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デザインの今、未来とは? 大阪芸術大学「わたしぼくデザイン」の熱いクロストーク!

2019年11月22日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

2019年11月12日(火)~12月1日(日)の間、あべのハルカス24階の大阪芸術大学スカイキャンパスにて開催中のイベント「わたしぼくデザイン」。初日となる11月12日(火)にはオープニングトークイベントが実施され、「拡張するデザイン」をテーマにしたディスカッションが展開された。

体験型デザインエンターテインメント「わたしぼくデザイン」

大阪芸術大学が主催、同大学デザイン学科約50名の学生が制作・運営を行う「わたしぼくデザイン」。本イベントは、「わたしの中に眠る想像性に出会い、ぼく自身を超えていく。想像力をデザインする、体験型デザインエンターテインメント」と定義されており、一般的な展示イベントとは一線を画す。

会場では体験を楽しむためのガイドブックも配布

会場では体験を楽しむためのガイドブックも配布

 

会場に用意されているのは、想像力をオンにするというさまざまな「きっかけ」だ。普段の感覚を揺さぶられる「違和感スイッチ」、自分の過去に戻る体験「赤ちゃんゲート」「からだの記憶」、自分の感覚を知る「音のヘヤ」「本のヘヤ」、自分をほめられる体験「ちやほや廊下」、そして最後に、自分の変化に出会う「わたしぼく写真」と、ユニークなコンテンツを順番に体験することができる。

 

まず現れるのは、見た目は玄関チャイムや自転車のベルなのに、押すと「ピンポーン」や「チリンチリン」とは全く異なる音が鳴る「違和感スイッチ」。この音が鳴る、ということすら考えず使っている日常のものだからこそ、しっくりこない感じがすごい。掃除機なのにこの音?なら使い方が違うかも、など違和感を超えて自分で使い方を想像してみるのもおもしろい。

 

「からだの記憶」ゾーンに用意された、狭いすき間に入ってみると、公園で友だちとかくれんぼをした記憶が頭をかすめた。見つからないようにとハラハラしたあの瞬間。大人になってちらりとも思い出さなかったことが、仕掛けによって呼び起こされる不思議な体験だった。

「からだの記憶」ゾーン。匂いのするシェード、抱っこ柱などさまざまな展示物を体験することで、頭より先にからだが憶えていることを刺激する

「からだの記憶」ゾーン。匂いのするシェード、抱っこ柱などさまざまな展示物を体験することで、頭より先にからだが憶えていることを刺激する

 

こうして、誰もが大人になるにつれ多かれ少なかれ失っていっただろう想像する力を今一度意識し、自らの手で取り戻すことに。思わぬきっかけから、新たな自分が目を覚ます!? かもしれない。

「本のヘヤ」では本の山の中から直感で見つけたページを切り取り、コラージュする体験ができる。コラージュに見るのは自分自身かもしれない

「本のヘヤ」では本の山の中から直感で見つけたページを切り取り、コラージュする体験ができる。コラージュに見るのは自分自身かもしれない

うねり、広がる、デザインの未来を読み解く

イベント期間中には、さまざまなゲストを迎えてのトークショウやディスカッション、ワークショップ、プレゼンテーションも実施。初日である11月12日(火)には「拡張するデザイン」をテーマに、変化し続けるデザインの世界において、これからのクリエイティブの可能性について語り合うトークセッションが繰り広げられた。

 

メンバーは、
矢島 進二氏
 公益財団法人日本デザイン振興会 理事 事業部長
高橋 喜丸氏
 大阪芸術大学デザイン学科教授 学科長
 NPO法人日本タイポグラフィ協会理事長
辻 邦浩氏
 国立民族学博物館 特別客員教授
 東京大学 空間情報科学研究センター 協力研究員
 未来社会をデザインする会(2025年万国博を考える会)代表
清水 柾行氏
 「わたしぼくデザイン」総合ディレクター
  大阪芸術大学デザイン学科教授
  公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会運営委員
  大阪市特別参与
の4名。

左から清水教授、矢島氏、辻氏、高橋教授

左から清水教授、矢島氏、辻氏、高橋教授

 

始まりは、矢島氏が所属する公益財団法人日本デザイン振興会がグッドデザイン賞を主催していることから、矢島氏による「最新のグッドデザイン賞から読み解くデザインの未来」と題したキーノートスピーチから。

2019年のグッドデザイン賞のテーマは「デザインの持つ美しさ、そして共振する力」。受賞対象全1,420件の中で大賞候補となったファイナリスト5件を具体的に紹介しながら、その傾向について語った。

グッドデザイン賞の一覧をみながら話を聞く参加者

グッドデザイン賞の一覧をみながら話を聞く参加者

これからのデザインとデザイナーの役割とは?

続いて、メンバー4名によるクロストークへ。近年、デザインというものがどのように変化しており、今後どのようになっていくのか? それぞれの考えを語った。

矢島氏が「最近は、あらゆるジャンルで社会性や公益性というものが問われています。その中で、デザインの担い手というのはどんどん変化し、広がっています」と話せば、「これからは、デザイナーは制作者側ではなく、社会も含めたユーザー側に視点を移さなければならないということでしょう」と高橋氏。

自身の作品を背景に話す高橋教授

自身の作品を背景に話す高橋教授

 

辻氏は「生活者自体もどんどん成長していますし、もはやすべての生活者がデザイナーであると言えるのではないでしょうか。だから、今回の『わたしぼくデザイン』で、全ての人にある想像性のスイッチを、ぜひオンにしてほしいですね。想像性というのは大体5歳ぐらいで基本的な枠組みが完成するのですが、その後、環境などの因子で硬直化が始まると言われています。しかし、それをもう一度柔らかくして、復活させてほしいと思います」と、今回のイベントの意義を改めて提示した。

 

最後に高橋氏は、「デザイナーには、ものづくりが好きだから(デザイナーになった)という人が多いと思います。でも、今はすでに“つくる”対象が“もの”ではなく、全体的なシステムであるとか、目に見えないものも含め全てが、ものづくりの“もの”に置き換わってきています。ユーザーは、単に“もの”を買うのではなく、“もの”によってもたらされる“体験”を買っているんです。そういうことをしっかりと考えた制作を行っていかないと、これからのデザインは成り立たないのではないでしょうか」と問題提起。

 

そして、「これはデザインというものが変わったということではなく、デザインが関わる領域が広がったということ。すなわち、デザインが拡張していっているということになるのです」と締めくくった。

 

極端に言えば、今や誰もがデザイナーであり、想像力を駆使してさまざまな未来を描ける時代。だからこそ、今一度自分の中に眠る無限の可能性を呼び起こすべく、「わたしぼくデザイン」に足を運んでみてはいかがだろうか。

世界初! 自分の気になるニオイ見える化チェッカー「Kunkun body(クンクン ボディ)」

2017年10月10日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

これからのスメハラ対策は、まずニオイを“見る”ことから!?

