ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

人間だけでなく環境の「健康」も担う?食品機能成分を大阪大学で学ぶ。

2019年3月26日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

ワインやチョコレートに含まれるポリフェノール、納豆のネバネバが健康や美容に効果があることはよく知られていますよね。そんな食品の成分をさまざまな領域に役立てる最先端研究を紹介するイベントがあると聞き、大阪大学へ行ってきました。

サイエンスをもっと気軽に、もっと身近に。

参加したのは、大阪大学が市民と大学をつなぐ社学連携、社会貢献の窓口として活動する大阪大学21世紀懐徳堂と、大阪大学歯学部附属病院・大阪大学歯学研究科が共催で定期的に行っている「サイエンスカフェ」です。サイエンスと聞くと難しそうですが、このイベントは「気軽におしゃべり」をコンセプトにミニマムな規模で行われ、先生方が自身の研究をわかりやすく、楽しく解説してくださるもの。

 

会場も大阪大学歯学部附属病院内の実際のカフェなので、おいしい飲み物とスイーツを特別料金でいただきながらお話を聞くことができ、毎回好評なんだとか。今回も性別や年齢を問わず20名以上の参加者でいっぱいです。

会場の大阪大学歯学部附属病院

会場の大阪大学歯学部附属病院

入ってすぐのカフェが会場。気軽に参加できる雰囲気

入ってすぐのカフェが会場。気軽に参加できる雰囲気

 

さて、みなさんのお茶とお菓子の準備が整ったところで、イベントがスタート。今回のテーマは「ポリフェノールのイロハ、教えます。〜食品機能成分の最先端研究」。講師は大阪大学大学院工学研究科・宇山 浩教授です。

 

宇山先生の専門は高分子化学。再生可能な生物由来の有機性資源を原料としたバイオマスプラスチック、微生物によって分解される生分解性プラスチックについて研究しているそうです。

ワインも納豆も。食品の秘めた力を解明、活用。

宇山 浩教授。スライドを使いながらわかりやすく解説

宇山 浩教授。スライドを使いながらわかりやすく解説

 

テーマに掲げられたポリフェノールは、宇山先生の研究でも核となる生物由来の有機性資源のひとつで、地球上のほとんどの植物に存在する苦味や色素の成分。緑茶のカテキン、蕎麦のルチン、大豆のイソフラボンなどもポリフェノールの一種だそうです。

 

「ポリフェノールは紫外線や捕食者からの防衛のために植物自ら産出するもので、抗酸化作用、抗菌・消臭作用、抗アレルギー作用、免疫力向上作用などに優れているのが特徴です」と宇山先生。

 

医薬品や化粧品、食品といったどのアイテムに、どのポリフェノールを効かせるかは千差万別で、同じお茶でも脂肪の燃焼を促進するポリフェノールを配合したもの、脂肪の吸収を抑制するポリフェノールを配合したものと違いがあるとのこと。ポリフェノールの種類や役割を事前にチェックした上で選べば、より効果を得られるんだなと思いました。

 

もちろん、宇山先生はポリフェノールをはじめ生物由来の有機性資源の医薬品や化粧 品への活用にも携わっており、その中で、お話があったのが納豆菌です。

 

納豆は機能性食品として大変優秀。とくにネバネバと糸を引く成分に含まれる「γPGA(ガンマポリグルタミン酸)」は、保湿・保水効果、免疫増強機能などに優れ、抽出・精製すると無味無臭の粉末になるので、汎用性抜群です。

 

宇山先生はこの特性を生かし、アンチエイジング化粧品の開発をしています。実用化はまだですが、加齢と共に減少する肌内部のヒアルロン酸量を増やし、肌のハリやツヤを保てるとのこと!一刻も早く商品となることを願うばかりです。

「自然に還る・消えるプラスチック」を世界中に!

