ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

  • date:2019.3.12
  • author:安倍川モチ子

500年の時を超えて残るモノも!共立女子大学「染-人の手が創る美-」展に行ってきた!

2018年12月13(木)~2019年2月6日(水)まで、共立女子大学博物館にて、「染-人の手が創る美-」展が開催されました。展示されたのは、絞り染・型染・友禅染を中心とした作品。日本の染色の多様性や作品が生まれた背景などを楽しめる内容となっていました。

2016年に誕生したニュー大学博物館!

2016年10月にオープン。セキュリティーも万全で近代的

2016年10月にオープン。セキュリティーも万全で近代的

 

開催地となった「共立女子大学博物館」は、学園創立130周年を記念して竣工した2号館の地下1階にあります。大学内で、研究・教育資料として収集された染織品・服飾作品などの美術・工芸品を、学内者に限らず一般の人も楽しめるようにと造られました。

 

現在は、年4回のサイクルで「コレクション展」と「企画展」を交互に行っています。「コレクション展」は、博物館に所蔵されている作品の中からテーマを問わず作品を楽しめる展示で、「企画展」はひとつのテーマに沿った展示と講演会やギャラリートークなどのイベントも同時に開催しています。

博物館内はコンパクトながら、落ち着いた照明でゆっくりと楽しめます

博物館内はコンパクトながら、落ち着いた照明でゆっくりと楽しめます

 

今回の「染-人の手が創る美-」展は後者の「企画展」に当たり、「染色」をテーマに展示とギャラリートークが開催されました。

戦乱を乗り越えた貴重な染物たち

まずは、染色の歴史を簡単に説明しましょう。
日本の染色の歴史はとても古く、古代より続いていると言われています。現存資料をたどると、飛鳥・奈良時代の纐纈(こうけち)・臈纈(ろうけち)・夾纈(きょうけち)と呼ばれる染色技法がはじまりとなります。

 

中世の染色資料は度重なる戦乱のため焼失などにより現存資料が乏しくなり、当時の様子を知ることが困難となります。しかし、近世になると、桃山時代には「辻が花染」、江戸時代中期には「友禅染」などの染色技法が出現し、染色の黄金期へと移ります。

 

長い時を経て現在まで残っている貴重な室町・桃山時代の染色資料が、これらの裂(きれ)です。

何世紀もまたいで残ったもので、着物の形はしていない

何世紀もまたいで残ったもので、着物の形はしていない

 

「辻が花染」と呼ばれる裂です。絞り染と墨を使った「描き絵」でモチーフを現しています。

 

元は小袖などの染織品だったものが、長い時間を経てこのような小さな裂として今日現存しているものです。桃山時代~江戸時代初期の間の染織品は、現存数も少ないことから学術的、歴史的にも価値が高く、特にすぐれた作品は重要文化財として指定されているものもあります。

江戸時代初期の裂

江戸時代初期の裂

 

こちらは江戸時代初期の裂で、貴族などが乗っていた御所車の歯車(と思われる)が鹿の子絞りと刺繍で表現されています。小袖などの元の形のまま残っていたら、重要文化財に指定されていたかもしれませんね。

様々な染色技法と模様に込めた想い

本展示の目玉とも言えるのが、江戸時代に作られた華やかな振袖です。裕福な町人の娘が、結婚するときに着ていたと考えられており、絞り染の技法のひとつである鹿の子絞りが施されています。

長い歴史をもつ鹿の子絞りの展示品

長い歴史をもつ鹿の子絞りの展示品

 

鹿の子絞りは、奈良・飛鳥時代から続く技法で、こちらに展示されていた鹿の子絞りは江戸時代に作られたものになります。鹿の子絞りとは、布を小さくつまんでくくった絞り染のことです。小さなつぶが模様となります。この基本の技法は、右側の梅模様の振袖に施されており、別名「日向の鹿の子」とも呼ばれています。

 

一方、左側にある竹模様の振袖は「日陰の鹿の子」と呼ばれる技法で染められたものです。絞り染の小さなつぶが地となり、絞られていない部分が模様となって現れます。

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左は「日向の鹿の子」、右は「日陰の鹿の子」

 

この2つの技法を駆使した振袖が見た目にも美しいのはもちろんですが、喜ばしい日にふさわしい梅や竹模様が大きく施され、花嫁の末永い幸せを祈る気持ちが込められているようですね。

 

続いては、明治時代に作られた友禅染の着物です。

右は男の子用の着物、左は振袖

右は男の子用の着物、左は振袖

 

友禅染は16世紀後半に出現した技法だと言われています。絵筆で描いたような繊細な模様が出せるので、主に町人女性の間で一躍ブームとなりました。また、刺繍が施されているものも多く、染色技法に詳しくない人でも目で見て楽しめます。

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友禅染と刺繍で表されたおめでたい象徴の数々

 

一方の右の浅葱色の着物は、明治時代に作られた男の子用の着物。宝尽模様などの縁起のいい模様が描かれています。当時は科学が発展途上だったため、現代に比べると子供の死亡率が高いこともあり、子供の成長は大変喜ばしいものでした。左の紫色の振袖には、「歳寒の三友」と呼ばれ清楚な文人の人格を象徴した松竹梅と長寿を意味する鶴と亀が組み合わされています。

 

次は大正時代に作られた、友禅染の打掛です。友禅染と刺繍で描かれた空を舞う鳳凰の下には、大きな桜の木と几帳があります。近代になって文明が進み、細かい技術や細工が発達していたことがうかがえます。

細かくてインパクト大な友禅染が施された打掛

細かくてインパクト大な友禅染が施された打掛

ギャラリートークでは見ているだけではわからない着物のお話も

この他にも、江戸時代後期~明治時代に使われていた染見本帳(着物を作る注文を受けるときに使っていた)、型染で使う型紙、貴重な着物や布が展示されていました。

 

また取材に訪れた日は、共立女子大学博物館の学芸員さんによるギャラリートークも行われました。

真剣に説明を聞く来場者たち

真剣に説明を聞く来場者たち

 

それぞれの着物に施されている技法の説明に、その着物が作られた時代背景など、着物を見ているだけでは知ることのできない詳しい話が語られ、訪れた人々は真剣に耳を傾けていました。

 

また、トーク終わりの質疑応答では色々な質問が飛び、専門的な回答に驚いたりして、それぞれが染色の深い世界を楽しんでいました。

 

次回は、宮廷装束の展覧会を予定しています。一体、どんな作品が展示されるのでしょう?ぜひ、足を運んでみてくださいね。

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