いつの時代も、人を悩ませる問題の一つである体臭。最近では「スメハラ」という言葉が飛び交い、汗やニオイを抑制・消臭するような商品も続々と登場している。そしてこの度、また新たに体臭問題と向き合う画期的な商品が誕生した。大阪工業大学とコニカミノルタ株式会社が共同開発した、「Kunkun body(クンクン ボディ)」だ。こちらは、従来のように汗やニオイを抑制・消臭するといった類の商品ではなく、体臭を“見える化”するツール。体の気になる部分に近づけるだけでニオイレベルを測定、数値で示してくれるという世界初の商品だ。それによって、自分の体臭を正確に把握し、適切な対処ができるというもの。今までありそうでなかったこの商品。是非とも試してみたい! ということで、さっそく大阪工業大学に出向いた。

トレンドとなりつつあるニオイ研究の波に乗って

「Kunkun body(クンクン ボディ)」の開発に携わったのは、大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学部の大松繁客員教授。大松教授は元々、あらゆるものの「識別」をテーマに研究を行っていたそう。そこへ2001年、タイ・バンコクからニオイの識別を研究したいという留学生がやって来たことから、本格的にニオイ情報処理の研究をスタートさせた。

大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学部の大松教授

大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学部の大松教授


その後、2004年にはR.Axel&L.Buck博士が「におい分子を感知する嗅覚受容体の遺伝子の発見」でノーベル生理学・医学賞を受賞。「このニュースを受けて、ニオイの研究は時代の波に乗っているなと思いまして。2004年に留学生がニオイ識別に関する博士論文を完成させて帰国した後も、私は研究を続けることにしました」と大松教授は語る。そして2015年、コニカミノルタの研究者と出会い、体臭を計測する「Kunkun body(クンクン ボディ)」の構想を聞いた大松教授は、共同開発を行うことになったのだ。

共同研究開始に至るまでに独自で作成した口臭識別器

共同研究開始に至るまでに独自で作成した口臭識別器

小さな機械に詰まった世界初のニオイ検出技術とは?

「Kunkun body(クンクン ボディ)」は、手のひらサイズの本体とスマートフォンアプリを連携させて使用。専用アプリを立ち上げてから「あたま」「耳のうしろ」「わき」「あし」の4カ所の内、測りたいポイントに本体のセンサー部分をかざすだけで、アプリ上に測定結果が表示される。「これまでニオイというのは、定量化するための単位がなく、計測することが難しいものでした。今回、特徴的なニオイを検知し、その強度を測定して数値化するという技術を実現したのが、『Kunkun body(クンクン ボディ)』の画期的なところなのです」と大松教授は実践しながら教えてくれた。

クンクン ボディ本体とスマートフォンアプリ。販売までにさらに精度を高めている最中という

クンクン ボディ本体とスマートフォンアプリ。販売までにさらに精度を高めている最中という


確かに、このツール一つで、3大体臭と言われる「汗臭」「ミドル脂臭」「加齢臭」を一度に測定可能。それぞれのニオイの強さを同世代の平均値と共に10段階で表示し、総合的なニオイレベルは0~100の間で示される。3大体臭を識別して可視化、さらに数値化するというのが、正に世界初の技術なのである。また、ニオイレベルによってコメントや対策法も提示。計測するだけではなく、この後どうすれば良いのか分かりやすく示してくれるのも、一般向けの商品として重要なポイントだと感じた。

ニオイチェックを新たな身だしなみの一つに

「Kunkun body(クンクン ボディ)」は2017年7月より、クラウドファンディングサイト「Makuake」で先行販売を実施中。早くも話題となっており、100台という当初の目標をはるかに上回る、1500台以上の売り上げを記録している。
体臭というのは、自覚のあるものからないものまでさまざま。故に、こうして客観的に判断してくれるツールがあると、ニオイ対策の不安がなくなり、良い数値をキープできれば自信にもつながりそうだ。コンパクトサイズで携帯するにも邪魔にならないため、持ち歩いて小まめにチェックできるのも嬉しいところ。新たな身だしなみの一つとして、今後ますます注目を浴びそうだ。

大阪工大に、シンガポール発「オイスターバー ワーフ」が西日本初出店!

2017年6月29日 / 話題のスポット, 大学を楽しもう

「OIT梅田タワー」1階に堂々オープン! 洗練された大人の空間

すでに2つの記事にわたってご紹介している、大阪工業大学の超高層新キャンパス「OIT梅田タワー」。今回はキャンパス内に広がる3つのレストランの中でも、いち早く2016年11月にオープンした「オイスターバー ワーフ」をレポートする。


オイスターバーワーフ 外観


 「オイスターバー ワーフ」はシンガポールに2店舗あり、昨年東京・新橋に日本1号店を出店。続く2号店として、この梅田店がオープンした。
 店舗は1階にあり、正面入り口を入ってエントランスの右手奥にある扉とは別に、タワーの外側にも直接店舗へと入れる入口がある。一般客はこちらの方が利用しやすそうだ。
 フロア中央の重厚な石のカウンターが印象的な店内は、柱や床には木が多用され、オシャレなソファや照明などのインテリアが彩る、スタイリッシュな雰囲気。ウッドデッキのテラス席と合わせて、約180席備えている。

外のテラス席は日当たりもよく心地いい

外のテラス席は日当たりもよく心地いい

 

店内。通常のテーブル席のほか、カウンター席も

店内。通常のテーブル席のほか、カウンター席も


バラエティ豊かなランチはどれも絶品&ボリューム満点

オイスターバーと言うと牡蠣メニューばかりをイメージしがちだが、ここは他の魚介も、肉料理も充実しているのが特長。
ランチメニューは、パスタ2種、チキンのグリル、ビーフのグリル、魚介のアクアパッツアの5種類が用意されている。牡蠣を使ったメニューはないのだが、昼でも牡蠣を食べたい! という場合は、単品で生牡蠣とカキフライがあるのでそちらを。
グツグツ状態で提供される「白トリュフ薫るポルチーニ茸のクリームソース贅沢カルボナーラ」(税抜1,380円)は、チーズたっぷりのとろけるソースに、白トリュフの香り、シャキッとしたポルチーニ茸の食感がアクセントに。アツアツの内にペロリといただける。