さて、ポリフェノールや納豆菌の横顔を知ったところで、お話は宇山先生の最先端研究へ。

 

現在、社会にはさまざまな問題が山積していますが、そのひとつがゴミ問題です。特にプラスチックゴミによる環境汚染は深刻化。石油由来のプラスチックは焼却すると有害物質が発生する場合もあり、かといって自然に消滅、分解することもないですよね。

 

さらに、宇山先生は海洋汚染も懸念しています。「海は地球に1つで、世界とつながっていますから、ある国で捨てたプラスチックゴミが違う国に漂着したり、数十年から数百年も漂流し続けたりします」。

今まさに取り組んでいる研究ということで、お話にも熱が入る

今まさに取り組んでいる研究ということで、お話にも熱が入る

 

しかも、この漂流によって劣化、微細なマイクロプラスチックとなることも問題。餌と一緒に捕食した魚の体内に残留、それを将来的には人間が口にすることになる可能性もあるからです。お刺身やお寿司が好物の筆者は死活問題…。

 

そこで期待されるのが、宇山先生が研究している、ポリフェノールをはじめ生物由来の有機性資源を原料としたバイオマスプラスチックや生分解性プラスチックです。

 

例えば、生分解性プラスチックは水と二酸化炭素に分解されるので、環境への負担がなく、ゴミ問題の解決にもつながります。「ただ、世界のプラスチック生産量は年間4億トン、うち生分解性プラスチックは91.2万トンと、全体のたった0.2%程度(2018年)。製造・販売のコストダウン、分解速度のスピードアップといった課題もあります」。

 

しかし先生は「普及にはまだ時間を要しますが、人類や地球の未来のために研究を進めています」との言葉でサイエンスカフェをしめくくりました。

先生のコメントが掲載された記事も配布された

先生のコメントが掲載された記事も配布された

 

身近な食品の効果活用から人類や地球を救う構想まで。理系が大の苦手な筆者も宇山先生の研究の幅広さと奥深さに触れることができ、有意義な時間を過ごすことができました。また、自らが口にする食品、健康、そしてゴミの減量など、見直すべきことがたくさんあることも実感。学びと共に、気づきの機会も与えてくれる大阪大学「サイエンスカフェ」にみなさんも参加してみてください。

 

取材協力:大阪大学21世紀懐徳堂

龍谷大学農学部から受験生へ。バターナッツかぼちゃのあったかスープで応援!

2019年1月29日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

寒さが厳しく、あたたかいものが恋しいなあと思っていたところ、龍谷大学農学部が新鮮な果物や野菜を使ったジュースを手軽にいただけるショップ「Juicer Bar (ジューサーバー)」を運営する株式会社京阪レストランとコラボレーションして、「かぼちゃスープ」という商品を限定販売するというニュースが飛び込んできました。記者発表が行われるとのことで、お邪魔させていただきました。

土にまみれるのも楽しい! 広大な田畑で、農と食を体験学習

まず、龍谷大学農学部と株式会社京阪レストランがコラボしてスープを販売する経緯をご紹介しましょう。龍谷大学農学部では、滋賀県大津市に農場を構えており、ここを舞台に「食の循環実習」という授業に取り組んでいます。この授業は、農学部にある植物生命科学科、資源生物科学科、食品栄養学科、食料農業システム学科の合同で行われ、農作物について作付けから栽培、収穫、加工、販売、消費、廃棄物の再利用まで一連のサイクルを学びます。

 

そんな実習のスピンオフとして企画されたのが、今回のスープの販売なのだとか。「学生たちが丹精を込めて育てた農作物がどのような商品になり、どんな人に食べていただいて喜んでもらえるのか、体験してもらうことが狙い」と、本企画の中心人物の一人、食物栄養学科の山崎英恵先生は語ります。

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「食の循環実習」は1年後期〜2年前期に実施

バターのようであり、ナッツのようでもある。スープにぴったりのかぼちゃ

農場では米や大豆、小麦、落花生、ナスなどが栽培されていますが、スープの材料として白羽の矢が立ったのが「バターナッツ」というかぼちゃです。日本ではあまりなじみがないのですが、アメリカではポピュラーな野菜で、ナッツのようなコクと風味、バターのようなクリーミーさからこの名前が付いたのだそう。日本で流通している西洋かぼちゃと違って繊維質が少ないので、スープの材料としてもってこい。ビタミンA、C、Eも豊富で栄養満点、抗酸化作用、美肌作用、さらに風邪予防にもなることから、「寒い時期にがんばる受験生を応援する」のにぴったりだと採用が決まりました。

