ほとんど0円大学 おとなも大学を使っっちゃおう

  • date:2017.7.11
  • author:南 ゆかり

大谷大学の学生パワーが熱い「祇園祭ごみゼロ大作戦」ボランティア。

大谷大学祇園祭ごみゼロ大作戦_1

大谷大学には「コミュ・ラボ」という、ボランティア、まちづくり、フィールドワークなど、学生たちが社会に出てさまざまな課題解決に積極的に取り組むプロジェクトが活発に行われている。なかでも2015年から多くの学生が参加しているのが「祇園祭ごみゼロ大作戦」。今年も多くの学生が参加する予定だという。

 

ごみ60トンを半分に減らしたエコ大作戦参加

 

「祇園祭ごみゼロ大作戦(以下ごみゼロ)」とは、環境NGO「地域環境デザイン研究所エコトーン」、京都市、ごみ回収事業者、露天商組合などが2014年から協働でスタートさせたエコプロジェクトで、祇園祭でもっとも人出の多い前祭宵山の2日間、露店でリユース食器を使うことでごみを減らす取り組みだ。

 

日本を代表する祭りでの取り組みだけに、全国からの注目度は高い。成果も上々で、開始前の2013年に60トンだったごみが約半分になり、宵山の後、巡行に向けて夜通しかけて掃除されていた町内の方の負担も減った。

ごみの分別を呼びかけるエコステーション

ごみの分別を呼びかけるエコステーション

 

町なかの人出の多い箇所をいくつかのエリアに分けて、リユース食器の返却と分別ごみ箱設置拠点となるエコステーションを配置。ボランティアが待機して、食器返却やごみ分別を呼びかける。使用済みのリユース食器を回収して洗浄し、露店に配布するのもボランティアが担っている。

リユース食器。時間はかかったが、やっと浸透してきた

リユース食器。時間はかかったが、やっと浸透してきた

 

大谷大学の参加は、「コミュ・ラボ」でさまざまなプロジェクトを支援してきた赤澤清孝准教授の働きかけによる。赤澤先生が担当する文学部社会学科の環境問題と市民参加をテーマにした授業の一環で、学んだことを実践に活かす場として参加を必須にしたことから始まった。

取り組みについて話す赤澤清孝准教授

取り組みについて話す赤澤清孝准教授

 

授業を取っている学生が50人、その他の有志が50人の計100人程度が参加し、初年度から学生の関心は高かったようだ。以来、毎年積極的に取り組み、一番大勢の学生が参加する大学になっている。

 

ごみゼロの運営側からすると、学生の団体参加はありがたい。2日間でボランティアの必要人数はのべ2000人(!) 宵山は露店も夜の11時まで営業するため、片付けも含めると最後のシフトは夜中12時頃までの活動になる。体力と自由度のある学生パワーに期待するところは大きいのだ。

 

猛暑の中、元気にがんばる学生の姿

猛暑の中、元気にがんばる学生の姿

 

気持ちや行動は変わる、という手応え

 

2年目の2016年は参加人数が増えたことに加え、ボランティアリーダーとしての参加募集に応える学生も現れた。リーダーはエリアごとの現場責任者のような役割で、当日の受付、メンバーの指導や休憩指示、本部の指示による欠員の対応のほか、外部から問い合わせやクレームの前線基地として本部に橋渡しする役割などもある。

 

リーダーとして参加する文学部社会学科第3学年・井村航さんは、赤澤先生の授業でゲスト講師として来学した主催者である環境NGO代表の「もともと祭りでごみが出るのではなく、あやかる人や見に来る人がごみを出している」という言葉が印象に残った。ごみを分別して捨てるのではなく、ごみを出さないようにする、という目標の意味がよくわかったという。

やりがいと感じ、今年も参加予定の井村航さん

やりがいと感じ、今年も参加予定の井村航さん

 

成果はすごく上がっている。実際に参加してみると、リユース食器はいやだという人がいるわけでもなく、ごみ箱の前で声掛けをするとみなちゃんと分別して捨ててくれる。「人が気持ちや行動を変えるのってそんなに難しいことじゃない」。ごみ削減に向けて行動する手応えを感じた。

 

ただ、リーダーの大変さはある。専門学校や大学の学生、市の職員、ボランティア団体の人など、所属も年齢もバラバラの人を率いていかなければならない。年上の人には声をかけづらかったが、その壁を一度超えてしまうと、社会人など知識を持っている人からいろいろと役に立つ助言をもらうことができた。コミュニケーション力が身についたと実感しているという。

さまざまな立場の人とかかわり、祇園祭をより良いものにしていく

さまざまな立場の人とかかわり、祇園祭をより良いものにしていく

 

来場したお客さんから「ご苦労さん」「ありがとう」とねぎらいの言葉をかけられる喜びもある。赤澤先生によると、「ボランティア活動で成果が目に見えることは少ないが、ごみゼロではお客さんの言葉やボランティア参加者、露店の方との交流もあって励みになる」と話す。

 

祇園祭という歴史のある祭りの一部に携わり良くしていく活動に参加する、という誇りを感じられる魅力もある。井村くんは、他県から来た観光客に声をかけられ「祇園祭で“ごみゼロ”をやっていると聞いていたけど、本当にやっているんだね、すごいね」と言われてうれしかったという。

 

大きな社会実験、今年も

 

大谷大学では、2017年からごみゼロ参加を組み込んだ授業を社会学科対象から全学対象へと広げ、155名の参加を予定する。

 

教職員にも浸透し、先生が学生に参加を呼びかけたり、オープンキャンパスなどでも広報して入学前からこの活動に参加すると決めていた新入生もいるという。井村くんは今年もリーダーとして参加の予定。

 

「今後も学内の参加が続いていくように、楽しさを感じてもらうようにしたい。できれば、『あの先輩みたいに頑張ろう』と思ってもらえるような、かっこいい姿を見せたいですね」と話す。

 

今後も、大谷大学ではより多くの学生に、環境との共生を体現する活動の現場で、充実したボランティア体験を積んでもらうことをめざしていく。

 

祇園祭をごみゼロにできるかは、「すごく大きな社会実験」だと赤澤先生。ここで成功すれば、他のところにも応用が利くかもしれない。大阪の天神祭や、環境との共生をテーマの一つにする東京オリンピックにも。

 

今年、祇園祭宵山にでかける予定のある方は、できれば露店でものを買って、食器をリユースしてみてください。もちろん、ボランティアをしようというのであればさらに素晴らしいが、今年の募集はもう終わっているので、来年の6月頃から「祇園祭ごみゼロ大作戦」のホームページをチェックしてみよう。


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