 

白トリュフ薫るポルチーニ茸のクリームソース贅沢カルボナーラ

白トリュフ薫るポルチーニ茸のクリームソース贅沢カルボナーラ

 

「ニューヨークチキン炭焼きグリル焼き野菜のスペシャリテ」(税抜1,380円)は、柔らかく旨味たっぷりのチキンはもちろん、彩豊かな焼き野菜が美味。色々な味わいや食感が楽しめ、添えられたアンチョビマヨネーズがまたクセになる味わいだ。野菜たっぷりながら、食べ応えのある一皿となっている。

 

ニューヨークチキン炭焼きグリル焼き野菜のスペシャリテ

ニューヨークチキン炭焼きグリル焼き野菜のスペシャリテ


また、ランチメニューにはすべて、カルパッチョプレートがセット。ローストビーフ、サーモン、本日の鮮魚(この日は鯛)が、美しく盛られている。これがまた、メインに引けを取らないボリューム感! さらに、食べ放題の胚芽パンも付いてくるので、是非ともお腹を空かせて訪れることをおすすめしたい。

ランチメニューすべてに付いてくるカルパッチョも絶品!

ランチメニューすべてに付いてくるカルパッチョも絶品!


ディナーは牡蠣メニューが中心。生牡蠣の食べ比べはマスト!

ディナーメニューはガラリと変わって、肉や魚介料理、パスタなどもあるものの、やはりメインは牡蠣である。

 

生牡蠣の食べ比べができるオイスタープラッター

生牡蠣の食べ比べができるオイスタープラッター


中でも、その日に仕入れたおすすめの生牡蠣3種類を食べ比べできる「オイスタープラッター」(税抜1,440円/3P~)は必食。取材に訪れた日は、三重県産の「桃こまち」、アメリカワシントン産の「ピュージェットサウンド」、兵庫県産の3種類がラインナップされていた。「桃こまち」は甘味があり濃厚、「ピュージェットサウンド」は磯の香りが弱くあっさり風味、兵庫県産は今が一番旬とのことで、クリーミーで旨味たっぷり。同じ牡蠣でも産地によってこうも違うものなのか! と驚き、感動した。

 

レモン以外にも3種のフレーバーが用意されている

レモン以外にも3種のフレーバーが用意されている


 また、ここではレモンを絞るだけではなく、トリュフオイル、タバスコ、スコットランドでは一般的なボウモア(ウイスキー)と、4種類のフレーバーを用意。お好みで自由に加えることができる。特にタバスコは、そもそも生牡蠣を美味しく味わうために作られたものらしく、意外ではなく当然のようによく合う。
一般的に牡蠣がとれるのは冬~春先だが、ここでは国内だけでも、北海道、岩手、兵庫、広島、福岡、長崎、佐賀……と、北から南までさまざまな産地から仕入れているそう。それぞれ旬の時期が少しずつずれているため、一年中美味しい生牡蠣を楽しむことができるというのも嬉しい限りだ。


多彩な牡蠣メニューを思う存分満喫

生牡蠣の他にも、焼き牡蠣、蒸し牡蠣、牡蠣フライ、オイルマリネなど、多彩な牡蠣メニューを提供。特に焼き牡蠣は、レモンを絞っていただくスタンダードな形から、おろしポン酢焼き、カルボナーラ焼き、エスカルゴバター焼きなど、個性豊かな味わいが楽しめる。
また、同店は牡蠣と並び、直輸入ワインもウリの一つ。ソムリエ厳選の牡蠣専用白ワインや牡蠣専用スパークリングワインやその他のオリジナルカクテルも充実


牡蠣とワインを一緒に


オイスターバーながらさまざまなメニューを取り揃え、昼と夜で違った楽しみ方のできる同店。4月下旬~9月下旬はテラスでのビアガーデンも開催中で、より一層楽しみが広がっている。牡蠣好きの心とお腹を満たすのはもちろん、幅広い客層、シーンに対応する一軒だ。

大阪工大に、あの人気ハワイアンカジュアルレストラン「Eggs ’n Things 梅田茶屋町店」がオープン!

2017年6月13日 / 話題のスポット, 大学を楽しもう

ハワイ発、行列のできる有名店が、大学のキャンパス内に初上陸

先日ご紹介した、大阪工業大学の超高層新キャンパス「OIT梅田タワー」。大学のキャンパスでありながら、最上階の21階には絶景のレストランが広がっている。これだけでも十分に驚きなのだが、実はこのキャンパス内には、他にも2つのレストランが存在する。
その一つが、「Eggs ’n Things 梅田茶屋町店」だ。「Eggs ’n Things」と言えば、1974年にハワイで誕生したカジュアルレストラン。2010年3月に海外1号店として東京・原宿店がオープンするやいなや、空前のパンケーキブームを巻き起こした先駆け的存在である。
日本上陸後、全国各地に店舗を拡大しているものの、大学のキャンパス内という立地は「Eggs ’n Things 梅田茶屋町店」が初。学生のみならず、一般客も利用しやすい「OIT梅田タワー」2階に、2017年3月21日にオープンした。

 

自然の温もり溢れる、明るく開放的な空間

店のテーマは「ボタニカル」。全80席(内、テラス席20席)の広々とした店内には、木目調のインテリアが並び、随所を鮮やかな緑の植物が彩っている。天井が高く、高さ4mもある窓からはたっぷりと太陽の光が射し込み、明るく開放的。ハワイアンミュージックのBGMやスタッフが身にまとうアロハシャツも、耳に目に心地良い演出となっており、ここが梅田のど真ん中であることも、大学のキャンパス内であることも忘れて、ゆったりと寛げる雰囲気が漂っている。

 

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店内は明るく、随所の緑や鮮やかな花も見どころ

店内は明るく、随所の緑や鮮やかな花も見どころ

 

テラス席

テラス席。こちらも店内同様、ハワイアンミュージックを楽しみながら食事ができる

 

私が訪れたのは平日の昼過ぎでしたが、さすが人気店だけに多くの女性客が来店。その中に時折、近隣で働くサラリーマンらしき人(もしかしたら大阪工大の職員か教授かもしれないが)が打合せをしている姿が見られたのは、ここならではかもしれない。
ちなみに、店内ではWi-Fiサービスが提供され、一部の席にはコンセントとUSBポートが設置されている。カフェ利用でちょっと仕事をしたり、ミーティングをしたりするのにも便利そうだ。

 

全国のEggs ’n Things初、メニューの約半分が梅田茶屋町店限定品!