 

さらに、バターナッツは病害虫に強くて育てやすいうえ、「3カ月以上保存可能で流通させやすいことも、今回の企画に適していた」と、実習の指導にあたる植物生命科学科の吉良徹先生はいいます。

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瓢箪のような細長い形が特長のバターナッツ

まるでかぼちゃのクリーム。なめらかさと甘さのハーモニーがたまらない!

さて、龍谷大学農場で育ったバターナッツがどんなスープになったのか。なんと試食させてもらうことに! さっそくいただくと、驚くほどなめらかで、まろやかな甘さ。かといって、しつこさはなく、気持ちまでほっこりとあたたまります。

 

「バターナッツのなめらかさ、甘さを最大限に活かすため、味付けはたまねぎとブイヨンだけとシンプルにしました」と、Juicer Barの商品開発担当者。「私たちが思っていた以上においしいスープができたので、受験生はもちろん、たくさんの方に味わっていただきたいですね」と、山崎先生も太鼓判を押します。

かぼちゃスープ5

おなかも満たせるようにと、ビックリするほど大きなクルトンがゴロゴロ

かぼちゃスープ1

カップのQRコードにアクセスすれば「バターナッツ」の詳細がわかる

頭と心にエネルギーチャージ。がんばれ、受験生!

記者会見では、バターナッツの梱包や出荷に携わった資源生物科学科2回生の中川鮎実さんからも話が聞けました。「『食の循環実習』では他学科や他学年の学生と交流を持てるし、農作物の栽培についてだけでなく、流通や販売など農と食の流れを学べるのがいいですね。今回のバターナッツかぼちゃスープに対して、消費者の方がどんな反応をしてくれるかも楽しみです」とのこと。勉強、試験疲れをこのスープで癒やし、志望校に合格してほしい!と受験生にエールも送ってくれました。

 

龍谷大学農学部では、このスピンオフ企画をきっかけに、外部とのコラボレーションを推し進め、商品を通じて、食・農の大切さを伝えていきたいとのこと。次はどんなおいしい商品が登場するのか楽しみです。

かぼちゃスープ2

スープのできに中川さんも大満足!

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かぼちゃスープは「Juicer Bar淀屋橋店」にて1/28より販売 ※バターナッツがなくなり次第販売終了

 

まるで大奥! アリの奥深い生態と社会を「京大変人講座」でのぞきみ!

2018年11月27日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

京都大学にて一般に向けた超人気の講座があると聞き、11月9日(金)国際科学イノベーション棟にうかがい、受講してきました。
「京大変人講座」と名付けられたこの講座は、日本最高学府による最先端の研究をトークショー形式で楽しく伝えるもの。京大では「変人」はホメ言葉。昨今、社会ではイノベーションが叫ばれていますが、イノベーションは普通では思いつかないようなことを実現する人……つまり変人が起こすものです。そんな変人たちを許容し集結している京大で、変人たちの考えや研究に触れられるのが、この講座の醍醐味なのです。ちなみに京大変人講座はシリーズ化されており、過去の講座や新しい講座への申込はコチラ

「蟻」という漢字のごとく、アリは義理人情に厚い

第9回目となった今回のテーマは「母vs娘の生物学 仁義なきアリ社会の掟 ハタラキアリは何を求めて働くのか?」。講師は、昆虫学・生態学を専門とする人間・環境学研究科の市岡孝朗教授。市岡教授は主に東南アジアの熱帯雨林に生息する昆虫の生態や生物間の相互作用を解明されています。ナビゲーターは、コメディアン、書家としても活躍する越前屋俵太さん。俵太さんは第1回目からナビゲーターを務めており、筆者のような凡人のために絶妙なツッコミを入れ、内容をよりわかりやすくしてくれる、ありがたい存在なのです。変人教授陣(注:京大で変人はホメ言葉!)と俵太さんの掛け合いの面白さもこの講座の魅力のひとつです。

