ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

“カワイイ”と感じる音がある? 音とイメージが結びつく「音象徴」という現象について、関西大学の熊谷学而先生に聞く

2023年4月27日 / 大学の知をのぞく, この研究がスゴい!

「キラキラネーム」という言葉が登場して久しいですが、音でもなんとなくキラキラした感じがしたり、カワイイと感じる響きってある気がします。音からなんらかの意味やイメージを連想するのは、どういう現象なのでしょう。「かわいい」イメージと結びつく音について研究している関西大学の熊谷学而先生にお話を伺ってきました。

大きい、小さい? 音とイメージの結びつき

熊谷先生の専門分野は音声学や音韻論とよばれるもの。例えば大きいテーブルと小さいテーブルがあり、片方に「mal(マル)」片方に「mil(ミル)」と言う名前をつけるとすると、英語を母語とする人は大きいテーブルの方にmal、小さいテーブルの方にmilと名づける人が多く、日本語を母語とする人も同じような傾向を示すそうです。ある音が特定の意味やイメージと結びついている「音象徴」とよばれるものの一例です。

 

「かわいい」というイメージについて考えるとき、例えば動物や赤ちゃんを見たときなど主に視覚的な情報からかわいいと感じることが多いですが、音からも「かわいい」と感じることってあるのでしょうか?

 

熊谷先生が音声学の観点から調べたところ、「両唇音(りょうしんおん)」とよばれる音がかわいいイメージと結びついているとわかってきたそうです。両唇音とは「パパ」「ママ」などパ行やマ行に代表されるもので、上唇と下唇を閉じて開くときに出る音。赤ちゃんが最初に獲得する音としても知られています。

 

実際にどんな実験で調べたのか、少し体験させてもらいました。

やってみよう1 

パラペルとタラテルだと、パラペルがかわいい。バルベンとダルデンだと、…迷いますね。強いて言えばバルベンでしょうか。

 

熊谷先生によると、こちらの音声は下のように表記されます。

図2

左側の列(パラペル、バルベン…)に含まれている赤字が「両唇音」。[ ]で表されているのは音声を表す記号で、[p]がパ行、[b]がバ行、[m]がマ行。[Φ]は見慣れない記号ですが、「フ」を表すときの記号です。一番下[w]がワ行。

この5つ[p][b][m][Φ][w]が日本語で両唇音と言われるものですが、それぞれの右側に表示された単語(タラテル、ダルデン…)は、この赤字で示した文字(両唇音)の音が両唇音ではない音(緑字)に置き換えられています。

「音の違いが赤字(両唇音)だけなので、赤字を含む方を選べば、『赤字(両唇音)にはこういう性質があるだろう』ということができます」(熊谷先生)

 

実験結果をみてみますと……。

図3

どの両唇音も、かわいいと判断された割合が70パーセント前後になっています。

 

ちなみに両唇音の比較対象とされた音(下表の音声表記、緑字)は「歯茎音(しけいおん)」「硬口蓋音(こうこうがいおん)」とよばれるもの。日本語で「タタタタタ」と言うとき舌があたるところが歯茎で、ここで出す子音(タ行、ダ行、ナ行、サ行)は歯茎音。一番下の[j]は音声記号では「ヤ」をあらわす記号で、歯茎よりももう少し喉の奥に近い、硬口蓋とよばれるところで発音する音(硬口蓋音)です。

図4

なぜ両唇音がカワイイと感じるのか

それにしても、なぜこういう結果になるのでしょうか。熊谷先生によると「明確な答えはまだ出ていない」としながらも、二つの仮説を教えてくれました。

「両唇音は赤ちゃんが早期に獲得する音なので、赤ちゃんのイメージと重なってかわいいイメージが印象づけられているのではないか、と考えているんです。ただ、そのことを直接的に説明するのはまだ難しいと思います」

 

感覚的にはすごく納得できる説明ですね。もう一つ、唇をすぼめる仕草との関係も考えているそうです。「アヒル口」というものが流行っていたことがありますが、性的に魅力的に見える、唇をすぼめる仕草とリンクしているのではないかというもの。

キャプチャかわいい理由

音象徴が先にあって可愛く見えているのか、可愛い仕草だから音に可愛いイメージがついているのか。鶏と卵の関係のようなもので、「今のところは『こんなことが言える(かもね)』ぐらい」だそうです。

赤ちゃん用オムツの商品名を考える人の頭の中

かわいく聞こえる音の研究は、もともとは赤ちゃん用オムツの商品名の研究から始まりました。「ムーニー」「メリーズ」「マミーポコ」……、赤ちゃん用オムツの商品名には両唇音がよく使われています。

キャプチャ赤ちゃん用オムツ2

「日本で販売されているオムツが500とか1000とかあれば一般化できるんですが、せいぜい6~7個だと思います。それだと一般化しにくいので、架空の名前を使って実験しました」

 

実在するオムツに入っている両唇音はパ行とマ行のみ。これらの共通要素は両唇音ということですが、すべての両唇音([p][b][m][Φ][w])が赤ちゃん用にふさわしいという一般化が成り立つのかどうか。

 

それを調べるために、架空の名前から赤ちゃん用オムツにふさわしいものを選ぶ実験を行ったところ、パ行とマ行以外の両唇音も赤ちゃん用オムツとしてふさわしい、と半数以上の人が判断した結果となりました。「実在するオムツの商品名だけでは説明できない音象徴の一般化という点で、面白いと思ってるんです」と熊谷先生。

 

実在するオムツの商品名からはパ行[p]とマ行[m]だけが赤ちゃん用オムツにふさわしいと選択されそうに思いますが、それ以外の両唇音も選択されたというのは意外な結果です。

これについて熊谷先生は「実験に参加した日本語話者は、パ行[p]とマ行[m]が両唇音であるという特徴を抽出し、“両唇音=赤ちゃん用オムツ”という一般化を行ったと考えられます」と解説。そして、「両唇音」→「赤ちゃん」→「かわいい」というつながりがあるのではないかと考えたのが、「かわいい」イメージを持つ音の研究を始めるきっかけとなったそうです。

解説する熊谷先生

解説する熊谷先生

 

それにしても、オムツのメーカーなどで商品名を考える人たちは、感覚的にこういう名前を付けているのでしょうか。言語学者がこう言っているから、パ行とかマ行の音を入れよう、というのではなく?

 

「私は、感覚的に付けているんじゃないかと思っています。もちろん音がすべてじゃないと思いますよ、商品名の決定って。ただ音も可能性としては入っていて。

でもネーミングを行っている人も、その効果を言語学の観点から説明することはできないと思います。わたしたちは日本語を難なく使っているけれども、その音のルールを説明しろと言われても、説明できない。でも使えている。つまり頭の中にルールがある」

その無意識的な知識がどうなっているのか、それを解明するのが熊谷先生のような言語学者ということになります。

両唇音だけ? かわいいイメージの音

ところで、かわいいイメージにつながるポイントって、両唇音だけなのでしょうか。

熊谷先生の実験によると、両唇音のほか、「無声音」「共鳴音」も、かわいいというイメージとつながるそうです。

両唇音についてはこれまで説明いただいた通りですが、「無声音」「共鳴音」とは、どういうものなんでしょう。

「子音の中で、声帯振動がある音は有声音、声帯振動がない音は無声音と呼ばれています。無声音は、有声音と比べて、周波数が高い音だと考えてください。

実は、周波数が高い音には小さいイメージがあると以前から言われています。一方、周波数が低いものは大きいとか重いイメージがある、と」

ホトゼロノート3b

「動物でも、敵意があるときは低い音を出すけど、怯えているときは高い声を出す。高い声は『私はあなたを脅かそうとしていません』と自分を小さくみせるメッセージを出しているとか、そのように指摘する学者もいます」

 

なるほど。では、かわいいイメージにつながるもう一つのポイント、「共鳴音」とは?