同店の特長は、立地や内装だけではない。メニューの約半分が、ここでしか味わえない店舗限定メニューとなっているのだ。
その一つが「ショコラバナナパンケーキ」(税別1,250円)。生地にチョコレートを混ぜ込んだパンケーキの上に、バナナ&キャラメリゼしたバナナと、削ったチョコレート&チョコレートソースをトッピング。そして「Eggs ’n Things」と言えばお馴染み、フワフワのホイップクリームがたっぷりと盛りつけられている。見た目はとにかく甘そう!ですが、食べてみるとチョコレートは甘すぎず、口当たり軽いホイップクリームとの相性は抜群!

 

ショコラバナナパンケーキ

ショコラバナナパンケーキ。キャラメリゼしたバナナはほろ苦いカラメルのカリッとした食感も楽しめます。

ショコラバナナパンケーキ。キャラメリゼしたバナナはほろ苦いカラメルのカリッとした食感も楽しめます。

 

また、見た目のインパクトが絶大な「ハムとチーズのエッグインクラウド」(税別980円)も店舗限定メニューの一つ。ハムとチーズを挟んだパンケーキの上に、白いモコモコとした何かが乗っている。その正体は、卵白を泡立て、オーブンで軽く焼いたメレンゲ。モチモチのパンケーキに絡まる、サクッフワッとした食感が面白い。塩気のあるメレンゲとチーズがアクセントになっていて、甘じょっぱい味わいだ。

 

ハムチーズとエッグインクラウド。サクッフワッのメレンゲとモチモチのパンケーキの食感も楽しめる

ハムチーズとエッグインクラウド。サクッフワッのメレンゲとモチモチのパンケーキの食感も楽しめる

 

また、こちらはハムにもこだわりが。「ハニーベイクド・ハム®」と言い、ウッドチップで20時間以上スモークすることで、肉本来の旨味を引き出した薫り高い一品。ほのかに甘く香ばしく仕上がっている。
さまざまな風味が混ざり合い、このままでも十分に美味しいのだが、シロップをかけるとさらに味わい深いものに。メープル、グァバ、ココナッツと3種類用意されたシロップはどれも個性的で、少しずつかけることで味の変化が楽しめる。

 

ドリンクメニューの豊富さも随一。今後のチャレンジにも注目を

スイーツ系から食事系まで幅広いパンケーキを始め、エッグスベネディクトやオムレツなどの卵料理をメインとした美味しくてボリューム感のあるブレックファーストメニューが揃う同店。
ドリンクも豊富で、コナブレンド・コーヒーやアレンジラテ、100%フルーツジュース、スカッシュ系などバラエティ豊かだ。さらに、今回パンケーキと共にいただいた「ライムミントレモネード」(税別520円)を含めたレモネード3種、「トロピカルスムージー」(税別650円)を含めたスムージー3種は、店舗限定メニュー。ドリンクも、ここでしか味わえないメニューに出会えるのだ。そしていずれも、主役級の飲み応えと美味しさ。ドリンクだけでも十分に楽しめると感じた。

 

今回お願いした「ライムミントレモネード(左)」と「トロピカルスムージー(右)」はこれからの季節にもぴったりかも

今回お願いした「ライムミントレモネード(左)」と「トロピカルスムージー(右)」はこれからの季節にもぴったりかも

 

今後も“チャレンジする店舗”として、他の「Eggs ’n Things」にはないメニューを生み出していきたいという同店。今後の動向にも注目が高まる。

21階は絶景レストラン! 大阪工大の超高層新キャンパス「OIT梅田タワー」

2017年5月25日 / 話題のスポット, 大学を楽しもう

梅田に堂々とそびえ立つ、高さ125mの都市型タワーキャンパス

阪急梅田駅前に広がる茶屋町エリア。多くの商業施設が立ち並ぶ一角に、2017年4月、新たな高層ビルが加わった。また新しい商業施設ができたのか? それともオフィスビル? タワーマンション? と思って近づくと、入り口の看板には「大阪工業大学 梅田キャンパス」の文字。そう、ここは紛れもなく大学のキャンパスなのだ。

高さ125m、地上21階、地下2階建ての高層キャンパスは、名付けて「OIT梅田タワー」。よくあるサテライトキャンパスではなく、ビル1棟丸ごと大阪工大! 既存のロボット工学科と空間デザイン学科に加え、新学科のシステムデザイン工学科で構成される「ロボティクス&デザイン工学部」の学生約900人が、ここを舞台に学んでいる。

 

こうなると一般人には関係の無い場所に思えてくるのだが、このキャンパスのテーマは“すべての人に開かれたキャンパス”。一般の方もウェルカム! な施設が揃っているのだ。

 

研究・開発の最前線で、あっと驚く未来に触れる

まず、広々とした1階エントランス・ギャラリーには、研究・開発の成果を発信するタッチパネル方式のデジタルサイネージやロボットなどを展示。自由に操作して楽しめるものもあり、気軽に最先端のテクノロジーに触れることができる。

 

エントランス・ギャラリーにあるタッチパネルを採用したデジタルサイネージ

エントランス・ギャラリーにあるタッチパネルを採用したデジタルサイネージ

 

座るだけで心拍数などが測れるバイタルチェアとそれを利用したゲーム。こちらも体験可能

座るだけで心拍数などが測れるバイタルチェアとそれを利用したゲーム。こちらも体験可能

 

カメラ映像を見ながら遠隔操作できるロボット。施設案内などさまざまな活用が期待できる

カメラ映像を見ながら遠隔操作できるロボット。施設案内などさまざまな活用が期待できる

 

さまざまな企業との共同研究・開発品も多く見られるのは、大阪工大が産学連携に力を入れている証。その勢いは梅田キャンパスができたことによってさらに加速し、近隣にあるテレビ局や企業とのコラボ企画なども行っているそうだ。

ちなみに、8階には「ロボティクス&デザインセンター」と呼ばれるワークショップスペースを展開。現在10社程の企業と一緒に、ここで研究・開発を進めているという。今回は取材ということで特別に見学させてもらったが、可動式の電子黒板や3Dプリンター、レーザー加工機、さまざまなロボットなど、最新の設備が整った空間にただただ圧倒されるばかり。おぼろげながらも壮大な未来を感じた。