昆虫を愛してやまない市岡孝朗教授

昆虫を愛してやまない市岡孝朗教授

京大変人講座の名物ナビゲーター、越前屋俵太さん

京大変人講座の名物ナビゲーター、越前屋俵太さん

 

講座はまずアリの生態の解説からスタート。誰もが知っているアリですが、市岡教授によると、繁殖や労働におけるカースト制、情報伝達、組織化された集団行動といった高度な社会を構築している、とても賢い虫なのだとか。また、アリはいろいろなタイプに分類され、例えば、共生アリと呼ばれるアリは植物に営巣し、植物につくアブラムシなどから蜜を採取。営巣する植物を食べようとする他の昆虫や動物から守る用心棒の役割を果たしています。外敵の攻撃によって命を失うアリもいて、「アリは虫へんに義と書くぐらいですから、義理堅いんですね」という俵太さんに、筆者をはじめ受講者は「なるほど」と納得。また、蜜を採取するためアブラムシを乳牛のように世話をする牧畜アリ、餌であるキノコを栽培する農耕アリも。アリにもさまざまな業種があるようです。

会場は大盛況。毎回、欠かさず参加するファンも多いとか

会場は大盛況。毎回、欠かさず参加するファンも多いとか

講座のお題もなにやら面白そうなものばかり

講座のお題もなにやら面白そうなものばかり

姉より妹? ドロドロの女王争い!

アリの働きに感心している中、講座はテーマの核心部である母vs娘の話へ。小学校の理科で習ったと思いますが、アリの産卵は女王アリのみ。講座の前半でも「アリ社会は繁殖や労働におけるカースト制」と市岡教授が解説されていたので、働きアリは女王アリの産卵と子孫繁栄のために労働していると思いきや、実はコロニー(アリの巣)の中は、ドロドロしているというのです。
アリは繁殖、遺伝形態が特殊で、女王アリ=母親と、オス=父親が同じ姉妹間でも、血縁度といって遺伝子を受け継ぐ割合が異なり、妹が高いそうです。妹が繁殖する方がより濃い遺伝子を残せるため、姉は働きアリとなる運命なのですが、なかには「自ら繁殖しようとする姉もいるのです」と市岡教授。女王である母と新女王候補である妹たちは姉を監視し、時には集団で襲いかかって姉の産卵を妨害することもあるとか。なんて恐ろしい…。「まるで大奥の世界ですね」という俵太さんに、「このドロドロがたまらないという研究者も多いですよ」と市岡教授。確かにドロドロ系の小説やドラマって、結構ハマってしまいますよね。

軽妙な二人の掛け合いで、何度も会場に笑いが巻き起こる

軽妙な二人の掛け合いで、何度も会場に笑いが巻き起こる

働きアリが労働に求めているのは自分の幸せ

ドロドロのアリ模様を繰り広げつつ、懸命に働くアリたち。その利他性や献身性、組織的かつ効率化された社会システムは人間も見習うべきと思ったのですが、「利他行動は人の見解で、なかにはさぼっているアリ、何もしないアリもいるでしょう。結局、アリは採餌や繁殖など利己性で働いているのです」と市岡教授。
「人間の方が、利他性が強いかもしれませんね。とくに日本人は会社のため、家族のためと働き過ぎです。先生も本当は虫取り網を持ってジャングルを駆け回っていたいでしょ?」という俵太さんに、「そうですね!」と即答する市岡教授。虫好き少年がそのまま大人になったような笑顔が印象的でした。

 

この後もアリの奥深い話が続き、時間がいくらあっても足りないため、講座は一旦お開きに。会場をキャンパスのレストランに移し、変人講座恒例の懇親会「変人BAR」に突入。お酒も交えながら、変人たちの話は尽きないのでした。

