スマホにパソコンが欠かせないIT時代、文字を書くことが激減してしまいましたね。最後に筆を執ったのはいつだったか覚えていますか?手書き文字は個性のひとつ。そこで大正大学 書道カレッジ、大人気の「書道に親しむ〜書の美を見つめて〜」講座にお邪魔しました。
大正大学の書道カレッジがスタートしたのは1968年。実用的な書道から専門的な芸術書道の技術を磨くだけではなく、仏教思想を取り入れながら書の知識も得られることが魅力のひとつ。なんと30年も続けている受講生さんもいらっしゃるとか!書道って、奥が深いんですね。
「書道に親しむ〜書の美を見つめて〜」講座が行なわれる書道教室は、大正時代に建てられた大正大学4号館。タイムスリップしたような建物内は、微かな墨の香りと静寂に包まれ、時間の流れもゆるやかに…一気に心が穏やかになっていきます。書道教室に入ると、すでに約30名の受講生の方々がいらっしゃいました。講師は大正大学の名誉教授であり、書道家として活躍されている赤平泰処先生です。
赤平先生の講義は、専門的な内容にも関わらずわかりやすい。何年も通われている受講生も、初心者も魅力的な書の世界に誘ってくれます
さぁ、講座がスタート!今回臨書するのは「書聖」と呼ばれた王羲之の楽毅論から「夫求古賢之意」「宜以大者遠者」。まずは大学の書道カレッジならではの理論的な講義です。王羲之とは300年代(今から1700年以上前!)に中国で活躍した書道家で、今なお多くの人々に称えられています。
赤平先生直筆のお手本(印刷)
添削のお道具。「道具はいいものを」自分にあったものを大切に使う、その思いは受講者にも伝えているそうです
講義が終わると実践です。赤平先生が見せてくれるお手本は、遠くの席からでもよくわかるプロジェクタに映し出されます。先生の筆遣いの一挙一動を見逃さず、アドバイスも注意深くメモをとっている受講生がたくさんいらっしゃいました。
この講座ではプロジェクタを使用、「人数が少ないと僕の席、ここに集めて書いてみせるんだよ」と赤平先生
「一人ひとりが違うからそれに配慮した指導を大事にしている」そんな思いで指導されるという赤平先生。受講者の臨書がはじまると、先生は一人ひとりに注意を配りながら教室をまわられます。
静かな教室に響く先生の一言一言、それはみな受講者の心に深く伝わっているようです
気さくな赤平先生は受講者の質問や気づいたポイントにすぐ答えてくれます
先生が着座されると、書き終えた受講生さんが並んで順番に直接指導。なんか子どもの頃に通った習字教室を思い出します。「手本と同じではなくても気持ちが伝わる字、自分らしい字がいいんだよ」と話されていた先生、褒められたらおとなだって嬉しいです!
おとなになると褒められることも少なくなりますよね…。○をいただいた受講生さんは嬉しそうに席に戻りました
この講座のもうひとつの人気ポイントは赤平先生と行く書の鑑賞会。「書道は人と人とのつながり、人としての生き方を豊かにしてくれる心の芸術」、講座の一環として行く毎日書道展見学の他に美術展などに集って行くことがあるそうです。大学教授による作品の解説付き、なんて贅沢な鑑賞会でしょう!
大正大学の書道カレッジはおばあちゃんの原宿と呼ばれる巣鴨にあって、西巣鴨駅から徒歩2分、池袋駅からもバス(本数も多い)で10分とアクセスは◎。募集は年1回、春に行なわれています。「締め切りに間に合わなかった…」でも、諦めてはいけません!書道カレッジは途中参加が可能(要問い合わせ)、出遅れも丁寧なマンツーマン指導でカバーしてくれるのです。
忙しい時代だからこそ、心のゆとりを求めて筆を執ってみるのもいいですね。