カゴの鳥」。
数学体験館で押さえておきたいのが、授業や文化祭でも使える内容と学校の先生方に評判の高いワークショップ。不定期に開催されているので要チェックです。また数学授業アーカイブス兼サロンでは、数学に関するビデオやDVDが視聴できます。
スケルトン・サッカーボールを作るワークショップ。まず3枚の名刺をうまく組み立て、名刺の短い辺と一致する頂点を結ぶと正二十面体のできあがり。
正二十面体から正五角形と正六角形からできているサッカーボールの構造は…このとおり。
四角いタイヤは平らな所では動かない。ガタガタしている所で動くのはなぜだろう? ワークショップでは、その仕組みを工作しながら学ぶ。
算数・数学を触って、実験して、確かめる。だから、納得できる。あらゆる世代が年齢を忘れて学べる数学体験館は、まさに数学のアミューズメント・パーク。記憶の片隅に消えていた数学が色彩を取り戻してくるようです。神楽坂のお散歩コースに入れてはいかがですか?