 

レーザー加工機。その他3Dプリンターなどもある

レーザー加工機。その他3Dプリンターなどもある

 

3Dプリンタで製作された試作品

3Dプリンタで製作された試作品

 

間仕切りのない空間にすることで、他者と交流が取りやすい空間となっているロボティクス&デザインセンター

間仕切りのない空間にすることで、他者と交流が取りやすい空間となっているロボティクス&デザインセンター

 

最上階に広がるのは、オシャレすぎる学食

1階でロボットたちと戯れたら、エレベーターで一気に21階へ。最上階には、学生はもちろん一般の方も利用可能なキャンパスレストラン「菜の花食堂」が営業している。

 

菜の花食堂 入り口

 

ただし、いわゆる学食を想像してはいけない。ホール60席+テラス69席と広々とした店内は、白を基調とした洗練された雰囲気で、高級感漂うインテリアが彩りを添える。壁は全面ガラス張りで、明るく開放的。窓の向こうには、絶景の梅田ビューが広がっている。
この贅沢な空間で、8:00~10:00は朝食として「鮭定食」「唐揚定食」「納豆定食」(税込300円)を提供。10:45~14:30がランチタイムとなる。

 

大学の食堂と思えないオシャレ空間!

大学の食堂と思えないオシャレ空間!

 

オープンテラス

オープンテラス

 

メニューは「ワンプレートランチ」のみだが、一人一枚大きな皿が渡され、15種類以上用意された料理の中から好きなものを好きなだけ盛り付けOK(※盛れるのは1回のみ。食べ放題ではない)。これにご飯とみそ汁が付いて、なんと税込600円! 雰囲気こそ高級レストランさながらだが、内容や値段を見ると、やはりここは学食なのだと安心する。

 

ランチに関する注意書き

 

料理は日替わりで、肉、魚、野菜をバランス良くラインナップ。近年、学生の間にも広まっているという健康志向に応える和食の惣菜を中心に、フルーツやデザートも並ぶ。食材は安心安全なのはもちろん、できる限り国産を使用。季節感も大切に、旬のものも積極的に取り入れている。

 

この日は春らしい桜小餅があった

この日は春らしい桜小餅があった

 

盛りつけ例。プレートいっぱいに盛りつける方もいるそう

盛りつけ例。プレートいっぱいに盛りつける方もいるそう

 

オープン以来、早くも噂を聞きつけた人々で、連日超満員。老若男女、さまざまな人が食事を楽しんでいる。なお、11:45~13:00頃は学生の昼休みと重なるため、この時間帯を避けて訪れるのがベターだ。

 

夜になると、梅田の夜景を一望する高級イタリアンに

朝・昼と賑わう「菜の花食堂」は、夜になると「リストランテ翔21」と名前を変え、本格的なイタリアンレストランに変身。シックなムード漂う中、17:30~22:30まで営業している。

 

リストランテ翔21テラス席。ワインなども楽しめる(写真提供:学校法人常翔学園広報室)

リストランテ翔21テラス席。ワインなども楽しめる(写真提供:学校法人常翔学園広報室)

 

 メニューは3種類のコースを用意。前菜、プリモピアット、セカンドピアット、ドルチェorチーズ、ドリンクから成る「Cena A」(税抜4,000円)、これにグラニテと魚料理をプラスした「Cena B」(税抜6,000円)、さらに前菜の前に厳選素材を使用した特別料理を加えた「Cena C」(税抜8,000円)となっている。

 

コース料理イメージ(写真提供:学校法人常翔学園広報室)

コース料理イメージ(写真提供:学校法人常翔学園広報室)

 

ワインセラーも(写真提供:学校法人常翔学園広報室)

ワインセラーも(写真提供:学校法人常翔学園広報室)

 

それぞれ複数の料理から選べるプリフィックススタイルなので、自分好みのコースに組み立てられるのも嬉しい。その他、シェフと相談しながら内容を決めていく「特別コース」(税抜10,000円~20,000円)もあれば、手軽なアラカルトメニューも多数。料理に合わせて、ワインセラーにズラリと並ぶ選りすぐりのワインをはじめ、アルコール類も幅広く用意している。日中とは打って変わって、ゆったりと大人のディナータイムを楽しめるのだ。

 

「菜の花食堂」「リストランテ翔21」共に、平日のみならず、土日祝も営業(年末年始
12月30日~1月4日は休み)。さまざまなシーンで使える一軒となっている。

京都橘大生がつくる新感覚の京都ガイド本「こだわり市場」最新号発行!

2017年5月11日 / 大学の知をのぞく, この研究がスゴい!

先日アップされた記事「京都のこだわり店を学生目線で紹介する『こだわり市場』@京都橘大学」で紹介された、ウエブサイト「こだわり市場」。このサイトは記事にもある通り、京都橘大学現代ビジネス学部都市環境デザイン学科で観光学を学ぶ、谷口知司教授のゼミ生たちが制作した、京都のガイドブック「こだわり市場」のウエブ版にあたる。

 

「こだわり市場」ウエブ版サイトトップ

「こだわり市場」ウエブ版サイトトップ

 

元となるガイドブックの制作にあたっては、掲載店を探すところから、取材、撮影といった記事づくり、さらには完成後の広報まで、一貫して全て学生自身が行うスタイル。2013年発行の第1号は30店舗、2015年発行の第2号は20店舗、2016年発行の第3号は33店舗が掲載された。そして今年の春に発行された第4号は、過去3冊で紹介した店舗を再取材する形で、計67店舗が掲載されている。

これまでの集大成とも言える一冊を作り上げた学生たちに、制作の苦労やこだわった点などを是非聞いてみたい! というわけで、谷口ゼミを訪ねた。

 

独自の視点で街の隠れた魅力を発掘し、自分たちの手で発信

京都橘大学現代ビジネス学部谷口知司教授

京都橘大学現代ビジネス学部谷口知司教授

 

そもそも本プロジェクトは、9年前に谷口教授が本大学に就任し、自身が担当することになったゼミの1期生と共に、2009年から始めたもの。
「京都の街中を自分たちで歩きながら、一般的なガイドブックには掲載されていないような観光資源を探してみよう! というのが、私から学生たちへ投げかけたお題でした」と谷口教授。

 

一見楽しそう! と思ってしまうが、舞台は日本が世界に誇る観光地・京都。ある意味、誰もが知りつくした観光地で、まだ誰も知らない観光資源を探すというのは、かなりハードルが高いようにも思う。