「音は、音の出し方から「共鳴音」と「阻害音」との二つに大きく分けることができます。共鳴音は、空気が口から出て行くときに、唇や舌であまり邪魔されずに出てくる音。阻害音というのは、邪魔されて出てくる音なんですよ」

両唇音で、かつ無声音(高周波数)なのがパ行。両唇音で、かつ共鳴音なのが、マ行。ラ行の音も共鳴音で、やはり「かわいい」と判断されやすいとのこと。

 

ちなみに男の子の名前と女の子の名前を分析すると、女の子の名前は共鳴音が多く、男の子の名前は阻害音が多いそうです

※出典:『「あ」は「い」より大きい!?—音象徴で学ぶ音声学入門』(川原  2017)

 

例えば熊谷先生の名前は学而(ガクジ)で、[g][k][dʑ]と、全部阻害音です。一方、例えば「ルナ」ちゃんの場合、すべて共鳴音。「あくまでも傾向なんですけど、こういう音がかわいいと判断されているのは、女の子の名前に多いからなのかな、と今のところ考えています」

 

えっ? 「かわいい音だから、女の子の名前によく使われている」ではなく?

「それも、鶏と卵の関係と同じでして。共鳴音が女の子の名前に使われている傾向があるから共鳴音を含んだ名前がかわいい(と判断されやすい)、という仮説はなりたつんですが、逆に、共鳴音がかわいいイメージを持つから、女の子の名前に多用されるという仮説もなりたちます」

なぜそうなるかを解明したり、検証したりするのは難しいんですね。

 

先生はこのほか、他の言語(英語、中国語、韓国語)でかわいいと感じる音や、アイドルのニックネームなどについても研究しているとのこと。他言語についての研究では、例えば英語のcute と日本語の「かわいい」が示すものが完全に一致しないなど、言語間のちがいが浮き彫りになったりするそうです。

ふだん特に意識することがありませんでしたが、わたしたちの頭の中にある音にまつわるルールには、人の生理的な感覚、文化や言語間のちがい、動物との共通性など、たくさんの秘密が隠されているように感じました。

 

春らんまん、大阪青山大学の博物館で家康ゆかりの品などを観覧

2023年4月18日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

大阪青山大学の大阪青山歴史文学博物館(兵庫県川西市)で「特別公開 所蔵品展」が開催されました。

同館は大阪青山大学の附属博物館で、国宝『土佐日記』や重要文化財などを含む約4000件の文書や美術工芸品を所蔵しています。

お城のような建物が博物館で、これが大学の構内にあることにも驚いてしまいますが、同館が日本文化継承の場であること、またキャンパスの立地が清和源氏発祥の地に近く、付近にかつて山下城という城があったことなどから城郭型式の外観が取り入れられています。

DSC_0962b

DSC_1021_20230406111838

今回の所蔵品展は、4月2日開催の「お城桜まつり」の一環として開かれました。敷地内に咲き誇る満開の桜とともに、今年の大河ドラマにちなんで展示された戦国武将にまつわる所蔵品や皇室ゆかりの品々を鑑賞してきました。

 

展示室に入ってまず目に入ったのは、約100年前の三ツ矢サイダーの看板です。同館の近くにはかつて天然鉱水「平野水(ひらのすい)」の産地があり(現在の兵庫県川西市平野)、ここから湧き出る天然炭酸水を瓶詰めにして販売したのが三ツ矢サイダーのはじまりです。

この頃の正式名称は「三ツ矢孔雀平野水」。大正天皇のお気に入りだったとのことで、三ツ矢のロゴマークの上に「宮内省御用達」の文字も見えます。

「三ツ矢」の名とロゴマークの由来は平安時代にさかのぼります。伝承によると清和源氏の祖、源満仲は神のお告げにより矢を放ち、矢が落ちた所に城を築いたといわれます。城のほど近くに、のちの平野水の鉱泉があったことから、満仲が放った矢を見つけた人に与えられた “三ツ矢”の姓と矢羽根(やばね)の紋が由来となったそうです。

 

下は満仲と息子の物語『満仲(まんじゅう)』の奈良絵本(挿絵の入った絵入り写本)です。

『満仲』(江戸時代)

『満仲』(江戸時代)

 

満仲は、息子の美女丸(びじょまる)を寺へ修行に出しますが、美女丸は修行をする気が全くなく、数年が過ぎてもお経を読むことすらできません。上の絵では、そのことを知った満仲が激怒して美女丸に斬りかかり、対する美女丸が経巻で刀を受ける場面が描かれています。

 

怒りのおさまらない満仲は家臣の仲光(なかみつ)に美女丸を斬るように命じますが、仲光は苦悩の末、美女丸の替わりに自分の息子を手討ちにします。このことを知った美女丸は深く悔い改めて修行に励み、名僧となるという物語。

名僧となった美女丸が両親と再会する場面

名僧となった美女丸が両親と再会する場面

 

今年の大河ドラマにちなみ、徳川家康に関連した展示品も。下は関ヶ原の合戦で勝利をおさめた3年後、征夷大将軍に任命された家康が宮中に参内する場面を描いたものです。

『家康公参内之図』

『家康公参内之図』

 

家臣をしたがえて参内する家康。その行列は美麗を極め、洛中の人々が見物したとのこと。画は狩野探幽の作と伝えられます。

 

展示室の外では桜が満開。この季節、「桜がいつ咲くか」「見ごろはいつまでか」と、気が気でなかった方も多いのではないでしょうか。下は、そんな心情を詠んだ在原業平の歌「世の中にたえて桜のなかりせば 春のこころは のどけからまし」を、約700年前の天皇、伏見天皇が書いたものです。

DSC_0995b

伏見天皇は「歴代の天皇の中でも一番字がうまかったといわれています」と主任学芸員の小倉嘉夫先生。和歌をたいへん好んだ天皇だったそうです。

 

この歌(「世の中に~」)がおさめられているのが『伊勢物語』。下は、武田信玄が書写した『伊勢物語』です。

武田信玄筆『伊勢物語』

武田信玄筆『伊勢物語』

 

見るからに流麗で端正な印象を受けます。戦国武将は年中戦いに明け暮れていたようなイメージをもっていましたが、武田信玄は優れた和歌を多く残し、当時一級の教養人であったとのこと。「和歌の手本として尊重された『伊勢物語』が信玄の愛読書の一つであったことは想像に難くない」と解説にあり、信玄の武人としての顔だけではない一面を伝えています。

 

館内には、お城の内部を再現した空間も。下は君主と臣下が対話する空間をイメージしてつくられた「対面の間」です。障壁画は京都市立芸術大学日本画科の宮本道夫助教授を中心としたスタッフ、天井画は東京藝術大学美術学部日本画科の福井爽人教授を中心としたスタッフにより制作されました(肩書は当時)。展示されている机と椅子は、高松宮喜久子妃殿下より贈られた有栖川宮・高松宮ゆかりの品です。

