青空に浮かぶふんわりした雲、夕焼けに染まる薄い雲、今にも雨が降りそうなときの黒い雲……毎日の空の表情をさまざまに彩る“雲”。なんとなく見ているこれらの雲は具体的に何という名前なの? そんな素朴な疑問に答えてくれるアプリが「くもろぐ」です。
スカパーJSAT株式会社、バニヤン・パートナーズ株式会社、国立大学法人神戸大学大学院システム情報学研究科および海事科学研究科による共同開発で生まれた「くもろぐ」。スマートフォンやタブレットなどのカメラで雲の写真を撮影してアプリに読み込ませると、搭載している雲識別AIのKMOMY(くもみ)が雲の形(10種類)と雲の状態(下層・中層・上層の27分類)を教えてくれます。
実際にアプリを試してみました。初回起動時はアプリの利用規約が表示されるので、同意してタップするとメニュー画面が表示されます。
シンプルでわかりやすいメニュー画面
雲の識別をしてくれるのは「この雲なあに?」。
「この雲なあに?」の画面
「写真を撮る/選ぶ」をタップして、識別したい雲の写真を選択します。過去に撮影した写真でも、今から撮影してもどちらでもOK。
「KMOMY(くもみ)に聞く」をタップすると、解析が始まります。
何の雲か、AIのKMOMY(くもみ)ちゃんが考えてくれる
10秒ほど待つと、結果が表示されました!
解析結果が表示される
この雲は「積雲」通称「わたぐも」だそう。今までなんとなくのイメージしかなかった雲の名前も、自分が見て撮影した写真で解説してくれると「ほー、なるほどこれが…」と実感がわきます。雲の状態の説明なども表示され、SNSでシェアできるようにもなっています。
このようにアプリユーザーがそれぞれ判定した雲情報は共有され、「みんなの雲を見る」で一覧や地図形式で見ることができます。
「みんなの雲を見る」画面。「ならべて見る」(左)、「地図で見る」(右)
撮影期間や、巻雲(すじぐも)や高積雲(ひつじぐも)など雲の名前、CL、CM、CHなどで表される雲の状態での絞り込みも可能。投稿されている雲写真は、のどかな山々の上に広がる空や都会のビルの間から見える雲、海辺の広い空や美しい夕焼けなどさまざまで、全国各地でみんなが空を見上げて雲の写真を撮っているんだなぁと考えるとなんだか楽しくなりますね。
そのほか、雲の形や状態などについて詳しい解説が読める「くも識」、気象予報士やくもろぐスタッフが「みんなの雲」の写真からピックアップして気象解説や一言を綴る「みんくも草子」などの読み物コンテンツも。
「くも識」(左)、「みんくも草子」(右)の画面
雲の名前がわかるというシンプルなアプリですが、ふだん空を見て「きれいな空だな、おもしろい形の雲だな」と思うだけで終わっていたのが、これがあればプラスαの知識が得られることに。操作も簡単なので、子どもの学習用にもよさそうです。
このアプリは、前述の三者による産学官連携でのAI研究開発の過程で誕生したもの。今後も研究を進め、近い将来には船舶気象観測を自動化することを目指しているそうです。ちょっと堅いイメージのある研究も、“雲”という一般の人にも身近で、時間や場所によって形がいろいろ変わるものを切り口にすることによって、写真やSNSでのシェアといったツールと相性がよくなり、一般向けのキャッチーな雰囲気で技術をアプリとして活用しているところが面白いと感じました。
今後の研究によっては、私たちも自分で撮影した雲の写真で気軽に天気予報ができるようになったりするのかも…!? そんな期待をしつつ、面白い形の雲を見かけたときは、ぜひ一度試してみてくださいね。