カフェにレストラン、おしゃれなライブラリー、そして目の前には市の公園が。立命館大学の新キャンパス「大阪いばらきキャンパス」は、一見、大学とは思えないほどユニークな取り組みが盛りだくさん!敷地を囲む塀や門を取り払い、地域に開かれた場所として新たな大学モデルを生み出している。
■「教室」のないキャンパス!?
最寄のJR茨木駅から約5分、サッポロビール工場跡地に建てられたキャンパスの敷地面積は約11万平方m。学生約5,500人に加え、散歩する人や家族連れがゆったりと過ごしている。
実はこのキャンパスには「教室」というサイン表示がどこにもない。すべての空間を、教える場ではなく、主体性をもって学び合う場にしたいとの思いからだそう。9階建の学舎(A棟)に入ると、長さ200mのコンコースが奥へどーんと伸び、ガラス張りの部屋が並ぶ。とにかく開放感があって、“壁”や“境界”を感じさせない、知的でおしゃれなラボといった雰囲気。
また、いたるところに椅子やソファ、机などが置かれていて、“たまり場”が自由に作れるようになっている。使い方は特に指導しているわけではなく、学生が柔軟に活用しているようだ。
最大長さ200m×幅18m。広々としたコンコース(廊下)も学び合う空間
コンコース脇のミーティングスペース。壁一面がホワイトボード
学生の提案でデザインされた学習スペース・アカデミックラウンジ
広々としたセミナールームは公開講座などのイベントにも使用可能
座布団ルーム!?斬新なアイディアが生まれるかも!
■地域と育てるキャンパスの魅力&学びの場
斬新な施設を見学するのもおもしろいが、もう一つ、このキャンパスの魅力は「地域に開かれている」ということ。一般の人が参加できるさまざまな取り組みが複数にわたって進行中だ。
例えば、里山、ガーデニング、本をテーマとした交流会やワークショップを開く「コミュニティ創造プロジェクト」。地域の人にとっては、大学というアカデミックな場所で楽しめる大人のサークル活動。大学の先生はもちろん学生も参加しているので、立場や世代を超えた仲間ができる。
コミュニティ創造プロジェクトの一つ、まちライブラリー@OIC。蔵書0冊からスタートし、参加者が本を持ち寄り本棚を育てていく。会員はすでに200人近くに(2015年6月現在で191名)
他にも近隣の企業などの協力のもと、学生がソフトクリームやビールの新商品を開発するプロジェクトもある。2015年5月に開催されたイベント「いばらき×立命館DAY」では、初披露された商品に長蛇の列ができた。
日世&サッポロHDとのコラボで作った「茨木バニラホップ」。当日はこの人気ぶり!学内のレストランで販売予定
1万人を超える来場があり、注目度の高さがうかがえた
大学発の商品開発や地域連携は今に始まったことではないが、ここほどキャンパス全体で取り組み、大きくPRしているところはまだまだ少ないといえるだろう。さらに大学主導というよりも、市民、学生が主体となったイベントやワークショップが続々と開催されており、人々の交流の場はこれからも広がっていきそうだ。