DSC_0989b

 

展示ではこのほか、関ヶ原の戦いが始まる直前、家康から(石田三成側についていた)加藤貞泰にあてた手紙なども紹介されていました。もともと家康や武将に強い興味があるわけではなかったのですが、書や筆跡を間近で見ると、歴史上の人物の肉声に触れるような気がします。

同館は館内整理のため臨時休館中ですが、「お城桜まつり」は来年もこの時期の開催が予定されていて、また別の所蔵品の公開が期待できそうです。

 

日本の明朝体のはじまりを拝見。関西大学博物館の展示「お経と印刷」

2023年3月30日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

印刷物は毎日のように目にしますが、印刷とお経との関連にスポットライトが当たる機会はちょっと珍しい。関西大学博物館で開催されたミニテーマ展「お経と印刷」では、現代のわたしたちになじみの深い明朝体が普及するきっかけにもなったお経の版木など、お経と印刷に関連する資料が紹介されていました(展示は2月25日で終了)。企画担当の方の解説を聞きながら拝見してきました。

関西大学博物館

関西大学博物館

 

展示を企画したのは同博物館学芸アシスタントで、古代日本仏教史を専門とする貫田瑛さん。貫田さんが今回の展示を企画したきっかけとなったのが、下の版木です。

版木とは、印刷するために文字や絵などを彫った木版のこと。今回展示されていたのは『黄檗版大蔵経(おうばくばん だいぞうきょう)』とよばれるお経の版木です。

※大蔵経… 仏教経典の集大成のようなもの。仏の説いた教え(経)、戒律(律)、その解説(論)が網羅されている。『一切経(いっさいきょう)』ともよばれる。

※黄檗…黄檗宗(おうばくしゅう)。禅宗のひとつ。

 

「当館が所蔵している版木は、黄檗宗の大本山萬福寺(京都府宇治市)の塔頭のひとつ、宝蔵院(ほうぞういん)が所蔵する版木と同じ系統のもので、これをぜひ見ていただきたいと本展を企画しました」と貫田さん。宝蔵院は約6万枚の版木を所蔵していて、国の重要文化財にも指定されています。

『黄檗版大蔵経』。ヤマザクラの一枚板に彫られています

『黄檗版大蔵経』。ヤマザクラの一枚板に彫られています

 

一文字一文字精巧に彫られていて、こういうものが6万枚も彫られたとは、かなりの大事業では? どんないきさつでつくられたんでしょうか。

 

「それまでにもお経が印刷されたものはあったのですが、少部数にとどまっていました。お経を入手するには写経をするしかなく、たいへんな手間がかかります。仏の教えをもっと人々に広めたいと、萬福寺の初代住職をつとめた鉄眼(てつげん)という僧が発願し、喜捨をつのって十数年をかけて出版しました」(貫田さん)

 

この黄檗版大蔵経(『鉄眼版一切経』ともよばれる)が出版されたのは1681年。2000部以上が刷られたとされ、日本における経典の普及、また印刷文化史の上でもきわめて貴重な存在とのこと。

 

さらに、このお経は明朝体が日本に普及するきっかけとなったといいます。

「明朝体の発祥は中国の木版印刷なのですが、この黄檗版大蔵経は日本に明朝体が広まったきっかけとされています」と貫田さん。版木を彫る際、お手本が必要になるわけですが、底本となったのが明の時代に中国で印刷刊行された大蔵経『明版大蔵経』で、それを鉄眼に授けたのが萬福寺を創建した僧、隠元(いんげん)です。隠元は中国・明から渡日して黄檗宗を開いた人物で、禅宗の教えだけでなく隠元の名が由来となったインゲン豆など、さまざまなものを中国から日本にもちこんでいます。

何かに似ている? 見覚えのある体裁

上の写真は、展示された版木の印刷イメージです。

「お経を印刷した紙は真ん中で二つ折りにして製本されるんですが、広げると1行が20字、一枚に20行あり、400字になるんです。なにかに似ていると思いませんか?」と、貫田さん。20字×20行で400字と言われると……。「そう、現在の原稿用紙の体裁の元になったと考えられています」。

なんと、原稿用紙の起源はお経だったのですね。意外なつながりです。

 

大蔵経は一面が漢字ですが、展示の中には下のような版木もありました。梵字(ぼんじ)が彫られた『梵漢両字阿弥陀経(ぼんかんりょうじあみだきょう)』の版木です。

DSC_0891_b

DSC_0892_20230224193453

「梵漢両字」の名の通り、大きく彫られた梵字の右側に、小さく漢字が彫られています。これはもとのお経(サンスクリット語)の漢訳です。

反対側にはカタカナが小さく彫られていて、これは梵字の読み方を表しているとのこと。お経はもともと古代インドの言葉(サンスクリット語)で、漢字はその中国語訳ということですね。

ここで、ちょっと疑問が……。日本で目にする、漢字で書かれたお経というのは、当時の中国語なんでしょうか?

「お経はもともとサンスクリット語(文字は梵字)ですが、漢訳されたものは当時の中国語と言っていいと思います」(貫田さん)

日本でお経を読むときは、その漢字を音読みにしているわけですね。ちなみに黄檗宗でお経を読むときは、中国式に唐音(とうおん)とよばれる読み方をするそうです。般若心経でいうと、「まかはんにゃはらみたしんぎょう……」と唱えるところを「ポゼポロミトシンキン……」と読むのだとか。いや、まか不思議。

 

 

会場にはこのほか、現存する中で制作年代のわかる世界最古の印刷物『百万塔陀羅尼』(ひゃくまんとうだらに)も展示されていました。百万塔は供養塔の一種で、塔の中に納められているのは陀羅尼経(だらにきょう)です。さまざまな印刷物であふれかえっている現代からは意外にも思えることですが、印刷の原点に立ち返ると、そこに仏教との分かちがたい結びつきがあったことがわかります。

 

同展は終了しましたが、宇治の萬福寺宝蔵院では版木を収蔵した『鉄眼版一切経版木収蔵庫』(通常非公開)をイベント時などに見学できるとのこと。機会があれば、足を運んでみたいものです。

 

好きな音楽を聞くと、心と体に何が起こる? 樟蔭美科学研究所で聞く「音楽とストレス緩和」

2023年3月16日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

好きな音楽を聞いて心を揺り動かされたり、気分が良くなったり。音楽でストレスが和らぐことは、ふだんの生活でも感じることが多いもの。ヴァイオリンやピアノの演奏鑑賞とともに、音楽が人の心理や生理に与える影響を音楽生理学などの視点から考えるという樟蔭美科学研究所シンポジウム「音楽とストレス緩和」が大阪樟蔭女子大学(東大阪市)で行われ、足を運んでみました。

樟蔭美科学研究所は2020年に大阪樟蔭女子大学により設立され、学問分野を横断して美に関連する研究やイベントが行なわれています。

 

シンポジウムの前半はたっぷりと一時間、ヴァイオリンとピアノ演奏の鑑賞です。ヴァイオリンの演奏は大阪樟蔭女子大学客員教授の日比浩一先生、ピアノは同大学特別講師の鈴木華重子先生。

曲目は無伴奏ソナタ(バッハ)、タイスの瞑想曲(マスネ)、ロマンス(ベートーベン)など、この日のテーマに合わせて穏やかな曲を中心に選んだとのこと。うっとりと聞き入ってしまいました。

 

