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  • date:2016.5.11
  • author:南 ゆかり

大阪から発信するデザインの今。大阪芸大の「OSAKA DESIGN FORUM」が面白い

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今年で10回目を数える「OSAKA DESIGN FORUM」開催まであと数日。今年は記念すべき節目の年ということで、“グローバルデザイン”をテーマにデザインの魅力を思いっきり感じられるイベントになるようだ。

 一流デザイナーが語る、デザインの魅力と今

第一線のデザイナーが集まる「OSAKA DESIGN FORUM」は、大阪芸術大学のデザイン学科の学生たちが中心になって取り組むデザインの一大イベントだ。メインプログラムは、国内外で活躍する著名デザイナーによるトークセッション。これまでに、佐藤可士和氏、水戸岡鋭治氏、浅葉克己氏など日本を代表するデザイナーたちが登壇している。そして、10回目を記念する今年は、グローバルデザインの時代を象徴するイベントにしようと、初めてアジアからスピーカーを招く予定だ。

大阪市中央公会堂外観

大阪中央公会堂 入場の様子

会場となる大阪市中央公会堂は、歴史があり美しい建物。豪華なゲストスピーカーが講演するのにふさわしい。

 

スピーカーとして登壇予定なのは、エドウィン・ロー氏。シンガポールの有名ギャラリーショップ「Supermama」を手がけ、有田焼などの日本の伝統工芸とのコラボ作品も多く発表している新進気鋭のプロダクトデザイナーである。海外のデザイン事情や、日本人とは異なるものの見方や考え方など、どんな話が出てくるのか今から楽しみだ。

 

一方、もう一つのメインプログラムが、日本のデザイナーとしてデザインユニット「KIGI」として活躍するアートディレクター植原亮輔、渡邉良重の両氏らによるトークセッションだ。「KIGI」は、エドウィン・ロー氏と同じく伝統工芸とのコラボワークを行っており、滋賀の伝統工芸の職人たちとのコラボブランド「KIKOF」を立ち上げている。さらに糸井重里氏の「ほぼ日」とのコラボによる洋服ブランド「CACUMA」など、ブランディング、グラフィック、プロダクトなど幅広くデザイン活動を行っている。

 

ロー氏も「KIGI」も国内外で数多くの受賞歴を持つ、今もっとも旬のデザイナー。日本の伝統工芸への思いやコラボから生まれる価値、今後の活動などについて本人たちの口から聞ける貴重なチャンス。デザインを学ぶ学生はもちろん、多くのプロデザイナーたちの注目を集めている。

 

また、このイベントならではのプログラムとして、デザインの現場で活躍する大阪芸術大学の卒業生によるプレゼンテーションがある。とくに企業で活躍するデザイナーを招くことが多く、普段は見聞きすることの少ない若手企業デザイナーの仕事やその仕事観などを聞くことができる。今年は、博報堂の細川剛氏、CITIZENの三村章太氏が参加する予定。また、この面々が一堂に会し、進行役の教員も加わってのフリートークセッションも開催。これが毎年とても盛り上がるというから楽しみだ。

 

さらに忘れてならないのが、オープニングパフォーマンス。毎年、伝統芸能の、普通ならなかなかチケットが取れないような第一人者が招かれているが、今年は浪曲師・春野恵子氏。英語浪曲をニューヨークで公演するなど、グローバルに活躍している話題の人である。

三原剛氏

世界的に活躍するバリトン歌手であり、大阪芸術大学音楽学科・演奏学科の学科長でもある三原剛氏がオープニングパフォーマンスを飾ったことも。

 

動かすのは学生約80人。終了後は泣くほどの感動が

これだけのそうそうたる顔ぶれが揃うこと自体もすごいが、一流のイベントにすること自体、実はこのイベントに課せられた開始当初からのミッションなのだという。イベントの世話人を続けている同大学デザイン学科教授の喜多俊之氏はその理由を教えてくれた。

 

「毎年会場となっている中之島の大阪市中央公会堂は、大大阪を象徴する素晴らしい建物です。壊そうという動きが出た時にそれを食い止め、残したのはクリエイターたちでした。再生した公会堂を何に使うか。次の日本のクリエイションを発信できる場として、若い人が集まる場所があればいい、そんな考えからこのイベントは始まりました」

 

大阪が一番元気だった頃のシンボルともいえる建物で、デザインは今これだけすごいぞ、という心意気を示したい。だから、どうしても一流の人が呼びたかったのだという。

初開催のときから「OSAKA DESIGN FORUM」を見守る喜多俊之氏。

初開催のときから「OSAKA DESIGN FORUM」を見守る喜多俊之氏。このイベントには、関西、そして日本のクリエイターたちへの熱いメッセージが込められている。

 

さて、裏方としてこの一大イベントを動かしているのは、実は学生だ。希望者がスタッフとして参加するのだが、年々その人数は増えていき、今年は約80名が各担当に分かれて準備や当日の運営を進める。一般の人を含め、当日は1000人近い人が訪れるイベントが切り回せるとはすごい。前年の10月、プロジェクトをスタートさせる時はもちろん“ド素人”なのだが、段々と成長して、今年などはシンガポールのロー氏サイドとの英語メールのやり取りまできっちりとやってのける。

 

グラフィックデザイナーで同大学デザイン学科長の高橋善丸教授は、「今、デザイン学科では、『ハイパープロジェクト』という科目を設けて、学生がコースや学年、さらには学科の壁を越えてチームとなって取り組んでいます。アクティブラーニングの一方法として自分で学びを作りあげていくという教育システムを、流動的に広げていこうとしているところです。その意図と、『OSAKA DESIGN FORUM』はとてもうまく合致しています」と語る。

 

プロジェクトはみんなで答えを出す。授業などで教員の指導を受けるのと違い、アドバイスの通りに直すのではなく、いろんな方向をもう一度考え直す。「この過程がかなり勉強になっている」という。

高橋善丸デザイン学科長

高橋善丸デザイン学科長。「OSAKA DESIGN FORUM」はイベントとしての意義やクオリティはもちろん、教育プログラムとしても非常に魅力的だという。

10年も続くプロジェクトだから、先輩から後輩へと年々引き継がれていくものも多くなってきた。学生たちも、年を重ねるごとにしっかりと運営できるようになってきているという。準備に真剣に取り組み緊張に耐えて当日を乗り切った学生たちは、毎年、終了後にみな感動で泣くそうだ。

 

今年のプロジェクトを仕切る学生たちに話を聞くと、「デザインのイベントだからこそ余計に、自分たちのデザインしたものを披露したいし、自分たちの色に染めたいという気持ちがあります。絶対、去年よりいいものにしたいという欲もあります」という答えが返ってきた。まさに、意欲的である。

 

当日は、同時開催イベントとして、学生ユニット「透明回線」による新しいライブペイントパフォーマンス、学生の作品展示も行われる。

「OSAKA DESIGN FORUM」への意気込みを語る学生たち

「OSAKA DESIGN FORUM」チラシ・ポスター

「OSAKA DESIGN FORUM」への意気込みを語る学生たち。ゲストのアテンドや当日の進行管理、広報活動など、すべてを学生が取り仕切る。もちろん、ポスターやチラシのデザインも学生が手がける。


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