「学生たちにはまず、探す際の基準を決めてもらいました。その話し合いの中で出てきたキーワードが“こだわり”。こだわりを持った商品をつくったり扱っていたり、何かしらこだわりが見られる店を探そうということになったんです。基本的に私は見守るのみで、学生たちは自分たちの足で街を歩き、それぞれ隠れたこだわりの名店を見つけてきました」

 

当初は、現在とは違う形式のサイトを制作し、情報を発信していたそう。そこから徐々に内容や進め方などをブラッシュアップし、冊子制作へと発展していったのだ。

 

先輩から後輩へと、代々受け継がれ、磨かれるノウハウ

 

「ゼミには2回生から4回生まで、各学年十数名ずつが所属していますが、毎年ガイドブック制作のメインとなるのは、その年の3回生。今年の春に発行された第4号は、私を含めた15名で担当しました」と言うのは、現4回生の北脇壮馬さん。彼がリーダーとなり、約1年かけて制作したのだ。

 

京都橘大学現代ビジネス学部北脇壮馬さん

京都橘大学現代ビジネス学部北脇壮馬さん

 

「2回生の時から少しずつ3回生の先輩を手伝う形で、色々とノウハウを伝授してもらいました。店探しの基準や方法は、実際に先輩と一緒に街を歩きながら教えてもらって。職人さんが伝統を守っていたり、唯一無二の技法でものづくりを行っていたりする店はもちろんですが、世間一般の認知度は低くても地域密着型で近隣の人に愛されている店や、長く続いている歴史のある店にも注目。愛される理由、長く続く理由の中に、きっとその店ならではのこだわりがあるはずなので、そこを掘り下げるんです。エリアごとに分担して、とにかく一軒一軒、隅々まで歩いて探しました。実際に見て、話を聞いて、これだ! という店が見つかったら、今度は根気強く掲載協力のお願いをして。全ての店が快く受けてくださるわけでもないですし、理解いただけるまで何度も足を運んだ店も少なくありません」

 

こうして3回生のサポート役として第3号の制作に携わった面々は、満を持して第4号の制作に取り掛かったのだ。

 

前号を糧に、最新号こそ最高の出来に

「私たちの代は、これまで先輩方がつくってきた過去3号分のリニューアルを行うことになったので、新たに店を探すことはなかったのですが……。それでも、全ての店に再度掲載許可の確認を行い、了承いただいた店には改めて出向き、再度取材・撮影を行いました。店へのアポイントの取り方、企画書の作り方や電話応対など、先輩に教わった通りにやってはみるのですが、最初は緊張もあって、慣れるまでは大変でしたね」と北脇さん。

ただ過去の記事を流用するのではなく、全て新たな情報に入れ替えるのは、なかなか骨の折れる作業である。

 

「他にも、第3号から改善すべき点をみんなで話し合いました。例えば、外国人観光客の増加を受けて、第3号は英語の説明文と、所々にアルファベットの読み仮名表記を追加したんです。でも、店名や住所、電話番号などのデータ部分は日本語表記のみ。これでは不親切ではという話になり、第4号ではデータ部分にも英語表記を加えました。あとは、表紙にこの冊子が何なのか一目で分かるよう“京都の大学生が選ぶおすすめ店67選”というキャッチコピーを付け加えたのもポイントです」

 

2016年版こだわり市場(写真右)と最新のこだわり市場(写真左)

2016年版こだわり市場(写真右)と最新のこだわり市場(写真左)

 

目次部分

 

記事部分

目次と記事部分。適宜英語表記を追加し、わかりやすくしている

 

現状に満足せず、さらに良いものをつくりたい! という熱い思いと、なかなか的確な改善点に感心しきり。しかも、第3号までは外部のデザイナーに委託していたデザイン作業を、第4号では学生たち自らが行ったそうで、デザインソフトの使い方も一から勉強したという。編集者、ライター、カメラマン、デザイナー、校正……全ての役割を学生たちでこなしたというのには、ただただ驚かされる。

 

さらに高みを目指して、谷口ゼミの挑戦は続く

完成したガイドブックは、掲載店舗はもちろん、ホテルや旅館などの宿泊施設、総合観光案内所、駅などに設置されている。ちなみに、こうした設置場所への交渉も学生たち自ら行っているそうだ。今後は水族館や動物園などのレジャー施設にも設置を拡大していきたいと、今も広報活動を続けている。

「掲載店舗の方から、配布3日目で冊子がなくなったと補充の依頼をいただいたり、今度はクーポンを付けたいというような提案をいただいたり、反響が大きく驚いています。多くの観光客の方々にこの冊子を見ていただき、隠れた名店を知っていただくことで、京都の観光振興に一役買えると嬉しいです」と北脇さん。

 

今年もすでに、彼らの後輩である新3回生が動き始めている。谷口ゼミで代々引き継がれる「こだわり市場」が今後どう発展していくのか。第5号を楽しみに待ちたい。

京都造形大を舞台に、芸舞妓が舞い踊る「都をどり in 春秋座」

2017年4月13日 / 話題のスポット, 大学を楽しもう

(撮影:表恒匡)

 

4月の京都は、花より団子より「都をどり」!?

日本のみならず、世界中から訪れる花見客でごった返す4月の京都。もちろん桜も良いけれど、同じく多くの人を魅了するものに「都をどり」がある。通常は座敷で芸舞妓が少人数で舞う「京舞」を、舞台に立って集団で披露する、なんとも華やかな催し。かつて京都在住だった私も、観たことはないけれど耳馴染みはある、京都の春の風物詩だ。

 

「都をどり」の歴史は古く、1797年(寛政9年)から続く京舞井上流の三世井上八千代氏によって、1872年(明治5年)に創始された。元々は、東京遷都後の京都を盛り上げるべく開催された、「京都博覧会」の余興(附博覧)として企画されたのが始まり。それまでにはなかった女性が舞台で舞い踊る興行であり、幕を閉めず背景を変えることで場面転換をしながら、春夏秋冬を長唄と共に表現するという手法や構成も斬新そのもの。世界中から訪れる観客に強烈なインパクトを与えた。

 

第1回公演の成功を受けて、翌1873年(明治6年)には第2回公演を実施。祇園の花見小路通西側にあった建仁寺塔頭清住院が「祇園甲部歌舞練場」に改造され、会場となった。そして1913年(大正2年)には、歌舞練場を同じく祇園の花見小路近くである現在の場所に新築移転。途中、大修理のために四条南座で上演された以外は、毎年春にこの歌舞練場で上演されてきた。

 

馴染みの祇園界隈を離れ、今年は芸大のキャンパスが舞台に!

