これが近大の「地力」。 保護者と大学をつなぐ広報誌。
日本全国の大学が発行する広報誌を、勝手にレビューしてしまおうというこの企画「大学発広報誌レビュー」。第13回目となる今回は、近畿大学が発行する保護者向け広報誌「KINDAI FAMILY」を取り上げます。
大阪府東大阪市に本拠地を置く近畿大学は、2016年現在早稲田大学や明治大学を上回る日本で最大の志願者数を誇る総合大学。最近では近大マグロや奇抜な広告展開でメディアに取り上げられる機会も多く、日本でも有数の「元気の良い」大学であるといえるでしょう。
今回ご紹介する「KINDAI FAMILY」は、近畿大学が在学生の保護者向けに発行している広報誌。就職活動や研究成果など保護者の関心の高いトピックスを集めて、年に2回、成績通知書に同封して送付しています。
成績通知書を送付するという点もそうですが、近畿大学は学生の学習状況を保護者に伝えることにたいへん熱心です。昨年9月からは「近大UNIPA(ユニパ)」という保護者用のポータルサイトを開設しており、授業の出席状況がリアルタイムに把握できるほか、大学に直接問い合わせができる窓口をサイト内に設けるなど、保護者とのパイプラインの役割を果たしています。
学習状況の保護者への開示については、「大学生にもなって自己管理もできないのか」という一部の意見もあったようですが、自己管理を徹底することは当然として、多くの学生にとっての出資者である保護者への情報開示は説明責任のひとつなのではないかと思います。
「KINDAI FAMILY」には、この「近大UNIPA」の使い方や機能の説明を始め、「保護者のための就職読本」と銘打った現代の就職活動のノウハウを伝える企画、子供達が普段どんなものを食べているのかを紹介する「近畿大学全キャンパス学食巡り」など、8Pの小冊子とは思えない盛りだくさんの内容が盛り込まれています。特に就職活動については保護者が就職活動をしたであろう20〜30年前とは様変わりしていますから、改めて「就活の現在形」を知ることは子供の就活をサポートする上で非常に重要です。
保護者向けポータルサイトの使い方を紙面でレクチャー
生活の基盤となる「食」の説明も
全ページを読み終えて感じるのは、近大マグロや奇抜な広告といった「派手」な面ばかりに目が行きがちな近畿大学ですが、保護者へのフォローに代表される「地味」な努力も怠っていないということ。こういった地力に支えられているからこそ、大胆な一手を打つことができるのでしょうね。