変人BARは、京大変人講座の生みの親、酒井 敏教授の挨拶からスタート

変人BARは、京大変人講座の生みの親、酒井 敏教授の挨拶からスタート

美味しい料理とお酒を楽しみながら、たくさんの参加者が講座の余韻にひたる

美味しい料理とお酒を楽しみながら、たくさんの参加者が講座の余韻にひたる

 

講座を受講してみて、アリの生態解明に取り組む市岡教授の変人パワー(注:京大で変人は…以下略)と、おなじみの某TV番組の探偵時代から変わらない俵太さんの面白さに感銘を受けました。
また、小さなアリの高度な社会にびっくり。サボっているアリがいたり、サスペンスドラマのような骨肉の争いがあったりと、アリに人間(?)っぽさを感じました。どこかで懸命に働くアリを見つけたら、「ご苦労さま」と労いの言葉をかけたくなるかもです。

 

「京大変人講座」では、今後も京大が誇る変人たちが続々と登場し、俵太さんと共に研究内容を楽しく、わかりやすく紹介してくれます。知的好奇心の刺激に、ぜひ受講してみてください。

 

愛読間違いなし!大学の枠を越えた龍谷大学の オウンドメディアサイト「Mog-lab(もぐらぼ)」が面白い。

2018年8月2日 / 大学PRの世界, 大学を楽しもう

龍谷大学が食と農の楽しさを伝えるWEBマガジン「Mog-lab(もぐらぼ)」というオウンドメディアサイトを2017年11月に立ち上げました。

昨今、大学の広告・広報戦略として、オウンドメディアの活用が進んでいますが、「Mog-lab」は大学の公式サイトとは切り離し、大学名も大々的に掲載していないとのこと。その狙いをうかがうため、龍谷大学を訪ねました。

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身近な内容で読みやすく、早くも愛読者が多数

 

Mog-labは龍谷大学初のサテライトサイトで、学長室(広報)と農学部が中心となって運営。およそ週2回のペースで更新されています。

 

食と農に関するトピックスが掲載されているというと、「学部の研究や取り組みの紹介なんでしょ」と思いますよね。Mog-labは違います。

 

食材のおいしさの秘密、京都をはじめとする料理店の紹介、グルメ紀行と、大学が運営するサイトとは一線を画す内容。筆者も大好きなお酒の話も盛りだくさんなのです。

 

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「大学のサイトは堅いという先入観があり、閲覧者も学生や受験生、保護者などに限られてしまいます。そのためMog-labはまったく別のサイトとして、幅広い方々に情報を発信することを目的にしました」と広報担当の橋本和美さん。

 

コンテンツも誰もが気軽に読めて面白い内容にこだわり、更新時の話題やスマホでの見やすさ、写真の美しさにも配慮しているそうです。

 

テーマを「食と農」に設定したことにも狙いがあります。

 

「今、人びとの食と農への関心度は非常に高く、広く情報を発信するサイトとしては格好のテーマです」。そうと語るのは、うま味研究の第一人者でMog-labに記事を定期連載している農学部教授・伏木 亨先生。

 

うま味研究の第一人者、農学部教授・伏木 亨先生

うま味研究の第一人者、農学部教授・伏木 亨先生

「私自身、研究やシンポジウムなどを通じて、食と農への関心の高さをヒシヒシと感じています。とくに東日本大震災以降、豊かさを取り戻すひとつとして食が影響していることや、ユネスコ無形文化遺産に和食が登録されたことなどが関心を高める要因となっているのではないでしょうか」と先生は分析します。日本的な豊かさへの関心が、より高まってきているのかもしれません。

 

ネタは無限大!食と農はあらゆる要素につながっている

 

さらに食と農は、時代、社会、経済、歴史、文化、アート、スポーツと、多様な要素とも紐づいています。農学部教務課の糸井照彦さんは「龍谷大学は農学部をはじめ、9学部あるので、さまざま視点から記事の作成が可能です」と、同大がもつリソースに自信をのぞかせていました。

 

確かにカテゴリーは「味わう」「文化・歴史」「豆知識」「ビジネス・企業」と、バラエティに富み、内容も興味深いものがずらり。

 

