皇居や国会議事堂など日本の国家機能が集中する永田町で、まさか日本トップクラスのコレクションを見ることができるなんて!興味がなくても時間を忘れ、神秘の化石ロマンに浸ってしまう。そんな城西大学の水田記念博物館 大石化石ギャラリーをご案内します。
永田町、麹町、半蔵門の3つの駅から徒歩約5分という抜群のアクセス、城西大学の東京紀尾井町キャンパスの3号棟の地下に城西大学の水田記念博物館 大石化石ギャラリーはありました。この建物の前を数えきれないほど通っていた私ですが、ずっと気づかないまま通りすぎていたのです。もったいなかった…。
3号棟で迎えてくれた大型恐竜!原始的なティラノサウルスの仲間の骨格模型で、およそ1億2000万年前のもので産地は中国。
何が待っているのか…館内までのアプローチが神秘的な化石ロマンの世界へ誘ってくれます。
水田記念博物館 大石化石ギャラリーは小さな化石の水族館。なぜ水族館なのか?それはブラジル、レバノンで採掘された約1億年前の白亜紀の魚類化石やアメリカ、ヨーロッパの古生代の魚類を中心に展示しているから。コレクションの中心となっているのが大石道夫東京大学教授と中国遼寧省古生物博物館から寄託・寄贈されたもので、保存状態も優れており魚類化石コレクションとしては日本屈指のものです。
解説してくださった学芸員の宮田さんは古生物学者。シーラカンスは魚よりも四足動物に近いとか、ビックリです。
まず目に入るのはギャラリー中央にある、世界で2体しかない1億年前のワニ「イタスクス」の全身化石標本。さらに2016年に新種記載されたシーラカンスの化石(東南アジア初のもの)、螺旋状の形態を持つギンサメの仲間の歯の化石などの貴重な展示が並んでいます。
魚が魚をパクッと食べている捕食シーンがそのまま化石になったもの、地中の鉱物からできた偽化石、ゴキブリやセミなどの昆虫の化石なども興味深くて見入ってしまう。さらに植物、甲殻類、爬虫類も充実。化石は地球が作りだした美しい芸術品と思いながら、化石の水族館だけど美術鑑賞する気分でじっくり観察ができます。
貴重な古代ワニ「イタスクス」、現代のワニと違いを探してみるのもおもしろい。
翼竜の頭骨。頭だけでこの大きさ、恐竜ってあたりまえだけど巨大なんだ。
触れる標本「ヴィンティファー」。頭と尾から感覚の違いを試してみてはいかがでしょう。
水田記念博物館 大石化石ギャラリーの魅力は貴重な展示品だけではありません。「見て、触って、考える」化石ワークショップをはじめ専門家を招いてのギャラリートーク、講演、シンポジウムを定期的に開催。詳細はホームページで公開されています。
4億5000万年前の石を割って三葉虫などの化石を取り出すワークショップ、「触れる標本」として実物の恐竜の骨などの化石を使ったワークショップは小学生からおとなまで楽しめると人気が高いもの。事前に連絡をすれば参加者1名からワークショップは開催されるのもうれしいです。
力を入れすぎると粉々になってしまう…でも、手加減しているとなかなか割れない!
お土産には「食べられる化石」を。化石落雁で1億年前の化石を味わってみるのもGOOD。
城西大学の水田記念博物館 大石化石ギャラリーはフラッと見学するのもいいけれど、ぜひ学芸員の解説を聞いておくのがおすすめ。奥の深い化石の世界に引き込まれて「へぇ〜」と思わず言葉が出てしまう。白亜紀の地球はどんな世界だったのだろう?古代へのロマンがどこまでも広がる博物館、ぜひ足を運んではいかがですか?