現在、グランフロント大阪・ナレッジキャピタルにて「ダ・ヴィンチ! 天才の遺産 レオナルドと歩む未来展」が開催されています。この展覧会は大阪大学、関西大学などが協力し、関西テレビ放送、朝日新聞社が主催しているもので、芸術家としてだけでなく、科学者、技術者としてのレオナルド・ダ・ヴィンチの功績を過去から未来までの3つのゾーンに分け、バラエティにとんだ方法で展示されています。今回は、その一部をご紹介します!
※この展覧会は2月14日(日)までです。
ダ・ヴィンチの知られざる一面
「モナ・リザ」や「最後の晩餐」の作者で、ルネサンス時代の画家として知られているダ・ヴィンチですが、それだけではなくあらゆる学問に精通していたことをご存じでしたか?
ダ・ヴィンチは何千ページにも及ぶスケッチやメモを残しており、これは手稿と呼ばれています。これらには技術者・科学者としての斬新な発想が書き記されています。
手稿・空圧ねじ(ヘリコプター)-「パリ手稿B」より
模型・空圧ねじ(ヘリコプター)
今回の展覧会では、このように手稿に残されたメモや設計図を元に作られた模型が展示されています。メモや設計図だけでは分かりづらくとも、このように模型になるとわかりやすい! ちなみにこの空圧ねじは、らせん型とうずまき型を調べているうちに、このスクリュー型のプロペラを考え出したそうです。
ダ・ヴィンチは空を飛ぶことに強いあこがれを持っていたそうで、鳥の翼の構造をスケッチした手稿なども展示されていました。
鳥の翼の構造のスケッチ-「鳥の飛翔に関する手稿」より
こちらをよくご覧頂くと、ノートに顔が描かれているのがわかりますか? こちらはダ・ヴィンチの自画像といわれています。そしてもう一点、文字列に注目していただきたいのですが、アルファベットは普通左側から書き始めるので、左がそろいますよね? なのにダ・ヴィンチの残した手稿やメモはすべて右側がそろっているんです。どういうことなのでしょうか?
実は、ダ・ヴィンチは鏡文字しか書けなかったと言われているんです。
日本語でいうとこんな感じ!
吊された鏡に文字を写す仕組み。分かりやすいです
ダ・ヴィンチの画家としてのすごさを再認識
<>ダ・ヴィンチが画家として優れていたことは言うまでもありませんが、ダ・ヴィンチが描き残した絵画の魅力を実感するコーナーがありました。
それがこちら、デジタルミュージアムです。
モニターを使ったナビゲーション
こちらでは「受胎告知」「東方三博士の礼拝」「キリスト洗礼」の三枚の絵画を手元のタッチパネルで操作し、詳しく見たい部分をズームすると、モニターに表示される仕組み。地面に咲く花一輪をとってみても、どれだけ丁寧に描かれているかがよくわかります。改めてダ・ヴィンチの画力の高さに驚くこと間違いなしです。
ダ・ヴィンチの発明を体験!
ダ・ヴィンチの発明を体験できるスペースもあります。
この「モバイルブリッジ」は元々ダ・ヴィンチが軍事用に発明したもので、持ち運びができる橋です。「レオナルドの橋」とも呼ばれているそうです。
分かりやすい作り方が用意されているので簡単にできそう! かと思いきや、案外難しい…。一度コツを覚えてしまえば、あとは簡単に作れるのですが、そこまでが大変です。苦戦しながらも、なんとか完成! 釘や接着剤は一切使っていないのですが、上から力を入れても崩れない耐久性。こんなすごいものを思いつくなんて…。ダ・ヴィンチの天才ぶりを体感できるコーナーでした。
と、ここまではレオナルド・ダ・ヴィンチの過去のゾーン。
ここからダ・ヴィンチの発想が生かされている機械や乗り物が展示されている現代ゾーンを通り、未来へと進んでいきます。
ダ・ヴィンチが照らす未来
「自動機械」や「人体」のしくみに深い関心を抱いていたダ・ヴィンチ。もし21世紀の今を生きていたなら、ロボットを間違いなく作っていただろう! という発想から、本展覧会ではさまざまなロボットが集結しています。
SOTA / 株式会社ヴィストン
D-Ropop / 株式会社イーガー
さらに今のロボット技術を駆使した「ダ・ヴィンチ・アンドロイド」が制作されました。存在感のあるひげや、リアルなしわ、体毛なども完璧に再現されています!(歴史上の人物なので、再現という言葉はふさわしくないかもしれませんが…)
ダ・ヴィンチ・アンドロイド / NPO ダ・ヴィンチミュージアムネットワーク
こちらのアンドロイドは大阪大学の浅田稔教授が制作したもの。浅田教授はNPO ダ・ヴィンチミュージアムネットワークの理事長も務めていらっしゃいます。NPO ダ・ヴィンチミュージアムネットワークでは、万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチの精神を礎とし、科学技術と文化・芸術が融合する新しい教育、環境・産業分野の確立を目的として活動を展開されているそうです。
浅田教授が本展覧会に寄せたお言葉
ダ・ヴィンチ・アンドロイドの展示は日本だけに留まらず、昨年9月に行われたミラノエキスポでも大人気を博したとのこと。日本人には分かりにくい、ヨーロッパ人独特の顔つきもしっかりと再現されている! と絶賛されたようです。現地の方々が言うのだから間違いありませんね!
また、13:00から16:00にはオペレーターを通し、ダ・ヴィンチ・アンドロイドと会話できる時間が用意されているので、その時間を狙って行くとさらに楽しめるそうです。
会期中の土・日曜日には今回の展覧会のマスコットキャラ的存在である「少年時代のレオナルド」を描いたイラストレーターさんによる似顔絵コーナーが設けられ、家族連れやカップルなどに大人気なんだとか。SNSのアイコンにも利用できますよ!
少年時代のレオナルド。来場者をナビゲートしてくれています
LINEスタンプも発売中
画家としてだけではなく、科学者や技術者の一面まであり、「天才」と称されているレオナルド・ダ・ヴィンチ。今回の展覧会では、そんな「天才」の一部を垣間見ることができました。子どもから大人まで、一人でもカップルでも、家族でも、誰と来ても楽しむことができる「ダ・ヴィンチ! 天才の遺産 レオナルドと歩む未来展」。
みなさんも、ぜひ足を運んでみてください!