例えば、伏木先生は『岩牡蠣とホヤを生で食べる喜び』『ラーメンは和食か?』といった食通でもある先生のグルメ記事、鼻かぜが味覚を狂わせた『嗅覚を失った話』といったご自身の体験などをアップ。さらに『ビールのつまみはなぜ塩からい』というような、知っているようで知らない食の豆知識も教えてくれます。

 

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Mog-lab編集部が京都の有名ラーメン店に麺を提供する麺屋さんを紹介する『あなたの知らない麺の世界』といったレポートや、グルメ雑誌の編集長も務めた卒業生がつづる食べ歩き・飲み歩きなども今までの大学のサイトにはなかった内容といえるでしょう。

 

今まで考えたことがなかった・・・!という視点が見つかる

今まで考えたことがなかった・・・!という視点が見つかる

 

金曜日にはお酒の話題を発信。ディープな飲み歩きスポットが見つかるかも?

金曜日にはお酒の話題を発信。ディープな飲み歩きスポットが見つかるかも?

 

ブランディングや学生獲得の新しいカタチに

 

一方で、先生方の記事は研究や学会で発表された内容がベースなので、情報の確実性、信頼性は抜群。「大学名は大きく出してはいませんが、龍谷大学が発信するものとしての正確さ、責任は堅守しています」と糸井さんはいいます。

 

検索・閲覧結果を分析すると、専門性の高い記事もヒット数が多いそうで、「勉強や研究などの調べ物を通じてMog-labにヒットしたことで、読者になっていただいた方もいらっしゃると思います」と橋本さん。

 

もちろん、研究をはじめアカデミックな内容、知的好奇心をそそる情報を発信することは、龍谷大学の知名度向上、ブランディングにもなるため、高校生はもちろん、社会人入学など優秀な学生の獲得につながるのではと伏木先生は期待しています。

 

今後は学生や卒業生、産学連携などの関係者と、記事のライターを増やしていく予定。食と人生、歴史上の人物の好物、オリンピックとスポーツ栄養、お酒と宗教、農業体験記など、内容もさらに濃く、面白く、充実させていくそうです。

 

筆者もためになったことを誰かに話したくなったり、登場した場所やお店を訪れてみたくなったりして、さっそくスマホにブックマークしました。ちょっとした空き時間に読めるのもいいところ。Mog-lab、要チェックです!

 

 

これからの「女性活躍」を牽引!大阪大学シンポジウムに行ってきた!

2017年4月11日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

“働き方改革”や“女性活躍”という言葉、最近よく耳にしますね。企業など働く場だけではなく、大学でもその社会的課題を解決しようという動きが生まれています。そこで2017年2月に開催された大阪大学のシンポジウムを取材しました。

女性活躍が社会問題解決の一手に!

今回お邪魔したのは、大阪大学シンポジウム「共創の好循環へ ―女性が輝く関西をめざして」。定員を超える約400名が来場した注目度大のイベントでした。

シンポジウムでは、元厚生労働事務次官の村木厚子さん(大阪大学男女協働推進センター招へい教授)、西日本電信電話株式会社代表取締役社長の村尾和俊さんの講演が行われ、村木さんは世界と日本の女性活躍の動向について、村尾さんは関連会社の女性技術社員の活躍について、ユーモアたっぷりにお話。

多くの参加者が熱心に聞き入った

多くの参加者が熱心に聞き入った


続いて、大阪大学の西尾章治郎総長、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所※の米田悦啓理事長、ダイキン工業の澤井克行執行役員が、それぞれの取り組みを紹介し、村木さん、村尾さんを交えてのパネルディスカッションも行われました。
※創薬科学研究による知識、技術の創造、健康、栄養及び食品に関する研究等を行う。

パネルディスカッションでは質疑応答も

パネルディスカッションでは質疑応答も


では、今、なぜ女性活躍が必要なのか。シンポジウムによると、日本の人口減少に理由があるようです。少子化や高齢化はもちろん、生産年齢(15歳〜64歳)人口と呼ばれる、社会を支える人の数が減り続けていることが問題となっています。

しかも生産年齢人口の約半分を占める女性は出産や育児などで、仕事をしていない、または辞めてしまう人が多く、生産力は低くなってしまう。だからこそ、女性が出産後も育児中も活躍できる環境やシステムが不可欠なのです。

さらにシンポジウムでは、環境を整えることは、女性を優遇するという意味ではなく、男性にとっても、またどんな立場の人にとってもメリットにつながることが話し合われました。

大阪大学がはじめる新たな事業とは?

