ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

  • date:2018.6.28
  • author:南 ゆかり

リブランディングへの挑戦。京都産業大学の「Re:広報」(後編)

Re_大学top

京都産業大学の広報改革。新サイト「Re:世の中」オープンについて取材した前編に続き、そのルーツでもあるブランディングサイト「Re:大学」と交通広告ブランニュー戦略について聞いた。

 

過去最多の受験者数につながるメッセージ

 

「Re:大学」とは「Re:世の中」の上位に置かれているブランディングサイトだ。大学として発信しているメインメッセージは「世の中を変えたいなら、大学から、自分たちから変えていこう」。「Re:世の中」もこの一部として、社会を見直し変えていきたいと思うヒントを提供しているのだ。

 

「Re:大学」サイトの設置は2017年度の新学部、現代社会学部開設がきっかけだった。メイントピックは新学部の情報だったが、単に新学部の紹介に終わることなく、「人任せの社会でなく、自分たちで社会を変え、未来をつくっていこう」という京都産業大学からの強いメッセージとして発信した。

 

「世の中を変えたいなら・・・」のメッセージを掲載

「世の中を変えたいなら・・・」のメッセージを掲載

 

それが高校生や受験生の心をつかみ、2017年度入試の受験者数はのべ5万5000人を超える。大学創設以来、最多の数字であり、前年度から約1万人もアップした。現代社会学部自体も、定員の20倍以上の受験者が集まった。広報部・課長補佐の増村尚人さんは、この成功を「高校生に好まれる広報をするというのでなく、本学の意志をしっかりと伝えたことが受け入れられたのではないか」と振り返る。

 

強力なメッセージが発信できた背景には、2015年に迎えた創立50周年を目指して行った大学のリブランディングがある。京都産業大学の創設者・荒木俊馬は、宇宙物理学者であり、大学が象牙の塔だった時代にあえて産官学の積極的な連携を推進した人。荒木が、京都産業大学の「産業」に込めた強い意思を、ブランディングテーマにすえた。

 

産業とは英語で言うインダストリーではなく、「むすび(産)わざ(業)」。新しい価値を産み出す大学、社会と結びついて新しい価値を創造していくことによって社会に貢献していく使命を持った大学である。それを明確にし、「むすんで、うみだす。」というスローガンも作った。”50年前から京都産業大学は変わり続けてきた大学だった。そのDNAは、今も脈々と受け継がれている。私たちは今もこれからも変わり続けていく。大学を常に再構築していく。変革の時代を生き抜く力を育てる大学として”。

「Re:大学」のそんなメッセージは、受け手の心に素直に落ちた。

 

現在、「Re:大学」が取り扱っているメインテーマは、2019年度に開設予定の国際関係学部、生命科学部の2学部と、再編予定の経営学部である。教育内容やカリキュラムそのものよりもむしろ、ブランディングテーマに基づいて、新しい価値の創造に向けて自ら変わる大学、という切り口で取り扱う。これからの時代に求められる価値とは、新しい時代を開拓していけるような人材とは何かを伝えることに重点が置かれている。

 

ホームページで大学のどこかの特徴だけを尖らせるのは難しいが、「Re:大学」のような別サイトならやりやすい。増村さんは、「今後も世界に誇れる研究分野や応援文化が根付いているスポーツなどさまざまな特色を取り上げ、新しい広報として展開していきたい」と意欲的だ。

 

「共感」をめざした車内広告の一大転換

 

Webだけでなく、交通広告についても2018年4月から大きくリニューアルした。過去10年ほど続けてきた電車の車内ポスターにおいて、学生や教員の研究など具体的事例の紹介を一新。フォトポエムに変えた。その理由を、増村さんは次のように言う。

 

「イメージ調査をすると、京都産業大学という名前は知っているが、どんな大学かは特にイメージがない、という残念な結果が出ました。それは、10年間、具体的事例の広告を出し続けても大きく変わらなかった。それで、考え直したんです。こんなすごいことやってるよ、すごい人がいるよ、と“ええとこ”ばかり出しても響かないのではないか。共感を得ないとイメージが浸透しないのではないかと」。

 

広報戦略を見直し、車内ポスターでの表現を、大学の姿勢を見せ、価値観をメッセージとして伝える方向へと大転換することになった。2000年代前半から自作の詩と写真のポストカード制作を中心に活躍する詩人で、自作をまとめる出版社の代表でもあるきむさんを起用して、在学生や高校生の夢を持って頑張る人を応援する、精一杯、背中を押すというメッセージを発信することにした。

 

シリーズ第一弾「初心は宝物だ」(2018年4月)

シリーズ第一弾「初心は宝物だ」(2018年4月)

 

広告の印象がガラッと変わったこともあり、ツイッターでの反響は非常に大きいという。「これって京都産業大学やったんや」「朝、しんどいときにこれ見たら、いつも励まされる」「次が楽しみ」などおおむね好評。

 

注目度は高く、中学の先生から『授業で詩を使いたい』という問い合わせもあったという。なかには、「京都産業大学って気づかなかった」というものもあるが、「それでもいいです。その人の背中を押すことができていれば・・・。いつか気づいてくれればいい」と増村さん。確かに、共感を得られるメッセージであれば、自然に大学のイメージは浸透していくだろう。

 

受け手は誰か、何を伝えたいかに真正面から向き合ったのが、京都産業大学の“Re:広報”だという気がする。これからも、どんな「Re」に挑戦していくのか楽しみだ。


RANKINGー 人気記事 ー

  1. Rank1

    大阪工業大学梅田キャンパス「OIT梅田タワー」外観写真 (1)
  2. Rank2

    jmooc_kouza
  3. Rank3

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA
  4. Rank4

    _mg_0090
  5. Rank5

    学生鉾巡行7051

CATEGORYー 新着カテゴリ ー

PICKUPー 注目記事 ー

BOOKS ほとゼロ関連書籍

piamook

楽しい大学に出会う本

大人や子どもが楽しめる首都圏の大学の施設やレストラン、教育プログラムなどを紹介したガイドブック。

Amazonで購入
★関西の大学H1

関西の大学を楽しむ本

関西の大学の一般の方に向けた取り組みや、美味しい学食などを紹介したガイド本。

Amazonで購入
年齢不問! サービス満点!! - 1000%大学活用術

年齢不問! サービス満点!!
1000%大学活用術

子育て層も社会人もシルバーも、学び&遊び尽くすためのマル得ガイド。

Amazonで購入
定年進学のすすめ―第二の人生を充実させる大学利用法

定年進学のすすめ―
第二の人生を充実させる …

私は、こうして第二の人生を見つけた!体験者が語る大学の魅力。

Amazonで購入
フツーな大学生のアナタへ

フツーな大学生のアナタへ
- 大学生活を100倍エキサイティングにした12人のメッセージ

学生生活を楽しく充実させるには? その答えを見つけた大学生達のエールが満載。入学したら最初に読んでほしい本。

Amazonで購入
アートとデザインを楽しむ京都本 (えるまがMOOK)

アートとデザインを楽しむ
京都本by京都造形芸術大学 (エルマガMOOK)

京都の美術館・ギャラリー・寺・カフェなどのガイド本。

Amazonで購入

PAGE TOP