ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

  • date:2025.1.28
  • author:溝口葉子

【ほとゼロ✕Blooming Camp共催】大学人と企業人が大学について自由に語り合う共創プロジェクト中間レポート

ポテンシャルの塊といっても過言ではない「大学」という場を、社会は本気で活用できているのでしょうか? そんな課題意識のもと、大学関係者、産官民関係者がそれぞれの視点から大学の価値・魅力を再発見した上で、新たな共創チャレンジの可能性を模索していく「大学人と企業人で楽しむ共創プロジェクト」を、ほとんど0円大学はさくらインターネットの共創スペース「Blooming Camp」とともに取り組んでいます。

 

本プロジェクトは、大学関係者と産官民関係者に分かれて、まずは大学について考える「再発見セッション」を3回ずつ開催(参加者は各回異なる)。それぞれが大学について理解を深め、より柔軟に考えられるようになったうえで、参加者が一堂に介してどんな共創ができるかを「共創セッション」で話し合います。

 

今回は「再発見セッション」のうち2024年12月12日(産官民関係者向け)と19日(大学関係者向け)に行われた模様をレポート。少人数でカジュアルな雰囲気のなか、多くの意見が飛び交いました。

 

企業人の視点で、外から大学を見てみると?

各セッションのファシリテーターは、京都芸術大学院 准教授の武内伸雄さん。イベントやワークショップ、社会課題をテーマにしたシリアスゲームなどの企画をするプランナーであり、大学教員でもあるという両方の立場から、参加者の対話をサポートします。

 

12月12日に行われたのは、第一回目の産官民向けのセッションです。鉄道関連企業、デザイン会社の社員、ビジネスと社会活動の両面でまちづくりに関わる起業家の3名に参加いただきました。セッションでは、個人ワークを行いつつ、各人の考えを共有し、対話を深めていきます。

 

はじめに自己紹介を兼ねて、所属する企業での仕事、大学時代を振り返っての経験を話してもらいました。まだ皆さん、少し固さがほぐれていない様子。今回はあえてゴールを決めずに、参加者と一緒に何が生まれるのか模索していこうというチャレンジングなプロジェクトということもあり、どんな取り組みになっていくのか、戸惑いの気持ちがあるのかもしれませんね。対話を進めていく中で、普段は接点のなさそうな人たちの考えが交わり、どんな話が展開されていくのか楽しみです。

ファシリテーターを務める京都芸術大学院 准教授の武内伸雄さん

 

今回のセッションでは、まず大学の持つ魅力や価値(HAVE)を明らかにしていきます。大学が何を持っているかがわかると、一緒にやりたいこと(WANT)が見つかったり、お互いの持っているものを組み合わせて、新たにできることを発見できたりするでしょう。参加者には、自分たちの企業が持っているもの、大学と何がしてみたいかを考えてもらいました。

 

「大学生が何を求めているのか知りたい」「若い世代の発想や感性を取り入れたい」という声があがり、やはり企業側は、自分たちの当たり前がくつがえるような何かを大学との共創から得たいと考えているようです。また、企業経営では“知の探索”と“知の深化”という2つの異なる戦略を両立させる“両利きの経営”が重要だと言われていますが、特に“知の探索”においては、大学の持つ資源を活かすことができるのではないかという話もありました。

 

では、もう少し大学のHAVEを多角的に考えてみましょう。大学の外にいる人たちの視点から見ると、今まで気づかなかった観点や切り口が出てくるかもしれません。約30分間、それぞれの気づきや意見を出し合い、より自由なスタイルで対話していきます。

 

思いついたキーワードを付箋に記入し、ホワイトボードに貼り付けていきます。一つの意見が出ると、それに誘われるように皆さんからどんどんいろんなキーワードが出てきて話が広がっていきました。中でも盛り上がったのは、「大学生」という存在についての話題です。「大学生が相手だと大人は応援する」「責任が求められないので、社会人ができないようなチャレンジができる」「4年間という期間限定の高いエネルギーがある」「“普通”から逸脱しても大学内では許容される」など、大学生は社会の中で大きな強みを持っている存在ではないかとの気づきがありました。

