日本全国の大学が発行する広報誌を、勝手にレビューしてしまおうというこの企画「大学発広報誌レビュー」。第21回目となる今回は、千葉商科大学が発行する「LINK」を取り上げます。
千葉商科大学は、1928年に文学博士遠藤隆吉によって創立された巣鴨高等商業学校を前身とした社会科学系の総合大学です。学問においては社会に役立つ実学を、人間形成においては精神のあり方である「武士道」の精神に基づく人間教育とし、「治(ち)道家(どうか)(大局的見地に立ち、時代の変化を捉え、社会の諸問題を解決する高い倫理観を備えた指導者)の育成」を教育理念としています。
今回取り上げる「LINK」は、千葉商科大学における「学内報」にあたる広報誌です。一般的な広報誌は学外のステークホルダーを対象に発行されるものですが、学内報は主に内部のステークホルダーに対してインナーコミュニケーションの拡充を目的として発行されます。学生自身が自ら学ぶ大学について知る「自学学習」、帰属意識の醸成など、効能はさまざまあり、学外向けの広報誌とは別に学内報を発行する大学も近年徐々に増えつつあります。
2019年10月発行vol.30の特集は「趣味のススメ」。同じキャンパスで共に学ぶ学友がどのような趣味嗜好を持つのかを知ることで、共感とともに大学への帰属意識を抱いてもらおうという趣旨であると考えられます。後半では教員陣の趣味も紹介され、普段は「お堅い」イメージの教員が、自分たちと同じく日々に楽しみを見出す人間であることを感じさせます。
学生が興味を持ちやすい、吹き出しや切り抜きを多用したデザイン
他にも、ラグビー部員が旬のラグビー・ワールドカップにあわせてラグビーのルールや楽しみ方について解説するコンテンツなども。ラグビーそのものというより、旬のネタを通して自学のラグビー部に興味関心を持ってもらいたいという想いの現れでしょう。
「LINK」というタイトル通り、学内のつながりを強めることを目指した千葉商科大学の学内報。今後もこうしたタイプの広報誌は増えていくことでしょう。この大学に来てよかった、そう感じることで生まれる学生満足度の向上は、あらゆる大学でこれまで以上に求められるでしょうから。
客観的なデータに基づいて学生の「生態」を明らかにする企画ページも