音楽ですっかりいい気分になったところで、音楽が心や体に及ぼす作用についての講演「音楽のちから」が同大学准教授の豊島久美子先生より行われました。

豊島先生の専門は音楽生理学、音楽心理学、行動内分泌学。ホルモンや神経伝達物質などの測定・分析などを通じて脳のはたらきを研究しています。

豊島先生

 

音楽を聞くとワクワクしたり、元気が出たり、切なくなったり……と、さまざまな感情が動きますが、こうした心の動きは、学術的には「情動」と呼ばれます。情動は全身で味わう感覚がありますが、情動をつかさどる部分は脳にあり、「心のはたらきは脳のはたらきと言うことができます」と豊島先生。

 

では、音楽を聞くと脳にどんな変化が起こるのでしょう。音楽は、生命の維持や本能行動、情動に関わる脳の「大脳辺縁系」とよばれる部分に働きかけ、なかでも好き嫌いなどの感情に関わる部分(扁桃体)、記憶を貯めておく部分(海馬)を活性化させたり沈静化させたりすることがわかっています。音楽が、生命維持の中枢近くに働きかけるというのは興味深い話です。

ページ_1

脳がはたらいているとき、脳内の神経細胞から神経細胞へと情報を伝える過程で生化学物質(神経伝達物質)が重要な役割を果たしています。わたしたちの“心の動き”もそうした反応によって左右されているのですが、それを引き起こす元になっているのが、ホルモンです。「音楽に感動している時には、脳をはじめとした体全体でホルモンがあふれ出ています」(豊島先生)。

 

音楽を聞くことと関わりがあるホルモンにはさまざまなものがありますが、そのひとつが「コルチゾル」とよばれるホルモンです。コルチゾルはストレスを感じると増え、心拍数を上げたり血圧を上昇させたりと、危険な状況に対処するために必要なホルモンですが、長期にわたってコルチゾルが高い状態がつづくと、うつ状態になったり、神経細胞がダメージを受け認知機能が低下したりすることがわかっているそうです。

 

音楽を聞く前後で、ストレスを表すコルチゾルがどう変化するかを示したのが、下のグラフです。

(講演スライドより)

講演スライドより

 

赤い丸印に注目すると、聞く前(白い棒グラフ)と比べ、聞いた後(グレー)にコルチゾルの数値が下がっていて、ストレスが低下していると分かります。

ちなみに、緑の印はストレスを与える恐怖映画を見たときの値です。男女ともに数値が上がっていますが、その映像に音楽と組み合わせて見せた場合(赤印と緑印の間にあるグラフ)、ストレスは上がるものの、ある程度上昇がおさえられることがわかる結果となっています。

 

自分で演奏した場合はどうでしょうか?

(講演スライドより)

講演スライドより

 

上のグラフは、左から「能動的な音楽活動(ピアノ演奏)」「書道」「造形(粘土塑像)」(一番右は「なにもしない場合」)のコルチゾル値の変化を表したものです。それぞれの活動を専攻している人を対象にした実験結果とのことで、どの活動にもストレスを減らす効果がみられますが、音楽活動による下がり具合が顕著です。

 

楽器の演奏ができなくても心配(?)ありません。歌を歌うことにも同様の効果があるようです。

(講演スライドより)

講演スライドより

 

上のグラフは高齢者の音楽活動(合唱)によるコルチゾルの変化です。もともとのコルチゾル値が低い人(青)も高い人(ピンク)も減少していますが、特にもともと高い、つまりストレスが高い状態にある人での効果がきわだっています。また、一人ではなくみんなで演奏するということも、ストレス緩和の効果が高いとのこと。

 

音楽と関係のあるホルモンとして、このほか性ホルモン(テストステロン、エストロゲンなど)についても紹介されました。性ホルモンには生殖に関するはたらきだけでなく、神経細胞を保護したり、ストレスで傷ついた神経細胞を修復したりする作用があるそうです。加齢によりこのホルモンが減少すると、認知機能や意欲の低下などにつながりますが、音楽を聞くことによりこのホルモンが適切なレベルに調整されるとのこと。音楽を聞くと元気になることはふだんの生活でも感じることですが、傷ついた神経細胞を修復する作用まであるとは驚きです。

どんな音楽に効果がある? ジャンルは?

この後、会場からの質問に答える形で登壇者全員によるフリーディスカッションが行われました。

音楽の好みは人それぞれで、「嫌いな音楽を聞いたら、かえってストレスがたまるのでは」と気になりますが、豊島先生によると、こうした調査では事前に参加者一人一人の音楽の好みを聞きとり、本人が好む音楽を聞いてもらって調査しているとのこと。

また、かつては「モーツァルトの音楽を聞くとIQが上がる」という説がありましたが、現在では否定されています。モーツァルトが好きな人には効果があるかもしれませんが、モーツァルトだから良いというわけではなく、「その人にとって強い感動を引き起こす音楽であるかどうかが重要」というお話でした。

フリーディスカッションの様子。ファシリテーターは客員教授の北尾悟先生。

 

「プロが演奏する場合と、一般の人が趣味で演奏する場合、ストレス緩和効果に違いはあるのでしょうか」という質問に対しては、ヴァイオリンの日比先生とピアノの鈴木先生が、演奏家としての立場から「職業だからこそのストレスがある」と話し、豊島先生も、プロが仕事として聴衆に向けて演奏する場合は、趣味の演奏とは明確にちがう調査結果が出ると解説。この辺りのちがいは興味深く感じます。

 

♪  ♪  ♪

 

このシンポジウムにむかう途中、電車の中でついウトウトとするような状態でしたが、音楽を聞いて神経細胞が修復されたためか頭も体もスッキリ、別人のように元気になって会場を後にしました。理屈を抜きにしても音楽は楽しいですが、ちょっと調子が悪いな、ストレスがたまっているなと思うとき、今回知った「音楽のちから」を思い出したいと思います。

 

ヘヴィメタルとポップ・ミュージックで民謡を。京都市立芸大のセミナーで聞くポピュラー音楽と民俗/民族音楽との関係

2023年3月7日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

ふだん耳にするさまざまな音楽。最新のヒット曲もなつかしのメロディも、ルーツをたどると様々な時代や国の音楽から影響を受けているようです。そうした音楽のまじり具合のようなものに興味があり、京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センターのオンラインセミナー「民俗/民族音楽とポピュラー音楽」を視聴しました。

 

民俗/民族音楽とポピュラー音楽との結びつきについて、主に東ヨーロッパや北欧の事例から考えるという内容で、講師に齋藤桂先生(日本伝統音楽研究センター講師)、伊東信宏先生(特別ゲスト・大阪大学教授)を迎えて行われました。

*「民族音楽」がある民族の音楽文化全体を指すのに対し、「民俗音楽」は集団・共同体に口頭伝承によってはぐくまれてきた伝統音楽を意味するものとされる。

講師プロフィール

★474b

伊東先生(写真左)の専門は中欧・東欧音楽史と民俗音楽研究。著書に『バルトーク-民謡を「発見」した辺境の作曲家』(中公新書)、『東欧音楽夜話』(音楽之友社)など。本セミナーで紹介する「東欧演歌」に関する著書も近日中に刊行予定。