 

こうした対話を経て、改めて大学とやりたいこと(WANT)は何かを参加者に問いかけると、「大学生にチャレンジの場を提供し、企業も大学の教育資源や大学生から学び、お互いに学び合えるような持続的な関係を築きたい」といった声が聞かれました。大学生と関わりたいという気持ちが参加者の中でより高まったように感じられます。

 

セッションを終えた参加者は、「普段、ここまで大学に向き合う機会はなく、興味深い経験だった」「プロジェクトの今後が楽しみ」と述べ、今回の取り組みを前向きに受け止めていただけたようです。

「起業してみるチャンスがある」「熱量」といったキーワードを書き込む参加者

 

大学関係者たちが、対話を通じて大学の価値を再発見

12月19日には、第二回目の大学関係者向けセッションを実施しました。参加いただいたのは、大学で広報や産学連携プロジェクトに携わる職員の方々です。産官民向けセッションと同じく、まず大学での仕事内容や自身の大学時代の経験を語っていただき、セッションがスタートしました。

 

大学の持つ魅力や価値(HAVE)は何かという問いに対しては、「総合大学ならではの豊富な教職員の知識と経験」「卒業生にも受け継がれるスクールモットー」「地域での知名度の高さ」など、それぞれの大学ならではの強みを話されます。外部との共創に期待することとしては、「学生の卒業後の人生、キャリアにもつながる経験」「新しいことに挑戦したいと考える企業・自治体・NPOなどとのつながり」を欲しているといいます。

 

大学をよく知る職員の方だけに、大学の魅力や価値をしっかりと言語化できるのはさすがです。でも、大学職員といえども、本当に大学のポテンシャルを理解しているのでしょうか? 実はまだ、わかっていない領域があるかもしれません。

 

そこで、参加者同士の対話を通じ、大学のHAVEを深掘り、あるいは新たな視点を見つけられることを期待して、今回も30分間のグループワークを実施しました。ワーク前には、第一回の大学関係者・産官民向けセッションではどのような意見や気づきが得られたのかを今回の参加者に共有しました。各セッションでの成果からヒントを得て次の対話に活かせば、よりおもしろい何かが生まれてくるのではないかと考えています。

大学HAVEについての深堀りする参加者

 

グループワークでは、多様な視点からの大学が見えてきました。「知の探究を全力で応援してくれる環境があるのは、大学ならでは」といった教育機関としての価値もあれば、「それぞれの大学には個性や人格がある」というユニークなとらえ方も。特に注目されたのは、リアルに人が集まるキャンパスという場の価値です。「知識や人が偶然に出会う可能性の広がり」「対面からしか生まれない人とのつながり」は、リアルな場である大学だからこそ生まれるのではないかと考察。オンラインでのコミュニケーションが加速する中で、これほど多くの人が集まれる場は貴重なのではないかと再発見しました。

写真上が大学関係者向けセッション、写真下が産官民関係者向けセッションで使われたホワイトボード。貼られた付箋から、たくさんの気づきが得られたことを感じられる

 

今回のセッションを踏まえ、改めて大学の持つ独特な価値に気づいたと話す参加者たち。「せっかく出会えた皆さんと何かできたら」といううれしい言葉も聞かれました。

 

各セッションでいろいろな人と対話していると、想像以上に大学のポテンシャルの高さが見えてきて、ワクワクするような気持ちが高まってきます。大学関係者向け「再発見セッション」の申込みはすべて終了しましたが、産官民関係者向けセッションは1月30日(木)まで受付中です。ぜひご興味ある方はご参加ください。今回のプロジェクトから、思いもつかなかった共創チャレンジが一つでも多く生まれることを楽しみにしています。

 

★産官民関係者向け:再発見セッション【開催日時:2月5日(水)16:00~】お申し込みはこちら

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