では、そんな社会状況をふまえた阪大による取り組みとはどんなものでしょうか?

取り組みについて話す大阪大学の西尾総長

取り組みについて話す大阪大学の西尾総長

 

実は大阪大学は10年以上にわたって、医薬基盤・健康・栄養研究所とダイキン工業株式会社と連携し、共同研究を進めてきました。

その実績もあり、この3機関を共同実施機関として、文科省科学技術人材育成補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)」(平成28年度~平成33年度)に採択。

この事業は主に“リケジョ”とも呼ばれる女性研究者の活躍を推進するもので、共同研究や人的交流、学び直し・学位取得を図る「女性研究者循環型育成クラスター」を形成し、その仕組み、運用方法を3機関が拠点とする北摂から日本の産学官連携、女性活躍に広げていくことが目標です。

リケジョ、リケママが未来を担う!

大阪大学ではプロジェクトの運用がさっそく始まっており、女性研究者がプロジェクトリーダーを務める共同研究は5つの分野で実施中。国立大学最大規模の学内保育園があるので、ママ研究者も多いといいます。

また、大学と企業、企業と研究機関など複数の機関に所属して活躍、給与をもらえる「クロスアポイントメント」という制度も導入。職場で研究を続けながら大学で学び直し、学位を取得することも安心して行えるのです。そんな女性研究者が身近にいれば、女子学生にとっては憧れのロールモデルになるはずです。
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さらに阪大では、ダイキン工業で女子学生向けのインターンシップを行ったり、女子中高校生に向けたリケジョセミナーの開催、現役リケジョによる魅力発信も行っています。

というのも、「リケジョは就職や活躍が難しい」と思っている受験生や保護者が未だに多いことが理由の一つ。もちろん、女性研究者の活躍の場がもっと整えば、リケジョを目指す人は増えるでしょう。

2018年度からはこのプロジェクトに新たに7つの企業、研究機関が参加をする予定です。日本の未来の希望にもなるこのプロジェクトに期待したいですね。

取材協力:大阪大学21世紀懐徳堂

荘厳な空間で極上フレンチ。 同志社大学「french restaurant will」

2016年8月10日 / 美味しい大学, 大学を楽しもう

京都御所が鎮座する「都の中心」に創立して140余年の同志社大学。

重要文化財に指定されている草創期からの赤れんがの学舎、日本建築史にその名を刻むウイリアム・メレル・ヴォーリズが手がけた建物が現存。

近年建てられた学舎もれんが造りにこだわり、歴史と伝統を物語る建造物と美しく調和しています。

クラーク記念館などキャンパス内も見どころたっぷり(同志社大学提供)

クラーク記念館などキャンパス内も見どころたっぷり(同志社大学提供)

 

 

「こんな素敵なキャンパスで学べるなんてうらやましい」と思いつつやって来たのが、2004年竣工の学舎「寒梅館」です。

名称は同志社の創立者・新島襄が詠んだ漢詩「寒梅の詩」に由来。授業や研究だけでなく、地域交流にも活用されており、映画やコンサートなどを定期開催。

また、敷地に足利将軍家の邸宅「花の御所」があったことから室町時代の遺構・遺物が数多く出土し、館内に常設展示されています。

さて、前置きが長くなりましたが、今回の訪問の目的は寒梅館7階にある「french restaurant will」です。

直通エレベーターの扉が開いた瞬間、活気あふれるキャンパスとは一線を画す別世界に。

切妻屋根の三角を活かした天井、クラシカルな設えが荘厳なムードを演出。大きな窓からは今出川キャンパスや京都御所、相国寺、五山の送り火のひとつ大文字山などを見渡せ、ロケーションも抜群です。
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料理は厳選素材を卓越した技で見事なひと皿にして提供。旬にもこだわり、ランチは月2回、ディナーは月1回、内容が変わるとか。