齋藤先生(同右)の専門は音楽学、日本音楽史。著書に『〈裏〉日本音楽史:異形の近代』(春秋社)、『1933年を聴く:戦前日本の音風景』(NTT出版)など。

どこか演歌っぽい? 東欧の民俗的ポップ音楽

長い祈りを思わせるような男性の歌声。エキゾチックな響きにシンセサイザーのような音が重なり、女性ボーカルが張りのある声で歌い出す。アルメニアの歌手シルショによる曲<プレゴメシュ>はこんな風にはじまります。

 

東ヨーロッパ諸国では1990年前後の東欧革命で社会主義から資本主義へと体制が変わってから、民俗音楽とポップ・ミュージックを融合させた音楽が大流行。伊東先生はそうしたジャンルを「東欧演歌」と呼んでいます。

 

<プレゴメシュ>シルショ(アルメニア)2012年

 

イントロで流れる歌はアルメニアの古い民謡だそうです。曲中でもそのメロディが使われていますが、全体にシンセサイザーが多用された今どきの音楽という感じ。一方、歌手の服装、風景などからは、民族的な匂いがたちこめています。ちなみに曲名の<プレゴメシュ>とは、水牛を扱うときのかけ声とのこと。

 

続いて紹介されたのが、下の曲です。

 

 

あれっ、これは日本っぽい…、と思ったら、坂本冬美さんの曲でした。はじまりは雅楽のような音色で、そこに三味線、笛などの和楽器、ドラムやベースの電子音、坂本さんのコブシのきいた歌唱がまじり合って、全体に演歌調のポップという印象。映像には、着物や桜といった日本的なモチーフがテンコ盛りです。

 

伊東先生は「この2曲はまったく同じものなんじゃないかと思います」と解説。旋律やリズムが似ているというわけではありませんが、どちらも民俗/民族的な音楽をポピュラー音楽のスタイルに融合させているという構造が同じです。そこに注目するとおもしろいものが見えてくるのではないか、と「東欧演歌」という言葉を使いはじめたとのこと。

 

一方で「こうしたことは古くから試みられてきたことでもあります」と、ハンガリー出身の作曲家バルトークによる<ルーマニア民族舞曲>(1915年)と、その原曲で、1912年にバルトークが現在のルーマニアで録音したロマの演奏なども紹介。2曲を聴き比べると、バルトークがロマの音楽をピアノで忠実に再現していたことがわかります。

「東欧演歌」はこうした試みの現代版と言えるようですが、ポップ音楽というワクを共有しているためか、どことなく演歌っぽく聞こえるのがおもしろいところです。

ヘヴィメタルで民謡を

ポピュラー音楽と民俗音楽の結びつきの別の例として、齋藤先生より紹介されたのがヘヴィメタルと民謡や民俗(調)音楽を融合させた「フォーク・メタル」です。

ふだんヘヴィメタルを聞くことがない私はこうしたジャンルが存在することすら知らなかったのですが、フォーク・メタルは2000年代から音楽ジャンルとして確立されているそうです。視聴するまではどんな音楽か想像もつきませんでしたが、とにかくインパクトがあったのが、スイスのエルヴェイティというバンドのライブ映像です。

 

腕にタトゥーを入れたシンガーがしゃがれ声で叫んでいるのは、ヘヴィメタルのイメージ通り。違うのは、フィドル(ヴァイオリン)、ホイッスル(笛)、ハーディガーディ(ヴァイオリンに似た形の擦弦楽器)といった民族楽器が、ベースやギター、ドラムなどとまったく対等にハードな音楽を演奏しているところです。

 

<Nil>エルヴェイティ(スイス)2014年

 

ライブ映像ということもあって、ものすごい盛り上がり。「手になじんだ楽器で大好きなメタルを演奏した」という雰囲気で、音楽ジャンルの越境はこんなふうに自然に行われてきたのだと思いたくなりますが、実際はそう単純でもないようです。

 

齋藤先生によると、60年~70年代から民族音楽への関心がサブカルチャーの一つとして定着し、ハードロックと民謡を合わせたり、アイルランドのバンドが民謡をアレンジした曲を作ったりといった試みがあったとのこと。

 

特に北欧ではキリスト教化される前の自国文化や音楽への興味が強く、反キリストを標榜するバンドが数多く登場。反キリスト的な歌詞をノルウェーの民謡にのせた曲(<Oppi Fjellet>Storm)では、「自分たちはノルウェー人であることを誇りに思っている、おれの気持ちはキリスト教のバカ者達には解らないだろう」と歌われています。

また、意外なことですが、ハードロックはギターで単旋律を弾くだけで曲になるという点で、民謡と相性が良いのだそうです。

 

こうした流れの中で「フォーク・メタル」という言葉が90年代から使われ始め、イングランド出身のスカイクラッドなど、カルト的な人気を誇るバンドが登場。ジャンルの型のようなものができて、その典型の一つが、先ほどの(ライブ映像の)エルヴェイティということになるそうです。

★557

(写真右)FOLK METALのロゴ入りシャツで解説する齋藤先生

 

フォーク・メタルの特徴として、民俗楽器や民謡風の音階(「ヘキサトニック」と呼ばれる)などがあります。

477

セミナー資料より

 

こうした共通性から「曲だけを聞いていると、(どこの国の曲かわからないけど)どことなく『ヨーロッパ民謡調』に聞こえる」と齋藤先生。この辺りは、先ほどの東欧演歌と重なるものを感じます。

この後、日本伝統音楽研究センター所長の細川修平先生も交え、北欧神話が音楽に与えた影響などの話題でディスカッションが行われました。

音楽と国家

最後に伊東先生より紹介されたのが、ヨーロッパ各国が参加する毎年恒例の歌合戦「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」の2022年の優勝曲<Stefania>です。ウクライナ民謡とヒップホップをミックスしたウクライナのバンドによる曲で、公式のミュージックビデオでは爆撃で廃墟になった町(ブチャ)で、焼け跡に取り残された子どもを抱いて運ぶ女性兵士が映し出されています。

 

伊東先生は「現代においても、音楽とか民族音楽がすぐに国家の問題と結びつきうることについて、それなりの覚悟をもって受け止めないといけない」と、このビデオを紹介した意図を話しました。感情を深く揺さぶる音楽だからこそ、そうした側面は知っておいてよさそうです。

 

* * *

 

今回のセミナーでは、自分のまったく知らなかった音楽がたくさんあったことに驚きましたが、伝統的な音楽や楽器は、それが自国のものでなくてもどこか懐かしい感じを受けます。

東欧演歌にしてもフォーク・メタルにしても(そして日本のポップ調演歌にしても)、影響力の強い「西側の音楽」に対し、自分たちのよさを失うまいとする抵抗と融和のような関係がおもしろく感じられました。

 

祭囃子からジャズ、即興演奏まで 大阪音大のミュージックカフェで知る日本の笛「篠笛」の世界

2023年2月16日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

コロナ禍で楽器を始めた人が多いという。私もそのひとり。始めた楽器は、お祭りの「ピーヒャラ、ピーヒャラ」という音色でおなじみの日本の笛、篠笛(しのぶえ)だ。

本来は竹製だが、初心者向けに作られたプラスチック製の笛は2000円前後と手頃な値段で入手できると知り、あまり深く考えずに購入。とりあえず音が出るだけで楽しいけれど、篠笛本来の音に触れたいと思い、プロの篠笛奏者をゲストにむかえて篠笛の魅力を紹介するトークイベント「和の響き~篠笛の魅力に迫る!」(主催:大阪音楽大学、アートエリアB1)を聞きに行った。“お祭りの笛”というイメージが強いが、実際のところはどのようなものだろう。

