大阪市営地下鉄淀屋橋駅からすぐの「淀屋橋odona」には大阪市が運営する「アイ・スポット」があり、さまざまな取り組みが行われています。今回は大阪市都市計画局と大阪大学21世紀懐徳堂の公開講座「i-spot講座」のうち、8月9日(火)に行われた「江戸時代の文字、くずし字を読んでみよう!」をレポートします!
くずし字とは、江戸時代以前に広く使われていた、漢字を元にした複数のかな文字(変体仮名)や簡略化された漢字のこと。現在はあまり目にする機会がないこの文字に触れてみようというのが今回の講座の目的です。
今回は対象が小学生ということで、1年生から6年生まで、親子12組が参加。なかには兄弟姉妹で参加されている方もいました。
くずし字を読んでみよう
登壇されたのは大阪大学大学院文学研究科の講師、山本嘉孝先生。以前ほとゼロでも紹介した「くずし字学習支援アプリKuLA」にも関わっている先生です。
講座は「読んでみよう」「書いてみよう」「触ってみよう」の3つのコーナーで進みます。
まずはくずし字を読むための知識を学んでいきます。
写真の中から隠れているくずし字を探す
正解は、おそば屋さんの看板だ
実は昔はひらがなもたくさんの種類があったんだよ、という説明に、参加者の皆さん興味津々。さらに、くずし字一覧を使いながら実際のくずし字を読んでいきます。
似た字と絵を頼りに、くずし字を解読!
今回使用された教材。左:明治時代英語を学ぶための絵入り教材『英字訓蒙図会』 右:百人一首から
くずし字一覧を頼りに文字を解読していく参加者の皆さん。そこかしこから「あった!」「見つけた!」という声が上がっていました。
続いてさらに難易度の高い百人一首の解読にもチャレンジ。教材になっていたのは、「花の色は」ではじまる小野小町の有名な一首。
歌を知っていると、少し楽に読めるかもしれません。
くずし字を書いてみよう
読み方がわかったら、次はくずし字を書いてみるコーナーです。
くずし字の一覧表を参考に好きな文字を選んで、和紙にくずし字を書いていきます。
書くものは自分の名前や好きなキャラクターなど、何でもOK。今回はひらがなのみの講座なので、キャラクター名もひらがなで書いていきます。
皆さん、文字の見た目やつながりなどを考えながら真剣に文字を選び、用意された筆ペンや油性ペンを使って書いていました。それにしても皆さん字が上手い……!
本番の和紙に書く前に何度も練習
くずし字に触れてみよう
さて、読んで書いたあとは、実際の和本などでくずし字に触れます。普段図書館などでも和本の貸し出しはほとんどありません。皆さん触れたことのない和本に夢中でした。なお、この日用意された和本は山本先生の蔵書だそう。どれも高そうに見えますが、和本は安いものだと500円くらいで購入できるものもあるのだとか。
参加者の皆さん、書かれている文字を読んだり中身を想像したり、においをかいだりと和本を全身で楽しんでいました。和本を手に取り、そこにある虫喰い跡などを見つけた方もいて、先生にも質問する場面もありました。
昔はシミの虫害が多かったそうですが、最近はシバンムシの食害が多いそう。ちなみに本を食べるこの虫、お隣韓国などでは発生しないため、国外にある和本は虫食いの全くない、きれいな本だったりするそうです。
あっという間に1時間半の講座は終了。
くずし字を読むだけでなく、書いたり触ったりと体験を交えた講座だったこともあり、お子さんも親御さんも一緒になって楽しんでいました。
私もくずし字を読むことはありますが、書いたことはほとんどないので、今度こっそりチャレンジしてみたいなと思います。
i-spotでは定期的に講座が開催されています。あまり大学の先生と子どもたちが話す機会も多くはありません。
興味のあるイベントには是非参加されてはいかがでしょうか。
取材協力:大阪大学21世紀懐徳堂