いまや世界的に問題になっている糖尿病。WHOと国際糖尿病連合(IDF)は、インスリンを発見したフレデリック・バンティング先生の誕生日、11月14日を「世界糖尿病デー」として、毎年啓蒙活動をおこなっています。それに伴い、近畿大学医学部では2018年11月24日(土)第4回「世界糖尿病デー」イベントを開催。取材とともに検査などを体験してきました!
各種検査が無料で受けられる
糖尿病は、最初から症状が出るわけではなく、知らない間に進行する病気です。仕事が忙しいとか、自分は大丈夫だと思って放置しておくと、気づいた時には重症化していることもあります。そのため、毎年健診を受けて、糖尿病にかかっていないか確認することが最大の予防になるそうです。イベントでは、糖尿病や生活習慣病のチェックのため、さまざまな検査を無料で受けることができました。
血圧測定や血糖測定を気軽に受けることができる
100名ほどの方が来場されたのですが、セミナー会場と検査会場を自由に行き来できるので、皆さん、「セミナーも聴きたいし、検査も受けたいし」というわけで、どちらも盛況。検査は順番待ちになっているコーナーもありましたが、技師さんは、個別の質問にも答えてくれて、一人ひとりに丁寧に対応されていました。
まず、生活習慣病に関わる数字である、血圧や脈拍、血糖値を計ります。血糖値は、糖尿病にかかっているか、いないか、ひとつの指標になりますが、普通に生活していてはめったに計る機会がありません。しかし、このイベントでは、指先に少し針を刺して採血し、簡単に計測してくれます。
その他、四肢の血圧脈波を測定して、動脈硬化の度合いを調べて、筋肉量や脂肪量など、生活習慣病に関わる体組成についても細かく計測してくれました。ちなみに、私の場合、肥満体ですが、筋肉量は平均的でした。
糖尿病セミナーは充実の内容
検査会場の隣の部屋では、糖尿病セミナーが開催され、近畿大学医学部内分泌・代謝・糖尿病内科講師の能宗伸輔医師が登壇しました。成人に多い2型糖尿病は、最初は無症状でじわじわ進行することや、初期の症状について、また、ある日突然発症する網膜症や脳梗塞、心筋梗塞などの合併症についても、分かりやすくお話ししてくださいました。
セミナーの様子
糖尿病や糖尿病による合併症は、早期発見して血糖値を管理することでコントロールしやすくなるので、まずは、健診を受けて血糖値や動脈硬化の状態を知ることが重要なのだそうです。
能宗医師による糖尿病のお話以外にも、近畿大学医学部の栄養士、森田隆介さんによる、糖尿病や生活習慣病予防のためのバランスの取れた食事法についてもお話しいただきました。
ポテトサラダやかぼちゃのサラダを食べると、野菜を食べたことになりますが、じゃがいもやかぼちゃは糖質を多く含むので、ご飯の量を減らす。野菜は加熱してもいいので、1日350g摂取する。ごはんなどの主食と肉や魚の主菜、野菜中心の副菜を偏りなく食べるなど、理想的な食事法について教えていただきました。食事は、20分以上かけてゆっくり食べると、血糖が上がりにくくなるそうです。
さらに、近畿大学医学部の糖尿病療養指導士で理学療法士の脇野昌司さんからは、高齢になっても筋力を上げられるというお話や、テレビを見たり歯磨きしたりしながらできる「ながら運動」の方法、座ったまま足の筋肉を鍛える方法など、誰でも簡単にできる運動法について教えていただきました。
身体活動不足は、日本人の死因の第3位なのですが、必ずしも激しい運動をする必要はなく、ウォーキングなどの有酸素運動とスクワットなどの筋トレを組み合わせるといいそうです。
糖尿病なんて他人事のように思っていたのですが、無症状のうちに進行するとか、献立の立て方や食べ方のコツ、家で簡単にできる「ながら運動」など、知っているようで知らない情報がいっぱい!すぐに実践でき、役立つことをたくさん教えていただけました。
あなたの食事は大丈夫!?視覚で確認できる展示コーナー
検査会場の一角にある、展示コーナーも、みなさん興味津々。繊維質豊富な野菜を食べようということで、奈良県にある近畿大学農学部で栽培している大和真菜(やまとまな)という伝統野菜と乾燥おからで作ったケーキも試食できました。緑黄色野菜が苦手な私、「困ったな」と思ったのですが、苦味や青臭さがなく、芳ばしい風味。レシピもついていたので、家でも作ってみたいと思いました。
大和真菜のケーキ
こちらの缶ジュースなどの飲料に含まれる砂糖の量を角砂糖で表したコーナーや、好ましくない献立と推奨される献立を比較したコーナーも、目で見てパッと分かるようになっていたのですが、参加者の皆さんは、栄養士さんの說明を聞きながら大きくうなずいていらっしゃいました。
野菜たっぷりの献立
理想的な朝ごはん
忙しい毎日、特に症状がないと、「私は元気」と思ってしまいがちです。しかし、糖尿病や生活習慣病は、症状が現れてからでは、既に重症化していることもあります。日頃から運動や食事などに気を配り、年に一度の健診は受けるようにしたいですね。私は、血糖値は正常圏内でしたが、運動不足と高脂肪の食事を控えようと思いました。