 

イベントを企画し、カフェマスター(ファシリテーター)をつとめたのは大阪音楽大学ミュージックコミュニケーション専攻3年生の大谷慎太郎さん。大谷さんは子どものころから和太鼓を叩いていて、篠笛はともに演奏することが多かったことから今回のイベントを企画した。

 

ゲストは篠笛奏者の新見美香(しんみ みか)さん。新見さんは篠笛歴15年で、演奏活動のほか篠笛教室の開催や和太鼓チームの指導、作曲など「現代に響く和の音色」をテーマに活動している。

新見美香さん(撮影のため、マスクを外しています)

新見美香さん(撮影のため、マスクを外しています)

 

★DSC_0885_20230116115807

上の写真はこの日、新見さんが持参した篠笛。篠笛は細い竹に穴をあけたシンプルな構造の横笛で、さまざまな長さや太さのものがある。

人生を変えた一音

中学・高校時代は吹奏楽でフルートを吹いていた新見さんが篠笛と出会ったのは、和太鼓に合わせる笛の演奏を頼まれたことがきっかけだった。実はフルートと篠笛は音を出す仕組みが似ている。どちらも最初は音を出すのもひと苦労で「スー」とか「フー」とか自分の呼吸音しか出ないが、フルートを吹ける人は篠笛の音もすぐに出せることが多い。

篠笛の演奏を「楽しそう」と気軽に引き受けた新見さんだったが、思いどおりの音を出すのはなかなか難しく、生来の負けん気に火がついた。そのころ出会ったのが、横笛奏者の出口煌玲(こうれい)氏の演奏だった。

出口氏が演奏する曲を聞いたとき、最初の一音で衝撃が体を走り、涙が頬を伝った。

「風がふわっと吹いて、切なさ、はかなさ、いろんな感情が揺れ動く」……、それまでモヤモヤしていたものがパンとはじけて「自分の道を見つけた」と確信した。自分も一音でこんな世界をつくれる奏者になりたい。

言葉では言い表せない「あの一音」を追い求めて、吹き続けているという。

★DSC_0865_b

相手に合わせて千変万化する笛 

篠笛は古くから地域のお祭りや神楽、獅子舞のお囃子など、人々の生活に身近なところで演奏されてきた。音の高さや音階などは地域により、また笛の作り手によりさまざまなものがあり、時代が下ると唄(うた)や三味線、また西洋音楽が入ってくると西洋の楽器に合わせやすい笛が求められるようになって、現代ではそうした篠笛もつくられている。

★DSC_0885_20230116115807

写真のいちばん上と下の笛は、古くからある日本の笛。7つの指穴が均等に並んでいる(西洋音楽とは異なる音階となる)のに対し、間にある3本は、よく見ると穴の大きさや並び方が均一ではないのがわかる。西洋の音階に合うよう調律された笛だ。

 

こうした笛は、下の図のように管の太さや長さの異なる12種類がつくられている。西洋の音階は1オクターブの中に12の半音があり、それぞれの調に合わせやすくするためだ。

篠笛を紹介する新見さん。管が細く、短いほど高い音になる。

篠笛を紹介する新見さん。管が細く、短いほど高い音になる。

 

例えばハ長調(ドレミファソ…)の曲なら、上のスライド画像の「8本調子」とよばれる笛、半音低い調なら、「7本調子」の笛、……と、笛を持ちかえることでさまざまな調の曲を演奏できる。篠笛は穴をふさぐ指を少しずらすなどして半音を出すこともできるが、あまりにも半音が多いと演奏しづらいため、笛を持ちかえることが多いそうだ。

新見さんはいくつかの笛で民謡や盆踊り、獅子舞のお囃子などを吹きながら、笛による音のちがいを紹介してくれた。

 

こうした笛がつくられたことで、和楽器とだけでなく洋楽器などとも合わせやすくなり、篠笛の登場シーンは広がっている。ポップスや洋楽、歌謡曲も吹けるし、15年前に最初の一音で新見さんに衝撃を与えた曲は、篠笛とウッドベースによる共演だった。

ジャズで演奏されるウッドベースと和の音色との融合は「篠笛にもこんな表現があるのか」「自由に演奏していいんだ」という別の発見も新見さんにもたらしたそうだ。

吹いているのではなく、「会話」している

本格的にこの道に進むと決意した新見さんが、その後出口氏のすべての演奏会に足を運び、師事してわかったことは、笛を吹いているのではなく、音を通して「会話」しているということだった。

このイベントでも、そんな「会話」を聴かせてもらった。今回のイベントでカフェマスターをつとめた大谷さんによる和太鼓とのセッションだ。

 

お腹に響くような和太鼓のビートと、のびやかな高音でうたう篠笛。演奏曲は和太鼓集団『鼓童』の提供楽曲だが、実は大部分が即興演奏だったとのこと。丁々発止の掛け合いだ。

 

このほか、新見さんのオリジナル曲や他の篠笛奏者による演奏も動画で紹介してもらった。陽気なお囃子から郷愁をさそう旋律、映画のワンシーンが思い浮かぶような情感たっぷりの演奏まで、篠笛の表現や音色は思っていた以上に多彩だ。

ピロピロと澄んだ音が篠笛の持ち味だが、個人的には演奏者が吹きこんだ息が笛の音になる前の呼気やかすれ気味の音、空気のゆらぎのようなものも音楽の一部となるところが、とても日本らしい感じで、いいなあと思う。

 

新見さんは「篠笛はくらしの身近にあったものなので、できれば小学校で(リコーダーを習うように)篠笛を吹いてもらえたら…」と願っている。演奏の喜びと聴く楽しみ(踊る楽しみも?)に寄りそって響く篠笛の世界、これからも注目したい。

 

今年の干支にちなんでご紹介。けっこう個性的なウサギの大学キャラクター

2023年2月9日 / 大学PRの世界, 大学を楽しもう

大学の行事や受験生向けイベント、広報物などで活躍する大学の公式キャラクター。2023年の干支にちなんでウサギの大学キャラクターを調べてみたところ、なかなか個性的な顔ぶれがそろっていることがわかりました。いくつかあるウサギキャラより、今回は編集部おすすめのキャラクターをご紹介します。

 

法政大学キャラクター えこぴょん

法政大学ウェブサイトより https://www.hosei.ac.jp/kankyoukenshou/kyouikukenkyu/characters/

画像:法政大学ウェブサイトより

 

か、かわいい…。でも、大丈夫? 落っこちないでしょうか。

 

法政大学のキャラクター「えこぴょん」は、環境問題解決のため世界を舞台に活動しているウサギ。地球(の形の気球)を背負っているのは、自分の背中に地球の未来がかかっていると思い込んでいるから。

2008年度の学内公募で環境改善活動推進キャラクターとなり、その後めでたく大学キャラクターに昇格しました。

法政大学環境報告2021(画像:法政大学ウェブサイトより)

法政大学環境報告2021(画像:法政大学ウェブサイトより)

法政大学ウェブサイトより

法政大学ウェブサイトより

 

それにしても、えこぴょん、どうしてこの姿になったの?