 

ところが2016年10月より、歌舞練場は耐震対策のために一時休館中。今年の「都をどり」はどうなる!? と思いきや、なんと会場を、北白川の京都造形芸術大学に移して開催されるという。なぜなら、京舞井上流五世家元の井上八千代氏は、同大学芸術学部の教授を務めており、さらに学内には本格的な歌舞伎劇場「京都芸術劇場 春秋座」があるのだ。

 

というわけで、今年は「都をどり in 春秋座」と題し、史上初の祇園以外の場所での開催に。しかも大学のキャンパスということで、何かが起こる予感満載! 本番を前に、3月31日に行われた稽古の総仕上げ「大ざらえ」に潜入し、歴史が変わる瞬間を目撃してきた。

 

まず、大学正面から左手奥にある春秋座へと続く外回廊のガラス面には、「都をどり」をテーマに学生たちが制作した「ウエルカムアート」が。春秋座のホワイエには、同じく学生たちの手による色とりどりの反物がディスプレイされている。これは、「板締め絞り」と呼ばれる、奈良時代から伝わる伝統的な技法でつくられたもの。劇場内の舞台左右、お囃子方が座る場所にも、同様の技法で学生たちが手がけた緞帳が設置されている。あらゆる分野のアーティストを目指す学生たちが集まる、京都造形大ならではの会場演出の数々。キャンパスに足を踏み入れた瞬間から、「都をどり」の世界に引き込まれていくのだ。

 

学生の手によるウェルカムアート

学生の手によるウェルカムアート

学生の手によるウェルカムアート

 

めくるめく「都をどり」の世界に酔いしれて

今年の演題は「洛北名所逍遥(らくほくめいしょそぞろあるき)」。春秋座での開催にちなみ、京都造形大がある洛北の美しい山や川、ゆかしい寺庵などの名所を巡る全六景の演目が繰り広げられる。

 

第二景の、芸舞妓が夏の貴船川床で蛍を眺めながら納涼を楽しむ様はとても優雅。一転、鞍馬山での牛若と母・常盤御前の再会と別れから、牛若と天狗たちのダイナミックな立ち回りを見せる第三景は、躍動感が溢れる。第四景は秋の圓光寺で美しい紅葉狩り。第五景は、雪が降りしきる冬の大原寂光院を舞台に、健礼門院の寂しいわび住まいが描かれる。そして舞台は暗転し、静寂の後に広がるのは、満開の桜が咲き誇る「祇園甲部歌舞練場」。第六景は「都をどり」本拠地に思いを馳せながら、出演者総出で舞い踊り、華やかなフィナーレを迎えるのだ。

 

牛若と常磐御前の再会

牛若と常磐御前の再会

 

第三幕牛若と天狗の立ち回り(撮影:表恒匡)

第三幕牛若と天狗の立ち回り(撮影:表恒匡)

 

初めて観る「都をどり」は、正に圧巻の一言。芸舞妓たちの艶やかな姿にうっとりし、さまざまな世界観を作り上げる舞台装置に目を奪われ、両脇から聞こえてくる演奏や唄に聞き惚れる。45分の公演時間の中で、それぞれに全く趣が異なる六景がテンポ良く繰り広げられるのも魅力で、観ていて一瞬たりとも飽きることがなかった。

 

ちなみに、初心者の方には是非、音声ガイドの利用がおすすめ。公演中、片耳にイヤホンをつけておけば、各演目の場面設定やストーリーのあらすじから、芸舞妓が身に付けている着物やかんざしなどの衣裳、京舞井上流の特徴、各舞の振りの意味などの解説が、絶妙なタイミングで流れてくる。おかげで私は、初見ながらかなり楽しむことができた。

 

舞台の前後も見どころ多数。会期は4月23日まで!

「都をどり」の第一回公演から、舞台と合わせて提供されて人気を博しているお茶席も、会場が変われどもちろん実施。芸舞妓が円椅子に掛けて披露する立礼様式のお点前なので、茶道の所作が分からない人でも気負うことなく楽しめる。興味のある方は、公演前に楽しんでみては。
また、お茶席2階の「芸術館」では、「都をどり」の衣裳や史料、歴代ポスターの原画などを展示。より理解を深めたい方はこちらもお見逃しなく。

 

さらに帰り際には、お土産コーナーもチェック。「板締め絞り」の手ぬぐいや、芸舞妓を描いた缶バッジ、和風アクセサリーなど、学生たちが制作した記念グッズが販売されている。また、京都土産の定番である八つ橋やおたべも、学生が「都をどり」をテーマにデザインした、オリジナルパッケージのものが並ぶ。

そんなこんなで、大満足で会場を後に。ちなみに帰り口では、番傘に5人の舞妓が投影された「おみおくりプロジェクションマッピング」に見送られた。最後までぬかりのない「都をどり in 春秋座」。開催は4月23日(日)までなので、興味のある方はお早めに!

 

<公演概要>
■会場
京都芸術劇場 春秋座
京都市左京区北白川瓜生山2-116 京都造形芸術大学瓜生山キャンパス内
■期間
2017年4月1日(土)~23日(日) ※10日(月)、17日(月)は休演
■時間
1日3回公演/13:00~、14:45~、16:30~
■入場料
茶席付特等観覧券4,600円、壱等観覧券3,500円 ※別途、音声ガイドは有料

 

※「都をどり in 春秋座」の今年公演分チケットはすでに完売しております。

世界初! 熊野古道産森林植物の機能性香り分子を配合「熊野香道®」

2016年12月2日 / 大学発商品を追え!, 大学の知をのぞく

熊野古道の神秘的な香りのパワーを科学で解明!