この店でしか飲めない地ビール「寒梅館」をはじめ、同志社ブランドのワインや日本酒も揃っています。
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これだけ贅沢な空間で、これだけ本格的なフレンチとくれば、お値段が気になりますが、ランチコースが2,600円から、ディナーコースが3,250円からと、とてもリーズナブル。

クチコミで評判が広がり、近隣の方や観光客でつねにいっぱい。

ウエディングもよく行われ、貸切も多いので、お問い合わせ、予約が必須ですが、大切な記念日に、自分へのご褒美に、ぜひご利用を。格別な時間を過ごせるはずです。
※掲載価格はすべて税込です。

これは使える!関西外大のイタリアン「アマーク・ド・パラディICC」

2016年7月15日 / 美味しい大学, 大学を楽しもう

京阪枚方市駅からバスに揺られること、ほんの数分。

「ここは外国?」と錯覚するほどインターナショナルな関西外国語大学。充実した留学プログラムで知られ、年間約2,200人の学生を海外に送り出しています。また、海外からは年間約740人の留学生を受け入れ、各国の学生がキャンパスを行き交っています。

そんな関西外大でひときわ目を引く施設がICC(インターナショナル・コミュニケーション・センター)。

国際交流や地域交流の拠点で、ウッドデッキの中庭やガラス張りの教室など、大学のイメージを覆すおしゃれさ。その1階に「アマーク・ド・パラディICC」があります。

モダンで開放的な店先

モダンで開放的な店先


店内は大きな窓から光が燦々と差し込み、イギリスのデザイナーユニット、バーバー・オズガビーが手がけたポップなチェアは見た目も座り心地も満点です。


メニューは京阪神で多くの飲食店を展開する「バルニバービ」のイタリアンなので折り紙つき。しかも学食価格となれば、食べる前からワクワクしてきました。

カラフルでこの空間にいるだけで楽しい!

カラフルでこの空間にいるだけで楽しい!


さっそく看板メニューであるピッツァの一番人気マルゲリータをオーダー。

キッチンにはナポリから直輸入された薪窯があり、オーダーごとに一枚一枚焼き上げてくれるんです。これって、もう学食の域を超えていませんか。

約450℃の高温で瞬時に焼き上げる

約450℃の高温で瞬時に焼き上げる

食欲をそそる香りが・・・!一番人気のマルゲリータ990円

食欲をそそる香りが・・・!一番人気のマルゲリータ990円


運ばれてきたピッツァは、薪の香りが香ばしく、外はパリッ!中はモチッ!とろけるチーズもたまらなく、ペロリと完食!


ピッツァは10種類以上揃い、サイズもほどよいので、みんなで何種類も頼んで食べるのがいいかも。他にもパスタやアンティパスト、ドルチェ、ワインなどがずらり。

2~3人でシェアできるディナーセット4,320円

2~3人でシェアできるディナーセット4,320円

パフェ550円

パフェ550円


学生だけでなく、ランチやカフェタイムはご近所のママや子ども、ディナータイムは会社帰りのサラリーマンやOLに人気があるのも納得です。

緑に囲まれたテラス席はペット同伴OK。夏にはビアガーデンも開催されます。

また、地域交流にも貢献しようと、子ども対象のピッツァ作り教室が行われ、好評なんだとか(不定期開催)。
いろいろ使えておいしい、楽しいお気に入りのイタリアンに決定です。

ピッツァ作り教室は口コミで人気が広がり、定員がすぐいっぱいになってしまうそう

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※掲載価格はすべて税込です

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第二の人生を充実させる …

私は、こうして第二の人生を見つけた!体験者が語る大学の魅力。

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