 

えこぴょんの作者は、当時法政大学に在籍していた学生さんです。その学生さん、ゼミやサークル活動で子どもと接する機会が多く、難しい話もキャラクターが楽しく教えると子どもたちが興味をもってくれることに感動。また子ども向けの人形劇では、うまくいきすぎる話は子どもの共感を得られず、どうすればメッセージが伝わるのか工夫していたそうです。

思わず手をさしのべたくなるような親近感がありまくりのえこぴょん、作者のたくさんの経験と工夫がつまってるんですね。

いろいろなところに登場するえこぴょん。法政大学カラー(オレンジとブルー)の服を着ています。 (画像:法政大学ウェブサイトより) https://www.hosei.ac.jp/koho/02_doga/?auth=9abbb458a78210eb174f4bdd385bcf54

えこぴょんが着ている服の色は法政大学カラー(オレンジとブルー)。愛校心のあらわれだそうです。(画像:法政大学ウェブサイトより)

※出典(えこぴょんの作者の言葉):『法政大学環境報告2008-09』P.25

 

武庫川女子大学キャラクター Lavy(ラビー)

 

武庫川女子大学ウェブサイトより https://www.mukogawa-u.ac.jp/lavy/lavy.html

武庫川女子大学ウェブサイトより

 

こちらは、おしゃれでスマートな印象。武庫川女子大学キャラクターの Lavy(ラビー)です。

公式サイトによると、ラビーちゃんは優しい性格で、好奇心旺盛。行動的でどこにでも飛び跳ねて出掛ける元気でかわいい女の子です。

キャラクター制作にあたっては「長く愛されるように」と学生や卒業生、教職員らよりアイデアを募集し、集まった計313点ものアイデアから何度かの選考を経て、プロのデザイナーの手で仕上げられたそうです。

武庫川女子大学事業部ホームページより https://www.mukogawa-u.ac.jp/~jigyoubu/lavy/character.html

武庫川女子大学事業部ホームページより

 

ラビーという名は、ウサギ(Rabbit)と愛(Love)からきています。黒ウサギは、これからの時代を生きる利発な女性の感性を表しているとのこと。

武庫川女子大学って、実際にどんなイメージの大学なのでしょう。大学情報の口コミサイトに目を通してみると、「学べることが多い」「自由でのびのび」「クラスの友人は優しい人が多い」…などの書き込みが。ラビーちゃん、大学の良いところをしっかり体現している印象です。

 

店頭であいさつするLavy

カフェ「Lavy's Cafe」の店頭であいさつするLavy

 

大学の最寄り駅(阪神電車「鳴尾・武庫川女子大学前」駅)にある「武庫女ステーションキャンパス」には、ラビーの名を冠したカフェ「Lavy’s Cafe」もあります。

関連記事 → 武庫女ステーションキャンパスがオープン!駅からはじまる大学と地域のつながり。

 

千葉大学マスコット 「ニシ」

千葉大学ウェブサイトより https://www.chiba-u.ac.jp/others/topics/info/20190405mascot.html

画像:千葉大学ウェブサイトより

 

見た目もネーミングもやや硬派? 千葉大学のマスコット「ニシ」です。2019年、大学の開学70周年を記念して誕生しました。

ニシには同僚がいます。サイ(犀)の「マツ」と、カモメの「イノ」です。

 

学長を囲んでの記念写真(画像:千葉大学ウェブサイトより) https://www.chiba-u.ac.jp/others/topics/info/20190405mascot.html

学長を囲んでの記念写真(画像:千葉大学ウェブサイトより)https://www.chiba-u.ac.jp/others/topics/info/20190405mascot.html

 

左からマツ、イノ、徳久学長、そしてウサギのニシです。

ネーミングがやや素っ気ないようにも思えますが、これは彼らの出どころと関係があります。

それぞれのマスコットの顔と、大学の各キャンパスの形との関係にご注目ください。

 

千葉大学ウェブサイトより https://www.chiba-u.ac.jp/others/topics/info/20190405mascot.html

千葉大学ウェブサイトより https://www.chiba-u.ac.jp/others/topics/info/20190405mascot.html

 

「ニシ」がウサギになったのは、西千葉キャンパスの形がタテに長かったためのようです。

 

西、もといニシは、恥ずかしがりのツンデレさん。西千葉キャンパスで「空飛ぶ研究科」に所属しています。イノは前向きな頑張り屋さんで、「飛行医療科」に所属。マツは素直な性格で、花は友だち。「空の花研究センター」に所属しています。

 

「空飛ぶ研究科」「飛行医療科」「空の花研究センター」は実在しませんが、それぞれ工学部、医学部・薬学部・看護学部、園芸学部に該当するのかなと思いました。学科名に「空」とか「飛行」がつくのは(ウサギとカモメは分かるけど)、サイについては……、空から写真を撮って、植物の分布などを調べているのかもしれませんね(想像)。

マスコットの性格も、期待する学生像というよりは、実際の学生の傾向をそのまま表しているように感じました。全体に飾り気がなく、実直な感じがいい味を出しています。

 

千葉工業大学 チバニー

(千葉工業大学 受験生サイトより)

千葉工業大学 受験生サイトより

 

以前、本サイトでも紹介したことがある千葉工業大学の「チバニー」です。「目、どうなってるの?」などというツッコミは不要。大学名のわかりやすさがポイントです。

 

<チバニーの紹介記事>

「大学はこう使え! 第17回 おじさんまでも虜にする、大学マスコットキャラクターの世界をのぞいてみよう!」

 

* * *

 

ひとくちにウサギと言っても、外見やネーミング、キャラクターに託された思いはさまざま。それぞれの大学らしさがあらわれているようです。

何はともあれウサギキャラのみなさん、卯年の今年はとりわけ活躍してくれることでしょう。学生さんにとってもそうでない人にとっても、2023年が安心して動き回り、いろいろな活動を楽しめる年となりますように!

 

落語と日本料理の意外な共通点とは? 大阪樟蔭女子大学のシンポジウムで聞く“流れの美学”

2023年1月10日 / 体験レポート, 大学を楽しもう

落語といえば庶民のエンターテイメント。そばやうどんなど、庶民に身近な食べ物が登場するイメージですが、本格的な日本料理と落語がコラボするという珍しいイベントが大阪樟蔭女子大学(大阪府東大阪市)で行われ、足を運んでみました。

樟蔭美科学研究所シンポジウム「落語と日本料理~異なる領域を美しさでコラボする~」というタイトルで、落語も日本料理も伝統に基づき、流れの美しさに留意したわざ(技)があることを紹介するというものです。講師は落語家で大阪樟蔭女子大学客員教授の桂かい枝さん、京料理の店「木乃婦」主人の髙橋拓児さん。ファシリテーターは同大学客員教授の北尾悟先生です。

まずは一席。料理の流れで人生のステージを表現

はじめに、かい枝さんの登場です。「落語と日本料理の流れの美学に迫る」というシンポジウムの宣伝文について「どうしましょう。私、そんなこと意識してしゃべってないもんですから」と客席を笑わせ、大阪の料理屋を舞台にした落語「献立」を披露いただきました。

桂かい枝さんは歴史に埋もれた“古墳落語”を復活させる取組みをしています。今回演じられた「献立」もそのひとつ。大正時代の演目帳より小佐田定雄作です。

桂かい枝さんは歴史に埋もれた“古墳落語”を復活させる取組みをしています。今回演じられた「献立」もそのひとつ。大正時代の演目帳より小佐田定雄作です。

講師プロフィール

桂かい枝 1994 年上方落語の五代目桂文枝に入門。「世界の人たちにも落語の楽しさを伝えたい」と 1997 年より英語による落語の海外公演をスタート。これまでに 世界27カ国108都市で300 回を越える公演を成功させている。2018年、第13回繁昌亭大賞受賞。