世界遺産「熊野古道」

世界遺産「熊野古道」


世界遺産として名高い、和歌山県の熊野古道。ここは正にパワースポットであり、うっそうと生い茂る木々の間を歩いていると、どこか身も心も浄化されるような気分になるから不思議だ。そして、なんとも心地良い天然の木々の香りにも、自然と心癒される。

そんな熊野古道の神々しく清々しい香りの効果を、科学的に解明した人物がいる。近畿大学の宮澤三雄名誉教授だ。宮澤名誉教授は、熊野古道の森林植物から放出される特有の香り関連分子を発見し、それをもとにヒトの皮膚や脳機能改善にまつわる有効成分を持つ、“機能性香り分子”なるものを開発したのだとか。そしてこの技術を応用し、世界で初めてその機能性香り分子を含んだ、入浴料や保湿クリームなどを開発した。その名も「熊野香道®」シリーズ! 宮澤教授と共同開発を行うアロマショップ、株式会社エムアファブリーから発売されている。

やはり、さすが世界遺産の熊野古道。単に良い香りを漂わせているのではなく、そこにはちゃんとヒトに有効なパワーが秘められていたのだ。詳しい話を聞くべく、早速宮澤名誉教授を訪ねた。

香りを科学するその先に、地域の未来が広がる

「私は子どもの頃から、科学が、自然が、生き物が好きでした。それは大人になってもずっと変わらず、大学では植物と生き物のケミストリーの研究に没頭しましてね。特に、生き物はいろいろな形で香りを活用しているものの、まだまだ分からない部分が多いことに興味を持って。世間に知られていないことをいち早く解明したいという思いで香りの研究を続け、今に至ります」と宮澤名誉教授。

未知の分野に挑み切り拓いて行くパイオニア精神が、40年以上もの時を経て、熊野古道へとつながったのだ。この間にも、宮澤教授は香りに関する研究をもとに、通常のアロマ(エッセンシャルオイル)に天然植物由来の特定機能を組み込んだ、機能性アロマなどの製品開発に関わってきた。

「若い頃はとにかく論文を書いて、世界に認めてもらうのに必死。もちろん商品化なんて目指してはいませんでしたよ。でも、年を追うごとに、自身の研究成果を社会に還元したいという思いが強くなるもので。『熊野香道®』も、和歌山県の地場産業に還元し、地方創生に貢献することが目的で始めたものです」

実は今回の「熊野香道®」プロジェクトは、2011年に大型台風による水害で壊滅的な被害を受けた和歌山県新宮市の、地場産業創成を目的としたもの。「公益財団法人わかやま産業振興財団農商工連携ファンド助成事業」の一環として、地元新宮市のアロマショップであるエムアファブリーが企画し、熊野川町森林組合との連携でスタートした。

「新宮市は昔から林業で栄えた街。それなのに、水害でたくさんの木が駄目になってしまって。そんな災害復興の一つとして、熊野古道の木々から独特の香りを抽出して商品化する、このプロジェクトが立ち上がったんです。そこで香りのエキスパートということで、私に白羽の矢が立ったと。私も事情を聞いて、復興の一助になれればと、引き受けることにしました。熊野古道の植物を研究対象にするのは初めてで、新たなチャレンジとして、純粋に面白そうだなとも思いましたね」と、宮澤名誉教授は振り返る。

熊野古道の木々特有の香りの正体とは

かくして、宮澤名誉教授とエムアファブリーが共同で、熊野古道の森林植物の調査を開始。熊野古道は、他の地域とは異なる気候であり、ここにしか育たない植物も多い。しかし、今回は敢えて一般的な植物をターゲットに、熊野特有の香りの研究を進めた。

その結果、熊野産のヒノキ、スギ、クロモジが放出する、独特の香り関連分子の存在を発見。他の地域で育つヒノキやスギ、クロモジとは全く異なる主成分や、分子のバランスが確認されたのだ。そして、これらの香り関連分子をもとに、ヒトの皮膚および脳機能改善にまつわる有効成分の開発に成功。世界初として、2件の特許出願「肌保湿に重要な役割を果たすヒアルロニダーゼ阻害剤」および「脳内神経伝達物質に重要な役割を果たすアセチルコリンエステラーゼ阻害剤」を行った。

ヒアルロニダーゼとは、皮膚や関節液などの組織に存在して細胞の保護、栄養の運搬、組織水分の保持、柔軟性の維持、潤滑性の保持などを担っているヒアルロン酸の、加水分解酵素のこと。ヒアルロニダーゼ阻害剤は、このヒアルロニダーゼによるヒアルロン酸の分解を抑制し、生体内のヒアルロン酸量を保持することにより、老化、肌荒れ、シミを予防または改善するという効果が期待されているのだ。

一方、アセチルコリンエステラーゼとは、神経伝達物質であるアセチルコリンを分解し失活させる酵素。アセチルコリンの濃度が減少すると、いわゆる認知症などの症状につながる。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、このアセチルコリンエステラーゼの働きを抑制するもの。物忘れなどの進行を抑制させる働きが期待されている。

宮澤名誉教授らは、2016年2月に本研究成果を発表し、研究によって開発された技術を応用した製品開発に着手。同年7月、満を持して機能性香り分子を配合した「熊野香道®」シリーズが発売された。

熊野の魅力再発見。「熊野香道®」シリーズの挑戦は続く

現在発売中の商品は、「お風呂エステ(入浴料)」2種類/300円、「Balm(保湿クリーム)」2種類/1,600~1,800円、「100% Pure Essential Oil(精油)」3種類/2,700~4,000円、「100% Pure Essential Water 」3種類/900~1,000円だ(価格はすべて税別)。いずれも、エムアファブリーのホームページから購入できる。

当初はオイルのみの発売だったが、普段の生活でより気軽に取り入れられるようにと、宮澤名誉教授が入浴料や保湿クリームを提案したそう。確かに、入浴料や保湿クリームであれば、あまりオイルに興味の無い人や男性でも、ちょっと試してみようという気になりそうなものだ。我が家でもヒノキの入浴料を使ってみたが、まるで森の中にいるような豊かな香りに包まれうっとり、肌はしっとり、おまけに頭も冴えわたる!? 良い湯だと、家族にも好評だった。

入浴料の「お風呂エステ」2種類

入浴料の「お風呂エステ」は熊野産ヒノキと熊野産芝原杉の2種類が発売中

 

これまで、漠然と“良い香り”としか思われていなかった熊野産木々の香り。それがいかに“カラダに良い香り”なのかが裏付けられた今、改めて注目が集まっている。しかし、これはゴールではなく始まり。今も宮澤名誉教授らの研究は続いているという。

「研究に終わりはありません。それに、例えば熊野古道は世界遺産なので、研究や商品化のために、どんどん木を伐採するというわけにもいかない。そこで、熊野古道の木々と同じ香り分子を持った木々を、平地で栽培できるようにする必要性というのも感じています。地域産業としての『熊野香道®』を盛り上げることで、新たな雇用を生み出したいという思いもありますしね」

特産品の宝庫である和歌山県に新たに加わった“地産の香り”は、まだまだ多くの可能性を秘めている。

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