 

舞台は、大阪の料理屋「播磨屋」に盗人が入ってくるところからはじまります。盗人と播磨屋の主人がやりとりするうち、なぜか互いの身の上話に。播磨屋の主人が、実は人にだまされて店を手放したことを話し、「先付け、御椀、造り、焼き物、煮物、蒸し物まで出て、あとは酢の物と飯と水菓子というところで、あかんようになってしもた」と嘆いたり、その後の境遇を「先付と御椀の間をうろうろしている」と自嘲したり。人生のステージが料理の流れで表現されていたのが、大変めずらしく感じました。

 “マクラ” が長い日本料理

すっかり播磨屋の世界に浸っていたところに「こんにちは、播磨屋の主人です」と登場したのが、播磨屋主人……、ではなく京料理「木乃婦」主人の髙橋拓児さん。この日お話しするのは「うちの店に食べに来ていただくのが目的です」と笑わせ、日本料理の深い味わいがどういうところから来るのか教えてくれました。

講師プロフィール

髙橋拓児 「木乃婦」三代目主人。大学卒業後、「東京吉兆」にて湯木貞一氏に直接指導を受け、5年ののち「木乃婦」に戻って祖父、父に師事する。日本料理の海外普及に尽力し、創造性のある料理の研究開発も行う。出汁を効かせた離乳食や和食に合うワインの開発、NHK「きょうの料理」講師など幅広く活躍。

 

木乃婦の外観

木乃婦の外観

 

写真の建物は髙橋さんのお店「木乃婦」です。格式の高さを感じる店構えですが、これも「ゆっくりと食事したい」という気分になってもらうための仕掛け。玄関から路地を通って部屋に行くまで50m以上、料理が出るまで15分くらいかかるというから驚きます。

そして座敷に通されて料理が運ばれてくるまで、床の間の絵を眺めたり、お茶を飲んだりと「落語で言うとマクラが長い」(髙橋さん)。そうすることで日頃の喧騒を忘れていただくことが非常に大事だといいます。

料理は八寸からはじまり、「生」「煮る」「焼く」「蒸す」「揚げる」と、五つの調理法(五法)で作られた料理が一品ずつ運ばれ、献立が進んでいきます。

 

さて、京料理は日本料理と何が違うのかというと、「一品一品の中に京都が入っている」こと。いくつか木乃婦の料理を紹介いただきました。

講演スライドより

講演スライドより

 

写真左は「青梅の甘露煮」。青梅を銅製の鍋で二晩煮込み、さらにシロップで二昼夜かけてゆっくり煮込むという、京都の昔ながらの方法で作られています。

右の御椀は「江の島椀」。卵豆腐、あわび、とうがんを島に見立てた一品です。江の島は鎌倉の江の島ですが、昆布の味わいは深く、カツオは香りを引き立てるように、塩と醤油はごく控えめに、…と出汁が京風に仕立てられています。

講演スライドより

講演スライドより

 

上は「ふかひれ胡麻豆腐」。木乃婦の名物料理です。宮城・気仙沼産のふかひれを使い、20年ほど前に髙橋さんが考案した新作の料理ですが、これは胡麻豆腐を作る型ができていないと作れません。

日本料理全般にそうですが、京料理にも非常に多くの型があり、それを体得し、生かしてオリジナリティのある料理に仕立てることが大切だと髙橋さんは話します。

 

こうした料理をただ食べるだけでなく、床の間には掛け軸が掛けられ、テーブルは朱塗りで、と風情のある空間で、美しさに心を向ける瞬間があります。風景をからめて心情の揺れ動くさまを見せる小説の世界のように、日本料理はとても抒情的なもの。

「そうした情景に包まれて、幸せな気持ちで食べてもらうのが日本料理、京料理の真骨頂」という髙橋さんのお店、ちょっと背伸びをして行ってみたくなります。

実は共通点満載、落語と日本料理

それにしても落語と日本料理という意外な組み合わせ、一体どこから出てきたのだろうと思っていましたが、本シンポジウムを発案した北尾先生は食品加工学が専門で、かねてより日本料理と落語に「流れの美」という共通したイメージを持っていたとのこと。

かい枝さんの落語も気楽に楽しませていただきましたが、マクラで観客の心をつかみ、緩急つけて噺の世界に遊ばせ、オチに導くまでの一連の流れ、日本料理の流れと同様に考え抜かれたものなのだろうと思います。

 

フリーディスカッションでは、かい枝さんの落語を聞いて播磨屋の建物の大きさや間取り、部屋の使われ方まで想像したという髙橋さんが、「落語の没入感はすごい」と感想を話しました。そこまで細かく想像できるのはご自身が料理屋だからこそと思いますが、建物や庭、部屋のしつらいなどとあわせてひとつの世界をつくる日本料理は、語りで情景をえがく落語と相通じるものがあるようです。

 

落語「献立」では伴奏のお囃子が入る場合もあり、お寺の鐘に似た音で夜の雰囲気を出すなど、音で奥行きや立体感をもたせることもあるそうです。あの技この技で客を別世界に連れていくのも、型の習得の上に新作がつくられるのも、日本料理と同じ。あらゆるエンターテイメントに通じるもののようにも思います。

 

ディスカッションでは海外の文化との共通性や、異文化との接触による創造にも話が及び、笑いあり、おいしいお酒と食事の話ありの楽しい時間となりました。かい枝さんの落語は各地の劇場で、髙橋さんの料理は京都の「木乃婦」で味わうことができます。そちらもぜひ。

 

RANKINGー 人気記事 ー

  1. Rank1

  2. Rank2

  3. Rank3

  4. Rank4

  5. Rank5

PICKUPー 注目記事 ー

BOOKS ほとゼロ関連書籍

50歳からの大学案内 関西編

大学で学ぶ50歳以上の方たちのロングインタビューと、社会人向け教育プログラムの解説などをまとめた、おとなのための大学ガイド。

BOOKぴあで購入

楽しい大学に出会う本

大人や子どもが楽しめる首都圏の大学の施設やレストラン、教育プログラムなどを紹介したガイドブック。

Amazonで購入

関西の大学を楽しむ本

関西の大学の一般の方に向けた取り組みや、美味しい学食などを紹介したガイド本。

Amazonで購入
年齢不問! サービス満点!! - 1000%大学活用術

年齢不問! サービス満点!!
1000%大学活用術

子育て層も社会人もシルバーも、学び&遊び尽くすためのマル得ガイド。

Amazonで購入
定年進学のすすめ―第二の人生を充実させる大学利用法

定年進学のすすめ―
第二の人生を充実させる …

私は、こうして第二の人生を見つけた!体験者が語る大学の魅力。

Amazonで購入

フツーな大学生のアナタへ
- 大学生活を100倍エキサイティングにした12人のメッセージ

学生生活を楽しく充実させるには? その答えを見つけた大学生達のエールが満載。入学したら最初に読んでほしい本。

Amazonで購入
アートとデザインを楽しむ京都本 (えるまがMOOK)

アートとデザインを楽しむ
京都本by京都造形芸術大学 (エルマガMOOK)

京都の美術館・ギャラリー・寺・カフェなどのガイド本。

Amazonで購入

PAGE TOP